タイムカードでの打刻で労働時間を管理するための就業規則を作成しよう!
更新日: 2023.9.1
公開日: 2020.1.29
NOMURA
企業は、社内のさまざまなルールを「就業規則」で管理しています。何かしらのトラブルにならないために、また実際にトラブルが生じた場合には、就業規則に沿って解決することになります。
最近では、タイムカードの打刻時間と労働時間のずれに関するトラブルが多いという背景もあり、そのようなトラブルにも対応できる就業規則の策定が必要になってきています。
本記事では、正しい労働時間を管理するための就業規則の作成方法についてご紹介します。
【関連記事】最新のタイムカード機5選!買い替え時に一緒に見ておきたい勤怠管理システムもご紹介
1.勤怠管理をタイムカードで運用する際の問題点
企業が従業員の勤怠管理をおこなうことは義務であり、正しい労働時間を把握することが重要です。しかし、タイムカードで勤怠管理を運用している場合は、さまざまな問題が生じる可能性があります。
1-1.打刻時間と労働時間のずれがネック
企業と従業員のトラブルで多く見られるのは、タイムカードの打刻時間と労働時間のずれが原因となるものです。企業によってはタイムカードの設置場所が、業務をおこなう場所と離れていることもあるでしょう。その場合、時間のずれをどのように処理するのかでトラブルになるケースがあります。
一般的に、タイムカードの打刻時間を労働時間としていることが多いでしょう。そのため、企業としてはそのずれの時間を最小限におさめる努力をする必要があります。
【関連記事】タイムカードの打刻時間と労働時間のずれに関する対処法を解説
1-2.始業・終業時間はどこからどこまで?
タイムカードで勤怠管理をおこなっている場合、始業時間と終業時間があいまいなことがあります。例えば、仕事を始める前に着替えたり、ミーティングや体操がある場合はどこからが始業時間になるのでしょうか。
考え方のポイントとしては、企業がその行為を義務付けしているかどうかの点が重要になります。着替えの場合、指定された更衣室での着替えを義務付けをしていれば、労働時間にあてはまります。
家で着替えたまま出勤してもいいし、更衣室で着替えてもいいという自由な裁量に任せている場合は、労働時間にカウントされないでしょう。
一方で終業時間の場合、例えば18時が本来の就業時間で、タイムカードの打刻時間がそれよりも遅く打刻されていたとしても、企業としてはタイムカードの打刻時間通りに給与計算をする必要があります。
ずれの時間に労働をしていない証拠を提出できない限りは、そのような対処をします。なぜなら、従業員の労働時間を管理する義務は、企業にあるからです。不要な残業を増やさないためにも、従業員の労働時間をしっかりと管理する必要があります。
2.企業が抱える勤怠管理のリスクは
近年、企業と従業員の間のトラブル件数は増加傾向にあります。厚生労働省が公表している「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、平成30年の総合労働相談件数は、111万7,983件です。このような状況において、企業の経営者は勤怠管理がかかえるリスクに不安を感じているかもしれません。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000521619.pdf
2-1.打刻と労働時間のずれの解決策は?
タイムカードの打刻時間と労働時間のずれの問題は、以前よりも裁判にまで発展しやすくなっている項目の1つです。
こうしたトラブルを防ぐため、早出や残業を事前申請制にして承認された場合のみ可能にしたり、打刻後のタイムカードチェックをおこなったり勤怠管理システムを導入するなど、複数の解決策を講じる企業も増えています。
勤怠管理システムを導入する場合は、書面での申請が不要のため申請する文化が作りやすかったり、タイムカードの手計算が不要のため人的ミスが低減されるなど、勤怠管理の担当者・従業員ともにメリットが多いです。
2-2.残業代などの未払いトラブルが発生
タイムカードの打刻時間通りに給与計算をしていない場合、未払い分として従業員から残業代の請求をされることがあります。従業員が労働基準監督署に相談すると、是正勧告書や指導票などが交付されることがあります。
さらに、内容が悪質であると判断された場合は、労働基準法違反により刑事罰に課せられることもあるので注意しましょう。
また、労働基準法第114条によると、裁判で未払いの請求が認められた場合、従業員に対して未払い賃金と同等の付加金を命じられることもあります。つまり、未払い請求金額が1000万円だとすると、付加金は1000万円、合計で2000万円を支払う必要があるのです。
第百十四条 裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第九項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から五年以内にしなければならない。
【関連記事】残業代はタイムカードの打刻通りに支払おう!労働時間の把握が企業の義務
3.企業に合った就業規則を作成するポイント
企業と従業員のさまざまなトラブルが、今後の会社の存続に影響を与えないためにも予防対策をしておくことが必要になります。そのためには、会社を守るための「就業規則」の策定が必要です。ここからは就業規則を作る際に注意すべきポイントを解説します。
【関連記事】タイムカードの打刻に関するルールを社内規定に加える理由とは?
3-1.労働時間を明記する
労働基準法第32条によると法定労働時間は1日8時間、1週では40時間以内とされ、それを超えると割増報酬を支払う義務があります。例えば、就業規則に始業時間と終業時間の明記をして、たとえ従業員が遅刻をしたのが法定労働時間内であっても、終業時間を明記することで割増賃金を支払うことになる可能性があるのです。
そのため就労規則には労働基準法の労働時間と合わせて実働時間の明記もしておき、その時間を超えた場合にだけ割増賃金が発生する、という基準を定めておきましょう。
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
3-2.時間外労働を申請制にする
時間外労働をおこなう場合は、所属長に申請をして許可を得ることを前提としておきましょう。従業員の勝手な判断に任せていると、残業代の把握もできなくなり、割増賃金が増大します。これは所定労働時間の質の低下にもつながります。
3-3.出勤以外は事前申請にする
遅刻や早退、欠勤は所属長に申請をおこなうことを義務付けしておきましょう。事前に申請できる早退や欠勤は申請を済ませて、承認もしくは許可が下りたものだけとします。企業が最終的に判断をするようにしておくべきです。
就業規則に記載するということは、企業でのルールに定めるということにもなるので効果的といえます。以下の記事では、就業規則に記載する以外の具体的なルールを紹介していますので、まずは今ある環境でできることを試したいという方はご覧ください。
▶タイムカードで打刻ミスをなくすために用意しておきたい打刻ルールの具体例
4. まとめ
タイムカードの打刻と労働時間のずれ問題、残業代の未払い問題などさまざまなトラブルを解決する1つの方法は、勤怠管理システムを導入することです。ものによってはPCやスマホだけではなくチャットツールなどからの打刻も可能で、従業員の労働時間をスムーズに管理できるでしょう。
従業員の労働時間を正確に把握するためにも、勤怠管理システムの導入をおすすめします。
タイムカードや出勤簿などで勤怠管理をしてる場合、以下のような課題はないでしょうか。
・打刻漏れの確認や労働時間の集計だけで数日かかってしまう
・有給休暇の残日数確認の問い合わせ対応が業務を圧迫している
・シフトの収集や作成に時間がかかって他の業務ができない
そのようなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、勤怠管理システムの導入です。システムであれば打刻漏れを減らせるほか、労働時間は自動集計されるため、ミスと工数を減らすことが可能です。
このほかにも便利な機能で勤怠管理の工数削減ができるため、勤怠管理システムで何ができるか気になる方は、以下のボタンからクラウド型勤怠管理システム「ジンジャー勤怠」の紹介ページをご覧ください。
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