入社手続きを電子化するメリット・デメリットや管理システムについて解説
更新日: 2025.12.1 公開日: 2020.12.9 jinjer Blog 編集部

入社手続きの書類作成や管理業務に課題を感じている場合には「電子化」がおすすめです。電子化により、システム上で手続きが完結するため、差し戻しや修正書類の回収にかかる時間や工数を削減できます。
本記事では、入社手続きを電子化することで解決できる課題や、電子化のメリット・進め方をわかりやすく解説します。また、人事・勤怠管理システムを用いた業務効率化の方法についても紹介します。
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とお困りの方におすすめなのが、入社手続き・雇用契約の電子化です。入社手続き・雇用契約を電子化すると、入社手続きを郵送ではなくシステム上で行えるため、差戻や修正書類の回収にかかる時間や工数を削減することができます。
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目次
1. 入社手続きを電子化するメリットとは?解決できる課題を紹介

入社手続きは電子化できます。ここでは、入社手続きを電子化した場合のメリットについて詳しく解説します。
1-1. 書類の作成・提出の手間が削減できる
入社手続きでは、多くの書類の作成や提出が必要です。従来は、複数の書類を印刷し、手書きで記入・押印して提出するため、時間がかかるだけでなく、記入漏れや誤記入といったヒューマンエラーのリスクも伴いました。
これに対して、入社手続きを電子化すれば、必要な情報をオンラインフォームに入力するだけで手続きが完了します。入力内容の自動チェック機能により、記入ミスを事前に防ぐことも可能です。さらに、PDFやクラウド上での署名対応により、紙の回覧や押印作業が不要になるので、新入社員と人事担当者の双方の作業負担を大幅に軽減できます。
また、雇用保険や社会保険の手続きも、従来は年金事務所や健康保険組合まで出向く必要がありました。しかし、電子申請を活用すれば、オンラインで手続きが完結するため、各事務所に出向く手間を省くことができます。
1-2. コストの発生を抑制できる
紙の書類を用いた入社手続きでは、用紙代や印刷代といった直接的な費用だけでなく、作成・提出された書類を整理・保管するためのファイルやキャビネット、さらにはそれらを管理する人件費といった間接的なコストも発生します。
一方で、入社手続きを電子化すれば、必要な書類はすべてデータとしてコンピューターやクラウド上で作成・管理できます。これにより、用紙やインクなどのランニングコストはもちろん、保管スペースや管理用設備にかかる費用も削減可能です。さらに、複数部門や拠点での手続きでも、印刷や郵送をする必要がないため、組織全体でのコスト最適化につながります。
1-3. 属人化した進捗管理を解消できる
紙や個別のExcelファイルで手続きを管理する場合、進捗状況は特定の担当者に依存しやすく、担当者が不在になると手続きが停滞したり、情報確認に時間がかかったりすることがあります。
この問題に対して、採用担当者全員が閲覧できる人事・勤怠管理システムのタスク管理機能(ToDo機能)を活用することで、手続き漏れや提出忘れを未然に防ぐことが可能です。また、特定の担当者の不在時でもチーム全体で情報を共有でき、引継ぎミスを防止できます。
さらに、クラウド上でリアルタイムに進捗を可視化できるため、誰でも状況を確認可能となり、部門間の情報共有もスムーズになります。これにより、属人化によるトラブルや手続きの停滞を効果的に解消できます。
1-4. 紛失・破損のリスクを防止できる
紙書類は保管場所や取り扱い状況によって紛失・破損する可能性があります。特に個人情報や重要書類の場合、紛失すると再発行や情報漏えいのリスクが発生します。また、災害時やオフィス移転時には、書類の管理・運搬が煩雑になり、誤廃棄や混乱が起きやすいという課題もあります。
一方で、書類を電子化すれば、クラウド上で安全かつ効率的に保管することが可能です。アクセス権限を細かく設定できるため、必要な人だけが閲覧・編集できる環境を整えられ、情報漏えいリスクを大幅に低減できるでしょう。さらに、自動バックアップや変更履歴の管理が可能なシステムを利用すれば、誤操作やシステム障害が発生した場合でも、迅速にデータを復旧でき、業務の継続性を確保できます。
1-5. テレワークに対応できる
紙ベースの手続きでは、書類提出のために出社することが前提となるので、在宅勤務者や遠隔地の新入社員にとって大きな負担となります。特に遠方からの入社や、リモートワークを前提とした勤務形態の場合、提出のためだけに出社する必要があると時間的・心理的な負担が増加し、入社準備の効率を下げてしまいます。
一方、入社手続きを電子化することで、インターネット環境があれば場所を問わず書類の提出が可能となります。これにより、リモート勤務中でも必要書類を事前に提出でき、入社初日までに準備を完了させやすくなります。その結果、入社後すぐに業務に取り組める体制を整えられ、待機期間の短縮やスムーズな業務開始につながるでしょう。
さらに、手続きのオンライン化は単なる利便性向上にとどまらず、テレワーク環境の整備や柔軟な働き方への対応促進にも貢献します。内定者にとっても「リモートワークに対応した先進的な企業」という印象を与えられ、入社意欲や企業イメージの向上にもつながります。
2. 入社手続き電子化のステップ


実際に入社手続きを電子化するには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。ここでは、具体的なステップを順を追って詳しく紹介します。
2-1. 入社手続きを電子化する目的を明確にする
まず、自社の入社手続きにどのような課題があるのかを詳細に把握することが重要です。例えば、書類の記入漏れや提出遅れ、手作業による二重入力、情報管理の不備など、現状の運用で発生している問題点を整理するとよいでしょう。
そのうえで、入社手続きを電子化する目的を明確に定めることで、どの業務を優先的に改善すべきか、どの機能をシステムに求めるべきかが具体的に見えてきます。目的がはっきりしていれば、導入するツールやシステムの選定もぶれずに進められ、結果として効率的に電子化を実現できます。
2-2. 社内の同意を得る
入社手続きを電子化するには、経営層や関係部門の理解と同意が欠かせません。事前に目的やメリット・デメリットを社内で共有し、人事・総務・情報システム部門などと調整して必要な予算やリソースの承認を得ることで、導入をスムーズに進められます。また、事前準備により、運用開始後の混乱や抵抗も防げます。
2-3. システムを構築・整備する
入社手続きを電子化するには、適切なシステムの整備が欠かせません。自社でシステムを構築すればコストを抑えられますが、セキュリティに不備があると個人情報漏えいのリスクが高まり、訴訟など大きなトラブルに発展する可能性もあります。
そこで、適切なセキュリティ対策がなされたサービスの人事・勤怠管理システムを導入すれば、専門的なシステム開発の知識がなくても、セキュリティ面に配慮しながら入社手続きを電子化できます。
なお、導入に際しては、そのシステムが個人情報保護法や労働関係法令、電子化に関する法的要件(電子署名法、電子帳簿保存法など)に適合しているかを確認することが重要です。実務上は、法務部門や情報システム部門、システムベンダーと協議しながら、適切な運用体制を構築することが望まれます。
関連記事:クラウド型人事管理システムの機能やメリット、選び方を徹底解説
2-4. 運用ルールを設計する
システムを導入しても、運用ルールが明確でなければ、現場業務に混乱が生じる可能性があります。例えば、申請や承認のプロセスにおいて「誰がどの情報を確認・承認するか」が不明確であったり、不備が発生した際の対応フローが定まっていなかったりすると、作業が滞り、誤った判断が下されるリスクがあります。
このような問題を防ぐためには、事前に具体的な運用ルールを設計し、関係者全員に周知徹底することが重要です。具体的には、各担当者の権限や責任範囲を明確化したマニュアルの作成、運用フローを図解した手順書の整備、定期的な研修や確認ミーティングの実施などが考えられます。こうした取り組みによって、業務の停滞や誤判断の発生を未然に防ぎ、システム導入の効果を最大化できるでしょう。
2-5. 法的要件を満たしているかどうかチェックする
システムの導入および運用ルールの設計が完了したら、必ず運用フローが法的要件を満たしているか確認することが重要です。
例えば、労働条件通知書の電子交付は、従業員が希望した場合に限り認められています(労働基準法施行規則第5条)。従業員の同意が得られない場合は、従来通り紙の書面での交付が必要です。
さらに、2024年1月1日以降は電子帳簿保存法の改正により、送り状や契約書などの電子取引データは、電子データのまま保存することが義務化されています(※紙に出力すること自体は禁止されていない)。
例えば、雇用契約書をメールで送受信した場合、印刷して電子データを削除するという対応は原則として認められません。加えて、改ざん防止措置や検索機能の確保など、法令で定められた保存要件を満たす必要があります。
参考:電子取引関係|国税庁
このように、入社手続きで電子化が可能な書類には、法令上の条件や手続きが定められています。そのため、従業員の同意が得られない場合やシステムトラブルが発生した場合に備え、手渡しや郵送など従来の方法も併用できる体制を整えておくことが望ましいでしょう。
関連記事:入社手続きの書類を郵送するときに押さえるべき3つのポイント
3. 入社手続きの電子化が進む背景


入社手続きの電子化が進む背景には、さまざまな要因があります。おもに国がペーパーレス化を促進していることが挙げられますが、詳しく見ていきましょう。
3-1. 国のペーパーレス化推進
入社手続きの電子化が加速化している背景のひとつが、国のペーパーレス化推進です。
国は地球温暖化対策への取り組みの一環として、貴重な紙資源の消費を抑えるべく、企業に対し書類の電子化を推進しています。
3-2. 少子高齢化の進行
日本は少子高齢化の進行により、将来的に労働力の担い手である労働生産人口の減少が避けられない状況です。今後ますます労働者1人あたりの負担が大きくなることが推測されるため、国は、書類や手続きの電子化による業務効率化を奨励しています。
3-3. 一部手続きの電子申請義務化
国が奨励している、電子化による業務効率化の最たる例が、書面の保存等にIT技術を利用することを認めた「e-文書法」や「電子帳簿保存法」などの制定です。また、政府は社会保険などの諸手続きを電子申請できる「電子政府の総合窓口e-Gov」というシステムも開発し、24時間いつでも申請をおこなえる環境を整備しました。
2020年4月から、特定の法人(※)に対し、一部手続きの電子申請が義務化されています。
※特定の法人とは
- 資本金、出資金または銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
- 相互会社
- 投資法人
- 特定目的会
条件に該当しない場合、手続きの電子化および電子申請は任意ですが、将来的には企業の規模にかかわらず、電子申請が義務化されることも考えられるでしょう。いざ義務化された時にあわてることのないよう、現段階から入社手続きの電子化を進めておくと安心です。
3-4. リモートワークへの対応
新型コロナウイルスの感染拡大によって、リモートワークが推奨されました。その際、これまで紙で入社手続きをしていたために労務担当者が出社せざるを得ない状態の企業が多く、リモートワークをおこなえるようにするため、システムによるペーパーレス化を検討する企業が多くなったのです。
現在は感染が落ち着いていますが、多様な働き方を実現するためにもリモートワークを取り入れている企業は多く、ペーパーレス化は欠かせないものとなっています。
4. 入社手続きを電子化する人事・勤怠管理システムについて

入社手続きを電子化するためには人事・勤怠管理システムの導入がおすすめです。人事・勤怠管理システムについて詳しく解説します。
4-1. 人事・勤怠管理システムの概要
人事・勤怠管理システムは、従業員のデータや勤怠情報を一元管理するための重要なツールです。入社予定者が必要項目に入力していくだけで手続き書類が自動的に生成されるので、入社手続きに必要な労働者名簿や出勤簿、賃金台帳を効率的に作成・管理できます。
特に、新入社員ごとの帳簿を管理する際の手間を軽減し、勤怠データの自動管理や給与計算を可能にします。これらの機能をすべて持っているシステムもありますが、一部の機能を外部サービスに頼っているものもあり、できることは多種多様です。
システムの機能や料金はメーカーによって異なるため、導入前に比較検討が必要です。
一般的に、導入自体は簡単で、専用ソフトをダウンロードしてインストールするだけで始められます。
関連記事:勤怠管理をペーパーレス化するには?電子化のメリット・デメリットも解説
クラウド型とオンプレミス型の違い
人事・勤怠管理システムには、クラウド型とオンプレミス型の2つがあります。
クラウド型はインターネットを通じてサービスを利用するため、初期費用は低く抑えられますが、毎月のランニングコストが発生します。
一方、オンプレミス型は自社のサーバーにシステムを構築するため、導入時にコストや時間がかかりますが、データの漏えいリスクなどを自社内で管理できます。
4-2. 社会保険の電子申請には電子証明書の取得が必要
入社書類をペーパーレス化するだけであれば、人事・勤怠管理システムを導入すれば問題ありません。ただし、社会保険や労働保険などの手続きを電子申請する場合は、電子証明書の取得が必要です。
電子証明書は、e-Govや民間認証機関を通じて取得します。取得後は、社会保険・労働保険の電子申請システムに登録し、業務に活用します。なお、電子証明書の取得や登録を専門業者に依頼することも可能ですが、その場合は追加費用が発生することがあります。
近年では、一部の手続きにおいて電子証明書の代わりにGビズIDアカウントを利用することで電子署名を省略できる場合があります。これにより、電子証明書を取得せずに手続きをおこなえるケースもあります。
参考:GビズIDアカウントを利用した電子申請について|厚生労働省
5. 入社手続きを電子化すれば、担当者の業務を効率化できる


入社手続きは新入社員を採用するたびにおこなわなければならないうえ、さまざまな書類を作成・提出する必要があります。
ひとつひとつ手作業でおこなうと多大な時間と手間がかかってしまいますので、人事・勤怠管理システムや電子申請を上手に活用し、手続きの電子化を進めてみてはいかがでしょうか。
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