年収103万円以下のアルバイトは年末調整が不要?令和7年分から160万円以下へ基準が変更! - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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年収103万円以下のアルバイトは年末調整が不要?令和7年分から160万円以下へ基準が変更!

フルタイムとパートタイム

年末調整は、会社が従業員の給与に対して正しく所得税を計算・納付するために実施する重要な手続きです。正社員であれば、原則としてすべての従業員が年末調整の対象になりますが、アルバイトの場合はその認識があいまいなケースも少なくありません。

年収103万円以下(※令和7年分から160万円以下に基準が変更)のアルバイトは所得税がかかりません。しかし、非課税であっても、年末調整が必要になるケースがあります。本記事ではアルバイトにおける年末調整の考え方と実務上の注意点をわかりやすく解説します。

 

令和7年分の年末調整の変更点 すべて把握できていますか?

令和7年度の税制改正によって、令和7年12月の年末調整から変更が生じます。また、令和7年11月20日に施行された通勤手当の非課税限度額の改正によって、新たに年末調整の対応が必要となるケースもあります。

  • 「令和7年分の年末調整で提出する書類は?」
  • 「年収の壁の引き上げで年末調整はどう変わった?」
  • 「通勤手当の非課税限度額の改正で年末調整が必要になる従業員は?」

このような疑問をお持ちの方に向けて、令和7年分の年末調整に必要な書類から対象者、計算の流れまで、年末調整に関する基本的な業務を図解でわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。

業務の進め方に不安のある方や、抜け漏れなく対応したい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. アルバイトでも年収103万円以下なら年末調整は不要

スーパーで働く女性

結論からいうと、「年収103万円以下で所得税の源泉徴収が1円もない」のであれば、年末調整も確定申告も必要ありません。

年末調整は源泉徴収された所得税と本来支払うべき所得税の差額を精算するための手続きです。年収103万円以下であれば所得税の課税対象にならず、また源泉徴収された税金がなければ還付もありません。この場合、所得税については、年末調整や確定申告をしたとしても何も変わらないのです。

なお、その年の源泉徴収がなかったとしても、年収が103万円を超えた従業員は所得税を納める義務が発生する可能性があります。その際は年末調整を実施し、該当の従業員から支払うべき所得税を徴収しましょう。

1-1. なぜ年収103万円以下だと年末調整は必要ない?

所得税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に得たすべての所得から、各種の所得控除を差し引いた後の課税所得に、定められた税率をかけて計算されます。

会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者の場合、年収(給与収入)から給与所得控除を差し引くことで、給与所得が求められます。給与所得控除の最低保障額は55万円(令和6年分まで)です。また、所得控除にはすべての人(※合計所得金額が2,500万円を超える人を除く)に適用される基礎控除があります。基礎控除額は48万円(令和6年分まで)ですが、合計所得金額が2,400万円を超える場合は段階的に減額されます。

つまり、給与収入が103万円以下の場合、給与所得控除(55万円)と基礎控除(48万円)の適用により、課税所得がゼロになり所得税はかかりません。この場合、年末調整をおこなっても所得税の金額は変わらないことになります。ただし、その年に源泉徴収を受けている場合には、還付金が発生するので注意が必要です。

1-2. 2025年分から年収160万円以下に基準が変更!

令和7年度税制改正により、令和7年分から給与所得控除の最低保障額は65万円、基礎控除は次の通りとなります。

合計所得金額

基礎控除額(改正後)

基礎控除額(改正前)

132万円以下

95万円

48万円

132万円超え336万円以下

88万円(58万円※令和9年分~)

48万円

336万円超え489万円以下

68万円(58万円※令和9年分~)

48万円

489万円超え655万円以下

63万円(58万円※令和9年分~)

48万円

655万円超え2,350万円以下

58万円

48万円

2,350万円超え

変更なし

この改正により、令和7年分からは給与収入が160万円以下の場合、給与所得控除(65万円)と基礎控除(95万円)の適用により、課税所得がゼロになり所得税はかかりません。つまり、従来「103万円の壁」とよばれていた給与所得者が所得税を支払わなくてよい基準は、「160万円」に引き上げられることになります。

参考:所得税のしくみ|国税庁
参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁

関連記事:年末調整とは?その必要性や基本的な書き方についてわかりやすく解説

2. 年収160万円以下のアルバイトで年末調整が必要になる条件

 

書類を確認する男性

その年の給与収入が160万円以下であれば所得税はかからないと説明しましたが、年末調整が必要になるケースはあります。具体的には、次の条件を全て満たしている従業員であれば、年収160万円以下のアルバイトでも自社で年末調整が必要です。

  1. 自社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している
  2. 自社で所得税の源泉徴収をしている
  3. 年末の時点でアルバイトとして在籍している
  4. 災害減免法が適用されていない

それぞれの項目について詳しく解説していきます。

2-1. 自社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している

自社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していることは、年末調整をおこなううえでの前提条件です。一般的には入社時にその年の分の書類を提出してもらい、年末に翌年分の書類を提出してもらいます。

扶養控除等申告書はその従業員が配偶者や扶養親族の有無を会社に申告するための書類です。配偶者控除や扶養控除の額を決定するために必要であり、同書類を提出していない従業員に対しては年末調整をおこなうことができません。

なお、扶養控除等申告書は1人の従業員につき、1社にしか提出できません。そのため、アルバイトやパートなどで複数の勤務先を掛け持ちしている従業員については、どの勤務先に提出しているかを事前に確認する必要があります。提出先は、原則として「最も収入の多い勤務先」です。

仮に他社に提出している場合、その従業員に対して自社で年末調整をおこなうことはできません。その場合、自社で支払った給与にかかる所得税については、基本的に従業員本人が確定申告をして精算する必要があります。

参考:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

関連記事:年末調整を2箇所でしてしまったら?ダブルワークの注意点と正しい対処方法を解説

2-2. 自社で所得税の源泉徴収をしている

2つ目の条件は、自社で支払った給与から所得税を源泉徴収していることです。

年収の合計が160万円以下のアルバイトは所得税を支払う必要がありません。その年の給与から所得税を源泉徴収していた場合、それは本来支払わなくてもよい税金です。年末調整により過剰に徴収していた税金を還付する必要があります。

関連記事:所得税とは?所得税の計算方法や納付方法、納付期限を解説

2-3. 年末の時点でアルバイトとして在籍している

3つ目の条件が年末の時点でアルバイトとして在籍していることです。正確に言うとその年最後(12月)の給与を受け取っていることが条件になります。

年末調整は源泉徴収された所得税と支払うべき所得税の差額を精算するための手続きなので、年収が確定するまでは本来の所得税を算出することができません。年末時点で在席していないアルバイトは年収の確認ができないため、年末調整をおこなうことができないのです。

自社で源泉徴収をしていたとしても、転職先で年末調整をするか、もしくは元従業員が自身で確定申告をしてもらいます。いずれにせよ自社で源泉徴収を受けていた証明が必要なので、退職した従業員の源泉徴収票は必ず発行し、自宅へ郵送しましょう。

2-4. 災害減免法の適用を受けていない

4つ目の条件は災害減免法の適用を受けていないことです。大規模災害により納税が困難となった従業員には、災害減免法が適用されることがあります。これにより所得税の源泉徴収に猶予期間が設けられるので、該当期間中は年末調整がおこなえません。

そのため、災害減免法が適用されている従業員に対しては、年末調整の手続きは不要となります。このような状況下では、従業員自身が確定申告をおこない、それによって税金の精算をする必要があります。雇用主としては、従業員が災害減免法の適用を受けているかどうかを確認し、適切な対応をすることが重要です。

参考:No.8004 災害により被害を受けたときの所得税の取扱い|国税庁

3. 年収160万円超えでも年末調整できないケースに気を付ける

人差し指

原則として年末調整は全ての従業員を対象に実施しますが、例外的に手続きをしない、もしくはできないケースがあります。

年末調整が必要となるケースとは逆に、以下の条件に当てはまるアルバイトには年末調整を実施できません。

  • 他社で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している
  • 年末時点で自社に在籍していない
  • 災害減免法が適用されている

また、上記の条件とは別に、年間2,000万円以上の給与収入を得ている従業員も年末調整の対象外です。高収入を得ている方は年末調整ではなく確定申告で納税することが国により定められています。

アルバイトという雇用区分で該当する人は稀だと思われますが、年末調整の基礎知識として覚えておくと良いでしょう。

このように年末調整の対象者を確認する場合、複数の条件に該当しているかを確認する必要があります。当サイトでは、年末調整の対象者を図で確認できる資料を無料で配布しています。「はい」「いいえ」形式で簡単に確認ができるため、年末調整業務を抜け漏れなくおこないたい方は、こちらから「年末調整ガイドブック」をダウンロードして、業務にお役立てください。

参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

3-1. 年の中途にアルバイトを退職した場合で年末調整が必要なケースもある

年末調整の対象者は、原則として「年末に在籍している人」です。そのため、年の中途に退職したアルバイトについては、基本的に年末調整の対象外となります。しかし、次のいずれかに該当する場合は、年末調整の対象者に含まれます。

  • 海外支店への転勤などの理由により非居住者となった人
  • 死亡によって退職した人
  • 著しい心身の障害のために退職した人(退職後に再就職をして給与を受け取る見込みのある人を除く)
  • 12月の給与を受け取った後に退職した人
  • その年に受け取る給与総額が123万円以下の人(退職後に他の勤務先から給与を受け取る見込みのある人を除く)

令和7年度の税制改正により、一部の基準が変更されているため注意が必要です。なお「123万円以下」という基準は、給与所得控除の最低保障額(65万円)と扶養親族等の所得要件(58万円)を合計した金額を指します。

給与収入が123万円を超えると、合計所得金額が58万円を超え、税制上の扶養から外れることになります。つまり、この基準は「扶養の範囲内で働きたい人」に限定された条件である点に注意してください。また、退職者の給与収入が123万円以下だからといって、必ず年末調整が必要になるわけではない点も押さえておきましょう。

参考:令和7年分 年末調整のしかた|国税庁

関連記事:年末調整は退職者も対象になる?やるべき手続きや確定申告が必要になるケースを解説

4. 年収160万円以下のアルバイトの年末調整に関係する注意点

注意

アルバイトの年収が160万円以下で、たとえ年末調整が不要となる場合でも気を付けるべき点がいくつかあります。ここでは、年収160万円以下のアルバイトの年末調整に関係する注意点について詳しく紹介します。

4-1. 年末調整をしない場合も源泉徴収票の発行は必要

その年の給与収入が160万円以下の従業員で年末調整をおこなわない場合でも、原則として源泉徴収票の発行は必要です。ただし、常時2人以下の家事使用人に対してのみ給与を支給している場合には、源泉徴収義務者に該当せず、源泉徴収票の交付義務が免れます。

源泉徴収票の交付期限は、翌年1月31日(退職者の場合は退職後1ヵ月以内)です。源泉徴収票を正しく交付しない場合、所得税法に基づき拘禁刑や罰金などの罰則が課せられる恐れもあるので注意しましょう。

(源泉徴収票)

第二百二十六条 居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(第百八十四条(源泉徴収を要しない給与等の支払者)の規定によりその所得税を徴収して納付することを要しないものとされる給与等を除く。以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その年において支払の確定した給与等について、その給与等の支払を受ける者の各人別に源泉徴収票二通を作成し、その年の翌年一月三十一日まで(年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後一月以内)に、一通を税務署長に提出し、他の一通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。(省略)

引用:所得税法第226条|e-Gov法令検索

参考:No.2502 源泉徴収義務者とは|国税庁

関連記事:源泉徴収票の作成方法や記載内容をわかりやすく解説

4-2. 住民税の課税要件も正しく理解しておく

所得税と住民税では、非課税となる条件が異なります。住民税は「均等割」と「所得割」で構成されており、その非課税要件は自治体ごとに条例で定められています。東京都の例では、均等割・所得割ともに非課税となるのは、次のいずれかに該当する場合です。

    • 生活保護法による生活扶助を受けている方
  • 障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4千円未満)の方
  • 前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方

 

引用:個人住民税|東京都

例えば、東京都23区に住む単身者(障害者やひとり親などに該当しない場合)は、合計所得金額が45万円以下であれば住民税は非課税です。給与所得者の場合、給与所得控除(最低65万円)が差し引かれるため、給与収入が110万円以下であれば住民税非課税となります(令和7年分所得を対象とする令和8年度分より適用)。

このように、所得税と住民税では非課税となる基準が違います。なお、令和7年度税制改正の基礎控除の見直しは住民税に適用されません。とくにアルバイトを雇用する際には、所得税だけでなく住民税の非課税基準についても理解しておき、従業員からの質問に正しく対応できるよう準備しておくことが大切です。

参考:説明資料〔個人住民税について〕|総務省

4-3. 扶養親族等の所得要件が改正(令和7年分~)

令和7年度税制改正により、令和7年分から扶養親族等の所得要件が次のように変わります。

  • 扶養親族及び同⼀⽣計配偶者の合計所得⾦額の要件:58万円以下(改正前:48万円以下)
  • ひとり親の⽣計を⼀にする⼦の総所得⾦額等の合計額の要件:58万円以下(改正前:48万円以下)
  • 勤労学⽣の合計所得⾦額の要件:85万円以下(改正前:75万円以下)

引用:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁

例えば、アルバイトで年収155万円(令和7年分)のケースを考えてみましょう。給与所得控除65万円を差し引くと、合計所得金額は90万円となります。

この場合、扶養親族や同一生計配偶者の所得要件(58万円以下)を超えているため、扶養者は扶養控除や配偶者控除は使えません。また、勤労学生の要件(85万円以下)も満たさないため、勤労学生控除も適用できません。

このように、給与収入160万円以下であれば本人の所得税はかかりませんが、年収が一定額を超えると「扶養に入れない」「勤労学生控除が使えない」といった不都合が生じる可能性もあります。アルバイトを雇用する際には、本人の希望や事情を把握し、労働時間や勤務シフトを調整することが重要です。

4-4. 新たに特定親族特別控除が創設(令和7年分~)

同じく令和7年度税制改正により、令和7年分から特定親族特別控除が新設されます。特定親族特別控除とは、特定親族を有する場合に受けられる控除です。なお、特定親族とは、⽣計を⼀にする年齢19歳以上23歳未満で合計所得⾦額が58万円超123万円以下の⼈(配偶者や⻘⾊事業専従者など一定の人を除く。なお、いわゆる里子は含まれる)を指します。

新しく特定親族特別控除が創設されたことで、扶養控除の合計所得金額の要件(58万円以下)を満たせない場合でも、合計所得金額が123万円以下であれば控除ができます。ただし、合計所得金額が85万円を超えると段階的に控除額が下がるので注意が必要です。

例えば、アルバイトで年収150万円(令和7年分)のケースを考えてみましょう。給与所得控除65万円を差し引くと、合計所得金額は85万円となります。

この場合、扶養親族の所得要件(58万円以下)を超えているため、扶養者は扶養控除を利用できません。しかし、合計所得金額が85万円以下なので、特定親族に該当するのであれば、扶養者は特定親族特別控除(控除額63万円)を利用できます。

参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)|国税庁

5. アルバイトの年末調整に必要な書類と手続き方法

書類

アルバイトの年末調整でも正社員と同様の書類を用います。対象の従業員がいる場合、対応に漏れが発生しないよう用意が必要になる書類をあらかじめ確認しておきましょう。

5-1. 正社員同様に必要な書類

年末調整に必要となる主な書類は以下の3種類です。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書兼 所得金額調整控除申告書

扶養控除等申告書は、その年最初の給与を受け取るまでに提出することが義務づけられています。新規入社したアルバイトは入社時に書類を記入してもらうことが一般的です。

その他の2点の書類は毎年11月頃に年末調整の対象従業員へ配布し、必要事項を記入してもらったうえで回収します。なお、翌年分の扶養控除等申告書も合わせて配布し、他の書類と合わせて提出してもらいましょう。

なお、転職や再就職により、前職分も含めて年末調整をおこなう場合には、前職の源泉徴収票も提出してもらう必要があります。

参考:No.2674 中途就職者の年末調整|国税庁

関連記事:年末調整に必要な書類は?種類や入手方法を解説
関連記事:年末調整の必要書類一覧|記載する内容や書類の入手方法を徹底解説

5-2. 前職の源泉徴収票がない場合の手続き

従業員の中には「源泉徴収票を受け取っていない」または「紛失してしまった」という人もいるかもしれません。その場合は、前職の職場に問い合わせて再発行してもらいましょう。

源泉徴収票の発行は会社の義務であるため、断ることはできません。また、退職した元従業員から発行依頼があった場合も、対応する義務があります。前の職場が倒産してしまった場合は、破産管財人に源泉徴収票の交付義務があります。再発行についても受け付けてもらえる可能性があるため、紛失してしまった場合は確認してみましょう。

参考:「源泉徴収票不交付の届出書」を提出される前に、ご確認ください。|国税庁

5-3. 従業員の年末調整を忘れてしまった場合の手続き

ここまで解説してきたとおり、年末調整をおこなうためには、対象者を洗い出して、必要な書類をすべて提出してもらう必要があります。万が一にもあってはなりませんが、提出忘れや対象者のリストに漏れがあったなどで年末調整ができていない従業員がいた、ということもあるかもしれません。

その場合は、対象の従業員に確定申告をしてもらう必要があります。年末調整も確定申告もしていない場合、従業員自身に罰則が課せられる恐れもあるため注意しましょう。確定申告をおこなうこと自体が従業員の負担になるので、会社としてきちんと案内をしておく必要があります。

関連記事:年末調整を忘れた場合に発生する問題と対処法をわかりやすく解説

6. 短期バイトや掛け持ちバイトの年末調整のやり方

居酒屋でアルバイトをする女性

アルバイトの年末調整を複雑にする要因として、短期間での就業や複数の職場の掛け持ちが挙げられます。ここでは短期のアルバイトや複数の職場を掛け持ちしているアルバイトの年末調整について解説します。

6-1. 短期バイトの年末調整は源泉徴収票をチェック

短期間のアルバイトを繰り返している従業員で、年末のタイミングで自社に在籍している従業員は、その年の源泉徴収票を提出してもらえれば自社でまとめて年末調整をおこなうことが可能です。

一方、自社で就業履歴があり、年末の時点ではすでに退職しているアルバイトに対しては源泉徴収票を発行し、自宅へ郵送しましょう。年末時点で特定の職場に在籍していればそこで年末調整を受けることができます。

6-2. 掛け持ちの場合はメインとなる職場を聞き取る

複数の職場を掛け持ちしているアルバイトに対しては、どこがメインの職場になるのかの聞き取りが必要です。原則として最も収入が多い職場がメインの職場となりますが、特定の基準はないので従業員本人が自身で判断します。

掛け持ちの場合、メインの職場の収入は年末調整が実施されますが、それ以外の職場の収入については本人が確定申告をしなければなりません。もし他の職場の源泉徴収票発行がメインの職場の年末調整の手続きに間に合えば、複数の職場での収入をまとめて年末調整することもできます。

7. アルバイトの年末調整はミスが多いので慎重な処理が必要

チェックマーク

年収が少ない従業員だからといって、必ずしも年末調整が不要ということではありません。複数の職場を掛け持ちしていることも多いアルバイトの年末調整は、ある意味で正社員以上に確認事項が多いといえます。所得税を正しく納めるためにも、各種要件をしっかり確認し、適切な手続きをおこないましょう。

令和7年分の年末調整の変更点 すべて把握できていますか?

令和7年度の税制改正によって、令和7年12月の年末調整から変更が生じます。また、令和7年11月20日に施行された通勤手当の非課税限度額の改正によって、新たに年末調整の対応が必要となるケースもあります。

  • 「令和7年分の年末調整で提出する書類は?」
  • 「年収の壁の引き上げで年末調整はどう変わった?」
  • 「通勤手当の非課税限度額の改正で年末調整が必要になる従業員は?」

このような疑問をお持ちの方に向けて、令和7年分の年末調整に必要な書類から対象者、計算の流れまで、年末調整に関する基本的な業務を図解でわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。

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