70歳以上の従業員の社会保険を解説!必要な手続きや注意点とは - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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70歳以上の従業員の社会保険を解説!必要な手続きや注意点とは

老いた男性

高年齢者雇用安定法の改正が2021年4月に施行されたことによって、企業には70歳までの就業機会確保が努力義務として課されました。

高齢の従業員も、健康保険や厚生年金保険といった社会保険の手続きは必要であり、70歳を境に手続きの内容が大きく変わります。

本記事では、70歳以上の従業員を雇用する際に必要な社会保険の手続きと、特に注意すべき点を解説します。

関連記事:社会保険とは?概要や手続き・必要書類、加入条件、法改正の内容を徹底解説

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従業員の入退社、多様な雇用形態、そして相次ぐ法改正。社会保険手続きは年々複雑になり、担当者の負担は増すばかりです。
「これで合っているだろうか?」と不安になる瞬間もあるのではないでしょうか。
とくに、加入条件の適用拡大は2027年以降も段階的に実施されます。

◆この資料でわかること

  • 最新の法改正に対応した、社会保険手続きのポイント
  • 従業員の入退社時に必要な手続きと書類の一覧
  • 複雑な加入条件をわかりやすく整理した解説
  • 年金制度改正法成立によって、社会保険の適用条件はどう変わる?

この一冊で、担当者が押さえておくべき最新情報を網羅的に確認できます。煩雑な業務の効率化にぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 社会保険の加入対象となる年齢の上限

メモを取る様子

社会保険制度では、年齢によって加入資格や保険料の徴収義務が定められています。ここでは、健康保険と厚生年金保険の年齢上限と年齢を超えたときの対応を解説します。

1-1. 厚生年金保険は70歳未満

厚生年金保険の被保険者資格は70歳が上限です。資格喪失日は、70歳の誕生日当日であり、70歳の誕生日の前日までが被保険者となります。

保険料の納付は、70歳の誕生日の前日が属する月の分まで必要です。そのため、誕生日の前日が属する月の翌月分以降の厚生年金保険料は、企業・従業員ともに納付義務がなくなります。

関連記事:厚生年金保険料とは?保険料率や計算方法などわかりやすく解説

1-2. 健康保険は75歳未満

健康保険は、厚生年金保険の被保険者資格がなくなった70歳以降も、企業で働く限り被保険者としての資格が継続します。保険料の負担義務や、保険給付を受ける資格に変更はありません。

ただし、75歳になると、それまで加入していた健康保険の被保険者資格を自動的に喪失し、後期高齢者医療制度に移行します。このとき事業主から「健康保険被保険者資格喪失届」の提出が必要です。

後期高齢者医療制度とは、75歳以上(および一定の障害がある65歳以上の方)を対象とした、都道府県単位で運営される独立した医療保険制度です。

75歳以降は、協会けんぽや健康保険組合ではなく居住地の後期高齢者医療広域連合に加入し、保険料は個人ごとに算定され、原則として年金からの天引きなどにより納付します。

そのため、75歳到達後は、就労を続けている場合でも事業主が健康保険料を給与から控除し、納付することはありません。

関連記事:健康保険料はいくら?仕組みや計算方法をくわしく解説!

1-3. 介護保険は40歳以上65歳未満

介護保険料は、40歳以上65歳未満の従業員(第2号被保険者)が対象です。従業員が65歳に達すると、第1号被保険者へ切り替わり、市区町村での納付へ移ります。そのため、企業が給与計算で介護保険料を扱うのは65歳到達時点までです。

関連記事:介護保険料はいつから支払う?開始時期や保険料について解説

2. 70歳以上の従業員に必要な社会保険手続き

70歳到達届

引用:2-5:従業員が70歳になったとき|日本年金機構

70歳以上の従業員を雇用する場合に特に重要なのが、厚生年金保険に関する「70歳以上被用者届」の提出です。70歳に到達すると厚生年金保険の被保険者資格は喪失しますが、引き続き適用事業所で働く場合には、事業主が年金機構へ「70歳以上被用者届」を提出する必要があります。

2-1. 70歳以上被用者とは

「70歳以上被用者」とは、厚生年金保険の被保険者資格を70歳到達日に喪失した後も、厚生年金の適用事業所で働き続ける70歳以上の従業員を指します。下記の要件を満たした従業員が70歳以上被用者です。

  • 厚生年金の適用事業所に勤務している
  • 70歳以上である
  • 厚生年金の被保険者期間がある
  • 年齢要件を除き、厚生年金の適用除外要件に当てはまらない

70歳以上になると厚生年金の加入は終了しますが、企業に勤務して報酬を受ける場合、在職老齢年金の仕組みにより、報酬額に応じて年金が調整される可能性があるため、事業主が「70歳以上被用者該当届」を提出する必要があります。

なお、一般従業員だけでなく、社長や役員も同様に「70歳以上被用者」として扱われます。

2-2. 従業員が70歳になったときの手続き

誕生日を迎え、70歳以上被用者に該当した従業員がいる場合、事業主は、70歳の誕生日をもって厚生年金被保険者資格を喪失したことに伴い、次の届出を提出する必要があります。

  • 厚生年金保険被保険者資格喪失届:70歳到達による被保険者資格の喪失を届け出るための書類です。
  • 70歳以上被用者該当届:70歳以降も在職すること、および標準報酬月額などを届け出るための書類です。

届出の際は、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届」という統一様式を使用します。

これらの届出は、70歳の誕生日(資格喪失日)から5日以内に、事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出しなければなりません。

また、70歳到達時は厚生年金の手続きのみです。健康保険の資格は継続しているため、健康保険証を回収する必要はありません。

70歳以上の被保険者には、医療機関での自己負担割合を示す健康保険高齢受給者証が事業主を経由して交付されます。この高齢受給者証は、マイナ保険証への移行後も紙で交付され、マイナ保険証によるオンライン資格確認が利用できない医療機関等を受診する場合に必要です。

交付の要件と発行時期は次のとおりです。

交付要件

交付時期

使用開始日

被保険者または被扶養者が70歳になったとき

70歳の誕生月

(誕生日が1日の場合は前月に交付)

70歳の誕生日の翌月1日

(誕生日が1日の場合は誕生日当日)

70歳以上の方が

被保険者になったとき

その都度交付

被保険者となった日

70歳以上の方が

被扶養者に認定されたとき

その都度交付

被扶養者として認定された日

参考:高齢受給者証について|全国健康保険協会

参考:2-5:従業員が70歳になったとき|日本年金機構

なお、健康保険組合によっては、被保険者からの申請がない限り、高齢受給者証を交付しない場合もあります。自社が健康保険組合に加入している場合、高齢受給者証をどのように扱っているか確認しておきましょう。

2-3. 70歳以上の従業員の雇用・退職・報酬変更時などの手続き

70歳以上の従業員である70歳以上被用者も、給与額や雇用状態が変動した際には、一般の被保険者と同様に報酬月額の届出が必要です。提出する届書の様式はすべて通常の厚生年金の届書と共通で、区分欄で「70歳以上被用者」を選択する形でおこないます。

  • 新規雇用時

書式名:健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険 70歳以上被用者該当届

「70歳以上被用者該当届」として提出します。

参考:2-1:従業員を採用したとき|日本年金機構

  • 退職時

書式名:健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届/厚生年金保険 70歳以上被用者不該当届

「70歳以上被用者不該当届」として提出します。

参考:2-2:従業員が退職、死亡したとき|日本年金機構

  • 定時決定(算定基礎届)

書式名:健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険 70歳以上被用者算定基礎届

参考:4-1:算定基礎届(定時決定のため、4月~6月の報酬月額の届出を行うとき)|日本年金機構

  • 随時改定(月額変更届)

書式名:被保険者報酬月額変更届

参考:4-3:月額変更届(報酬額に大幅な変動があり、随時改定に該当するとき)|日本年金機構

  • 賞与支払時

書式名:健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届/厚生年金保険 70歳以上被用者賞与支払届

参考:従業員に賞与を支給したときの手続き|日本年金機構

2-4. 手続きが省略になる場合

2019年4月以降、次の2つの要件をすべて満たす場合は、従業員が70歳に到達した際におこなう「厚生年金保険被保険者資格喪失届」と「70歳以上被用者該当」の届出が省略できるようになりました。

  1. 70歳到達日以前から、継続して同一の事業所に使用されていること。
  2. 70歳到達日時点の標準報酬月額相当額が、到達日前日の標準報酬月額と同額であること。

継続雇用で、かつ報酬額に変更がない場合は手続きが省略されますが、どちらかひとつでも要件を満たさない場合は、従来どおり「70歳以上被用者該当届」の提出が必要となります。

2-5. 高齢任意加入被保険者資格取得申出書/申請書

「高齢任意加入被保険者資格取得申出書」とは、70歳未満の間に老齢年金の受給資格期間(10年)を満たせなかった従業員が、特例として70歳以降も厚生年金に任意で加入することを希望する場合に提出する申請書です。

この任意加入は、一般的な「70歳到達時の厚生年金資格喪失」や「70歳以上被用者」の扱いとは異なる仕組みであり、申請はあくまで本人の申し出によっておこなわれます。

企業側に確認義務や届出義務はありませんが、従業員の年金受給資格に関わる重要な制度であるため、該当する可能性がある従業員には、70歳到達前に制度内容を案内しておくことが実務上は推奨されます。

一方、「高齢任意加入被保険者資格取得申請書」は、厚生年金保険の適用事業所以外の事業所で働く70歳以上の従業員が任意加入を希望する場合に提出する書類です。この場合は、事業主の同意や厚生労働大臣の認可が加入の要件となります。

参考:70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き|日本年金機構

3. 75歳以上の従業員に必要な社会保険の手続き

オフィスで働く年配のビジネスマン

従業員が75歳になると、医療保険制度が大きく変わるため、健康保険に関する手続きが必要となります。厚生年金保険に関する手続きはありません。ここでは、75歳以上の従業員に必要となる健康保険の手続きを解説します。

3-1. 健康保険が後期高齢者医療制度へ移行する

75歳以上の従業員は、75歳の誕生日当日に、それまで加入していた健康保険の被保険者資格を自動的に喪失し後期高齢者医療制度へ移行します。

後期高齢者医療制度とは、75歳(一定の障害がある場合は65歳)以上の人が加入する独立した医療保険制度です。協会けんぽや健康保険組合の対象外となり、本人が個人で保険料を納めることになるため、保険証を返却して健康保険の資格を喪失する手続きをします。

また、主たる被保険者が資格を喪失するため、その被扶養者も同時に健康保険の資格を失います。被扶養者は、新たに国民健康保険への加入手続きが必要です。

参考:後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?|政府広報オンライン

3-2. 従業員が75歳になったときに必要な手続き

健康保険の資格喪失日は、75歳の誕生日当日です。雇用している従業員が75歳に到達したとき、事業主は健康保険の資格喪失に関する次の手続きを速やかにおこなう必要があります。

  • 提出書類:「健康保険被保険者資格喪失届」

「⑥喪失(不該当)原因」の欄において「7.75歳到達(健康保険のみ喪失)」を選択します。

  • 提出期限:75歳の誕生日から5日以内

また、社会保険料は月単位で計算され、納付義務は資格喪失日の属する月の前月分までで終了するのが原則です。ただし、資格喪失日が月の1日である場合に限り、その月の保険料は不要となります。

  • 誕生日が1日の場合:資格喪失日が月の1日となるため、納付義務は前月分で終了します。よって、当月分の保険料徴収は不要です。
  • 誕生日が2日以降の場合:資格喪失日が月の2日以降となるため、納付義務が発生します。よって、当月分の保険料徴収が必要です。

参考:従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き|日本年金機構

4. 70歳以上の従業員がいる企業は社会保険の手続きに気をつけよう

握手

社会保険は、従業員の年齢に応じて扱いが変わります。高齢化が進み、70歳、75歳を超えても働く従業員が増える中で、企業には年齢に応じた正確な社会保険手続きが求められています。

70歳到達時には「70歳以上被用者該当届」を、75歳到達時には「健康保険被保険者資格喪失届」を、いずれも到達日から5日以内に提出しなければなりません。これらの手続きは、在職老齢年金や医療保険制度への移行に影響するため、丁寧な対応が必要です。

制度上の節目と必要な届出を正確に把握し確実に対応することは、高齢従業員が安心して働き続けられる環境にもつながります。高齢従業員の社会保険手続きは今後ニーズが増えていくと予想されるため、今のうちからノウハウを蓄積しておきましょう。

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