法定休日の出勤回数に関する上限やルール・注意点を解説
更新日: 2025.11.21 公開日: 2021.9.3 jinjer Blog 編集部

法定休日に出勤を命じる場合は、労働基準法や就業規則などのルールに従う必要があります。違反すると、罰金や懲役といった罰則を科せられる可能性もあるため十分に注意しましょう。
本記事では、法定休日の出勤回数に関するルールや注意点についてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
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1. 法定休日の出勤回数に限度はある?3つのポイントで解説


法定休日の出勤回数には制限があるのでしょうか。結論としては、労働基準法によって休日や労働時間の上限が定められているため、労働者に対して、法定休日に何回でも出勤を命じることはできません。以下、3つのポイントで解説しますのでチェックしておきましょう。
1-1. 休日は法定休日と所定休日に分けられる
まずは、法定休日と所定休日について理解しておきましょう。法定休日とは、労働基準法第35条に基づいて、労働者に対して必ず与えなければならない休日のことです。この条文には、最低でも1週間に1回、または4週間に4回の休日を与える必要があることが記載されています。
法定休日と似た言葉として、所定休日があります。所定休日とは、法定休日とは別に、使用者が労働者に与える休日のことです。
労働基準法第35条によると最低週1回の休日を与えればよいのですが、実際には土曜日を所定休日、日曜日を法定休日として、週休2日制を採用している企業が多いでしょう。労働基準法第32条によって、1週間に40時間を超えて労働させてはならないことが定められています。
1日8時間勤務の企業の場合、月曜から金曜まで5日間働いた時点で40時間になってしまうため、土曜日を所定休日としているのです。
参考:労働基準法|e-Gov
関連記事:所定休日とは?その意味や設定のポイント・注意点を解説
関連記事:法定休日と所定休日の違いや運用方法をわかりやすく解説
1-2. 時間外労働の上限規制により法定休日の出勤回数も制限される
忙しい時期などには、法定休日や所定休日に出勤してもらう場合もあるでしょう。休日に出勤してもらうこと自体は問題ありません。ただし、労働基準法により、原則⽉45時間、年360時間という時間外労働の上限が定められています。36協定で定められた休日労働の範囲を超えることはできないため注意が必要です。
関連記事:労働時間の上限は週40時間!法律違反にならないための基礎知識
1-3. 就業規則によって法定休日の出勤回数が制限される場合もある
会社ごとの就業規則や36協定によって、法定休日の出勤回数が制限される場合もあります。例えば、「法定休日は日曜日」「法定休日に出勤できるのは月3回まで」といった取り決めがある場合は、3回を超えて日曜日に出勤させることはできません。4回以上出勤させると、就業規則や36協定に違反してしまうため注意しましょう。
会社の状況などが変わり、法定休日に出勤を依頼するケースが増えた場合は、労使間でしっかりと協議したうえで、就業規則や36協定を見直すことも必要です。
2. 法定休日の出勤に関する2つのルール


法定休日に出勤してもらう場合は、36協定を締結しておかなければなりません。また、法定休日の出勤回数が多い場合は、振替休日を与えることも重要です。ここでは、法定休日の出勤に関するルールについて解説します。
2-1. 事前に36協定を締結しておく必要がある
法定休日に出勤してもらう場合は、事前に36協定を締結して、労働基準監督所への届出をする必要があります。36協定とは、労働基準法第36条に基づく「時間外労働・休日労働に関する協定」のことです。労働者に法定労働時間を超えて働いてもらったり、法定休日に出勤を依頼したりする場合に締結しなければなりません。労使間で内容を話し合ったうえで、協定を結ぶのが基本です。
36協定を締結せずに法定休日に出勤させることは違法であり、罰則の対象になるため注意しましょう。労働基準法第119条により、6ヵ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科される可能性もあります。
関連記事:36協定における残業時間の上限を基本からわかりやすく解説!
2-2. 法定休日の出勤回数が多い場合は振替休日を与える
法定休日の出勤回数が多く、時間外労働の上限を超えそうな場合は、振替休日を与えることを検討するとよいでしょう。振替休日とは、休日出勤をさせる前に、別の労働日を休日に指定することです。振替休日を与える場合は、出勤日と休日が入れ替わっただけであるため、休日労働という扱いにはなりません。
ただし、休日出勤をさせたあとで別の休日を与えると、振替休日ではなく「代休」という扱いになってしまいます。代休の場合は、休日労働という扱いになり、休日労働の割増賃金を支払う必要があるため注意しましょう。
関連記事:法定休日に対する振替休日が認められる場合について解説
3. 法定休日の出勤回数に関する3つの注意点


法定休日の出勤回数を就業規則に記載するときは、慎重に検討しましょう。また、企業側の都合だけではなく、労働者側に配慮することも大切です。ここでは、法定休日の出勤回数に関する注意点を紹介するので、チェックしておきましょう。
3-1. 法定休日の出勤回数を就業規則に記載するときは慎重に検討する
使用者は、休日に関する内容を就業規則に記載したうえで、労働者に対して明示しなければなりません。ただし前述のとおり、法定休日の出勤回数の上限を記載すると強い縛りになるため、回数を設定する場合は慎重に検討しましょう。
3-2. 法定休日の出勤回数が多いと労働者の負担が大きくなる
時間外労働の上限規制、月ごとに与えるべき休日の回数、36協定の締結といったルールを守っていれば、極端な話、何回でも法定休日に出勤させることはできます。ただ、あまりにも法定休日の出勤回数が多いと、負担を感じる労働者も増えてしまうでしょう。
休日出勤をする場合、計画していたことをキャンセルしなければならないケースもあります。振替休日を与えれば、結果的には同じ日数休めるとはいえ、予定を立てられなければ、有意義な休日を過ごすことはできません。ストレスを感じたり、会社に対する不満がたまったりするケースもあるため注意しましょう。
3-3. 割増賃金の計算方法を理解しておく
法定休日の出勤に関する注意点の一つとして、割増賃金の計算方法を理解しておくことが挙げられます。
法定休日に勤務した場合、労働者には35%以上の割増賃金が支払われる必要があります。これは、法定外休日とは異なり、法定休日の労働時間に必ず適用されるためです。適切な給与計算をおこなうためには、これらのルールをしっかりと把握し、法令に基づいて正確に管理することが不可欠です。
適正な支払いをおこなうことで、労働者の権利を守り、健全な労働環境を維持することが可能となります。
4. 法定休日の出勤に備えて適切な勤怠管理を実施


法定休日の出勤は、従業員の心身のリフレッシュを確保するため、慎重な対応が求められます。。労働基準法では、法定休日に従業員を労働させた場合、通常とは異なる割増賃金の支払い義務が生じます。そのため、企業は出勤日や労働時間を正確に把握し、法的に正しい手続きを踏みましょう。
4-1. 割増賃金の計算方法を理解しておく
法定休日に出勤した場合、割増賃金の計算や代休の付与など、通常とは異なる勤怠管理が必要です。こうした複雑な処理を手作業でおこなうと、計算ミスや記録漏れが発生しやすくなります。
一方、勤怠管理システムを導入すれば、法定休日の出勤を自動で認識し、正確に割増賃金を計算可能です。また、代休の取得状況も一元管理できるため、法令遵守を徹底しながら従業員の負担も軽減できます。システムを活用することで、管理業務の効率化とミスの削減を実現できるでしょう。
5. 法定休日の休日出勤は労働基準法に違反しないよう管理が必要

今回は、法定休日の出勤回数に関するルールや注意点について解説しました。時間外労働の上限規制や就業規則により、法定休日の出勤回数が制限される場合があるため注意が必要です。
法定休日に出勤させる際は、労働者の健康状態への配慮も不可欠です。時間外労働の上限規制や36協定の締結といった法律上のルールを守ることはもちろん重要です。しかし、あまりにも頻繁な休日出勤は、労働者の心身のストレスやモチベーション低下を招く恐れがあります。企業は、休日に関する制度を適切に運用し、従業員が安心して働ける環境を整えることが大切です。これにより、生産性の維持・向上も期待できます。勤怠管理システムを導入して、健全な労働環境の維持に努めましょう。
関連記事:休日と休暇の違いとは?休みの種類や勤怠管理のポイント



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