【令和7年度】社会保険の最新料率や改定タイミング、計算方法について徹底解説!
更新日: 2025.7.1 公開日: 2022.1.28 jinjer Blog 編集部

社会保険は事業所単位で加入する保険制度で、加入要件を満たす事業所に勤める労働者も資格要件に該当すれば被保険者となります。
社会保険料は被保険者全員から一律の額を徴収するわけではなく、被保険者ごとに報酬額などに基づいて算出するものです。
この記事では、令和7年現在の各社会保険の料率や計算方法、計算時の注意点などを解説します。社会保険料について不安な点がある方は、ぜひご一読ください。
▼社会保険の概要や加入条件、雇用保険との違いなどを詳しく知りたい方はこちら
関連記事:社会保険とは?企業や従業員の加入条件や手続き方法、適用拡大など注意点を解説
目次
従業員の入退社、多様な雇用形態、そして相次ぐ法改正。社会保険手続きは年々複雑になり、担当者の負担は増すばかりです。
「これで合っているだろうか?」と不安になる瞬間もあるのではないでしょうか。
◆この資料でわかること
- 最新の法改正に対応した、社会保険手続きのポイント
- 従業員の入退社時に必要な手続きと書類の一覧
- 複雑な加入条件をわかりやすく整理した解説
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1. 【令和7年度】社会保険料率を確認しよう


まずは令和7年度の社会保険料率について、令和6年と異なる点も踏まえてそれぞれ解説します。
1-1. 社会保険料の改定はいつから?
社会保険料の改定のタイミングは種類によって異なります。
|
社会保険の種類 |
改定のタイミング |
備考 |
|
健康保険 |
毎年3月 |
4月納付分から |
|
介護保険 |
毎年3月 |
4月納付分から |
|
厚生年金保険 |
毎年3月 |
4月納付分から |
|
雇用保険 |
毎年4月1日 |
労働者負担あり |
|
労災保険 |
毎年4月1日 |
労働者負担分なし |
3月に賞与が支給される企業の場合、健康保険や介護保険、厚生年金保険の料率に注意しましょう。3月の給与からは2月分の保険料を徴収するため改定前の料率を用いる一方で、賞与は3月の保険料率が適用されるため、改定後の料率を用いる必要があります。
1-2. 健康保険の料率改定(都道府県ごとの保険料額)
健康保険の料率は、協会けんぽ(全国健康保険協会)では都道府県ごと、健康保険組合では組合ごとに異なります。協会けんぽの令和7年度の料率は、令和6年度に比べ上昇した道県が28県、減少した都府県が18県、変化なしが1県でした。
東京都の場合、令和7年度の料率は令和6年度より減少しています。
|
健康保険の保険料率 (協会けんぽ(東京都)の場合) |
被保険者負担分 |
事業主負担分 |
合計 |
|
令和7年度 |
4.955.% |
4.955% |
9.91% |
|
令和6年度 |
4.99% |
4.99% |
9.98% |
協会けんぽのほかの道府県および健康保険組合の料率は、協会けんぽや各健康保険組合のホームページをご確認ください。
1-3.厚生年金保険の料率改定
厚生年金保険の保険料率は全国統一で、平成29年9月から18.3%で固定されています。そのため、令和7年度の料率も令和6年度と変わらず18.3%です。
1-4.介護保険の料率改定
介護保険(第2号被保険者)の保険料率は、協会けんぽでは全国統一で1.59%です。令和6年度は1.60%だったため、0.01%下がりました。
健康保険の料率と同様、健康保険組合は組合ごとに料率や事業者と被保険者の負担割合が異なります。詳細は各健康保険組合のホームページなどでご確認ください。
1-5. 雇用保険の料率改定
雇用保険の料率は全国統一で、事業の種類により3種類に分かれます。
|
事業の種類 |
年度 |
労働者負担 |
事業主負担 |
雇用保険料率 |
|
一般の事業 |
令和7年度 |
5.5/1,000 |
9/1,000 |
14.5/1,000 |
|
令和6年度 |
6/1,000 |
9.5/1,000 |
15.5/1,000 |
|
|
農林水産(※)・清酒製造の種類 |
令和7年度 |
6.5/1,000 |
10/1,000 |
16.5/1,000 |
|
令和6年度 |
7/1,000 |
10.5/1,000 |
17.5/1,000 |
|
|
建設の事業 |
令和7年度 |
6.5/1,000 |
11/1,000 |
17.5/1,000 |
|
令和6年度 |
7/1,000 |
11.5/1,000 |
18.5/1,000 |
※ 園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖および特定の船員を雇用する事業は一般の事業の率が適用されます。
1-6. 労災保険の料率改定
労災保険の料率は、一般拠出金も含めると5種類あります。
|
料率の種類 |
概要 |
料率 |
|
労災保険率 |
事業の種類ごとの保険料率 |
事業により異なる |
|
労務比率 |
請負による建設事業において賃金総額を正確に把握することが困難な場合に、保険料の算定に使用する料率 |
事業により異なる |
|
第2種特別加入保険料率 |
自営業者など、労働者ではない者が労災保険に特別加入する場合の料率 ※令和6年11月1日から特定フリーランス事業(企業などから業務委託を受けるフリーランス)が追加 |
事業により異なる |
|
第3種特別加入保険料率 |
海外でおこなわれる事業に派遣される労働者に適用される料率 |
3/1,000 |
|
一般拠出金の料率 |
石綿(アスベスト)健康被害者の救済費用として労働保険と合わせて納める分の料率 |
0.02/1,000 |
令和7年度の料率は令和6年度と変更はありません。
2. 社会保険料とは?


給与計算をおこなう際には、社会保険料の計算が重要です。社会保険は以下の5つに分けることができます。
|
保険の種類 |
社会保険と労働保険の別(※) |
給与計算への影響 |
|
健康保険 |
社会保険 |
あり |
|
介護保険 |
社会保険 |
あり |
|
厚生年金保険 |
社会保険 |
あり |
|
雇用保険 |
労働保険 |
あり |
|
労災保険 |
労働保険 |
なし |
※社会保険には、いわゆる狭義の意味での社会保険と労働保険の2つがあります。
上記5つの保険は、保険料率や計算方法、事業主の負担割合などが異なり、給与計算でもミスの起きやすいポイントとなるので、本記事を通して正しく理解しましょう。
2-1. 社会保険の加入対象者
社会保険の中でも、健康保険や介護保険、厚生年金保険の3つをいわゆる狭義の意味での社会保険といいます。適用事業所で働く正社員や法人の代表者、役員は原則として全員、狭義の社会保険の被保険者です。
労働時間が通常の労働者より短い短時間労働者の場合、以下の要件を満たせば社会保険の被保険者となります。
- 労働者数が51人以上の事業所で勤務している(※)
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 雇用期間が2ヵ月を超えて使用される見込みである
- 賃金の月額が88,000円以上である(※)
- 学生でない(休学中・定時制・通信制を除く)
※令和7年6月13日の年金制度改正法成立により、今後撤廃される予定
健康保険の被保険者のうち、40歳以上65歳以下の労働者は介護保険の第2号被保険者にも該当するため、介護保険料が発生します。
雇用保険や労災保険は労働保険に該当し、広い意味では社会保険に含まれます。労働保険のうち、雇用保険の被保険者要件は下記のとおりです。
- 31日間以上働く見込みがある
- 所定労働時間が週20時間以上ある
- 学生や船員、公務員でない(例外あり)
労災保険には被保険者の概念がなく、一部の農林水産業を除き、雇用形態にかかわらずすべての労働者が加入対象者となります。
関連記事:社会保険の加入条件をやさしく解説|短時間労働や例外パターン、よくある質問も紹介
3. 社会保険料の計算方法


社会保険の種類によって、料率だけでなく、保険料の計算方法も異なります。各保険で計算方法が混同しやすいので、本章で違いを理解しましょう。
3-1. 標準報酬月額とは
「標準報酬月額」とは健康保険や介護保険、厚生年金保険の計算に利用する基準で、ひと月あたりの報酬の平均額を区切りのよい幅で区分された金額(等級)を指します。
報酬の額と標準報酬月額の関係は、協会けんぽや日本年金機構のページに掲載されている「標準報酬月額等級表」で確認できます。
参考:令和7年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます | 全国健康保険協会
標準報酬月額の主な決め方は以下の4種類です。
- 資格取得時決定
入社時など、被保険者資格を取得したときの算定方法です。原則として入社時点の報酬額に基づいて標準報酬月額を決定します。
- 定時決定
4~6月の報酬月額の平均に基づいて標準報酬月額を決める方法です。算定基礎届という書類を提出するため、実務では「算定」と呼ばれています。定時決定によって決められた標準報酬月額は、原則として9月〜翌年8月までの各月の保険料計算にて使用されます。
- 随時改定
昇給や降給などで固定的賃金が変動した場合の算定方法です。固定的賃金の変動月から3ヵ月間に支給された報酬額を平均して算出した標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額に2等級以上の差が出るなどの要件を満たした場合に、標準報酬月額が改定されます。月額変更届という書類を提出するため、実務では「月変(げっぺん)」と呼ばれています。
- 産前産後休業・育児休業等終了の改定
産前産後休業・育児休業が終了した場合に、終了月から3ヵ月に受けた報酬の平均額に基づいて標準報酬月額を算出する方法です。随時改定と異なり、固定的賃金の変動がなく、これまでの標準報酬月額との等級差が1等級でも改定の対象となります。
産前産後休業・育児休業等終了の改定はほかの決め方と異なり、被保険者本人の希望に基づいておこなわれます。
標準報酬月額の改定をおこなわなかったり、実際とは異なる届出をしてしまったりすると、6ヵ月以下の懲役や30万円以下の罰金を課せられることもあるので、十分に注意しましょう。
3-2. 健康保険・介護保険・厚生年金保険の計算方法
健康保険・介護保険・厚生年金保険の保険料は、被保険者の標準報酬月額にそれぞれの保険料率を掛けて計算します。
東京都内の協会けんぽに加入する事業所で、被保険者の標準報酬月額が30万円の場合、保険料の計算方法は以下のとおりです。
健康保険料:30万円×9.91%=29,730円
健康保険料(介護保険料込み):30万円×11.50%=34,500円
厚生年金保険料:30万円×18.30%=54,900円
算出された保険料は、事業主と被保険者が折半して納めます。
また、上記の保険料は都道府県によっても異なります。全国健康保険協会のホームページより、該当する都道府県を選んで保険料を算出してください。
なお、協会けんぽでは標準報酬月額ごとの保険料額表を都道府県別に公表しています。健康保険・介護保険・厚生年金保険の計算は、こちらの表を使うと簡単に確認できます。
参考:令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表 | 全国健康保険協会(東京都)
被保険者それぞれの標準報酬月額を算出し、表の右側の「全国保険協会管掌健康保険料」と「厚生年金保険料」を参照すると、保険料が記載されています。
標準報酬の等級欄は括弧が付いていない方が健康保険、括弧が付いているものが厚生年金です。等級は健康保険が50、厚生年金は32に分かれているため、標準報酬月額は必ずしも一致しない点に注意しましょう。
関連記事:厚生年金保険料とは?保険料率や計算方法などわかりやすく解説
4. 労働保険料の計算方法


労働保険料の計算方法は社会保険料と異なり、雇用保険と労災保険でも異なる部分があるため、分けて解説します。
4-1.雇用保険料の計算方法
雇用保険料の計算式は「被保険者の賃金総額 × 雇用保険の料率」です。
賃金総額とは毎月被保険者に支払う賃金の総額のことで、通勤手当や深夜手当などの各種手当、賞与なども含まれます。雇用保険の計算では、標準報酬月額は用いないことに注意しましょう。
例えば、一般の事業に従事し、賃金総額が40万円の被保険者の雇用保険料は以下のとおりです。
|
被保険者負担 |
事業主負担 |
合計 |
|
|
雇用保険料率(一般の事業) |
5.5/1,000 |
9/1,000 |
14.5/1,000 |
|
計算式 |
400,000✕5.5/1,000 |
400,000✕9/1,000 |
400,000✕14.5/1,000 |
|
保険料 |
2,200 |
3,600 |
5,800 |
参考:令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内 | 厚生労働省
なお、算出された雇用保険料に1円未満の端数が生じた場合は、50銭以下を切り捨て、50銭1厘以上を切り上げます。
雇用保険料は毎月この計算をおこない、被保険者の給与から被保険者負担分を徴収します。納付は年に1回で、被保険者負担分と事業主負担分を合わせて労災保険料と一緒に6月1日〜7月10日の間に納付します。
関連記事:雇用保険料の計算方法は?保険加入後の計算時期や計算するときの注意点
4-2.労災保険料の計算方法
労災保険料の計算式は「労働者の賃金総額 × 労災保険の料率」です。
算出時に用いる保険料率は、以下の画像のように88/1,000 ~ 2.5/1,000まで細かく決められており、業種ごとに分けられています。
例えば、全労働者の年間賃金総額が5億5,000万円の卸売業・小売業、飲食店または宿泊業(労災保険料率:3/1,000)の場合、労災保険料の計算式は以下のとおりです。
550,000,000 × 3/1,000 = 1,650,000円(事業全体の労災保険料)
労災保険料の支払いは1年に1回のみで、4月〜翌3月の分をまとめて、雇用保険料と合わせて事業主が支払います。
5. 社会保険料を算出する際の注意点


社会保険料の計算方法や保険料率は保険の種類ごとに異なるため、整理ができていないと計算ミスが発生しやすくなります。
本章では、社会保険料を計算するときの注意点を確認しましょう。
5-1. 社会保険料の会社負担割合が異なる
社会保険料の計算では、保険によって事業主と被保険者の負担割合が異なる点に注意しましょう。
それぞれ下記のとおり、社会保険料を負担します。
健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料:事業主と被保険者で半額ずつ負担(※)
雇用保険料:雇用保険二事業分は事業主が負担
労災保険料:全額事業主負担
※健康保険料や介護保険料は、健康保険組合によっては事業主の負担割合の方が大きい場合があります。
関連記事:雇用保険料に関して会社側の負担額はいくら?社会保険への加入事情も解説
5-2. 毎年料率の改定がある
前章でも説明したとおり、社会保険の料率は毎年決まったタイミングで改定されます。
給与計算の年間スケジュールを立てて、年度初めに料率改定があることをしっかりと認識し、保険料の徴収ミスが起こらないように気を付けましょう。
5-3.社会保険の対象者も変動するため注意
社会保険の被保険者要件は法改正により見直されるため、今まで加入していなかった労働者も被保険者に該当し、保険料の徴収対象になる場合があります。
例えば令和6年10月からは、健康保険や介護保険、厚生年金において特定適用事業所(※)の要件が労働者101人以上の事業所から51人以上の事業所へ拡大されました。
※通常の被保険者よりも労働時間が短い短時間労働者が、一定の要件を満たした場合に被保険者となる事業所
令和10年10月からは、雇用保険の被保険者要件が週20時間以上勤務から週10時間以上勤務へ拡大されることが決まっています。法改正は必ず確認し、対応漏れのないよう注意しましょう。
6. 社会保険料率は「標準報酬月額」や「賃金総額」に応じて変動がある!


社会保険料は労働者の報酬額や、事業所を置いている都道府県で定められている保険料率をもとに計算されます。
社会保険料を算出する際は健康保険や介護保険、厚生年金保険、雇用保険や労災保険といった保険の種類によって計算の方法や保険料が異なる点に注意しましょう。
また、社会保険の料率は毎年決まったタイミングで改定されるため、改定の時期に料率を確認して計算ミスを防ぐ必要があります。
標準報酬月額の考え方は慣れるまで大変ですが、まずは被保険者の標準報酬月額を確認し、協会けんぽの場合は料率表も確認しながら計算しましょう。



従業員の入退社、多様な雇用形態、そして相次ぐ法改正。社会保険手続きは年々複雑になり、担当者の負担は増すばかりです。
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