在宅勤務を導入する企業のメリット・デメリットを徹底解説
在宅勤務には多くのメリットがあると同時に、デメリットも数多く存在します。実際に導入した企業では、コミュニケーションが取りにくい、従業員の管理がしにくい、会議や商談の回数が減った、導入しようにもハードウェア機器の価格が高く導入に踏み切れないなどの問題点がデメリットとして挙がっています。
本記事では、在宅勤務の導入することで企業が得るメリットとデメリットを詳しく解説していきます。在宅勤務の導入を検討している方はメリットとデメリットをバランスよく見るほか、デメリットの解消につながる情報をぜひ参考にしてみてください。
▼在宅勤務・テレワークについて詳しく知りたい方はこちら
在宅勤務の定義や導入を成功させる4つのポイントを解説
1. 在宅勤務を導入するメリット
在宅勤務のメリットには以下の5点のようなものが挙げられます。
- 優秀な人材が確保しやすくなる
- 従業員の私生活が豊かになる
- 柔軟な働き方に対応できるようになる
- ペーパーレス化やオフィスの賃料などコスト削減につながる
- 緊急時でも通常通り業務をおこなえる
従業員側のメリットの方が多そうな在宅勤務ですが、企業にとっても在宅勤務はプラスに働きます。特に出社に縛られないことで、育休や産休に対応できたり、従業員の私生活に沿った業務時間を提案したり、緊急時でも自宅から業務できるようになったり、労働力を安定して雇用し続けられるのがポイントです。
それぞれのメリットを詳しく解説していきます。
1-1. 優秀な人材が確保しやすくなる
昨今の日本では「労働力不足」が顕著になっており、人材の確保が難しくなっています。人材の確保そのものが難しいので、優秀な人材も比例して少なくなっているのが特徴です。
そのため、企業としては従業員にとって働きやすい環境や、生活に困らないだけの賃金を提供し、積極的に優秀な人材を呼び込む必要があります。
そこで通勤時間が減り、プライベートと仕事を即座に切り替えらえる在宅勤務を提案することで、柔軟な働き方への要望に応えられます。
1-2. 従業員の私生活が豊かになる
本メリットも、通勤時間が減ることによるメリットです。通勤時間を逆算した分、早めに行動したり、帰宅時は通勤分だけ遅くなったり、従業員にとって通勤時間はプラスには働きません。
自宅で子どもの面倒を見たい、親の介護と両立させたいなど、仕事と両立させたいが、職場と自宅が遠く両立できない状況に応えられるのが在宅勤務です。
また、市役所や銀行など、平日の日中におこなわなければならない手続きなども、自宅にいることでさらにしやすくなります。在宅勤務を導入すると、従業員の私生活と仕事のバランスがとれるようになります。
1-3. 多様化する働き方に対応しやすくなる
在宅勤務の導入で柔軟な働き方ができるようになると、育休や産休をより柔軟に取得できるようになり、労働力が一気に低下する状況を防げます。
在宅勤務の状態で、出勤時と同じだけ業務量をこなせるようになれば出勤する必要性が無くなったり、一部の社員が完全に在宅勤務で対応できるようになったり、従業員が求める柔軟な働き方に対応できるのがポイントです。
最近ではワーケーションという、旅先やリゾートから仕事をするテレワークも人気なので、在宅勤務に向けたIT機器の導入で、そのほかの働き方改革も進む可能性があります。
働き方を選択できるようになると、より優秀な人材を雇えるようになり、企業のメリットとなります。
1-4. コスト削減につながる
在宅勤務では書類をリアルタイムでやり取りすることができないため、ファイル共有ツールなどを通して書類を相互に確認し合う必要があります。したがって、今まで紙で印刷していた書類の総枚数が大幅に減り、ペーパーレス化に繋がります。
ペーパーレスの状態で情報を完全に管理できていれば、膨大な書類のなかから目当ての書類を探す手間も削減できるのがポイント。コストカットだけでなく、時間の削減にもつながります。
1-5. 緊急時でも通常通り業務をおこなえる
普段から在宅勤務に企業と従業員が慣れていると、緊急時でも自宅にいながら通常と同じような業務ができます。災害は大規模なものだけでなく、停電や電車の遅延・運休など、通勤しにくい場合も含みます。
普段から在宅勤務の環境が整っており、すぐに切り替えができれば業務効率を下げずに、年間を通して安定した業務を遂行できます。
2. 在宅勤務を導入するデメリット
在宅勤務を導入するデメリットとしては、次の4項目が挙げられます。
- 労災認定が難しい
- 業務の進み具合は社員の自己管理力に左右される
- 社員同士のコミュニケーションがおろそかになる
- 勤怠管理や評価査定がしにくい
一部はツールや制度を変えることで解決できますが、労災や社員の自己管理力は解決するのが難しいデメリットです。
ここではデメリットを解説すると同時に、おすすめの解決策も紹介していきます。
関連記事:在宅勤務を実施する企業の問題点とその解決策を詳しく解説
2-1. 労災認定が難しくなる
在宅勤務の状況下でも、業務が原因となる怪我や病気には労災として労災保険が給付されます。ただし、在宅勤務の場合は業務とプライベートが分離しにくく、労災として認めるべきか曖昧になってしまうことです。
対処法としては労災認定の基準の周知を徹底し、実際に業務中に負傷した場合は、負傷した時間、負傷したときの状況などを、事細かく記録しておくようにしましょう。
▼在宅勤務の労災に関する詳しい記事はこちら
在宅勤務で労災は認められるの?3つのケースや注意点を紹介
2-2. 業務の進み具合は社員の自己管理力に左右される
在宅勤務には向いている社員とそうでない社員がいます。在宅勤務に向いているのは自己管理能力に優れており、ひとりでも業務を滞りなくおこなえる社員です。
一方で目を離すと手を抜いてしまう、在宅勤務では業務に集中できないなどの社員は在宅勤務に向いていません。
この場合は、就業規則を見直す際に在宅勤務の対象者を絞るようにしましょう。勤続年数や役職のほか、一定の条件を設けると、より効率的に進みます。
関連記事:在宅勤務における監視の必要性やツール活用のポイント
2-3. 社員同士のコミュニケーションがおろそかになる
社員同士のコミュニケーションは従業員側のデメリットですが、企業側のデメリットとしても考えられます。
例えば、社員同士で意思疎通ができていないばかりに会議が上手く進行できなかったり、共有すべき書類が行き届いていなかったり、コミュニケーションの場がないと業務自体にも支障をきたします。
実際に在宅勤務に切り替える場合は、まずコミュニケーションツールを確立させてからにしましょう。体制が整ってから在宅勤務に切り替えることで、業務効率の低下を防いだり、混乱を防いだり、スムーズに移行できます。
2-4. 勤怠管理や評価査定がしにくい
在宅勤務では働きぶりが完全に見えなくなってしまうため、勤怠管理や評価のしにくさがデメリットとして挙げられます。
解決策としては出勤時はチャットで出勤申請させたり、残業は承認制にしたり、管理ツールを導入して評価しやすいように業務を可視化したりなどがあります。
いずれにせよ、ITツールを上手く活用するのが大切です。
関連記事:テレワーク・在宅勤務導入後の労働時間管理におすすめな方法3選
関連記事:勤怠管理をペーパーレス化するには?電子化のメリット・デメリットも解説
3. 在宅勤務を導入する企業は増加傾向にある
令和2年の調査では、テレワークを導入した企業は20.2%で、導入予定の企業と合わせて29.6%という結果が、厚生労働省から発表されています。
業種別では情報通信業が46.5%と最も多く、次いで金融・保険が40.7%、不動産業が25.4%と続きます。一方でテレワークの実施が難しい運輸業・郵便業は11.7%と低水準にとどまっています。
どの企業もテレワークを導入する前は、これまでと同じように業務をこなせるか不安という声が上がっていましたが、導入後は働き方に満足している方が61%と、テレワークの働きやすさが結果として現れています。当サイトでは、実際にどのような悩みが導入前後で上がってくるのかや、テレワーク導入時の運用方法をまとめた「テレワーク課題解決方法ガイドBOOK」を無料で配布しております。テレワークの導入を検討中だが不安な点があるという方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
4. 在宅勤務がでいる環境を整えて、多様化する働き方に対応していこう
在宅勤務を導入すると、優秀な人材を確保しやすくなる、従業員の私生活が豊かになるなど、さまざまなメリットが得られます。一方、労災認定が難しい点や社員の自己管理力が問われる点などはデメリットです。
在宅勤務の導入前にはどうしてもデメリットに目がいきがちですが、ITツールの活用によって解決できる問題もあります。まだ在宅勤務を導入していない方、検討中の方はぜひ前向きに考えてみてください。
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