労働時間を正しい計算の仕方や注意点をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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労働時間を正しい計算の仕方や注意点をわかりやすく解説

計算方法

労働時間の正しい計算方法は、以下の流れでおこないます。

  1. 勤務時間から休憩を引いて労働時間を求める
  2. 遅刻などの事情があれば労働時間から差し引く
  3. 労働時間を所定労働時間と残業時間にわける
  4. 法定労働時間や深夜・休日労働など割増賃金が発生する分については割増賃金を計算する
  5. 手当がある場合は手当を上乗せする

従業員の給与を正確に計算するためには、前提として労働時間の正確な算出が必要不可欠です。人事の管理者として働く場合は、労働時間の計算方法について理解しておきましょう。

ただ、月々の労働時間と給与額を計算するためには、数分単位の残業や遅刻の扱い、みなし時間労働制度の使い方といった細かい調整も必要です。

そこで、今回は人事として知っておきたい労働時間の正しい計算方法に加えて、労働時間計算時の細かい注意点、簡単・正確に勤怠管理をするポイントなどをお伝えしていきます。

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残業管理や残業代の計算、 正しく対応できていますか?

残業時間の管理や残業代の計算では、労働基準法で「時間外労働」と定められている時間を理解し、従業員がどれくらい残業したかを正確に把握する必要があります。
しかし、どの部分が割増にあたるかを正確に理解するのは、意外に難しいものです。

当サイトでは、時間外労働の定義や上限に加え、「法定外残業」と「法定内残業」の違いをわかりやすく図解した資料を無料で配布しております。
資料では効率的な残業管理の方法も解説しているため、法に則った残業管理をしたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 労働時間を再確認しよう

労働時間を表している

厚生労働省のガイドラインでは、労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義されています。もう少し噛み砕いて説明すると、労働時間とは実際に働いた時間のことを指し、賃金計算のベースとなるものです。

労働時間のほかにも、似たような言葉がいくつかありますが、混同しないためにも、それぞれの言葉の定義や違いについてもおさらいしておきましょう。

参照:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省

1-1. 勤務時間と労働時間の違い

「労働時間」と混同しやすい用語として「勤務時間」がありますが、意味や使われ方にはいくつかの違いがあります。言葉によって指している時間が異なり、どの時間を計算するか正確に把握するためにも、言葉の定義を理解しておくことも必要です。

勤務時間 労働時間
一日のうちで出勤から退勤までの時間全体を指す 実際に働いた時間を指す
出勤や退勤のタイミングを把握するために使用される 労働基準法や雇用契約に基づいて計算され、賃金や労働条件の評価に使用される

一般的には、一日の中で出勤から退勤までの時間を勤務時間と呼びます。例えば、朝9時に出勤して夕方5時に退勤する場合、勤務時間は8時間となります。就業規則で定められている範囲の時間を指し、残業時間は含みません。

一方で「労働時間」は、実際に働いた時間を指します。勤務時間とは異なり、労働時間には休憩時間や休日など労働に従事していない時間は含まれません。労働時間は、作業や業務を実際におこなった時間であり、労働者が雇用主のために労働に費やした時間を表します。例えば、勤務時間が8時間でも、休憩時間が含まれていた場合、労働時間はそれよりも短くなる場合があります。休憩時間は含まない一方で、残業時間は含んで計算します。

実働時間・延べ実労働時間とは

勤務時間と労働時間の他にも、実働時間と述べ実働時間も混同されやすい部分です。

実働時間とは、実際に働いた時間です。休憩時間は含まれず、所定労働時間と所定外労働時間の合計で求められます。

延べ実労働時間は、一定の期間を設けてその期間中の実働時間を指します。この場合も休憩時間は含まれず、所定外労働時間は含んで計算します。

1-2. 法定労働時間と所定労働時間の違い

労働時間を正しく計算する上で必ず押さえておきたいのが、法定労働時間と所定労働時間の違いです。この2つの違いを簡単に表でまとめると、以下のとおりとなります。

法定労働時間 所定労働時間
労働基準法で定められた労働時間の上限。原則「1日8時間、週40時間」が、法律上の労働時間の限度。 会社が就業規則や雇用契約書で定めている労働時間のこと。法定労働時間内であれば、会社が自由に時間を決めることができる。
法定労働時間を超えて働かせる場合は、労使協定の締結が必要。さらに、超過した労働時間に対し、割増賃金の支払いも必要。 所定労働時間を超えて働かせても、法定労働時間内に収まっていれば、割増賃金を支払う必要はない。

法定労働時間と所定労働時間の違いは、労働時間の適正な管理や残業代の計算に大きく関わってくる要素でもあるため、この2つの違いを明確に理解しておくことが重要です。

2. 労働時間の計算方法

はてなマーク

労働時間の定義が理解できたところで、労働時間を求める計算式について見ていきましょう。ポイントは、労働時間に休憩時間を含めないことです。さらに、ここでは残業時間の計算式や、具体的な計算例についても解説します。

2-1. 労働時間を求める計算式

労働時間を求める計算式は以下のとおりです。

労働時間 = 退勤時刻 – 出勤時刻 – 休憩時間

休憩時間に対しては賃金を支払わなくてもよいため、労働時間を求める時は必ず休憩時間を差し引くことを忘れないようにしましょう。

また、割増賃金が発生する残業時間を確認するには、以下の計算式で求めることができます。

残業時間 = 労働時間 – 法定労働時間(8時間)

この際、残業時間が22時~翌5時の時間帯に及んでいる場合は、所定の割増賃金に加えて、深夜手当分の割増賃金を上乗せして賃金計算する必要があります。

延べ実労働時間を求めたい場合は、労働時間+残業時間で求めることができます。

2-2. 労働時間の計算例

上述で紹介した労働時間の計算式を使い、次の具体例で実際に計算をしてみましょう。

出勤時刻が午前9時、退勤時刻が午後6時半、休憩時間が1時間(60分)の場合、労働時間を求めるには次のように計算をおこないます。
18:30 – 9:00 – 1:00= 8時間30分

この場合、1日の労働時間は8時間30分となります。さらに、割増賃金が発生する残業時間を求める計算式は、以下のとおりです。

8時間30分 – 8時間(法定労働時間)= 30分

この場合、30分に対して所定の割増率を乗じた賃金を残業代として支払います。

3. 労働時間を求める際のポイント

チェックリストにチェックを付けている

労働時間の計算は、勤務時間から休憩時間を差し引くだけで簡単に求められますが、時間の端数処理に関して気を付けなくてはならない計算上のルールがあります。またこの他にも、注意点がいくつかあるため、順を追ってみていきましょう。

3-1. 1日の労働時間は1分単位で求めることが原則

労働時間を計算する際、人事の管理者や担当者がまず絶対に覚えておくべき基本が、「労働時間を1分単位でカウントする」というルールです。たとえ把握するのが面倒でも、従業員の出退勤は分単位で管理する必要があります。

人事や経営者側の事情で、30分の残業をなしにしたり、3分の遅刻を1時間の遅刻として扱ったりすることはできません。もし、1日単位で従業員の労働時間を一方的に切り捨てていた場合、後日従業員から未払い給与の訴えを起こされる場合もあります。

本来企業が支払うべき給与の一部を、人事の自己判断で安く抑えることは法律違反です。面倒でも従業員の労働時間は正確に記録し、給与に反映しましょう。

3-2. 例外として1ヶ月単位では端数を丸めて処理できる

企業の勤怠管理は、1日単位で見る場合、1分の労働時間も細かく計算する必要があります。ただし、例外として1ヵ月分の残業時間を計算するときは、端数を丸めて計算することも可能です。

長期的なスパンで厳密な計算を求めることになると、勤怠管理や給与計算の処理が複雑になってしまいます。そのため、1ヵ月分の残業時間の計算時に端数が出た場合は、30分未満は切り捨て、30分以上は切り上げることで端数処理することができます。

なお、端数を処理する場合は、従業員全員に同じルールを適用しましょう。給与計算のあいまいさは労働トラブルに発展するリスクが高いため、就業規則や労使協定で明文化しておくことが重要です。

3-3. 遅刻や早退がある場合は労働時間から差し引く

もし、社員が1ヵ月の間に遅刻や早退、欠勤などをしている場合、それらの時間を労働時間から引きましょう。ただし注意しておきたいのは、「労働していない時間以上に差し引いてはならない」点です。たとえば、5分の遅刻を15分の遅刻として処理することはできません。

遅刻や早退などによって、働いていない時間があれば、給与を支払う必要はありませんが、働いた時間に対しては給与を支払わなければなりません。遅刻早退も1分単位で管理し、労働時間がなかった分だけ差し引きましょう。

関連記事:勤怠管理における遅刻早退の控除の取り扱いや処理の方法について

3-4. 残業時間の扱いには要注意

勤怠管理の担当者として必ず把握しておきたい点は、残業時間の数え方と、その割増率です。労働基準法では、従業員に1日8時間、週40時間の法定労働時間を越えた業務を命令する場合、1.25倍で「割増賃金」の支払いを求めています。

ここで注意しておきたいのは、定時を超えて働いた時間が全て割増賃金の支払いが必要な「残業」になるわけではないことです。

割増賃金の支払いが必要な残業とは、法定労働時間である「1日8時間、週40時間」を越えて労働させた時間です。したがって、所定労働時間が8時間未満である場合は、労働時間が8時間を越えた分から割増賃金の支払いが必要になります。

例えば定時が10時~18時で所定労働時間が7時間である企業で、18時の定時後に2時間の残業をした場合は、8時間に達するまでの1時間分は「1時間あたりの基礎賃金×1時間」分の給与が必要になり、8時間を越えた1時間分は「1時間あたりの基礎賃金×1時間×1.25倍」の残業手当を支給することになります。

残業時間の扱いによって月々の給与額が大きく変わるため、どこからどこまでが割増賃金の必要な残業なのか、しっかりと把握したうえで労働時間と給与を計算しましょう。

業種業界によって就業規則は様々であるため、自社の「残業」は法定内残業と法定外残業のどちらにあてはまるのかを正確に把握しておくことが大切です。当サイトでは残業の定義や上限規制について分かりやすくまとめた資料を無料で配布しておりますので、時間外労働の定義について正しく理解したい方はこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

関連記事:残業時間の定義とは?正しい知識で思わぬトラブルを回避!

4. パート・アルバイトの勤務時間・労働時間を計算する際の注意点

電卓で計算している

パートタイムやアルバイトの勤務時間・労働時間の計算においても、注意すべき点があります。ここでは特に注意したい、休憩時間の適用と特殊な勤務形態への対応について、それぞれ詳しく解説します。

4-1. 休憩時間の有無に注意する

全労働者に休憩時間の法律が適用されますが、休憩時間が付与されるのは働く時間が一定以上の場合に限られます。具体的には、労働時間が6時間超の場合は45分、8時間超の場合は1時間の休憩を付与する決まりとなっています。

パートやアルバイト等の短時間労働者の場合は労働時間が5時間以下の場合もあり、休憩時間が発生しない場合もあるため注意しましょう。

4-2. 各種手当の計算を忘れない

パートやアルバイトに特殊な勤務形態(深夜勤務、休日勤務など)がある場合には、割増賃金や企業独自の手当てなどが発生するケースがあります。そのような働き方をしている従業員に対しては、労働基準法や雇用契約で定められた規定を適用しなくてはなりません。

特殊な勤務形態に関連する労働時間は通常の労働時間と分けて計算する必要があるため、給与計算が複雑になります。間違いがない計算には、給与計算システムや勤怠管理システムを導入すると効果的です。

5. みなし労働時間制を採用している場合の計算方法

老ド時間を計算している

一般的な労働契約では、実際に働いた時間分の給与を算出します。ただし、日本の企業はすべてが加算式の労働契約を採用しているわけではありません。

実際の労働時間に関わらず、「○時間働いた」という仮定で給与計算をする「みなし労働時間制」を導入している場合、労働時間の計算を大幅に短縮することができます。

5-1. みなし労働時間制とは

みなし労働時間制とは、「1日の労働時間を○時間」と決めてしまい、その数字を元に給与を計算する方法です。実際には1日5時間勤務だったり、6時間勤務だったりしても、みなし労働時間が7時間なら、出勤日数×7時間分の給与を計算して支払います。

労働時間の管理を簡略化できるというメリットがありますが、従業員はみなし労働時間を超過した残業が発生しても、原則として残業代が発生しません。残業分もみなし労働時間に含まれているからです。そのため「長時間働いても給与が変わらない」という考えが蔓延し、モチベーション低下や慢性的な不満が発生する可能性があります。

5-2. みなし労働時間制における残業代の計算方法

みなし労働時間制を採用している場合でも、労働時間が深夜になる場合や、週1日の法定休日に出勤になった場合などは割増賃金が発生します。そのような場合は、残業代を以下の計算式で計算します。

残業代=1時間あたりの基礎賃金×残業時間×割増率

まず1時間あたりの基礎賃金を求めることからはじまり、残業代が発生する残業時間を計算し、時間帯や法定休日該当の有無などを確認してから計算しなければなりません。計算が複雑になりやすいため、専門家への相談を検討するか、勤怠管理システムを導入したほうが間違いがないでしょう。

また、従業員も残業代の取り扱いを勘違いしていることがあります。請求があった場合は、本当に支払いが必要な残業代なのか十分に確認した上で対応しましょう。

6. 労働時間を適切に計算して管理する方法

勤怠管理システムを表している

労働時間の計算自体は簡単ではあるものの、勤務形態が異なる従業員の労働時間をそれぞれ計算するとなると、非常に大変な作業となります。ミスも起こりやすくなるため、自動計算ができるエクセルやツールなどを活用して計算するのがおすすめです。ここでは、それぞれの特徴についてご紹介します。

6-1. エクセルを使って計算する

エクセルの関数を利用して計算式を組めば、労働時間を自動で計算することができます。会社にインストールされているエクセルを使えば、コストもかかりません。

無料で利用できるテンプレートも多く配布されているため、自社に適したものがあれば利用するとより簡単に管理ができます。

ただし、エクセルを使って労働時間を管理する場合、関数の知識が必要になるのと、従業員が誤って計算式を破壊するリスクがある点に注意しなくてはならないでしょう。また、手入力をする部分も大きいため、ヒューマンエラーをなくすことは難しいです。

6-2. 労働時間の計算サイトを利用する

勤務開始時刻や勤務終了時刻、休憩時間などを入力することで労働時間を計算できる計算サイトがあります。さまざまなサイトがありますが、労働時間に加えて時給換算した場合の金額や、日給の参考値なども求められるものがあり、非常に便利です。

しかし、入力内容を保存することはできないため、毎回情報を入力しなければなりません。また、算出された値を自社向けに記録する手間もかかるため、一時的な計算や数人のみの労働時間を求めたい場合など、限定的な利用に向いています。

6-3. 勤怠管理ツールやアプリを活用する

勤怠管理を正確かつ簡単に進めたい人事担当者におすすめなのが、クラウド型勤怠管理ツールの導入です。

従来の勤怠管理では、『自己申告制で各従業員から出退勤情報を伝えてもらう』『従業員の出退勤時間をタイムカードで把握する』『手作業や表計算ソフトで労働時間と給与の計算をする』といった方法が利用されていました。ただ、自己申告制の出退勤管理は、従業員の人数が増えてきた場合簡単に不正ができてしまいます。

その点、クラウド化された勤怠管理システムなら、職場のパソコンやスマホ、従業員に配布するICカードなどを利用して出退勤の時間を記録できます。職場にいても外出先にいても打刻できるのは、従業員側から見ても大きなメリットです。

職場の労働環境に合わせて、残業時間の算出方法をあらかじめ設定しておいたり、フレックスタイム制やみなし労働時間制を採用して給与計算の手間を軽減したりできるという強みもあります。

7. 複雑な労働時間の計算や管理は勤怠管理システムで効率化しよう

勤怠管理システムを表している

従業員の労働時間計算は給与の額に直結するため、ミスが許されない業務です。とはいえ、日々複数名の勤怠管理を正確に記録し続けるのは大変です。手作業が多ければ多いほどヒューマンエラーは起きやすくなるため、労働時間の正しい計算方法を理解したうえで勤怠管理システムを導入し、面倒な手続きを効率化しましょう。

残業管理や残業代の計算、 正しく対応できていますか?

残業時間の管理や残業代の計算では、労働基準法で「時間外労働」と定められている時間を理解し、従業員がどれくらい残業したかを正確に把握する必要があります。
しかし、どの部分が割増にあたるかを正確に理解するのは、意外に難しいものです。

当サイトでは、時間外労働の定義や上限に加え、「法定外残業」と「法定内残業」の違いをわかりやすく図解した資料を無料で配布しております。
資料では効率的な残業管理の方法も解説しているため、法に則った残業管理をしたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

jinjer Blog 編集部

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