法定休日とは?労働基準法のルールや法定外休日との違いを解説
更新日: 2025.9.29 公開日: 2025.6.15 jinjer Blog 編集部

人事担当者の中には、「法定休日って何?」「法定休日と法定外休日の違いがわからない」と疑問をお持ちの方もいるでしょう。
法定休日のルールを正しく理解していないと、休日出勤をしたときの割増賃金の計算ミスや労務トラブルの原因になりかねません。
本記事では、人事担当者や労務担当者向けに、法定休日の定義と基本ルール、法定外休日との判別方法について解説します。法定休日の基本的な内容の理解にお役立てください。
人事担当者の皆さまは、労働基準法における休日・休暇のルールを詳細に理解していますか?
従業員に休日労働をさせた場合、代休や振休はどのように取得させれば良いのか、割増賃金の計算はどのようにおこなうのかなど、休日労働に関して発生する対応は案外複雑です。
そこで当サイトでは、労働基準法にて定められている内容をもとに、振休や代休など休日を取得させる際のルールを徹底解説した資料を無料で配布しております。
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1. 法定休日とは

法定休日とは、従業員に必ず与えなければならない休日です。労働基準法第35条では、休日について以下のとおり定められています。
第35条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
② 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
つまり、企業は週に1回、もしくは4週に4日の休日を従業員に与える必要があり、この最低限与えるべき休日を法定休日といいます。
休日全般についてはこちらの関連記事もご覧ください。
関連記事:労働基準法に定められた休日とは?そのルールを分かりやすく解説
1-1. 法定外休日(所定休日)との違い
法定外休日(所定休日)とは、法定休日以上に与えられる休日のことです。
例えば日曜日を法定休日としている企業が土曜日も休日としている場合、土曜日は法定休日を上回る分の休日、つまり法定外休日となります。
休日は週1日で良いにもかかわらず、多くの企業が週休2日制、つまり法定休日に加えて法定外休日を定めているのは、労働時間の定めが影響しています。
従業員を働かせられる時間は、原則として1日8時間、週40時間までです。1日8時間勤務の場合、5日で40時間となるため、多くの企業では法定外休日を定めて週2日を休日としています。
参考:労働基準法|厚生労働省
1-2. 法定休日が適用除外になる場合
労働基準法第35条の規定は原則としてすべての企業に適用されますが、以下の場合は例外として法定休日が適用されません。
| 適用除外になる場合 | 趣旨 | 根拠 | 備考 |
| 農業、畜産・水産業 | 天候など自然条件に左右され、週休制がなじまない | 労働基準法第41条 | 林業は適用 |
| 管理監督者 | 経営者と一体的な立場にあり、自己の労働時間や勤務態様について裁量がある | 労働基準法第41条 | 管理監督者に該当するかは実態に即して判断 |
| 監視・断続的労働者 | 労働の負担が少ない | 労働基準法第41条 | 行政官庁の許可が必要 |
| 高度プロフェッショナル制度 | 働く日や時間について労働者自身に裁量が認められている | 労働基準法第41条の2 | 1年を通じ104日以上かつ4週を通じ4日以上の休日を与える必要あり |
休日の定めが適用除外になる場合、労働時間や休憩に関する規定も適用除外となります。
ただし、働かせすぎによって従業員の健康が害された場合、企業は安全配慮義務が問われる可能性があるので注意しましょう。
2. 法定休日に関する基本ルール

法定休日に関して押さえておきたい基本ルールとして、以下の4つをご紹介します。
- 法定休日は就業規則で定めることが望ましい
- 法定休日に勤務させる場合は36協定の締結と届出が必要
- 割増賃金は1.35(35%以上)
- 法定休日にまつわる罰則
2-1. 法定休日は就業規則で定めることが望ましい
休日規定は就業規則に定める必要がありますが、法定休日の曜日を固定する必要はなく、休日を特定することまでは求められていません。例えば「休日は1週間のうち2日とする」などの規定でも有効です。
ただし、休日を特定しておかないと、どの日が法定休日にあたるかどうかの判別が難しくなり、正しい割増賃金率を確認できなくなります。
そのため行政通達(昭和23年5月5日付け基発第682号・昭和63年3月14日基発第150号)でも、週休制の趣旨をかんがみて、休日は就業規則において特定するのが望ましいとされています。特別な事情がない限り、就業規則で定めておきましょう。
2-2. 法定休日に勤務させる場合は36協定の締結と届出が必要
法定休日の勤務は、労働基準法の休日労働にあたります。従業員に休日労働をさせる場合、36協定の締結と届出が必要です。所定休日の労働は休日労働にあたらないため、法定の労働時間を上回らない限り36協定は不要です。
36協定は毎年締結し、労基署への届出をする必要があります。36協定の締結や届出をせずに、従業員に休日労働をさせるのは労働基準法違反です。
36協定は事業場ごとに締結が必要なため、支店数が多い企業は届出が完了するまでに時間を要します。有効期間の1~2ヵ月前から着手するなど、時期が近づいたら確実に処理できるようスケジュールを管理しましょう。
2-3. 割増賃金は1.35(35%以上)
法定休日に労働者を働かせた場合、企業は通常の賃金に35%以上の割増賃金を上乗せした賃金を支払わなければなりません。
例えば、基本給が月30万円、月20日勤務、1日8時間労働の従業員が、法定休日に8時間勤務した場合、以下の支払いが必要になります。
1時間あたりの賃金 30万 ÷ 20日 ÷ 8時間 = 1,875円/時
法定休日8時間分の賃金 1,875円/時 ✕ 8時間 ✕ 1.35 = 20,250円
法定休日に勤務した場合の賃金に対する割増率は、時間外労働の割増率(25%以上)より高く設定されています。給料計算でトラブルとならないように注意が必要です。
なお、割増賃金の支払いが必要な事由と割増率は以下のとおりとなります。
| 事由 | 割増率 |
| 時間外労働(法定外休日の労働を含む) | 25%(月60時間を超える場合、50%) |
| 休日労働 | 35% |
| 深夜労働 | 25% |
2-4.法定休日にまつわる罰則
法定休日を従業員に与えなかった場合、6ヵ月以下の拘禁刑懲役あるいは、30万円以下の罰金が課せられます。たとえ従業員から休日はいらないといわれた場合も、罰則は免れません。
法定休日の罰則は、「与えなかった人数✕与えなかった日数」で数えるので、仮に5人の従業員に4日分の法定休日を与えていなかった場合、30万円✕5人✕4日=600万円の罰金が課される可能性があります。
4週に4日の休暇を与えている場合や変形労働時間制を採用している場合など、管理が複雑な場合は特に気をつけましょう。
参考:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)/e-GOV法令検索
3. 法定休日と法定外休日の判別方法

休日を管理する上では、どの日が法定休日、法定外休日にあたるかを確実に判別することが重要です。
法定休日と法定外休日の判別方法について、就業規則や労働契約に記載がある場合とない場合に分けて確認しましょう。
3-1. 就業規則・労働契約に記載がある場合
休日のうち、どの日を法定休日とし、どの日を法定外休日とするかは、企業が自由に定めることができます。すなわち、就業規則や労働契約書に法定休日と法定外休日が明記されている場合、原則として記載された日や曜日が法定休日、法定外休日となります。
例えば「法定休日は日曜日とし、法定外休日は土曜日とする」と明記されている場合、当該企業の法定休日は日曜日、法定外休日が土曜日であると解釈できます。
3-2. 就業規則・労働契約に記載されていない場合
就業規則や労働契約に法定休日の記載がない場合は以下のとおりです。
- 週の起算日(※)を特定する
- 週の起算日から1週間を数える
- 1週間のうち、最後の休日が法定休日となる
※週の起算日が就業規則などで定められていない場合、日曜日が起算日となります。
例えば週の起算日が月曜日で土日が休日の場合は、あとの休日の日曜日が法定休日です。
法定休日が曖昧だと、労務トラブルを引き起こしやすくなるため、週休制・シフト制どちらの場合も、法定休日について就業規則に明記することが大切です。
4. 法定休日のよくある質問

週によって休日の日数や曜日が異なる場合、法定休日と所定休日の区別がつきにくくわかりづらいケースが多くなります。
ここでは、法定休日のよくある質問を確認し、特殊なケースについて理解を深めましょう。
4-1.法定休日を定めていない場合はどうなる?
就業規則などで法定休日を定めていない場合、週の起算日(起算日を定めてない場合は日曜日)のうち、最後の休日が法定休日にあたります。
ただし、法定休日と法定外休日では、勤務した場合の割増賃金の割合が異なり、トラブルの原因となる場合があります。
不要なトラブルを避けるためにも、いつが法定休日にあたるかはできる限り就業規則で定めておきましょう。
4-2.法定休日に祝日は含まれる?
祝日を休日としている場合に、法定休日に祝日が含まれるかどうかの判断は、同じ週にほかの休日が設定されているかによります。具体的には、以下の場合には祝日が法定休日となります。
- 毎週1回の休日を与える場合で、1週間の間に祝日以外の休日がない
- 4週間を通じて4日の休日を与える場合で、祝日を含めて休日の日数が4日
例えば土曜日が祝日で企業もお休みの週に、ほかの曜日を勤務日としている場合は土曜日が祝日かつ法定休日にあたります。
しかし多くの企業では、就業規則などで定められた休日に加えて、祝日もお休みとしていることでしょう。この場合、祝日が法定休日にあたるかは就業規則の定め方や休日の前後関係によって決まります。
4-3.シフト制では法定休日をどのように運用する?
シフト制の場合も、休日の曜日が固定されていないだけで、考え方は通常の従業員と変わりません。就業規則で定められた起算日から数えて、週に1日、または4週に4日の休日を設定する必要があります。
そのため、休日の日数が4週間で3日以下となっている期間がある場合、たとえシフトの関係であっても労働基準法違反にあたります。シフトを組む場合は、適切な休日の日数が設定されているか十分に確認しましょう。
4-4.法定休日と振替休日・代休の関係性は?
法定休日と振替休日、代休は言葉が似ていますがそれぞれ別物です。
- 法定休日
労働契約において、もともと労働義務がない日を指します。 - 振替休日
休日の振替とは、休日と定められた日を労働日とし、ほかの労働日を休日とすることです。休日の振替により、労働日から休日に変わった日が振替休日にあたります。
そのため、労働契約上はもともと労働義務が存在していたことが前提になります。 - 代休
長時間の時間外労働や休日労働がおこなわれた場合に、代償措置として与えられる労働義務の免除です。本来は労働義務がない日に労働をしたことが前提となる点が振替休日と異なります。
法定休日も、休日を振替えることで別の日に移すことができます。代休は休日労働の代わりに与えられる休暇のため、もともと存在していた休日を別の日に移したわけではありません。
振替休日は原則として割増賃金が発生しませんが、代休は休日労働をした分には割増賃金の支払いが必要です。区別が曖昧だと割増賃金の未払いにつながるため注意しましょう。
関連記事:法定休日に対する振替休日が認められる場合について解説
4-5.法定休日をきちんと与えないリスクは?
法定休日を定めていない場合、つまり休日が2週間に1度だったり、4週間に3日しか休日がなかったりすると、労働基準法違反となり、不足日数1日ごとに6ヵ月の拘禁刑懲役または30万円以下の罰金が課せられます。
また、休日を十分に与えないと、従業員が過労によって体調を崩すリスクも生じます。安全配慮義務違反として、企業の責任を問われる可能性もあるでしょう。
5. 法定休日の意味を理解して正しく賃金計算をしよう

法定休日とは「毎週少なくとも1回の休日」のことです。法定休日は、労働基準法第35条により従業員を雇用するすべての企業に設定が義務付けられています。
週40時間以内の労働時間を超過しないように、企業が独自で定めている法定外休日(所定休日)との相違点を整理しておきましょう。
また、法定休日の取り扱いで間違えやすいのが、割増賃金の取り扱いです。法定休日と法定外休日の労働では、支払いが必要な割増賃金の率が異なります。
本来は法定休日の日を法定外休日として扱うと、割増賃金の支払いが不十分となる恐れがあります。自社の就業規則や労働契約を確認し、賃金計算を間違えないよう注意しましょう。
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