有給休暇5日の取得義務化とは?時間単位の扱いから対応方法や罰則まで解説
更新日: 2026.1.28 公開日: 2020.4.14 (特定社会保険労務士)

有給休暇の年5日取得義務化とは、従来は労働者に委ねられていた年次有給休暇の取得について、年10日以上付与される従業員に対し、毎年5日分は企業が確実に取得させることを制度として義務づけたことを指します。
従来は、年次有給休暇の付与日数について法律で定めがあったものの、取得日数について明確な義務はありませんでした。しかし、長時間労働の是正や働き方改革の一環として、2019年4月から制度が改正され、対象となる従業員に年5日の有給休暇を取得させることが使用者の義務となりました。
本記事では、有給休暇の取得義務化の基本的な仕組みや導入の背景を押さえたうえで、企業が実務上どのように対応すべきかをわかりやすく解説します。制度を正しく理解し、適切な運用につなげるための参考にしてください。
関連記事:有給休暇に関する計算を具体例付きで解説!出勤率、日数、金額の計算方法とは?
目次
毎月の有給休暇の付与計算、取得状況の確認、法改正への対応…。
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年5日の取得義務化で、企業が対応すべき3つのポイント
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1. 有給休暇の取得義務化とは?


有給休暇の取得義務化とは、労働基準法の改正にともなって2019年4月から新たに設けられた労働ルールの1つです。一定の要件を満たす労働者について、企業は年次有給休暇を年5日、確実に取得させることが義務づけられました。
この取得義務の対象となるのは、1日または半日単位で取得する年次有給休暇であり、時間単位で取得した有給休暇は年5日の取得義務日数には含まれません。また、対象期間内に従業員が自発的に5日分の有給休暇を取得しなかった場合には、企業が取得日を指定して休ませる「時季指定義務」が生じます。
ここでは、労働基準法に定められている有給休暇の取得義務化の基本的な内容を解説します。
1-1. 取得義務化の対象者
年次有給休暇の取得義務化の対象となるのは、有給休暇が年10日以上付与される労働者です。正社員に限らず、管理監督者や有期雇用の従業員も対象となります。
アルバイトやパートタイマーなど勤務日数が少ない従業員の場合、その年に付与される有給休暇の日数が10日未満となることも多いでしょう。
取得義務化の対象となる「10日」には、繰り越し分は含まれません。たとえ前年度からの繰り越し分を含めた残日数が10日以上であっても、取得義務化の判定は当年に新たに付与される日数のみを基準としておこなわれます。つまり、前年度からの繰り越し分を含めた残日数が10日以上のケースでは、取得義務化の対象とはならない点に注意が必要です。
1-2. 有給休暇の取得が義務化された背景
有給休暇は、労働基準法において、労働者に当然に認められる権利として定められています。しかし、日本では長年にわたり有給休暇の取得率が低迷していました。欧米諸国では有給休暇がほぼ完全に取得されているのに対し、日本では取得率が50%を下回る状況が長く続いきたのが課題でした。
令和6年就労条件総合調査によると、労働者1人あたりの平均年次有給休暇取得率は、2018年まで50%未満で推移していましたが、有給義務化後の2019年以降は大きく改善し、令和6年には65.3%に達しています。
また、毎月勤労統計調査によると、2023年は所定外労働時間が、2024年は総実労働時間および所定外労働時間が前年より減少しました。働き方改革の取り組みにより、ワークライフバランスが徐々に改善していることがうかがえます。
参考:毎月勤労統計調査 令和7年10月分結果速報|厚生労働省
2. 有給休暇の年5日取得義務における5つのポイント

有給休暇の年5日取得義務は、企業側にはいくつかの実務上の対応が求められます。ここでは、有給休暇の年5日取得義務を適切に運用するために、企業が押さえておきたい5つのポイントを解説します。
2-1. 年5日の時季指定義務
企業は、従業員に年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に、5日間の年次有給休暇を取得させる義務があります。この義務は、あくまで法定の年次有給休暇について課されるものであり、夏季休暇やリフレッシュ休暇などの特別休暇は含まれません。
対象となる1年間は労働者ごとにカウントされるため、基準日が異なる従業員がいる場合には、それぞれ個別に対象期間を管理する必要があります。
| 基準日 | 対象期間 |
| 4月1日 | 4月1日〜翌年3月31日 |
| 10月1日 | 10月1日〜翌年9月30日 |
| 1月1日 | 1月1日〜12月31日 |
2-2. 時季指定の方法
使用者による時季指定とは、年次有給休暇を取得する日を、企業が従業員に対して指定することをいいます。ただし、一方的に取得日を決めることはできず、次の手順でおこないます。
- 年休取得計画表やメール、勤怠管理システムなどの方法で、取得時季について従業員の意見を聴取する
- 従業員の意見を尊重したうえで、取得時季を決定する
- 決定した取得日を、任意の方法で従業員に伝える
なお、時季指定のタイミングは、対象となる1年間の初日でも途中でも、どちらでおこなっても差し支えありません。
2-3. 時季指定が不要な場合
すでに年5日以上の有給休暇を取得している従業員に対しては、時季指定をおこなう必要はなく、また時季指定をすることもできません。
年次有給休暇は、企業による時季指定以外にも、「従業員が自ら請求して取得する方法」や「計画年休として取得する方法」による取得も可能です。
これらの方法で取得した日数は、年5日の取得義務日数に充当されるため、すでに従業員が対象期間内で5日以上取得している場合、企業による時季指定は不要となります。
2-4. 年次有給休暇管理簿の作成・保管
企業は、従業員ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、保管しなければなりません。管理簿には、次の事項を記載する必要があります。
- 年次有給休暇の基準日
- 取得した時季
- 取得日数
保管期間は、有給休暇を与えた期間中および期間満了後5年間(当分のあいだ、3年間)です。
なお、年次有給休暇管理簿は、賃金台帳とあわせて作成することも認められています。そのため、勤怠管理システムを活用して一元管理しておくと実務負担の軽減につながるでしょう。
関連記事:年次有給休暇管理簿の作成が義務化!作成方法と保管期間を解説
2-5. 就業規則への規定
休暇に関する事項を定める場合は、就業規則に定めなければなりません。休暇に関する事項は、就業規則の絶対的記載事項に該当します。企業が時季指定権を行使する場合には、次の事項をあらかじめ就業規則に定めておくことが望ましいでしょう。
- 対象となる労働者の範囲
- 時季指定の方法や手続き
就業規則に規定する内容を検討する際には、厚生労働省が公表しているモデル就業規則を参考にすると、実務に沿った整理がしやすくなります。
3. 有給休暇の年5日取得義務を違反したときの罰則

年次有給休暇が付与された従業員が、有給休暇を年5日以上取得できなかった場合、企業は労働基準法違反として罰則を受ける可能性があります。有給休暇に関する主な違反と罰則は次のとおりです。
違反条項 違反内容 罰則規定 罰則 労働基準法第39条第7項 年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合 労働基準法第120条 30万円以下の罰金 労働基準法第89条 時季指定をおこなうにもかかわらず、就業規則に記載がない場合 労働基準法第120条 30万円以下の罰金 労働基準法第39条(第7項を除く) 労働者の請求する時季に年次有給休暇を与えなかった場合 労働基準法第119条 6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金
罰則を受けるリスクを防ぐためにも、有給休暇の取得義務は、社内通知文などを活用し、従業員にあらかじめ周知しましょう。
年次有給休暇の取得義務に違反したからといって、直ちに罰則が科されるケースは多くはありません。実態としては、まず労働基準監督署による是正勧告や指導が一般的です。
しかし、「有給休暇の取得義務を無視しても、従業員に知られなければ問題にならない」と考えるのは危険です。従業員が労働基準監督署や弁護士に相談した場合、臨検(立入調査)がおこなわれ、思わぬ形で法違反が発覚する可能性があります。
度重なる通報があったにもかかわらず改善が見られない場合や、是正勧告に従わないなど悪質性が高いと判断された場合には、罰則が適用されるケースも考えられます。その結果、不正摘発事例として報道されれば、企業イメージや信用に大きな影響を及ぼすおそれも否定できません。
有給休暇の年5日取得義務に適切に対応するためにも、企業や人事担当者は、自社の有給休暇の管理方法を定期的に見直し、必要に応じて運用改善をおこないましょう。
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4. 最低限おさえておきたい有給休暇の基礎知識

年次有給休暇の年5日取得義務を適切に履行するためには、基本的な仕組みを正しく理解しておくことが欠かせません。ここでは、実務上最低限おさえておきたい有給休暇の基礎知識を確認していきます。
4-1. 有給休暇の発生要件と付与日数
年次有給休暇は、原則として雇入れの日から6ヵ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上を出勤した従業員に発生する権利です。付与される日数は、勤続年数に応じて次のとおり段階的に増加します。
| 勤続年数 | 付与日数 |
| 6ヵ月 | 10日 |
| 1年6ヵ月 | 11日 |
| 2年6ヵ月 | 12日 |
| 3年6ヵ月 | 14日 |
| 4年6ヵ月 | 16日 |
| 5年6ヵ月 | 18日 |
| 6年6ヵ月以上 | 20日 |
4-2. パートタイム労働者などの付与日数
パートタイム労働者など、契約上の労働日数が少ない労働者は、所定労働日数に応じた日数の有給休暇が付与されます。これを比例付与といいます。
比例付与の対象となるのは、次のいずれにも該当する労働者です。
- 週の所定労働時間が30時間未満
- 週所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下
比例付与により付与される有給休暇の日数は、所定労働日数および勤続年数に応じて次のとおりです。
| 週所定労働日数 | 4日 | 3日 | 2日 | 1日 | |
| 1年間の所定労働日数 | 169〜216日 | 121〜168日 | 73〜120日 | 48〜72日 | |
| 付与日数 | |||||
| 勤続年数 | 6ヵ月 | 7日 | 5日 | 3日 | 1日 |
| 1年6ヵ月 | 8日 | 6日 | 4日 | 2日 | |
| 2年6ヵ月 | 9日 | 6日 | 4日 | 2日 | |
| 3年6ヵ月 | 10日 | 8日 | 5日 | 2日 | |
| 4年6ヵ月 | 12日 | 9日 | 6日 | 3日 | |
| 5年6ヵ月 | 13日 | 10日 | 6日 | 3日 | |
| 6年6ヵ月以上 | 15日 | 11日 | 7日 | 3日 | |
なお、比例付与の対象者の場合、「当年に付与される有給休暇の日数が10日以上となった場合」のみ、年5日取得義務の対象となります。
4-3. 労働者の時季指定権
年次有給休暇は、労働者が取得したい時季を自由に指定して請求できる制度です。従業員が取得時季を指定した場合、企業は原則として、指定された時季に有給休暇を与えなければなりません。
企業側が日程をずらせるのは、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当し、他の日に変更する権利(時季変更権)を行使できるときに限ります。
また、休暇を取得する目的を理由に、有給休暇の取得を企業が拒否することはできません。そもそも、従業員は有給休暇の利用理由を伝える義務もないため、むやみやたらに有給取得理由を聞かない運用が望ましいでしょう。
企業による時季指定は、あくまで年5日取得義務を履行するための例外的な手段であることを理解しましょう。
参考:令和3年版 労働基準法 上巻|労政時報オンラインストア
関連記事:年次有給休暇の基本をわかりやすく解説!付与日数や取得時期も紹介
5. 年5日の有給休暇取得を実現する方法

有給休暇の取得義務に対応するためには、制度として取得できる状態を整えるだけでなく、従業員が実際に休みやすい環境をつくることが重要です。ここでは、有給休暇を確実に5日取得させるために、企業が取り組みやすい具体的な方法や工夫を紹介します。
5-1. 時季指定と計画的付与制度を活用する
企業側が従業員に年次有給休暇を取得させる方法には、大きく分けて「時季指定」「計画年休」の2つがあります。
時季指定
「年5日の年休取得義務」に対応する方法です。有給休暇は従業員が自由に取得できることを前提としています。しかし、期限内に5日分の取得が見込めない従業員に対しては、「5日に達しない日数まで」企業が時季を指定することで、年休取得義務を果たします。なお、時季指定をおこなう際は、事前に従業員の希望を聴取し、できる限りその希望に沿って指定する必要があります。そのため、各従業員の取得状況の把握が日頃から欠かせません。
計画年休(計画的付与)
企業全体や事業場、部署単位などで、あらかじめ有給休暇を取得する日を定め、対象日に一斉に取得させる方法です。全員が同時に休む仕組みのため、従業員はためらいなく有給休暇を取得でき、企業も管理がしやすいというメリットがあります。確実に有給休暇を取得させたい場合に有効な手段といえるでしょう。なお、計画年休を導入する際は就業規則の規定が必須となるため、留意してください。
5-2. 半日単位の有給休暇取得を認める
有給休暇を取得しやすくするためには、半日単位の有給休暇を認めることも有効です。半日単位での有給休暇は法律上の義務ではありませんが、就業規則に定めることで導入できます。
「丸1日休むほどではない」「午前中だけ用事がある」といった場合でも利用できるため、従業員の心理的ハードルが下がり、有給休暇の取得促進につながるでしょう。
なお、半日単位で取得した有給休暇は、0.5日として年5日の取得義務日数に算入されます。
関連記事:労働基準法で義務化された有給休暇消化を従業員に促す3つの方法
5-3. 基準日を年度初めや月初に統一する
中途入社の従業員が多い企業では、入社日ごとに有給休暇付与の基準日や取得義務の対象期間が異なり、管理が煩雑になりがちです。このような場合には、有給休暇の基準日を年度初めや月初に統一する方法が有効です。
例えば、入社後最初の有給休暇は通常通り6ヵ月経過後に付与し、2回目以降は一律で4月1日を基準日とする、あるいは同じ月に入社した従業員は基準日を月初にそろえる、といった運用が考えられます。
基準日を統一することで、年5日取得義務の対象期間もそろい、時季指定や取得状況の把握がしやすくなるでしょう。
関連記事:有給休暇義務化における「基準日」とは?5日間の取得義務についても解説
5-4. 勤怠管理システムを導入する
有給休暇が付与される全従業員に対し、年5日以上の取得を確実におこなうためには、正確な勤怠管理が欠かせません。
勤続年数や出勤率、有給休暇の付与・取得日数、部署ごとの取得状況などを把握できなければ、適切に取得義務の達成状況を管理することは困難です。しかし、従業員数が増えるほど、Excelや紙による手作業管理には限界があるでしょう。
「勤怠管理システム」を導入すれば、各従業員の勤続年数や出勤率に応じた有給休暇の自動付与や、取得状況の見える化が可能となります。従業員・管理者ともにPCやスマートフォンから残日数を確認できるため、取得漏れの防止にも役立ちます。
また、5日分の有給休暇を取得していない従業員や管理者へアラートを出せる勤怠管理システムもあります。この機能を活用すれば、有給休暇管理にかかる業務負担を大幅に軽減できるでしょう。
5-5. 年次有給休暇取得計画表を作成する
年度始めや四半期別、月ごとに従業員一人ひとりの年次有給休暇取得計画表を作成するのも有効な方法です。
計画表を作成しておくことで、企業は年5日の取得義務を管理しやすくなり、業務の割り振りを考えるうえでも役立ちます。
従業員にとっても、事前に休暇予定を立てやすくなり、有給休暇の取得促進につながります。社内で休暇予定を共有できれば、不在時の業務引き継ぎもスムーズに進むでしょう。
6. 有給付与基準日の例外による取得義務化の対応

有給休暇の付与ルールは企業ごとにさまざまです。労働基準法で定められた基準よりも有利な運用をおこなっているケースも少なくありません。ここでは、法定基準を上回る運用をしている場合に必要な企業の対応をわかりやすく解説します。
6-1. 入社時点で有給を付与している
企業によっては、勤続6ヵ月を待たずに、入社時点で10日以上の有給休暇を付与している場合があります。前倒し付与自体に問題はありませんが、年5日取得義務の対象期間には注意が必要です。
入社日に10日以上の有給休暇を付与した場合、付与日(入社日)から1年以内に5日を取得させる必要があります。有給休暇を前倒し付与すると、取得義務の基準日も前倒しになる点に注意しましょう。
6-2. 取得義務の対象期間に重複がある
例えば、4月1日入社の従業員に対し、次のように10日以上の有給休暇を付与しているケースを考えてみましょう。
- 勤続6ヵ月となる10月1日に10日付与
- その後、全従業員共通の基準日として、翌年の4月1日に11日付与
この場合、年5日取得義務の対象期間が重複し、管理が複雑になります。対応方法としては、次の2つがあります。
- それぞれの期間で年5日ずつ有給休暇を取得させる方法
形式的には可能ですが、対象期間が重なり、実務上の管理が煩雑になりやすい点がデメリットです。
- 履行期間を通算して取得日数を計算する方法
最初に有給休暇を付与した日から、次に有給休暇を付与した日から1年後までの期間(履行期間)を1つの区切りとし、次の計算式で必要な取得日数を算出します。
「履行期間の月数 ÷ 12 × 5」
最初に挙げた例の場合、最初に有給休暇を付与した10月1日から、次に付与した日(翌年4月1日)から1年後にあたる翌々年3月31日までの履行期間は18ヵ月です。
式に当てはめると、取得日数は「18ヵ月 ÷ 12 × 5 = 7.5日」となります。よって、8日以上の有給休暇を履行期間内に取得させれば、取得義務を果たしたことになります。
6-3. 基準日よりも前倒して有給休暇を一部付与している
年10日付与する有給休暇のうち、5日など一部を入社時点で前倒し付与している企業もあるでしょう。この場合は、付与された有給休暇の合計日数が10日に達した日が、年5日取得義務の基準日です。
ただし、付与の合計日数が10日に達した時点で、すでに従業員が有給休暇を取得している場合は、その取得日数を差し引いて取得義務を考えます。
例えば、4月1日の入社時に5日、6ヵ月後の10月1日に残りの5日が付与されるケースを考えましょう。この場合、10月1日までに2日分の有給休暇を取得していた場合、10月1日から翌年9月30日までの1年間で取得させる必要がある日数は、「5日 – 2日 = 3日」となります。
関連記事:有給休暇の前借りは違法になる?従業員から依頼された場合の対応方法を解説
7. 有給休暇の取得義務化に関するよくある質問


ここでは、有給休暇の年5日取得義務について、よくある質問と回答をまとめました。実務で判断に迷いやすいポイントを中心に解説します。
7-1. 有給休暇はいつから義務化された?
有給休暇の年5日取得義務化は、2019年4月1日から施行されています。この制度には業種や企業規模による除外規定はありません。年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員を雇用しているすべての企業が対象となり、毎年5日の有給休暇を確実に取得させる義務があります。
7-2. 退職予定者も有給5日を消化させないと違反?
退職予定者であっても、基本的には「年5日の年休取得義務」の対象になります。
ただし、5日の取得が物理的に不可能な場合は、義務違反としては問われません。具体的には、次のような場合が考えられます。
- 年休10日以上を付与した「基準日」から5日以内に退職してしまう場合
- 育休や休職等でほぼ出勤がなく、基準日から退職までの実際の労働日数が、5日に満たない場合
7-3. 半日・時間単位の有給休暇は年5日の日数にカウントしていい?
半日単位の年次有給休暇は、意見聴取の際に従業員が希望した場合に限り、時季指定によって取得させることが可能です。なお、半日単位の有給休暇は、0.5日として年5日の取得義務日数に算入されます。
一方、時間単位の年次有給休暇は、労働者が請求した場合にのみ取得できる休暇です。そのため、企業が時間単位年休を時季指定することはできません。また、労働者が自ら取得を希望した場合でも、時間単位年休は年5日の取得義務日数には含まれない点に注意しましょう。
7-4. 前年度からの繰越分は有給休暇の年5日取得義務でどう扱うの?
年5日取得義務の対象となるのは、当年に新たに10日以上の年次有給休暇が付与される従業員です。そのため、前年からの繰越分を合算することで10日以上になる場合は、取得義務の対象とはなりません。
なお、有給休暇の時効は2年です。新たに付与された分と繰り越しされた分のどちらから先に消化されるかは、企業の運用ルールによって異なります。年5日取得義務において重要なのは、その年度中に「年次有給休暇を5日以上取得させているかどうか」のみです。どの年度に発生した有給休暇か、また新たに付与された分か繰越分かといった消化順位までは問われていません。
そのため、繰越された年次有給休暇から先に消化している場合であっても、結果として年5日分の有給休暇を取得していれば、法令上は問題ないと考えられます。どちらから消化された場合であっても、その年に取得された有給休暇は、年5日の取得義務日数に含めてカウントされる点を押さえておきましょう。
8. 有給休暇の取得義務化を適切に運用しよう

年次有給休暇の年5日取得義務は、2019年4月からすべての企業に求められている法的なルールです。対象となる従業員に対して、毎年確実に5日の有給休暇を取得させることは、企業にとって避けては通れない責務といえるでしょう。
制度対応には一定の手間や管理コストがかかりますが、勤怠管理システムの活用などにより、効率的な勤怠管理と有給休暇の取得促進を進めることで、従業員の生産性や企業イメージの向上にもつなげられます。
また、勤怠管理の仕組みの整備は、人事担当者の業務負担の軽減にも有効です。今後も働き方改革を背景に、人事・労務に求められる役割はさらに広がっていくと考えられます。
現在の運用に課題を感じている場合は、勤怠管理システムの導入や運用の見直しを検討し、法定遵守と働きやすい職場環境の両立を目指していきましょう。



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