社会保険未加入での罰則とは?未加入によって発生する問題や加入条件も解説
更新日: 2025.3.18
公開日: 2022.3.28
OHSUGI
社会保険には、会社と従業員の双方に加入条件があり、当てはまるときは必ず加入しなければいけません。
万が一、加入義務を怠れば罰則を受ける可能性があります。
この記事では、社会保険未加入の罰則と、加入が義務付けられている企業や従業員の条件、加入指導が強化されている背景を解説します。
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社会保険とは?概要や手続き・必要書類、加入条件、法改正の内容を徹底解説
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社会保険料は従業員の給与から控除するため、ミスなく対応しなければなりません。
しかし、一定の加入条件があったり、従業員が入退社するたびに行う手続きには、申請期限や必要書類が細かく指示されており、大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。
さらに昨今では法改正によって適用範囲が変更されている背景もあり、対応に追われている労務担当者の方も多いのではないでしょうか。
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1. 社会保険の未加入による罰則と発覚した際の問題点
1-1. 6ヶ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金
社会保険の加入対象となっている未加入事業所のうち、特に悪質なケースでは、健康保険法第208条により、6ヶ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金が課される恐れがあります。
悪質とは、虚偽の申告をしていたり、複数回にわたる加入指導に従わなかったりしたときを指します。
1-2. 過去2年間に遡及して保険料を徴収される
社会保険の未加入が発覚し、年金事務所などにより強制的に加入させられた場合、過去2年間に遡って未納分の社会保険料を徴取される恐れがあります。
社会保険料は給与だけでなく賞与からも徴収するため、事業を圧迫するほどの現金を一度に支払うケースもあります。
1-3. 従業員負担分の保険料も企業が支払う可能性がある
本来、社会保険料は会社と従業員が半分ずつ支払います。
これは、過去2年間に遡及したときの保険料にも当てはまります。
しかし、既に退職した従業員の分などは回収が困難でしょう。
その際は、従業員負担分の社会保険料も合わせて、企業が全額支払うこととなります。
なお、遡及支払いの場合、保険料は全額、会社が立て替えて支払わなくてはいけません。
その後、従業員分を請求することは可能です。
1-4. 延滞金が発生する
納付期日までに社会保険料を支払わないと督促状が届きます。
督促状に指定された期日までに支払いが済んでいなければ、延滞金が発生することになります。
遅延金額は割合により計算されるため、未納額が大きければ大きいほど、ペナルティも大きくなります。
1-5. ハローワークに求人を出せない
社会保険への加入が義務付けられている事業所が未加入であった場合、ハローワークで求人を出すことができません。
以上のように、社会保険への未加入は、発覚した際のリスクが大きくなります。
事前に加入条件を把握し、該当する場合は速やかに加入手続きを行いましょう。
1-6. 会社が損害賠償を請求される可能性がある
社会保険に未加入である場合、従業員やその家族から会社に対して損害賠償を請求される可能性があります。例えば、退職した従業員が年金を請求する際に、厚生年金が支給されなかったことによって、損害賠償請求に発展したというケースも報告されています。さらに、社会保険未加入となっている事業所の従業員に対しては、遺族厚生年金が支給されない可能性もあります。こうした訴訟リスクを避けるためにも、適切な時期に社会保険へ加入することは不可欠です。
2. 社会保険の加入が義務付けられている企業や従業員の条件
社会保険への加入義務は事業所(企業)単位、従業員単位でそれぞれ定められています。
事業所の未加入だけでなく、本来加入させるべき従業員が未加入であっても、指導や罰則の対象となります。
2-1. 社会保険への加入が義務付けられている企業の条件
事業主・従業員の意思にかかわらず、社会保険への加入が法律上義務付けられている企業を「強制適用事業所」といいます。
- 法人事業所(国・地方公共団体を含む)
株式会社、合同会社、合資会社、有限会社、〇〇法人など種類は問わない。
また、従業員はおらず、事業主(社長)のみの場合も強制加入の対象。 - 従業員が常時5人以上いる個人事業所
法定16業種に該当する場合強制加入。[注1]
それ以外の場合は任意で社会保険に加入可。強制適用とならない主な事業は一次産業、サービス業、宗教。
法人化している場合、従業員数にかかわらず社会保険への加入が必要なため注意しましょう。
関連記事:社会保険適用事務所とは?社会保険加入要件や遡及適用について解説
2-2. 社会保険への加入が義務付けられている従業員の条件
強制適用事業所に勤務する正社員は、基本的に社会保険に加入しなければいけません。また、「1週間の所定労働時間及び1月の所定労働日数が通常の就労者の4分の3以上」の従業員は、本人の意思にかかわらず社会保険へ加入させなければいけません。
上記に該当しない者でも、下記要件をすべて満たす者は加入の対象となります。
- 現在の社会保険適用対象者が51人以上いる企業に勤めている
- 1週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 賃金が月額8.8万円以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
社会保険の加入対象は年々拡大されています。加入漏れには十分注意しましょう。
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関連記事:社会保険の加入条件とは?2022年の適用範囲の拡大や未加入時の罰則について解説!
2-2-1. 2024年10月からの社会保険の適用拡大
2024年10月から社会保険の適用が拡大され、従来は101人以上の企業が対象でしたが、現在は従業員数51人以上の企業に対しても新たな規定が適用されています。
また、条件のひとつである雇用の見込みについても、1年以上から2ヶ月以上に変更となりました。この適用拡大により、以前までは社会保険の対象外だったパートやアルバイトなども、新たに加入対象になっている点に注意が必要です。
3. 社会保険に加入したがらない従業員への対処法
しかし、社会保険制度は本人の意思によって選べるものではなく、条件に該当すれば、必ず加入させなければいけません。
3-1. 社会保険は強制加入であることを伝える
社会保険に加入したがらない従業員に対しては、まず、社会保険は任意で選べるものではなく、条件に該当すれば必ず加入しなければいけない「強制加入」の制度であることを伝えましょう。
3-2. 労働時間を短縮する
時間に融通が利く雇用方法なら、週の労働時間を20時間以下にし、月額賃金が8.8万円を超えないように調整すれば社会保険への加入は不要となります。
ただし、2カ月連続で残業により労働時間が週20時間を超え、さらに今後も同様の状態が続くと考えられる場合、社会保険に加入させなければいけないため注意しましょう。
3-3. 社会保険加入のメリットを伝える
社会保険に加入することで、従業員側がさまざまなメリットを受けられることを説明しましょう。具体的なメリットを説明します。
3-3-1. 受けられる社会保障が増える
社会保険(医療保険)に加入することで、傷病手当や出産手当など、受けられる社会保障が増えます。これにより、従業員は自分や家族の将来に対する不安を軽減できるでしょう。
参考:社会保障制度|文化庁
3-3-2. 家族を扶養に入れられる
家族を扶養に入れることにより、扶養控除や配偶者控除が適用され、税金の負担が軽減されるという大きな利点があります。
社会保険の加入者は、家族を扶養に入れても自身が支払う保険料は変わらないため、実際の費用負担を抑えることが可能です。
3-3-3. 老齢厚生年金を受給できる
厚生年金保険に加入していると、65歳以降、老齢基礎年金に上乗せして「老齢厚生年金」を受け取ることができます。
老齢基礎年金は、日本に住む20歳から60歳までのすべての国民が加入する「国民年金」を納付していれば受け取れますが、老齢厚生年金を受け取れるのは厚生年金保険に加入していた人のみです。
どちらも納付した期間によって受給金額が変わるため、なるべく早くから加入しておくとよいでしょう。
3-3-4. 障害年金の受給条件が拡大する
年金を受け取れるのは65歳以降だけではありません。病気やけがによって、これまで通りの生活や仕事ができなくなったときは障害年金を受け取れます。
障害基礎年金より障害厚生年金のほうが、保障内容が手厚く、年金の受給条件である障害の程度も幅広いです。
3-3-5. 遺族年金を受けられる遺族の範囲が拡大する
遺族年金は、故人が社会保険(厚生年金保険)に加入していた場合、その遺族の生活を金銭面でサポートする重要な制度です。
遺族基礎年金で保障される範囲は、死亡した方によって生計を維持されていた子のある配偶者、または子です。一方、遺族厚生年金では、死亡した方によって生計を維持されていた妻、夫、子、父母、孫、祖父母まで範囲が広がります。
家族が突然の死に直面した時に、金銭的な不安を和らげる効果があるため、多くの方にとって心強い制度といえるでしょう。
3-3-6. 社会保険料を労使折半できる
社会保険料は、企業と従業員で折半して負担する仕組みです。これにより、従業員は保険料の全額を自己負担する必要がありません。
4. 社会保険の未加入企業への指導が強化されている理由
社会保険の未加入事業所への指導が強化されている理由としては、社会保険制度を維持する財源の確保や、多様な働き方への対応が挙げられます。
- 高齢期の経済基盤の充実
- 働き方の多様化への対応
- 社会保険制度を維持する財源の確保
- 関連省庁との連携により未加入企業が把握できるようになったため
また、今までの社会保険適用推進業務は法人登記情報を元に行っていたものの、幽霊会社なども含まれており、効率的な加入指導ができていませんでした。
しかし、平成27年度から国税庁の法人事業所情報の提供により、給与支払い実態から加入指導ができるようになったため、未加入事業所への指導が強化されています。
加えて、労働人口の減少や、働き方の多様化、高齢期の長期化など、社会情勢の変化も未加入事業所への指導が強化されている背景であると考えられます。
5. 社会保険の加入漏れ防止のためにも、労働の実態を正しく把握しよう
本来、社会保険に加入すべき会社や従業員が未加入であった場合、2年間の遡及加入や罰金など、さまざまな罰則が用意されています。
また、国税庁の情報提供も後押しし、今まで以上に社会保険への加入指導は厳しくなっています。
従業員の労働時間や賃金を適切に管理し、社会保険への加入が必要であれば、速やかに届け出るようにしましょう。
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