雇用契約の違反に当たる9のケースとトラブルの回避方法を紹介 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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雇用契約の違反に当たる9のケースとトラブルの回避方法を紹介

 

悩んでいる人

雇用契約に違反があり、労働者が労働基準監督署に相談に行くと、労働基準監督署が調査に入り、指導や是正勧告を受けることがあります。

よくある違反ケースとしては、長時間残業、休日・休暇を与えない、労災申請をしないほか、労働条件の明示や就業規則の作成・届出・周知を怠ることも違法行為です。

今回は、このような雇用契約の違法に当たる具体的な10ケースについて、および雇用契約違反に関するトラブルを回避するための対策をご紹介いたします。

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1. 雇用契約が労働基準法に違反している場合の罰則とは

ペナルティ

そもそも雇用契約の内容が法律に違反している場合、どうなるのでしょうか。

企業が守らなければならない雇用契約の条件は「労働基準法」で定められており、雇用契約の内容が法律に則っていない場合、労働基準法違反として労働基準監督署からの指導、または罰則が科されます。

労働基準法に違反した場合に科される罰則は次のとおりです。

第117条:1年以上10年以下の懲役、または20万円以上300万円以下の罰金
第118条:1年以下の懲役、または50万円以下の罰金
第119条:6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金
第120条:30万円以下の罰金

参照:労働基準法 第十三章 罰則|e-GOV法令検索

1-1. 雇用契約と実際の労働条件が異なる場合

雇用契約において定められた労働条件と、実際に働いているときの労働条件が異なる場合、従業員には即時に雇用契約を解除できる権利があります。例えば、労働条件では休憩時間が明記されているのに、休憩がまったく取れない、休憩時間中も電話番などの業務をさせられるなどのケースは労働基準法違反となります。

このような事態になってしまうことを防ぐためにも、労働条件を遵守できる労働環境であるか、雇用形態または個別に実際の条件と相違ないかを確認してから、雇用契約書の締結をおこないましょう。

2. 雇用契約を締結する際の義務とは

義務

ここでは、雇用契約を締結するうえでの義務について詳しく解説します。企業だけでなく、労働者の義務についても触れています。

2-1. 労働条件を明示しなければならない

雇用契約に際し、企業には労働条件の明示が法律で定められています。
この対応を怠った場合、30万円以下の罰金を科される可能性があるため注意しましょう。

また、内容も定められていて、必ず明示をしなければならない「絶対的明示事項」と、定めをした場合に明示しなくてはならない「相対的明示事項」があります。絶対的明示事項の昇給に関すること以外は原則、書面で交付しなければならないとされています。

一般的に書面での明示は「労働条件通知書」上で取りおこなわれます。この書面の交付も法律で義務付けられていて、交付していない場合は違法とみなされてしまうので、確実に対応するようにしましょう。

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2-2. 雇用契約書は義務ではないが作成するべき

労働基準法において、労働条件通知書や就業規則には作成義務が定められていますが、雇用契約書に関しては作成義務が定められていません。

しかし、労働条件通知書や就業規則は企業側が一方的に提示しているもので、労働者の同意を得るものではありません。そのため、労働者は労働条件を明確に把握できず、後のトラブルに発展する可能性があります。

そのような事態を避けるためにも、雇用契約書を作成して、労働者から同意欄に署名捺印をもらう方が安心といえるでしょう。さらに労働条件通知書と雇用契約書は、必要事項が記載されていれば兼用することも可能ですので、労働条件通知書兼雇用契約書として作成するケースも多くあります。

このような雇用契約書を作成するタイミングにおいて、参考にできる労働条件通知書兼雇用契約書のフォーマットが欲しいという方向けに、当サイトでは社労士が監修したフォーマットを無料配布しています。

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2-3. 労働者にも義務は発生する

雇用契約を結ぶと、使用者だけでなく労働者にもいくつかの義務が発生します。
一般的には以下のような義務が存在します。

  • 労務提供義務
  • 秘密保持義務
  • 競業避止義務
  • 信用保持義務
  • 企業秩序維持義務
  • 職務専念義務

これらの義務に対する違反行為は企業ごとに異なるので、就業規則などで義務の詳細を定めておくとよいでしょう。

3. 雇用契約が労働基準法に違反する具体的な9のケース

話し合う様子

それでは、労働基準法に基づき、雇用契約の違反に該当する具体的なケースと罰則をご紹介します。

労働基準監督署からの指導や罰則を受けるのは、使用者(事業主または事業の実質的権限を持つ人)と企業になるので、雇用契約や労働環境が違反になっていないか確認をしておきましょう。

3-1. 社会的身分や性別・国籍で労働条件を差別する

(均等待遇)
第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
(男女同一賃金の原則)
第四条 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

引用:労働基準法|e-Gov 法令検索

「女性である」「外国人である」といった理由で労働条件を変えることは、雇用契約違反に当たります。

特に、日本は女性の社会進出が諸外国と比較して遅れており、目に見えない無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)が働きやすい傾向もあるため、企業として注意する必要があるでしょう。

3-2. 法定労働時間を超過した労働をさせる

(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

引用:労働基準法|e-Gov 法令検索

長時間の残業が日常化している企業のなかには、労働者に対し、法定労働時間を超えた労働をさせているケースもあります。

原則、1日8時間、週40時間を超える労働には、36協定を締結していなければなりません。36協定を締結していた場合の法定労働時間の上限は、月45時間、年360時間です。

特別な事情により臨時的に労働時間を延長したい場合は、労使間で特別条項付き36協定を締結します。

しかし、特別条項であっても年720時間、1ヶ月あたり平均80時間、月100時間未満といった上限が設けられており、いかなる理由があってもこれを上回ることは禁止されています。

3-3. 残業代・深夜手当・休日手当を支払わない

第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

引用:労働基準法|e-Gov 法令検索

割増率はそれぞれ下記の割合となっていて、1時間あたりの賃金にこの割合を上乗せします。

時間外労働:25%
深夜労働:25%
休日労働:35%

具体的な計算例は以下の通りです。

〈例〉定時が18時(労働時間は8時間)で18時~20時まで2時間残業した場合
1時間あたりの賃金×1.25×2時間=割増された賃金

「固定残業代制により残業代を固定させる」
「歩合給制やフレックスタイム制などを理由に残業代を出さない」
「残業を禁止しておきながら、定時で終わらない業務を指示してサービス残業をさせる」

などの対応に関しても、割増賃金の未払いとみなされます。必ず割増賃金のルールを確認して、適切な賃金を支払うようにしましょう。

3-4. 十分な休憩時間を与えていない

第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

引用:労働基準法|e-Gov 法令検索

6時間を超える労働には45分以上、8時間を超える労働には60分以上の休暇が必要です。

休憩時間に業務を指示したり、電話や来客の対応をさせたりするのは、立派な違法行為です。

3-5. 法定休日を与えていない

第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。

引用:労働基準法|e-Gov 法令検索

使用者は労働者に対して週に1日の休日を与えなければなりませんが、これは4週間を通じて4日以上の休日を与えている場合は違法ではありません。

また、36協定を締結しており、法定休日出勤に対して休日手当を支払っている場合も違法にはなりません。

3-6. 妊娠中や出産後の労働者に休暇を与えない・残業させる

第六十五条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
② 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
③ 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
第六十六条 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十二条の二第一項、第三十二条の四第一項及び第三十二条の五第一項の規定にかかわらず、一週間について第三十二条第一項の労働時間、一日について同条第二項の労働時間を超えて労働させてはならない。
② 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十三条第一項及び第三項並びに第三十六条第一項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。
③ 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。
(育児時間)
第六十七条 生後満一年に達しない生児を育てる女性は、第三十四条の休憩時間のほか、一日二回各々少なくとも三十分、その生児を育てるための時間を請求することができる。
② 使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。

引用:労働基準法|e-Gov 法令検索

原則、6週間(多胎妊婦の場合は14週間)以内に出産予定の女性が休業を請求した場合、および出産後8週間を経過していない女性を就業させてはなりません。

ただし、出産後6週間を経過した女性が復帰を請求した場合は、医師が支障のないと認めた業務に就かせることは可能です。

また、生後満1年に達しない子供を育てる女性は、1日2回(各30分)子供を育てるための時間を請求でき、その時間中はその女性を使用してはいけません。

3-7. 労働契約不履行に対し、違約金・賠償金を支払わせる

第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

引用:労働基準法|e-Gov 法令検索

たとえ、労働者が雇用契約を違反をした場合であっても、違約金や賠償金を給料から差し引くことは認められません。

また、労働者が借金をしていた場合でも、賃金との相殺は認められません。

3-8. 労働条件の明示や就業規則の作成・届出をしていない

第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。

引用:労働基準法|e-Gov 法令検索

労働条件を書面で明示した書類が「労働条件通知書」となります。労働条件通知書は契約書ではなく、従業員の合意が必要なものでもありませんが、明示しないのは法律違反となるので注意してください。

また、短期間のアルバイト採用で雇用契約書を取り交わさない場合でも、労働条件通知書を交付する必要があるので忘れないようにしましょう。

3-9. 予告なしに解雇する

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

引用:労働基準法|e-Gov 法令検索

労働者を解雇する際に、1ヶ月前に予告することができなかった場合は、不足日数分の平均賃金を労働者に支払う必要があります。

ただし、天災事変その他やむを得ない事情により事業の継続が不可能となった場合、労働者の責任により解雇される場合は除きます。

4. 雇用契約の違反に関するトラブルを回避するためにできること

解決策

上述したように、雇用契約の違反には多くのケースがあることがわかります。そのため、労使間のトラブルを回避するためには、前もって入念に準備しておくことが重要です。

雇用契約に違反に関するトラブルを回避するためには、次の3つの対策をしておくとよいでしょう。

4-1.労働条件を明示した雇用契約書を取り交わす

雇用契約自体は、労使間の合意さえあれば口頭でも契約が成立します。そのため、雇用契約書を取り交わすことが法律で義務付けられてるものではありません。

しかし、雇用契約書は「雇用主と労働者が労働条件について互いに合意したことを証明するための書類」であり、書面の最後には雇用主と労働者双方が署名・捺印することになります。

無用な労使トラブルを防ぐためには、雇用契約書によって労働基準法を遵守した労働条件を明示するとともに、労働者の合意を得た証拠を残しておくことが大切です。

関連記事:雇用契約は口頭でも有効なのか?口頭で契約する際に注意すべき2つのリスク

4-2.労働条件に法律違反がないか弁護士や社会保険労務士にチェックしてもらう

労働条件を決めるのは企業側ですが、好き勝手に決めて良いというわけではありません。労働条件は、労働基準法に則って決める必要があり、雇用契約書や労働条件通知書の内容が法律に違反していると、トラブルに発展してしまうリスクがあるため注意が必要です。

例えば、時間外手当に関する記載をせずに残業代を支払わなかった場合は、労働基準法違反となります。違反の内容によっては罰則を受けたり、行政から指導されたりすることもあります。

しかし、労働基準法などの法律は改正されることも多く、担当者が違反に気が付かないこともあるかもしれません。このようなミスを防ぐためにも、労働条件を決める際には弁護士や社会保険労務士にチェックしてもらいましょう。

4-3.全従業員に労働条件を周知する

労働条件に対する意識は、企業側と従業員側で異なることがあります。企業側は法律違反にならないように、丁寧に条件を作成していても、従業員は給与や休暇の部分しかチェックしないということも少なくありません。

そのため、労働条件に書かれていることでも従業員が認識しておらず、トラブルになることがあります。認識の相違によるトラブルを防ぐためには、全従業員に労働条件を周知する必要があります。

周知の方法は、個別面談やセミナー形式などがありますが、どういった方法であっても分かりやすく説明をし、疑問や質問などがないか確認をすることをおすすめします。労働条件をしっかりと理解し、すり合わせができていればトラブル防止につながります。

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5. 雇用契約が法律に違反しないように適切な対応をしよう

記入する様子

労働条件や就業規則の中に労働基準法違反があった場合は、労働基準法違反として指導や罰則を受けることになるため、雇用契約書をきちんと作成しておくことが大事になります。労働基準法を順守した労働条件を明示するため、雇用契約書や労働条件通知書は社労士などの専門家にチェックしてもらい作成してください。

ただし、きちんと作成をしても、労働条件通知書を交付しないのは違反になります。とはいえ、新入社員が多かったり、出入りが多かったりすると毎回交付するのは面倒かもしれません。そんな時におすすめなのが電子化です。簡単に交付できて漏れもなくせるので、電子化がまだの方はぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

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関連記事:雇用契約書・労働条件通知書を電子化する方法や課題点とは?
関連記事:雇用契約書がないのは違法?考えられる4つのトラブルとその対処法

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