働き方改革への対応で企業が取るべき行動と導入すべきシステム
更新日: 2024.9.26
公開日: 2020.2.24
OHSUGI
現代の日本において、少子高齢化社会における生産年齢人口の減少により、企業は労働力不足という課題に直面しています。
そのような背景もあり、国が一億総活躍社会の実現に向けて「働き方改革」を推進しています。働き方改革による法律の整備もおこなわれ、労働者が多様な働き方ができる社会を実現し、一人ひとりが将来に向けて良い展望を持てるような社会へと変化しつつあります。
そこで、今回は「働き方改革」の概要や企業として取り組むべき課題、課題解決につながる勤怠管理システムについて解説していきます。
働き方改革が始まり、法改正によって労働時間の客観的な管理や年次有給休暇の管理など、勤怠管理により正確さが求められることとなりました。
しかし、働き方改革とひとことで言っても「何から進めていけばいいのかわからない…」「そもそも、法改正にきちんと対応できているか心配…」とお悩みの人事担当者様も多いのではないでしょうか。
そのような方に向け、働き方改革の内容とその対応方法をまとめた資料を無料で配布しておりますので、法律にあった勤怠管理ができているか確認したい方は、以下のボタンから「中小企業必見!働き方改革に対応した勤怠管理対策」のダウンロードページをご覧ください。
目次
1. 働き方改革の目的や背景を解説
まずは、働き方改革の内容について詳しく見ていきましょう。目的や課題と併せて解説していきます。
1-1. 働き方改革は労働環境を改善する取り組みのひとつ
働き方改革は、国が推奨する「一億総活躍社会」の実現に向けた、労働環境の改善への取り組みであり、最重要課題と位置づけされています。
その背景には、日本の人口が2008年を境に減少傾向にあり、その結果、企業が労働力不足になっているという社会問題があります。
しかし、労働者にとっては、長時間労働問題、正規・非正規の不合理な処遇問題など労働環境における弊害も数多く見受けられます。このような労働環境に、国としても早急に対応していく必要があることから、労働者の働き方を改善するための「働き方改革」という制度が生まれました。
1-2. 推進する主な目的は2つ
上記のような社会問題を抱える中、働き方改革を推進する目的は大きくわけて2つあります。
1つ目は、正規雇用と非正規雇用の処遇の格差の改善です。総務省統計局の2021年の労働力調査によると、雇用者5,620万人の内、非正規職員・従業員は2,064万人で約4割を占めています。
また、賃金構造基本統計調査によると、正規雇用と非正規雇用の給与の格差があり、不合理な処遇を改善し、企業の生産性や従業員の満足度アップにつなげていく目的があります。
2つ目は、企業にとっては死活問題となる労働力不足の解消です。
働きたい意欲のある人のために、働きやすい環境を構築し、それぞれのライフステージに合った働き方を選択していけるような社会の実現を目指すことを目的として、働き方改革を推進しているのです。適材適所に配置することは、社会全体に良い影響をもたらすと考えられています。
そのため、働き方改革を推進し、労働環境の改善や企業の生産性のアップ、従業員の満足度のアップにつながるような労働環境づくりを進めていくことが、この制度が生まれた一番の背景といえるでしょう。
1-3. 企業が対応すべき3つの課題
働き方改革は目的をもって推進されいますが、それに伴い企業としても求められている3つの課題があります。
これらの課題は企業の安定化や労働力確保につながる部分も多いため、働き方改革への対応のためだけでなく、自社の成長のためにも積極的に取り組みたい部分です。
労働時間の適正化
1つ目は、「労働時間の適正化」です。「長時間労働」、つまり過重労働問題はいまや社会問題にもなっており、その結果、過労死やメンタルヘルスの不調を引き起こす従業員が増加しています。
実際、2019年の法改正では残業時間の上限規制が設けられたり、リフレッシュを目的としている有給の取得が義務付けられたりしました。そのため、企業は法改正に対応した勤怠管理をおこなうことが求められます。
雇用形態による格差の改善
2つ目は、「正規・非正規雇用の処遇格差の改善」です。今後、ますます深刻度が増していく労働力不足に向けて、企業は正社員だけに頼らず、さまざまな雇用形態で従業員を採用し、幅広く人材を確保していく必要性があります。
正規として働きたくても「フル稼働」ができない介護や子育て中の人も多いのが現状です。また、働く意欲はあっても非正規雇用という処遇の悪いイメージがあり、働く意欲の低下につながっています。
その処遇の改善策として、2020年4月1日から「同一労働同一賃金」が導入され、正規・非正規の賃金の不合理な格差の解消を目指しています。
柔軟な働き方への対応
3つ目は、「柔軟な働き方ができる環境づくり」です。多様化に対応しつつ、人材不測の解消や人材の育成をおこなうことが主な目的です。
出産・育児・介護の人でも働けるようなテレワークや時短勤務、キャリアアップのための兼業や副業、高齢者の就労を促進していくことで、企業の労働力不足の解消を狙います。
関連記事:法改正された労働基準法による勤怠管理への影響とポイント
2. 働き方改革における企業が取り組むべき問題
働き方改革の推進にともなってさまざまな働き方が推奨されていく中で、企業が直面することになる課題とはどのようなことなのでしょうか。また、その課題をいかにして解決していくのかを説明します。
2-1. 従業員の正確な勤怠管理
2019年4月1日に施行された労働安全衛生法第68条の8-3で、事業者は労働者の労働時間の状況の把握の義務が決定されました。そのため、出張先での打刻や今後増えてくるテレワーカーの労働時間の把握など、従業員の多様な働き方に対応した勤怠管理が必須となっています。
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2-2. 働き方改革には勤怠システムがおすすめ
現状の勤怠管理の方法には、手書きの出勤簿、タイムカード、PCのログイン・ログアウトなどがありますが、より正確な労働時間の把握には勤怠管理システムがおすすめです。
従来の勤怠管理では、不正やミスもあり、その修正や対応に時間もかかり、勤怠管理の担当者の負担もありました。そのような問題を勤怠管理システムを導入することで解消することができます。
人事や労務の業務負担の軽減や、ヒューマンエラーへの対応、すべての従業員の勤怠管理の適正化など、さまざまな課題は勤怠システムの導入で対応できます。
導入コストはかかりますが、長期的な視野で見た場合はメリットが多いため課題を抱えている場合はぜひ導入を検討してみましょう。
関連記事:勤怠管理システムを導入する目的とは?メリット・デメリットも確認
3. 働き方改革に対応した勤怠管理システムとは
働き方改革の推進により、企業は従業員の正確な労働時間の把握が義務化され、勤怠管理システムの導入を検討している企業も増えつつあります。
そこで、勤怠管理システムを導入することで、働き方改革の課題をどのように対応できるようになるのか解説していきます。
3-1. そもそも勤怠管理システムとは
勤怠管理システムとは、従業員の出退勤の時間を正確に管理するシステムです。
勤怠管理システムを使えば、さまざまなデバイスから出退勤の記録を残すことができるようになります。したがって、会社に出勤しなくても、外出先や出張先、自宅からでも出退勤の打刻が可能になります。
また、有給や残業などのさまざまな申請や承認も、システム上で完結できるようになります。かなり煩雑な作業を伴うシフト作成や管理などさまざまな機能が付帯している耐えめ、細かい作業をしなくても正確な勤怠管理ができるのです。
また、給与システムと連携すれば給与計算も可能になります。このように、自社に必要な機能が搭載されている勤怠管理システムを導入することで、企業は勤怠管理業務の効率化を目指せるのです。
関連記事:勤怠管理システムとは?はじめての導入にはクラウド型がおすすめ
3-2. 勤怠管理システムを導入するメリット
勤怠管理システムを導入するメリットは、勤怠管理関連の業務負担が減ることや労働時間をリアルタイムに把握できること、不正の防止や抑止ができることなどが挙げられます。
中でも勤怠管理業務の負担軽減は大きく、以下のような業務にかかっていた時間を削減できます。
- タイムカードを集めてチェック・集計する
- 労働時間をもとにした給与計算
- 人的ミスの確認・修正業務
タイムカードを集めて確認し、それをもとに給与計算をする業務は従業員の数が多いと非常に時間がかかる業務になります。
また、タイムカードの押し忘れや修正などが発生した場合は、その都度個別に確認をすることになるため、さらに時間がかかってしまいます。
勤怠管理システムを導入すれば、タイムカードを集めたりそこから複雑な給与計算をしたりする手間は丸ごと省けます。さらに打刻忘れやミスも発生しにくくなるため、細かい業務負担も減らせるでしょう。
4. 働き方改革に対応するために必要な機能を紹介
導入することで勤怠管理業務を効率化できる勤怠管理システムの、働き方改革に対応した機能について紹介します。
4-1. 多彩な打刻と場所を選ばない柔軟な申請
外出先や出張先で会社にいない場合や、テレワークで自宅で仕事をしている場合でも、出退勤の打刻ができるようになります。多様な打刻方法を採用しているシステムも多く、スマートフォンやPC、ICカード、指紋などでも打刻できるため、雇用形態や職種を選ばず出退勤の申請ができます。
また、残業や休日、直行直帰の申請や承認がワークフローに組み込まれているものも多く、すべて一元管理でき客観的な記録として残っていくため、正確な労働時間の把握に適しているでしょう。
4-2. さまざまな雇用形態を設定
企業には、正規・非正規雇用などさまざまな雇用形態の従業員が働いています。また、フレックスタイム制、時短制、裁量労働制など勤務体系も異なります。勤務体系が異なる場合、所定労働時間や残業時間などの計算方法も異なり、計算方法も煩雑になりがちです。勤怠管理システムでは異なる条件を設定することができるため、労働時間の正確な集計にも役立ちます。
また、法律改正を自動でアップデートしてくれるシステムもあり、運用する上でも使い勝手が良く、法律に適応した処理ができるため企業リスクも軽減されます。
4-3. 有給休暇を自動で管理
働き方改革では、年間10日以上有給休暇が付与される従業員に対して、5日間以上の有給休暇の取得をさせることが義務化されています。しかし、有給休暇の起算日がそれぞれで異なるため、管理が煩雑になってしまうこともあるかもしれません。
複雑な計算や管理を求められるほど、ヒューマンエラーが発生しやすいです。有給休暇の管理は労使間のトラブルにもなりやすいため、問題が大きくなることも少なくありません。
勤怠管理システムでは、有給休暇を自動で管理してくれる機能を備えたものがあるため、有給休暇の取得義務化違反を回避できます。
4-4. 各種のアラート機能
勤怠に関して、さまざまなアラート機能を設定することも可能です。既定値を超えた場合には、本人や管理者にメールで通知をおこなうようなシステムもあります。
遅刻や早退などの勤怠管理上の場合と、深夜残業や休日出勤の回数、勤務間インターバルの不足の回数など健康管理上の観点からの場合など設定をカスタマイズできるため、適正な労働時間を指導することができるようになります。
また、タイムカードの打刻忘れにも対応しているシステムも多いため、うっかりによるタイムカードの押し忘れ、それに伴う修正や確認作業も減らせるでしょう。
5. 勤怠管理で注意するべきポイント
勤怠管理は、雇用条件や勤務形態などで管理内容が変わるため、しっかり確認しておく必要があります。
特に注意しなければならないのは、パート・アルバイト従業員や扶養控除内で働いている従業員の勤怠管理です。パート・アルバイトの従業員はシフト制であることが多く、社員とは勤務時間や勤務日数が異なるため、労働時間や残業時間を正確に管理しましょう。また、時給制の従業員も多いため、給与計算の際には注意してください。
扶養控除内で働く従業員の場合、「配偶者の社会保険扶養から外れたくない」「所得税が発生しない程度に働きたい」など各自の希望があるため、より厳密な管理が求められます。計算間違いをしてしまうと、所得税が課税されてしまったり、扶養から外れてしまったりすることがあります。
このような管理体制ではトラブルになることもありますし、従業員との信頼関係も失われてしまうため、正確な労働時間を把握できる体制を整えておきましょう。
6. 勤怠管理システムで業務を効率化して、法改正に対応していこう
働き方改革の推進で、企業は従業員の正確な労働時間の把握、有給休暇の消化、多様な働き方の実現に向けて対応していかなくてはいけません。
また、それに伴い法も整備されており、それに適応した対処も必要になります。それら全てを、企業の勤怠管理担当者が対応していくには、時間も手間もかかってしまうため大きな業務負担になる可能性があります。
勤怠管理システムを導入すれば、担当者の業務負担を解決することも可能です。まずは、自社の勤怠管理の問題点を挙げ、運用にあった勤怠システムの導入をおすすめします。
関連記事:中小企業向け勤怠管理システム|導入前の課題、導入後の効果とは
関連記事:大企業が導入すべき勤怠管理システムを選ぶ際のポイント4つ
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