社会保険料の会社負担割合は?金額の計算方法と注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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社会保険料の会社負担割合は?金額の計算方法と注意点を解説

健康を守る

社会保険料は従業員と会社で折半して負担します。会社負担分の計算方法を理解して、適切に納付することが重要です。

この記事では、社会保険料の会社負担割合と計算方法、注意点や支払いが難しい場合の対処法を解説しています。人事担当者や経理担当者の方はぜひ参考にしてください。

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1. 社会保険料の会社負担割合

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社会保険料は、会社と従業員で負担し合います。しかし、社会保険料の種類によって、会社と従業員の負担割合は変わってきます。なお、従業員に支払う給与のうち、およそ15%~20%程度が会社が負担すべき社会保険料です。

ただし、加入する保険の種類や事業の内容によって保険料率が異なるので、実際の負担額は会社ごとに変動します。正しく社会保険料を納付するためにも、社会保険料の具体的な計算方法と、会社・従業員それぞれの負担割合を理解することが大切です。

1-1. 社会保険料を計算する際の具体的な会社負担割合

社会保険料を計算する際の具体的な会社と従業員それぞれの負担割合は、以下のようになります。

社会保険の種類 会社の負担割合 従業員の負担割合
健康保険 50% 50%
厚生年金保険 50% 50%
介護保険 50% 50%
雇用保険 業種によって異なる 業種によって異なる
労災保険 100% 0%

企業は従業員負担分の保険料を給与から引き、会社が負担する分を加えて納付します。健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料の納付期限は、翌月の末日です。

一方、雇用保険料と労災保険料(労働保険料)は、原則1年に1回まとめて納付します。なお、雇用保険料の従業員負担分は、毎月従業員の給与から天引きする必要があるので注意しましょう。

参考:健康保険法 | e-Gov法令検索
参考:厚生年金保険法 | e-Gov法令検索
参考:介護保険制度について|厚生労働省
参考:令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内|厚生労働省
参考:労働保険料の申告・納付|厚生労働省

1-2. なぜ社会保険料は労使折半なのか?

健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料は、法律により労使折半で負担することが定められており、雇用保険料も一定の割合で会社と従業員が分担して支払います。社会保険料が労使で負担し合うのは、社会保険制度が従業員の生活を守るものであり、その恩恵を受けるのが労働者だけでなく企業にも及ぶためです。

仮に社会保険料をすべて従業員の自己負担とした場合、手取り収入が大幅に減少し、生活に支障をきたす恐れがあります。その結果、従業員のモチベーション低下や離職率の上昇につながり、会社側も人材確保や経営存続が困難になる可能性があります。

また、社会保険は加入条件を満たす労働者すべてに加入が義務付けられている強制保険です。公平性や持続可能性を確保するためにも、会社と従業員が明確に決められた割合で費用を負担する仕組みとなっています。

このように、社会保険制度の意義や構造を双方が正しく理解すれば、労使が協力して保険料を負担することの必要性がより明確になるでしょう。

関連記事:社会保険とは?企業や従業員の加入条件や手続き方法、適用拡大など注意点を解説

2. 社会保険料の計算方法

電卓とお金

社会保険には、以下の5つの種類があります。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

それぞれの社会保険料の計算方法を解説していきます。

2-1. 健康保険

健康保険料の計算方法は、以下のとおりです。

給与の場合 健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率 会社負担:50%
賞与の場合 健康保険料 = 標準賞与額 × 健康保険料率 会社負担:50%

健康保険料率は、健康保険の種類や事業所のある都道府県によって異なります。健康保険の種類は以下の2つです。

種類 従業員数など 保険料率
健康保険組合
  • ・常時700人以上の従業員がいる
  • ・同種・同業の事業所が集まり、3,000人以上の従業員がいる
組合によって異なる
全国健康保険協会(協会けんぽ)
  • ・人数にかかわらず、法人は加入義務がある
  • ・適用業種の個人事業主は、常時5人以上の従業員がいる場合に加入義務がある
  • ・上記以外でも条件を満たせば任意適用事業所として加入できる
事業所がある都道府県によって異なる

健康保険組合を設立できるのは、大企業または同じ業種の中小企業の集まりです。全国健康保険協会(協会けんぽ)は、健康保険組合を設立できない中小企業が対象となっています。

全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率を確認したい場合は、全国健康保険協会のホームページで確認してください。

参考:令和7年度保険料額表(令和7年3月から)|全国健康保険協会
参考:適用事業所とは?|全国健康保険協会

2-2. 厚生年金保険

厚生年金保険料の計算方法は以下のとおりです。

給与の場合 厚生年金保険料 = 標準報酬月額 ×  厚生年金保険料率 会社負担:50%
賞与の場合 厚生年金保険料 = 標準賞与額 × 厚生年金保険料率 会社負担:50%

厚生年金の保険料率は、年金制度改正によって平成16年から段階的に値上げがされてきました。それが平成29年に終了しているため、厚生年金保険料率は18.3%で固定されています。

健康保険料率のように組合や都道府県による差はないので、一律18.3%で計算して問題ありません。

参考:厚生年金保険料額表|全国健康保険協会
参考:令和7年度保険料額表(令和7年3月から)|全国健康保険協会

2-3. 介護保険

介護保険料の計算方法は以下のとおりです。

給与の場合 介護保険料  =  標準報酬月額 ×  介護保険料率 会社負担:50%
賞与の場合 介護保険料  =  標準賞与額 × 介護保険料率 会社負担:50%

介護保険料率は、健康保険料率と同様、加入している健康保険の種類によって異なります。

また、介護保険料率は毎年変化します。加入している健康保険団体の情報を必ず確認し、最新の情報で算出するようにしましょう。

参考:令和7年度保険料額表(令和7年3月から)|全国健康保険協会

2-4. 雇用保険

雇用保険料の計算方法は以下になります。

給与や賞与などの金額に対して発生するため、同じ職場に勤めている従業員同士でも雇用保険料が異なります。

給与の場合 雇用保険料 = 給与額 ×  雇用保険料率 会社負担:業種によって異なる
賞与の場合 雇用保険料 = 賞与額 × 雇用保険料率 会社負担:業種によって異なる

令和7年度時点で、雇用保険料率は以下になります。令和6年度よりも引き下げられました。

業種 労働者負担 事業主負担 雇用保険料率
一般の事業 5.5/1,000 9/1,000 14.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業 6.5/1,000 10/1,000 16.5/1,000
建設の事業 6.5/1,000 11/1,000 17.5/1,000

雇用保険料率は毎年更新されるため、随時厚生労働省のホームページをチェックしましょう。

参考:令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内|厚生労働省

2-5. 労災保険(全額会社負担)

労災保険料の計算方法は以下になります。労災保険料は従業員に支払うべき賃金と労災保険率を基に計算され、全額が会社負担となっています。

給与の場合 労災保険料=給与額 ×  労災保険率 会社負担:100%
賞与の場合 労災保険料=賞与額 × 労災保険率 会社負担:100%

なお、労災保険率は、業種ごとに異なります。厚生労働省のホームページにて、該当の業種を確認しましょう。

参考:令和7年度の労災保険率について|厚生労働省

2-6. 【具体例】社会保険料の会社負担額と従業員負担額

ここでは以下の従業員を例に、1ヵ月あたりの社会保険料の具体的な会社負担額と従業員負担額を紹介します。

  • 年齢:45歳
  • 月給:40万円
  • 標準報酬月額:41万円
  • 業種:飲食業(一般の事業に該当)
  • 協会けんぽ(東京都)に所属
会社負担額 従業員負担額
健康保険料 41万円 × 9.91% ÷ 2 =20315.5円 41万円 × 9.91% ÷ 2 =20315.5円
介護保険料 41万円 × 1.59% ÷ 2 = 3,259.5円 41万円 × 1.59% ÷ 2 = 3,259.5円
厚生年金保険料 41万円 × 18.3% ÷ 2 = 37,515円 41万円 × 18.3% ÷ 2 = 37,515円
雇用保険料 40万円 × 0.9% = 3,600円 40万円 × 0.55% = 2,200円
労災保険料 40万円 × 0.3% = 1,200円
合計 65,890円 63,290円

※令和7年6月現在の保険料率を基に計算

参考:令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)|全国健康保険協会

参考:令和7年度の労災保険率について(令和6年度から変更ありません)|厚生労働省

参考:雇用保険料率について|厚生労働省

3. 社会保険料を決める標準報酬月額・標準賞与額とは

悩む男性

健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料は、毎月の給与や賞与の実額ではなく、「標準報酬月額」や「標準賞与額」とよばれる基準額をもとに計算されます。

ここでは、社会保険料の計算・決定に必要となる標準報酬月額と標準賞与額の仕組みについて詳しく紹介します。

3-1. 標準報酬月額

標準報酬月額とは、社会保険料の計算がスムーズにおこなえるよう、従業員の毎月の給与を一定の範囲ごとに区分したものです。健康保険(介護保険)では1等級~50等級、厚生年金保険では1等級~32等級に分けられています。

標準報酬月額は、従業員の4月~6月の報酬を基に算出され、その年の9月から翌年8月まで1年間適用されます。つまり、年に1度の更新が必要です。なお、給与に大きな変動があった場合や、新卒・中途入社などで報酬の支払い実績がない場合は、随時改定や資格取得時決定といった手続きを通じて標準報酬月額を決定・変更する必要があるので注意しましょう。

参考:標準報酬月額・標準賞与額とは?|全国健康保険協会

関連記事:標準報酬月額とは?調べ方や社会保険料の算出方法について解説

3-2. 標準賞与額

標準賞与額とは、賞与の金額によって区分したもので、賞与額の税引前の額から1千円未満の額を切り捨てた金額のことです。標準賞与額は、健康保険(介護保険)では年度(4月1日~翌年3月31日)累計573万円、厚生年金保険では1ヵ月150万円(1ヵ月に2回以上支給があれば合算)が上限です。

ここでいう賞与とは、給与以外に年3回以下の回数で支給される労働の対価を指します。ボーナスや特別手当、一時金などの名称であっても、実態が同じであれば、賞与と同等に扱われます。なお、年4回以上の支給になる場合には、賞与ではなく給与とみなされるため、標準報酬月額をもとに保険料の計算が必要です。

参考:従業員に賞与を支給したときの手続き|日本年金機構

関連記事:賞与(ボーナス)に社会保険料はかかる?計算方法や注意点を解説

4. 社会保険料を計算する際の注意点

注意

社会保険料を計算する際は、会社・従業員それぞれの負担割合だけでなく、ほかにもさまざまな点に気を付ける必要があります。ここでは、社会保険料を計算する際の注意点について詳しく紹介します。

4-1. 社会保険料の計算に含まれる賃金を確認する

社会保険料は、労働の対償として支払われるすべての報酬を対象に計算されます。基本給だけでなく、残業代や割増賃金、各種手当(住宅手当や家族手当など)も含めて計算する必要があります。一方、見舞金や結婚祝い金などの労働の対価とはみなされない金銭については報酬に含める必要はありません。

また、所得税の課税対象となる賃金とは一部取り扱いが異なる点にも注意が必要です。電車やバスなどで通勤する従業員に支給される通勤手当は、月額15万円までは所得税上は非課税扱いですが、社会保険料の計算においては非課税であっても報酬に含めて計算する必要があります。

参考:No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当|国税庁
参考:標準報酬月額の対象となる報酬に、通勤手当は含まれるのですか。

関連記事:通勤手当とは?対象となる通勤手段や計算方法を解説

4-2. 社会保険料が免除される期間がある

社会保険料を計算する際には、社会保険料が免除される期間に注意しましょう。

産前産後や育児休業期間中は、経済支援として厚生年金保険料と健康保険料が免除となります。期間中は、従業員本人ならびに会社も保険料を納める必要がありません。

産前産後休業期間とは、産前6週間(多子妊娠の場合は14週間)~産後8週間のうち、出産を理由に労務に従事しなかった期間です。

また、育児休業期間は、原則子どもが1歳になるまでとされています。具体的な期間は、育児休業を開始した月から終了した日の翌日が含まれる月の前月までの期間です。

社会保険料の免除を受けるためには「健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申請書」「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書」を用いて、期限までに手続きが必要なので注意しましょう。

参考:育児休業、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します(令和7年3月作成)|厚生労働省

関連記事:育児休業中は社会保険料免除?期間や手続きを詳しく紹介

4-3. 介護保険は従業員の年齢に注意する

介護保険(第2号被保険者)の加入義務があるのは、40歳以上65歳未満の健康保険加入者(被保険者)です。介護保険の適用は、40歳の誕生日の前日が属する月から開始されます。

また、65歳の誕生日を迎えると、第2号被保険者から第1号被保険者へと移行し、以降の介護保険料は本人が居住する市区町村を通じて直接納付する形になります。介護保険料の徴収漏れや過払いを防ぐためにも、介護保険の加入条件や仕組みを正しく理解しておくことが重要です。

参考:介護保険制度と介護保険料について|全国健康保険協会

4-4. 保険料率は最新のもので計算する

社会保険料の計算に用いる保険料率は、法改正や制度変更により毎年見直される可能性があります。例えば、令和7年度(2025年度)の雇用保険料率は、令和6年度(2024年度)から引き下げられています(会社・従業員いずれも負担率に変更あり)。

保険料率が変更されたにもかかわらず、システムを更新せずに旧料率のままで処理をおこなうと、社会保険料の計算ミスが発生し、誤徴収や未納・追納が生じるリスクがあります。また、社会保険料は従業員の給与から天引きするため、誤った金額を控除すると未払い賃金が発生するなど、従業員とのトラブルにつながる可能性もあります。このような事態を防止するためにも、保険料率の改定情報を随時確認し、適切に反映させることが重要です。

関連記事:【令和7年度】社会保険の最新料率や改定タイミング、計算方法について徹底解説!

5. 社会保険料が未払いになるとどうなる?

頭を抱える人

社会保険料は、企業が必ず支払わなければなりません。経営不振や不注意などで滞納が続いてしまうと、督促だけでは済まない事態になる恐れがあります。どのようなペナルティがあるのか、対処方法と併せてみていきましょう。

5-1. 通知を放置すると罰金や懲役の可能性がある

社会保険料の支払いが1回でも滞ると、督促を受けることになります。支払いが止まってからひと月ほどで最初の督促が来るため、この督促状に記載されている期限までに支払えばペナルティは発生しません。

しかし、督促状の期限を守れなかった場合は延滞金が発生し始めます。さらに滞納状態が続けば財政調査がおこなわれ、法的に差し押さえの手続きが実施されることもあります。

また、悪質な未納だと判断された場合は、法令に基づき、企業に対して6ヵ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金という罰則が適用されることもあるので注意しましょう。

参考:健康保険法第11章「罰則」|e-Gov法令検索

5-2. 支払いが難しい場合の対処方法

社会保険料の支払いが難しい場合には、社会保険の猶予制度、分納制度の利用を検討しましょう。これらの制度を活用すれば、一時的な資金繰りの負担を軽減することができます。

滞納が続き、財政調査や差し押さえが発生すれば、会社の社会的な信用も低下し、金融機関からの融資や取引先との関係に悪影響を及ぼすことも考えられるでしょう。

また、社会保険料の滞納は保険給付にも支障をきたす可能性があり、従業員にとっても重大な問題です。支払いが難しい場合でも、早めに年金事務所や健康保険組合など関係機関に相談し、対応策を検討することが重要です。

関連記事:社会保険料を滞納する8つのリスクや支払えないときの対策を解説

6. 社会保険料の会社負担分を把握して保険料を正しく納付しよう

電卓とグラフ

社会保険料には5つの種類があり、それぞれ会社負担分が異なります。計算方法だけでなく、保険料が免除される期間や支払う年齢についても正しく理解することが重要です。支払いが難しい場合は、各納付先へ早めに相談することが不可欠です。

社会保険料の計算は従業員ごとにおこなう必要があり、時間や手間もかかります。しかし、社会保険料に関する業務は、事業経営において避けて通れない重要な要素の一つです。正確かつ適切に対応していきましょう。

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