年末調整をネットで手続きするために必要な準備・方法
更新日: 2024.4.4
公開日: 2021.3.31
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多くの企業で毎年おこなわれる年末調整ですが、従業員が増えれば増えるほど、年末調整担当者の業務量も増加することから、大きな負担となりやすい作業です。
従来の形の書面から電子化へと移行することによって、担当者の負担は大幅に減少させられるでしょう。
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今回は、年末調整をネット上で手続きするための準備や、手続きの方法、手続きの際の注意点などに関して、詳しく解説していきます。
関連記事:年末調整とは?やり方や計算方法、確定申告との違いをわかりやすく解説
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目次
1. 年末調整ってなんのためにおこなうの?
年末調整とは、給与から源泉徴収されている所得税を、正確に計算して確定をし、最終的に整合性を持たせるための手続きとなります。
この整合性を確かなものとするために、企業は必要情報をまとめ、税務署と市区町村の2つの公的機関へと報告することが必要とされています。
この報告に必要とされている作業の1つが、年末調整の申告手続きなのです。
年末調整での申告手続きには、現段階では書面での郵送が多くおこなわれていますが、書類の郵送方法の代わりに、新たに電子データを「e-Tax」「eLTAX」というオンライン上の技術を通じて送付する方法が、電子申告なのです。
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2. 年末調整をネットで手続きするための準備
年末調整の電子申告をおこなうときに必要となる準備には、大きく分けて下記の4つがあります。
1つずつ確認していきましょう。
2-1. マイナンバーカードの取得
電子申告に必要となるものが、代表者のマイナンバーカード(署名用電子証明書付き)です。
社長など会社の代表の代わりに、年末調整の担当者などのマイナンバーカードを利用することもできますが、その場合には、委任状が必要となります。
また、個人のマイナンバーカードの取得や利用の困難なときには法人の電子証明書の利用も可能となっています。
マイナンバーカードに関しては、何点か注意があります。
まずマイナンバーカードは通知カードとは異なるという点が挙げられます。通知カードでは、オンライン申告が不可能ですので、マイナンバーカードを取得するようにしてください。
電子申告のためには、マイナンバーカードに署名用電子証明書を付ける必要があるため、マイナンバーカード取得手続きのときに、署名用電子証明書が必要であるかどうかを尋ねられたら、必要であるとの旨を伝えておきましょう。
マイナンバーの取得までには、最長1カ月ほどかかることもありますので、まだ取得できていないという場合には、早めに取得するようにしてください。
2-2. カードリーダーを用意
カードリーダーも、事前に用意しておくことが必要です。
3,000円ほどで、家電量販店や通信販売サイトなどで手に入れることができます。
購入する際は、MacやWindowsなどどちらに対応しているか確認しておきましょう。
カードリーダーは、このあとのe-Taxや、eLTAXにて手続きをおこなう場合に、必要となります。
2-3. e-Taxの利用者識別番号手続き(国税)
マイナンバーカードあるいは電子証明書とカードリーダーが手に入ったら、e-Taxの利用者識別番号手続きをおこなっていきます。
e-Taxとは、国税電子申告・納税システムのことであり、2004年度より国税庁の管轄で取り入れられています。
その名の通り、本来であれば税務署に行くことで納税や申告などの細かな手続きも、インターネットに接続できれば、自宅や会社でそれらの手続きを終えることの可能なシステムとなっています。
このe-Taxですが、24時間いつでもどこからでも申告できるという大きなメリットがあります。
書面であれば、郵送をおこなう必要もあったりと、何かと時間と手間のかかる作業のはずが、e-Taxを利用することによって、そうした手間や時間をかけずに済んでしまう優れものです。
e-Taxの利用者識別番号手続きは、国税庁のe-Taxページより、手続きができますので「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」から、開始届出書をウェブ上で提出します。
このとき、利用者識別番号と暗証番号が入手できますので、しっかりと保存しておきましょう。
入手しておいたマイナンバーカード、あるいは電子証明書と上記で取得した利用者識別番号を、カードリーダーを活用し、Web上で、結び付けていきます。
2-4. eLTAXの利用者ID手続き(地方税)
まず、eLTAXへアクセスし、利用届出の開始をおこないます。
eLTAXとは、地方税ポータルシステムの名称であって、地方税にかかる手続きを、オンラインでおこなう電子システムのことを指しています。
読み方は、エルタックスと読みます。
地方税の納税や申告などの手続きは、地方自治体などでおこなう必要がありますが、電子申告や電子申請、共通納税などは、地方自治体が共同でシステム運営することにより、1つの電子窓口を通して、各地方自治体に手続きをおこなうことが可能です。
eLTAXへアクセスし、利用届出の開始をおこなったところで、利用者IDと、仮暗証番号が入手可能ですので、保存しておきます。
次に、専用のソフトウェアをインストールして、仮暗証番号を本暗証番号へと変更し、最後にマイナンバーカードあるいは電子証明書と、上記で取得した利用者IDを、カードリーダーを活用して結び付けます。
e-Taxが国税の申告であるのに対して、このeLTAXは、地方税の申告が可能となっています。
年末調整では、税務署と市町村のどちらにも申告が必要となりますので、eTaxとeLTAXどちらでの手続きしておきましょう。
3. 年末調整をネットで手続きする方法
年末調整の電子申告をおこなう方法に関しての主な流れは下記のようになります。
3-1. 年末調整書類を電子データにする事前準備
年末調整にて最終的に提出の必要のある主な書類には、下記の4つが挙げられます。
- 給与支払報告書
- 給与所得の源泉徴収票
- 所得税徴収高計算書
- 法定調書合計表
この他に、必要な場合は支払調書などがあります。
これらの申告をおこなうことの可能な電子データを作成するため、上記書類に必要となる情報を、最適な方法で収集し、計算していきます。
従業員の情報が集まったところで、上記書類データの作成をおこなっていきます。
▼納付書(所得税徴収高計算書)について詳しく知りたい方はこちら
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3-2. 書類の電子データをオンライン上で提出
ソフトで電子申告用データを作成したら、e-Tax、eLTAXにて提出をします。
そして最後に、書類データを電子申告用データへと加工をし、オンラインで提出します。
申告ソフトをインストールして、ソフトにある手順通りに進めていきましょう。
その際、準備しておくものとして、下記の3つが挙げられます。
これらは、申告ソフトを通じてe-TaxやeLTAXへとデータを送信するときに必要となるものです。
- eTaxの利用者識別番号とeLTAXの利用者ID
- 署名用電子証明書が付いたマイナンバーカード
- 使用するパソコンに対応したカードリーダー
これらを申告ソフトを利用して、書類データを税務署・市区町村へと送付をおこなうことによって、電子申告業務は終了となります。
4. 年末調整をネットでおこなうメリット
年末調整をネットでおこなうメリットは従業員、企業どちらにもあります。
従業員にとっては控除額の計算が不要になるだけでなく、記載ミスや漏れといった不備の削減も期待できるでしょう。また、書面で受け取った控除証明書を再発行する手間も省けます。
一方、企業は年末調整をネットでおこなうことで、担当者の負担を軽減できます。書面で年末調整をおこなっていた場合、申告書の記載内容を確認する必要があります。ネットによる年末調整であればソフトが自動で控除の計算や集計を実施します。そのため、担当者の負担やミスを軽減できます。
担当者は書面の年末調整で発生していた負担を他の業務に充てられるため、業務の効率化が期待できるでしょう。
5. 年末調整をネットで手続きする際の注意点
オンライン上で電子申告をおこなうというときに、まず大前提として気をつけておきたいことがあります。
企業で使用している年末調整システムなどのソフトが安定的に起動し、操作可能であるということを必ず確認しておく必要があります。
そしてもちろん、セキュリティ対策も講じておきましょう。
また、年末調整の担当者は、事前に税務署へ申請しておく必要があります。
年末調整申告書をデータとして提出してもらうときには「電磁的方法による提供の承認申請書」を、税務署長に向けて提出し、承認されることが必要です。
この承認申請には、1ヶ月程度の時間がかかる可能性もあります。
承認されて初めて、電子申告を取り入れられて運用も認められますので、事前に準備を進めておきましょう。
情報の漏洩というリスクや、プライバシーといった観点から、入力画面が他者の目に触れないようにするといったことも大切です。
書類の保管の必要なときには、多くの人のいない場所で保管するなどして、不特定多数の人の目に触れないようにしておきましょう。
5-1. 事前の準備も怠らないようにする
法定調書を電子申告で提出する場合には、電子証明書の取得など、事前準備を怠らないようにすることも大切です。
そして、従業員へ年末調整の電子化を知らせておくということも重要です。
従業員は、各種申請書の電子データを受け取るための手続きや必要なソフトのインストールなどが必要となりますので、ソフトウェアの使用方法や、臨時の問い合わせ先などの説明をおこなうことも必要となります。
従業員が電子申告直前に、急ぐことのないよう、年末調整担当者は早期に説明し、理解をしてもらうことが大切です。
クラウドサービスなどの利用であれば、インストール不要ですので、IDやパスワードなどでログインすることができるかどうか、事前にチェックしてもらいましょう。
とはいえ、従業員が使いこなせるか不安に思う担当者の方もいらっしゃるでしょう。
手続きにあたっての操作が難しすぎないか心配なため、実際の操作方法について詳しく知りたいという方に向けて、当サイトでは、実際のシステム画面の画像を用いて、どのような手順で書類の申請や作成を行い、源泉徴収額の納付までを行うのか分かりやすく解説した無料のガイドブックをご用意しました。
画面の操作や書類の作成や金額計算のフローだけでなく、具体的にどの業務が削減できるのか図式化して解説しています。こちらからダウンロードして、年末調整の電子化の情報収集に是非ご活用ください。
6. 年末調整の電子化は担当者の業務の効率アップにつながる
年末調整の電子申告は、書面での申請の必要な書類を郵送ではなく、オンライン上で提出するということです。
年末調整を電子申告するメリットは、用紙を大量印刷し、市区町村別などに分類して郵送する手間の不要な点が挙げられます。
ほかにも、年末調整担当者にとって全従業員に全ての用紙を配布し、回収するというような手間が省けるという点でも、効果的に業務の効率化を図ることができます。この電子申告をおこなう際には、代表者のマイナンバーカードを、あらかじめ用意しておく必要がありますので、電子申告の準備は、早い段階から始めることが重要です。
現代の社会情勢や、働き方改革といった視点から見ても、書面から電子申告への移行は、メリットでしかないといっても過言ではありません。
国税庁も、年末調整における手続きの電子化を進めており、電子申告書をデータとして提出することの可能な「年調ソフト」を公開しています。
これまで、申告書の指導を個々に担当していた方や、催促に追われ多忙な日々を過ごしていた方にとっても、全く新しい電子申告という技術を導入することによって、従来の業務を効率化できるポイントは、非常に多くあるのではないでしょうか。
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