労働基準法第33条による「災害時の時間外労働等」の基礎知識 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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労働基準法第33条による「災害時の時間外労働等」の基礎知識

災害

日本では近年、地震や風水害などの自然災害が発生しており、いざというときの備えや普段からの対策の重要性が高まっています。これを受けて多くの企業がリスクマネジメントをおこなっています。

原則として時間外労働・休日労働には36協定が必要ですが、労働基準法第33条が適用される場面では、例外的に上限を超えた労働が可能となります。本記事では、労働基準法第33条「災害時の時間外労働等」が適用される具体的な状況や注意点、手続きの流れを詳しく解説します。

▼そもそも労働基準法とは?という方はこちらの記事をまずはご覧ください。
労働基準法とは?法律の要点や人事が必ず押さえたい基本をわかりやすく解説

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人事担当者であれば、労働基準法の知識は必須です。しかし、その内容は多岐にわたり、複雑なため、全てを正確に把握するのは簡単ではありません。

◆労働基準法のポイント

  • 労働時間:36協定で定める残業の上限時間は?
  • 年次有給休暇:年5日の取得義務の対象者は?
  • 賃金:守るべき「賃金支払いの5原則」とは?
  • 就業規則:作成・変更時に必要な手続きは?
  • 40年ぶりの大改正:人事担当者が押さえておきたい項目は?

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1. 労働基準法第33条による「災害時の時間外労働等」とは?

災害の風景

労働基準法第33条にはどのような内容が定められているのか、また「災害時の時間外労働等」とは具体的にどのような状況を指すのかについて、まずは労働基準法第33条に基づく「災害時の時間外労働等」の考え方から解説します。

1-1. 労働基準法第33条の条文

労働基準法第33条には「災害時の時間外労働等」の次の規定が定められています。

災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第三十二条から前条まで若しくは第四十条の労働時間を延長し、又は第三十五条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない

引用:労働基準法|eーGov法令検索

災害に見舞われた際、多くの企業が普段の業務と大幅に異なる対応を迫られます。中には、労働時間を大きく延長して、復旧対応や保守などの業務にあたらなければならないケースもあるでしょう。

この「災害時の時間外労働等」の規定には、災害をはじめとした明確な理由がある場合、従業員に対して例外的に時間外労働・休日労働をおこなわせることができる旨が記載されているのです。

1-2. 労働基準法第33条と36協定の関係性

労働基準法では、原則として、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超える労働や、週1日以上(または4週で4日以上)の法定休日における労働は禁止されています。これらの労働を可能にするためには、36協定の締結および届出が必要です。

ただし、36協定を結んでいる場合であっても、延長できる労働時間には上限が設けられており、通常の業務において無制限に労働させることはできません。

一方で、災害などの緊急事態においては、これらの枠を超えて対応せざるを得ないケースもあります。このような場合には、労働基準法第33条に基づく「災害時の時間外労働等」が適用され、例外的に時間外労働や休日労働をおこなわせることが可能となります。

なお、労働基準法第33条は、36協定の有無にかかわらず適用され、時間外労働や休日労働を認める規定であり、労働時間の上限も設けられていません。ただし、その適用はあくまで緊急かつやむを得ない場合に限られ、必要最小限の範囲で運用することが求められます。

関連記事:労働基準法第36条に定められた36協定(時間外・休日労働)の内容や様式を解説

2. 労働基準法第33条による「災害時の時間外労働等」に該当する状況とは?

災害の写真

労働基準法第33条による「災害時の時間外労働等」は、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合にのみ許可されます。業務の繁忙や予見できる問題に対しては適用されないので注意が必要です。

労働基準法第33条の「災害時の時間外労働等」は、具体的に次のような場合に適用されます。

2-1. 地震や風水害をはじめとした災害が起きたとき

地震や津波、風水害、雪害、爆発、火災などの災害が起きたときには、労働基準法第33条の「災害時の時間外労働等」の適用が受けられます。

多くの災害は事前に予見できないため、災害の発生後に従業員がそれぞれの持ち場で対応しなくてはいけないでしょう。

例えば、災害時に急病人への対応をおこなうなど、人命を保護するためには時間外労働が必要となることがあるため、特例を適用できます。災害など避けられない理由によって被害を受けた電気やガス、水道などのライフラインの復旧、道路状況等の復旧にも「災害時の時間外労働等」の特例によって対処が可能です。

また、気象情報をもとに前もって把握できる風水害や雪害など、差し迫った危機に対して事前に対応する際にも「災害時の時間外労働等」を適用できます。

ただし、雪害に関しては、人命や公益を保護する目的で臨時に除雪作業する必要があることが許可基準として設けられているので、申請する際は注意しましょう。

参考:災害時の時間外・休日労働に関する手続き|帯広労働基準監督署

2-2. 機械や設備の予見できない修理や保守対応をおこなうとき

地震や風水害などの災害だけでなく、業務の運営を妨げる突発的な事情がある場合にも災害と同じような対応をおこなえます。

労働基準法第33条「災害時の時間外労働等」には、突発的な機械の故障や設備の不具合への対処が含まれます。例えば、予測できないサーバー攻撃によって、システム障害が起きてしまった場合などの対応には「災害時の時間外労働等」を適用できるのです。

ただし「災害時の時間外労働等」を適用できるのは突発的な問題が起きたときに限られます。通常の保安や修理、予見できる問題への対応には特例が適用されないので注意しましょう。

参考:災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等について|厚生労働省

2-3. 【具体例】労働基準法第33条「災害時の時間外労働等」が認められるケース

厚生労働省「令和6年能登半島地震に関するQ&A」によれば、能登半島地震により倒壊した建物の解体や道路上の瓦礫撤去、損壊建物の修繕工事などをおこなう場合には、労働基準法第33条「災害時の時間外労働等」の適用対象となるとされています。

これは、同地震による被害が甚大であり、早急な復旧対応として実施されるこれらの作業が、人命の保護および公益確保の観点から高い緊急性を有すると考えられるためです。

さらに、復旧作業に先立つ被害状況の調査のための測量や設計業務、あるいは自治体の要請に基づき避難所へ支援物資を直接輸送するトラック業務などについても、同条の適用が認められる可能性があります。

このように、災害対応に関わる労働については、その緊急性や必要性などを総合的に勘案し、個別具体的に判断される点が特徴です。そのため、同一の業務内容であっても、状況によって適用の可否が異なる場合があります。

参考:令和6年能登半島地震に関するQ&A(労働基準法第 33 条第1項等関係)|厚生労働省

3. 労働基準法第33条による「災害時の時間外労働等」の注意点

災害時の注意点

労働基準法第33条「災害時の時間外労働等」には、適用の範囲や条件が細かく定められています。

ここからは、労働基準法第33条による「災害時の時間外労働等」を適用するときに気をつけたいポイントをチェックしていきましょう。

3-1. 「災害時の時間外労働等」を適用するには事前の許可が不可欠

災害などの緊急時に、労働基準法第33条に基づく「災害時の時間外労働等」を適用する場合、原則として、所轄の労働基準監督署の事前許可が必要とされています。

しかし、災害は予測が難しく、緊急の対応が求められるケースも少なくありません。そのため、事前に許可を得る時間的余裕がない場合には、事後に遅滞なく届出をおこなうことでも適用が認められます。

ただし、届出の内容について労働基準監督署が不適当と判断した場合には、その後、当該時間に見合う休憩または休日を付与するよう命じられることがあります。

参考:労働基準法第33条|e-Gov法令検索

3-2. 時間外労働等をおこなわせたときには割増賃金の支払いが必要

企業が従業員に対して時間外労働や休日労働、深夜労働をおこなわせた場合には割増賃金の支払いが必要となりますが、これは労働基準法第33条による「災害時の時間外労働等」を適用したときでも同じです。

災害後の復旧や保守の業務が時間外労働に該当する場合には割増賃金を支払うようにしましょう。

関連記事:割増賃金の基礎となる賃金とは?計算方法など労働基準法の規定から基本を解説

3-3. 時間外労働等は必要範囲内に限って認められる

労働基準法第33条に基づく時間外労働や休日労働は、あくまで災害時の必要範囲内に限って認められています。

労働基準法で労働時間が細かく定められているのは、過重労働による従業員の健康被害を防止するためです。36協定の時間外労働の上限をひとつの目安とし、実際の時間外労働も月45時間以内に収めるよう努めることが望ましいでしょう。

「災害時の時間外労働等」の特例を適用した場合には、復旧状況などを細かく把握し、段階的に業務時間を短く調整していくことが大切です。

参考:労働基準法第33条(災害時の時間外労働等)について|厚生労働省

関連記事:時間外労働の上限規制とは?上限時間と罰則・労働時間管理の基礎知識を解説

3-4. 時間外労働等をおこなわせたときには従業員の健康管理を徹底する

大きな地震や風水害などが発生したときには、やむを得ず従業員に長期間にわたって時間外労働や休日労働をしてもらう必要が生じることもあるものです。

長期的に時間外労働や休日労働をおこなわせた場合には、従業員の健康被害を防ぐための健康管理を徹底しましょう。状況によっては医師を介入させての面談指導などをおこない、特例適用後の適切な措置を講じることが大切です。

関連記事:残業時間によっては産業医面談が義務になる?面談の流れやポイントを解説

4. 労働基準法第33条による「災害時の時間外労働等」の手続き

ガベル

労働基準法第33条に基づく「災害時の時間外労働等」を適用するためには、原則として事前の許可が必要です。これらの申請書(届出書)は、厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーから入手できます。

窓口へ持参する場合は、原本と控えの計2部を提出します。提出後は、労働基準監督署が原本を受領し、控えが返却されます。郵送で手続きをおこなう場合には、返信用として切手を貼付した封筒を同封する必要があります。なお、これらの手続きは、e-Govを利用した電子申請にも対応しています。

参考:主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)|厚生労働省

参考:非常災害等の理由による労働時間延長・休日労働許可申請|e-Gov電子申請

4-1. 事前に許可を受ける場合

労働基準法第33条に基づく「災害時の時間外労働等」について事前に許可を受ける場合は、様式第6号「非常災害等の理由による労働時間延長・休日労働許可申請書」を作成し、所轄の労働基準監督署へ提出する必要があります。主な記載内容は次のとおりです。

  • 事業の種類・名称・所在地
  • 時間延長を必要とする事由
  • 時間延長をおこなう期間および延長時間
  • 時間延長をおこなう労働者数
  • 休日労働を必要とする事由
  • 休日労働をおこなう年月日
  • 休日労働をおこなう労働者数
  • 使用者の職名・氏名

また、「災害その他避けることのできない事由」に該当するかどうかを判断するための資料がある場合は、申請書とあわせて提出します。さらに、許可基準への適合性を確認する目的で、追加資料の提出を求められることもあります。

参考:災害時の時間外・休日労働に関する手続き|厚生労働省

4-2. 事後に届出をする場合

労働基準法第33条に基づく「災害時の時間外労働等」について、事前に許可を受けていない場合には、事後遅滞なく、様式第6号「非常災害等の理由による労働時間延長・休日労働届」を作成し、所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。

この届出書の内容は、事前許可を申請する際の書類と基本的に同様です。また、「災害その他避けることのできない事由」に該当するかどうかを判断するための資料がある場合には、あわせて提出をします。

参考:災害時の時間外・休日労働に関する手続き|厚生労働省

5. 労働基準法第33条に違反した場合の罰則

ペナルティ

労働基準法第33条に違反し、必要な手続きをおこなわないまま従業員に時間外労働や休日労働をさせた場合、同法第120条により30万円以下の罰金が科される可能性があります。さらに、適切な手続きを経ていたとしても、時間外労働や休日労働に対する割増賃金を支払わなかった場合には、労働基準法第37条違反となり、同法第119条に基づき6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

労働基準法違反があった場合でも、直ちに刑事罰が科されるとは限りません。通常は、行政指導や是正勧告を受け、それでも改善が見られない場合に送検される流れとなります。また、未払い賃金がある場合には、従業員から損害賠償請求を受けるリスクも生じます。

加えて、労働基準法違反が明らかになった場合、企業名が公表される可能性もあります。企業名の公表は、社会的信用の低下を招き、「法令遵守に問題のある企業」との評価につながりかねません。その結果、採用活動や事業運営に深刻な影響が及び、場合によっては人材確保の困難や取引先との関係悪化を招くおそれもあります。こうしたリスクを回避するためにも、労働基準法を遵守し、適切な手続きのもとで時間外労働を指示することが重要です。

参考:労働基準法第119条、120条|e-Gov法令検索

6. 労働基準法第33条「災害時の時間外労働等」の適用範囲を正しく把握しよう

適用範囲内

労働基準法第33条「災害時の時間外労働等」は、災害やシステム障害などの緊急時に、例外的な時間外・休日労働を認める規定です。この特例は36協定の有無にかかわらず適用され、法定の残業上限も適用外となりますが、実施は必要最小限の範囲に限られます。

運用には所轄労働基準監督署への事前許可、または事後遅滞なき届出が必須です。また、実施時には通常の割増賃金の支払い義務が生じ、過重労働による健康被害を防ぐための適切な健康管理も求められます。手続きを怠るなどの違反は、罰金や企業名公表による社会的信用失墜のリスクを招くので、正しい適用範囲とルールの把握が不可欠です。

【最新版】改正ポイントもまとめて解説 労働基準法違反にならないための必須知識まとめ

人事担当者であれば、労働基準法の知識は必須です。しかし、その内容は多岐にわたり、複雑なため、全てを正確に把握するのは簡単ではありません。

◆労働基準法のポイント

  • 労働時間:36協定で定める残業の上限時間は?
  • 年次有給休暇:年5日の取得義務の対象者は?
  • 賃金:守るべき「賃金支払いの5原則」とは?
  • 就業規則:作成・変更時に必要な手続きは?
  • 40年ぶりの大改正:人事担当者が押さえておきたい項目は?

これらの疑問に一つでも不安を感じた方へ。

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