休日出勤は有給休暇と相殺できる?振替休日、代休との違いも含めて4つの疑問を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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休日出勤は有給休暇と相殺できる?振替休日、代休との違いも含めて4つの疑問を解説

休日

従業員が休日出勤した場合、別の日に振替休日や代休を取得させるのが一般的ですが、従業員によっては有給休暇の取得を希望する場合もあります。このように、休日出勤の代わりの休暇として、有給休暇を取得させることはできるのでしょうか。

本記事では、休日出勤をした際に取得できる3つの休日の解説をもとに、休日出勤と代わりの休日を取得する際の注意点を解説。また、休日出勤と有給休暇や振替休日に関わるよくある4つの疑問にお答えします。

休日出勤の対応や 振休・代休の付与に不安のある方へ

人事担当者の皆さまは、労働基準法における休日・休暇のルールを詳細に理解していますか?
従業員に休日労働をさせた場合、代休や振休はどのように取得させれば良いのか、割増賃金の計算はどのようにおこなうのかなど、休日労働に関して発生する対応は案外複雑です。

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1. 休日出勤の際に従業員が取得できる3つの休日とは

休日のイメージ

従業員が休日出勤をした際、代わりに取得できる休日には、「振替休日」「代休」「有給休暇」の3つがあります。それぞれの運用上の注意点を理解するために、休日の定義と休日出勤を命じる際の注意点について順に解説します。

1-1. 「休日」とは

休日には、法定休日と所定休日の2種類があります。法定休日とは、労働基準法第35条に基づいて、使用者が労働者に必ず与えなければならないと定められている休日のことです。一方、所定休日とは、就業規則や雇用契約によって会社が独自に定めている休日のことを指します。

労働基準法では、休日付与の義務と労働時間の上限がそれぞれ定められています。

労働基準法第35条では、使用者は労働者に対し、毎週少なくとも1回の休日または4週間を通じて4日以上の休日を与えることを義務づけており、この休日が「法定休日」となります。さらに、労働基準法32条では、労働時間は1日に8時間かつ1週間に40時間を超えてはならないと定めています。

上記の法律から、所定労働時間を1日8時間とする会社では、週の休日を2日としているケースが一般的です。この2日のうち1日は「法定休日」として必ず与えられ、もう1日は会社が任意に定める「所定休日」として扱われます。

関連記事:法定休日とは?労働基準法のルールや法定休日との違いを解説
関連記事:休日と休暇の違いとは?休みの種類や勤怠管理のポイント

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

1-2. 休日出勤を命じる際の注意点

休日出勤とは、「法定休日」に出勤することをいいます。

例えば、土曜日を所定休日、日曜日を法定休日としている会社の場合、日曜の出勤は休日出勤となりますが、土曜日の出勤は休日出勤とはなりません。また、月曜日が祝日の場合、祝日は法定休日ではないため、休日出勤扱いにならない点に注意しましょう。

なお、法定休日の定め方は会社によって異なるため、自社で定めた内容は必ず就業規則や労働条件通知書に記載し、従業員へ説明をおこないましょう。

休日出勤を命じる際には、まず、36協定(時間外・休日労働に関する協定)に休日出勤の定めがあるかを確認します。36協定の締結と届出ができていないまま休日出勤をさせると違法となります。(災害時や緊急時の出勤など労働基準法33条に定められた場合を除く)

次に、代わりの休日を取得させるかどうか、どのように休日を取得させるかを決めましょう。休日の取得方法によって労働時間の扱いと賃金の支払いが異なるので、勤怠の集計や給与計算の際には注意が必要です。

関連記事:休日出勤のルールは?割増賃金が必要な場合や計算方法を解説

1-3. 休日出勤の際に従業員が取得できる3つの休日

従業員が休日出勤に際して取得できる休日は、以下の3つです。

  • 振替休日
  • 代休
  • 有給休暇

どの休日を取得させるかによって、割増賃金の支払い方法が異なるので注意が必要です。労働基準法第37条では、1日に8時間、1週間に40時間を超えた場合は25%以上、法定休日の場合は35%以上の割増賃金を支払うことが定められています。3つの休日について、詳しく解説します。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

1-3-1. 振替休日

振替休日は、法定休日を労働日とし、その代わりの休日を「事前に」取得する制度です。労働日と休日を交換する考え方のため、35%以上の休日割増賃金は適用されません。ただし、法定労働時間の1日8時間、週40時間を超えた場合には、25%以上の時間外割増賃金の支払いが必要となります。

振替休日を導入する際には就業規則に規定する必要があります。取得期限に法的な定めはなく、翌月や数ヵ月後の取得も可能です。

関連記事:振替休日とは?代休との違いや取得期限、労働基準法の観点から見る注意点を解説

1-3-2. 代休

代休は、休日出勤をした後に代わりの休日を申請する制度です。休日出勤分には35%以上の割増賃金が適用されます。

代休は法律によって定められたものではないため、会社の規定によって運用ルールが異なります。例えば1ヵ月以内の取得を義務付けることや、会社が代休取得を命じる、従業員の申し出により取得できる、などと定めることも可能です。

代休を取得させない場合、会社から休日出勤の割増賃金を支払っていれば法的には問題ありませんが、安全配慮の観点から適切な休暇の取得を促すことが望ましいでしょう。

関連記事:代休とは?労働基準法上での定義や知っておくべき振替休日との違い

1-3-3. 有給休暇

有給休暇は、休日出勤の前後に関係なく、指定の労働日の労働義務を免し、賃金を支払う休日です。休日出勤の代替として取得するものではありません。

例えば、休日出勤日と同じ週に有給休暇の申請があった場合でも、休日出勤分は割増賃金を支払い、それとは別で有給休暇は通常通りに処理します。

振替休日や代休に比べると賃金の額が多くなるため、収入額を重視する従業員にとってはメリットとなります。一方、会社側はコストが増えるため、費用を抑えたい場合には振替休日の規定を設けるとよいでしょう。

2. [Q1]休日出勤を命じた日に有給は取れる?

男性

有給休暇は、労働日に労働の義務が免除され、給与は通常通り支払われる休日です。あるとき、休日出勤を命じた日に従業員から「その日は有給休暇を取得して休みたい」という申請がありました。この場合、有給休暇の申請を受理しなければならないのでしょうか?

2-1. [A1]休日出勤を命じた日に有給は取れない

休日出勤を命ぜられた日には有給休暇は取得できません。年次有給休暇は、労働の義務のある日(所定労働日)についてのみ取得できるとされています。そのため、労働の義務のない休日には取得できません。

就業規則や36協定に基づいて休日出勤の指示があった場合、該当の日は所定労働日ではなく休日であると考えるため、取得できないこととなります。

また、休日出勤は業務命令とされるため、正当な理由がある場合を除き、原則拒否することができません。

しかし、従業員が当日体調を崩し通院が必要な場合や、冠婚葬祭により急遽休まざるをえない場合も考えられるでしょう。これらは休日出勤を断るための正当な理由とされますが、この場合には有給休暇を取得させるのではなく、実務上は休日出勤命令を取り下げる対応となります。

3. [Q2]休日出勤後の振替休日や代休は有給取得に変更できる?

予定の変更

休日出勤後は、振替休日や代休の取得が一般的でしょう。ただし、振替休日や代休を使わずに有給休暇の取得を申請する従業員がいる可能性もあります。この場合これらの休日を有給休暇に変更することはできるのでしょうか?

 3-1. [A2]有給休暇に変更できる場合もある

振替休日や代休は、有給休暇に変更できる場合もあります。

振替休日や代休は、法律で定められた休日ではありません。それぞれの会社の定めに基づいて運用されます。就業規則に「必ず振替休日を取得しなければならない」といった特段の定めがない場合には、振替休日や代休を取得しない代わりに、有給休暇を取得することもできます。

3-2. 有給休暇の取得期限に注意

労働基準法115条では、有給休暇は取得日から2年経過すると時効により消滅することが定められています。

この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によって消滅する。

引用:労働基準法|e-Gov法令検索

取得期限の近い有給休暇がある場合には、振替休日や代休よりも優先して使うことを検討するとよいでしょう。

3‑3. 休日出勤の振替休日を有給取得に変更できないケースもある

そもそも従業員に有給休暇が付与されていない場合、振替休日を有給休暇に変更することはできません。

例えば、入社間もない従業員や、取得要件をクリアしておらず有給休暇をまだ付与されていない場合には、有給休暇の取得はできません。労働基準法第39条では、以下のように定められています。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

引用:労働基準法|e-Gov法令検索

有給休暇がまだ付与されていない場合には、振替休日または代休の取得を検討しましょう。

4. [Q3]有給取得した週に休日出勤した場合の給与はどうなる?

疑問

有給休暇を取得した日と同じ週に休日出勤をすることもあるでしょう。このときの給与額は、休日出勤が加味されて割増賃金が加算されるのでしょうか?

4-1. [A3]場合によって割増賃金を支払う必要がある

有給休暇を取得した週に休日出勤した場合でも、有給取得日を除いた実労働時間が週40時間を超えたときには、割増賃金の支払いが必要となることがあります。

有給休暇は実労働時間にカウントされません。そのため、休日出勤の代わりに振替休日を取得させる場合は、休日割増賃金を支払う必要はありません。ただし、1日8時間、週40時間を超えた場合は時間外割増賃金の支払いが必要になるため、この「週40時間超」を判断する際に有給休暇取得日の実労働時間はゼロ時間として扱います。

有給休暇を1日取得した週に、1日休日出勤(振替休日取得済み)した場合、実労働時間が週40時間以内に収まり、割増賃金の支払いが不要となる場合があるので注意しましょう。

また、代わりの休日は、同じ週の有給休暇とは別で振替休日または代休を取得させることも可能ですし、代休を取得せず事前に取得していた有給休暇を代わりの休日としてもかまいません。

振替休日を取得しない場合には、代休や有給休暇の取得にかかわらず、休日割増賃金を支払いましょう。

関連記事:有給休暇に関する計算を具体例付きで解説!出勤率、日数、金額の計算方法とは?
関連記事:休日出勤は残業に含まれる?残業代・残業時間の計算方法や割増賃金の取り扱いも解説!

5. [Q4]同月内に取得済みの有給を取り消して休日出勤と相殺できる?

疑問

休日出勤をする前の同月内に有給休暇を取得している場合もあるでしょう。このとき、取得済みの有給休暇を取り消すことで、休日出勤と相殺して、休日出勤による割増賃金を抑えることができるのでしょうか?

5-1. [A4]取得済みの有給と休日出勤は相殺できない

取得済みの有給休暇と、休日出勤の相殺はできません。

有給休暇は労働の義務を免除する労働者の権利であり、休日出勤は会社が休日に労働させる業務命令です。法的な性質や目的が異なるため、一方を他方の代わりとして扱うことや相殺することはできません。

勤怠の集計の際に有給休暇が数日申請あり、休日出勤が1日ある場合にも、「有給休暇と休日出勤をそれぞれ無かったことにする」という相殺は認められず、それぞれの勤怠申請に応じて賃金の支払いが必要です。

休日出勤と有給休暇の取得によるコストが懸念される場合には、振替休日の制度活用を検討しましょう。

6. 休日出勤と有給の関係を理解し正しい有給休暇の運用をしよう

納得した女性

従業員を休日出勤させた場合の代わりの休日は、どのような休日を取得させるかによって賃金の計算方法が異なります。

振替休日の場合は、もともと労働日であった日と休日を交換する考え方のため、休日割増賃金は発生しません。有給休暇を取得する場合は、休日出勤分は休日割増賃金を支払う必要があり、有給休暇の賃金も通常通り支給する必要があります。

従業員から有給休暇取得の申し出がある場合には、その日を休日出勤の代わりの休日とするのか、それとも振替休日や代休を別で取得させるのかを確認しましょう。

取得する休日によって、割増賃金の計算が異なるため給与計算において注意が必要です。従業員に対しても賃金の支払いや時間の取り扱いがどうなるのかを併せて説明するのが望ましいでしょう。

関連記事:振替休日を強制して休日出勤させるのは違法?割増賃金の発生などパターン別に解説!

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