配偶者特別控除の所得金額はいくらまで?年末調整や年収の壁との関係を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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配偶者特別控除の所得金額はいくらまで?年末調整や年収の壁との関係を解説

考える男女年末調整の時期になると、社員から「配偶者控除と配偶者特別控除の違いが分からない」といった質問を受けることも多いのではないでしょうか。特に令和7年からの税制改正により、適用条件が変更されるため、最新の情報を正確に把握しておくことが大切です。

本記事では、配偶者特別控除の基本情報と2025年の税制改正による変更点、年末調整や「年収の壁」との関係性まで、人事担当者向けにわかりやすく解説します。

令和7年分の年末調整の変更点 すべて把握できていますか?

令和7年度の税制改正によって、令和7年12月の年末調整から変更が生じます。また、令和7年11月20日に施行された通勤手当の非課税限度額の改正によって、新たに年末調整の対応が必要となるケースもあります。

  • 「令和7年分の年末調整で提出する書類は?」
  • 「年収の壁の引き上げで年末調整はどう変わった?」
  • 「通勤手当の非課税限度額の改正で年末調整が必要になる従業員は?」

このような疑問をお持ちの方に向けて、令和7年分の年末調整に必要な書類から対象者、計算の流れまで、年末調整に関する基本的な業務を図解でわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。

業務の進め方に不安のある方や、抜け漏れなく対応したい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1.  配偶者特別控除とは

配偶者特別控除と配偶者控除の所得要件を図説したグラフ

引用:いわゆる「年収の壁」対策|首相官邸

配偶者特別控除とは、納税者本人の合計所得金額が1000万円以下で、配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下の場合に、その所得金額に応じて受けられる所得控除制度の1つです。

令和7年分(2025年分)以降は、従来の「48万円超」という所得要件の下限が「58万円超」に引き上げられました。

この制度は、配偶者の所得が58万円を超えたために「配偶者控除」の適用が受けられなくなった場合でも、急に税負担が大きくならないように設けられたものです。配偶者の所得金額に応じて控除額が段階的に設定されているのが特徴です。

なお、配偶者特別控除は、夫婦の間で互いに受けることはできません。

参考:No.1195 配偶者特別控除|国税庁

1-1. 配偶者控除との違い

配偶者特別控除とよく似た制度に「配偶者控除」があります。この2つの制度は、控除の対象となる配偶者の合計所得金額によって、どちらが適用されるかが決まります。

配偶者控除とは、納税者本人の合計所得金額が1000万円以下で、配偶者の合計所得金額が58万円以下の場合に適用される所得控除です。

2つの制度の違いは、配偶者の所得が一定額を超えて「配偶者控除」が受けられなくなった場合に、代わりに適用されるのが「配偶者特別控除」という点です。

  • 配偶者控除:配偶者の合計所得金額が58万円以下の場合に適用
  • 配偶者特別控除:配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下の場合に適用

このように、配偶者特別控除は、配偶者控除の適用範囲から外れても、所得金額に応じて段階的に控除を受けられるように設けられた制度と理解するとよいでしょう。

なお、これら2つの控除は併用できず、どちらか一方のみが適用されます。

参考:No.1191 配偶者控除|国税庁

2. 【2025年(令和7年)税制改正】配偶者特別控除等の適用条件が変わる

ポイントをゆびさす

政府が公表した「令和7年度税制改正大綱」に基づき、2025年(令和7年)から所得税に関する控除制度が見直されました。これは、パートタイム労働者をはじめとする多くの人々の就労を後押しし、税負担を軽減することを目的としています。

この改正は、原則として令和7年度以後の所得税に適用され、実務上は2026年1月以降におこなう年末調整や、令和8年度分以後の個人住民税から反映されます。

改正の大きなポイントは、基礎控除と給与所得控除の引き上げです。

  • 基礎控除:合計所得金額2,350万円以下の納税者を対象に、48万円から58万円に引き上げられます。
  • 給与所得控除:最低保障額が55万円から65万円に引き上げられます。

 

これらの変更に伴い、配偶者控除および配偶者特別控除の適用対象となる配偶者の所得要件も、次のように変わりました。

  • 配偶者控除:合計所得金額58万円以下
  • 配偶者特別控除:合計所得金額58万円超133万円以下

 

変更内容をいわゆる「年収の壁」に置き換えると、配偶者控除の適用上限である「103万円の壁」は「123万円の壁」になります。また、配偶者特別控除で満額の控除が受けられる上限である「150万円の壁」は「160万円の壁」へと見直されます。

関連記事:103万円の壁撤廃はいつから?150万円・160万円の引き上げや税制改正の適用時期を解説

人事担当者としては、これらの変更点を正確に理解し、従業員への説明資料の更新や、年末調整書類のチェック項目の見直しなど、早めの対応準備を進めておくことが重要です。

参考:令和7年度税制改正の大綱の概要|財務省

3. 配偶者特別控除の適用条件

Q&Aのブロック

配偶者特別控除を受けるためには、控除を受ける納税者本人と、その配偶者の双方がそれぞれ次の要件をすべて満たす必要があります。

納税者本人の要件

  • その年における合計所得金額が1000万円以下であること。

配偶者の要件

  • 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しない)。
  • 控除を受ける人と生計を一にしていること。
  • その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと。
  • 年間の合計所得金額が58万円超133万円以下であること。
  • 配偶者自身が、配偶者特別控除を適用していないこと。
  • 給与所得者または公的年金等の受給者として、源泉控除対象配偶者がある居住者として源泉徴収されていないこと(年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除く)。

非居住者の配偶者がいる場合の注意点

配偶者が海外に住んでいるなど非居住者である場合、配偶者特別控除を受けるためには、上記の要件に加えて次の書類の提出または提示が必要です。

  • 親族関係書類:戸籍の附票の写しなど、配偶者であることを証明する書類。
  • 送金関係書類:金融機関の送金依頼書やクレジットカードの利用明細書など、納税者がその年に配偶者の生活費や教育費に充てるための支払いを、必要の都度おこなったことを明らかにする書類。

これらの条件を1つでも満たさない場合は控除の対象外となるため、年末調整の際には慎重な確認が求められます。

参考:No.1195 配偶者特別控除|国税庁

4. 【早見表】配偶者控除・配偶者特別控除の所得金額はいくらまで?

はてなの吹き出し

配偶者控除および配偶者特別控除の控除額は、納税者本人の合計所得金額と、配偶者の合計所得金額によって細かく定められています。

令和7年分以降に適用される控除額の早見表をまとめました。

■配偶者控除の額(令和7年度以降)

配偶者の合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合は123万円以下)の場合に適用されます。

納税者本人の合計所得金額 控除額

(一般の控除対象配偶者)

控除額

(老人控除対象配偶者※)

900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円

※老人控除対象配偶者とは、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の配偶者を指します。

■配偶者特別控除の額(令和7年度以降)

配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下(給与収入のみの場合は123万円超201.6万円未満)の場合に適用されます。

配偶者の合計

所得金額

給与収入のみの場合の目安 納税者本人の合計所得金額
900万円以下 900万円超

950万円以下

950万円超

1,000万円以下

58万円超

95万円以下

123万円超

160万円以下

38万円 26万円 13万円
95万円超

100万円以下

160万円超

165万円以下

36万円 24万円 12万円
100万円超

105万円以下

165万円超

170万円以下

31万円 21万円 11万円
105万円超

110万円以下

170万円超

175万円以下

26万円 18万円 9万円
110万円超

115万円以下

175万円超

180万円以下

21万円 14万円 7万円
115万円超

120万円以下

180万円超

185万円以下

16万円 11万円 6万円
120万円超

125万円以下

185万円超

190万円以下

11万円 8万円 4万円
125万円超

130万円以下

190万円超

195万円以下

6万円 4万円 2万円
130万円超

133万円以下

195万円超 201.6万円未満 3万円 2万円 1万円

参考:令和7年分 給与所得者の配偶者控除等申告書|国税庁

5. 配偶者特別控除と年末調整の関係

年末調整の吹き出しと電卓

年末調整とは、従業員の毎月の給与から源泉徴収された所得税の合計額と、その人が本来納めるべき年間の所得税額を一致させるための精算の手続きです。

関連記事:年末調整とは?目的や確定申告との違い、基本的な流れを人事担当者向けに解説

配偶者特別控除は、年末調整の中で適用される所得控除の1つです。従業員は、年末調整の時期に会社から配布される「給与所得者の配偶者控除等申告書」に必要な情報を記入し提出することで、配偶者特別控除の適用を申告します。

5-1. 必要な書類と手続き

配偶者特別控除の適用を受けるために従業員から提出してもらう書類は、「給与所得者の配偶者控除等申告書」です。

令和7年分からは、「給与所得者の基礎控除申告書」および「所得金額調整控除申告書」と一体型の様式になります。

人事担当者がおこなう手続きの流れは次のとおりです。

  1. 年末調整の時期に、対象となる従業員へ申告書を配布します。
  2. 従業員は、自身の合計所得金額の見積額や、配偶者の氏名、マイナンバー、合計所得金額の見積額などを記入し、会社へ提出します。
  3. 人事担当者は、提出された申告書の内容に不備がないかを確認します。特に、配偶者の所得金額が控除の適用範囲内であるか、納税者本人の所得制限を超えていないかなどをチェックします。
  4. 確認後、早見表(本記事の4章を参照)などを用いて正しい控除額を算出し、その従業員の年税額の計算に反映させます。

配偶者の所得を証明する書類(源泉徴収票のコピーなど)の添付は、原則として不要ですが、申告書の内容に疑義がある場合など、会社が必要と判断した際には提出を求めることがあります。

参考:給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書|国税庁

より詳しい申告書の書き方については、次の記事で解説しています。

関連記事:配偶者控除等申告書の書き方を徹底解説!令和7年度年末調整と法改正内容

5-2. 人事担当者の注意点

配偶者特別控除の手続きをスムーズに進めるため、人事担当者は次の点に注意しましょう。

配偶者の所得金額の正確な把握

配偶者の「合計所得金額」は給与収入とは異なります。特に複数の勤務先がある場合や給与以外の所得がある場合は計算が複雑になるため、源泉徴収票などを基に正確な金額を申告してもらうよう周知しましょう。

納税者本人の所得制限の確認

従業員本人の合計所得金額が1000万円を超えると適用対象外です。給与以外の所得がある従業員などは特に注意して確認しましょう。

年末調整後の修正について

年末調整後に申告内容の誤りが判明した場合、会社での再調整はできません。従業員本人が確定申告で修正する必要があることを事前に伝えておきましょう。

令和7年からの変更点の周知

令和7年からの所得要件の変更点をわかりやすく周知し、従業員が正しく申告できるようサポートすることが重要です。

関連記事:2025年(令和7年)の年末調整の変更点!手続きのポイントもわかりやすく解説

関連記事:年末調整の計算方法は?対象者や流れ、注意点など網羅的にご紹介

6. 配偶者特別控除と「年収の壁」の関係

年収の壁のブロック

近年、「年収の壁」が社会的な関心事となっていますが、2025年からの税制改正は、この壁と配偶者特別控除の関係にも影響を与えます。ここでは、人事担当者として知っておくべきポイントを解説します。

関連記事:103万円の壁撤廃はいつから?150万円・160万円の引き上げや税制改正の適用時期を解説

関連記事:年収の壁とは?税金や社会保険の負担が生じる103万、106万、130万、150万の壁を解説

6-1. 年収の壁はどう変わったのか

2025年からの税制改正により、所得税における「年収の壁」が引き上げられました。これは基礎控除と給与所得控除の額が変更されたためです。

改正前の「壁」 改正後の「壁」(給与収入のみの場合) 概要
103万円の壁 123万円の壁 納税者(扶養者)の所得税が発生しなくなるライン(配偶者控除の適用上限)が、基礎控除と給与所得控除の引き上げに伴い拡大。
150万円の壁 160万円の壁 配偶者特別控除の満額(38万円)が受けられる配偶者の年収上限ラインが拡大。

これにより、配偶者がこれまでより多くの収入を得ても、世帯主が税制上の優遇を受けられる範囲が広がりました。

関連記事:年収の壁はどうなった?2025年最新動向と人事が押さえるポイント

6-2. 改正による配偶者特別控除への影響

年収の壁の変更による配偶者特別控除への最も大きな影響は、控除額満額である38万円(納税者本人の所得900万円以下の場合)を受けられる配偶者の年収上限が、150万円から160万円に引き上げられた点です。

パートタイムで働く配偶者が就労時間を調整する際、従来よりも柔軟な働き方を選択しやすくなります。納税者にとっては、世帯全体の手取り収入を維持、あるいは増加させやすくなるというメリットがあります。

6-3. 人事業務で変わること

この改正に伴い、人事担当者の業務にもいくつかの変更点が生じます。

年末調整の案内時には、新しい年収の壁である123万円や160万円の基準について、正確な情報を従業員へ提供する必要があります。社内FAQや説明資料なども最新の情報へ更新しましょう。

年末調整の申告様式は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(通称:マル基・配・特・所)という複合様式に変更されます。扶養親族等の所得要件拡大(58万円以下)や特定親族特別控除の新設といった変更点も踏まえ、申告内容を正確にチェックすることが求められます。

また、自動で様式変更に対応しない年末調整機能を持つ給与計算システムを利用する場合は、基礎控除額の細分化や給与所得控除の最低保障額引き上げ(65万円)といった改正に対応できるよう、計算ロジックの更新や設定の見直しが不可欠です。

7. 配偶者特別控除の基本をおさえてスムーズに人事手続きを進めよう

書類とペン

配偶者特別控除は、税制改正によって適用条件が変更されるなど、人事担当者が把握しておくべき情報が多い制度です。特に令和7年分からの変更は、多くの従業員に関わる可能性があります。

本記事で解説した基本知識や改正のポイント、年末調整での注意点をおさえ、従業員からの問い合わせに的確に対応し、スムーズな年末調整業務をおこないましょう。

令和7年分の年末調整の変更点 すべて把握できていますか?

令和7年度の税制改正によって、令和7年12月の年末調整から変更が生じます。また、令和7年11月20日に施行された通勤手当の非課税限度額の改正によって、新たに年末調整の対応が必要となるケースもあります。

  • 「令和7年分の年末調整で提出する書類は?」
  • 「年収の壁の引き上げで年末調整はどう変わった?」
  • 「通勤手当の非課税限度額の改正で年末調整が必要になる従業員は?」

このような疑問をお持ちの方に向けて、令和7年分の年末調整に必要な書類から対象者、計算の流れまで、年末調整に関する基本的な業務を図解でわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。

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