社会保険の扶養とは?加入条件と手続き、130万円の壁についても解説

従業員から「家族を社会保険の扶養に入れたい」と相談を受けた際は、対象となる家族の収入だけでなく、続柄や生活実態(同居・別居)の確認が必要です。
本記事では、社会保険の扶養に認定されるための要件、扶養に入るメリット、具体的な手続きの方法を解説します。
目次
労務担当者の実務では、社会保険の加入条件を正しく理解していることが求められます。
一方で、度重なる法改正により、適用条件が変更されたり、パートやアルバイトの加入条件が複雑で、正しく理解できているか不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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1. 社会保険における扶養とは

社会保険とは、病気やケガ、出産、死亡、老齢、障害、失業などで生活が困難になった際に給付をおこない、国民の安心と生活安定を図る社会保障の制度です。
広い意味では、健康保険・厚生年金保険・介護保険・労災保険・雇用保険のことを指します。
さらに分類すると、労災保険と雇用保険を「労働保険」といい、健康保険と介護保険、厚生年金を「社会保険」と分類されます。
関連記事:社会保険とは?企業や従業員の加入条件や手続き方法、適用拡大など注意点を解説
扶養とは、年齢、障害、失業などによって自力で生活を維持することが難しい家族や親族を経済的に支援する仕組みです。扶養には、社会保険(健康保険法)上の扶養と所得税法上の扶養があります。社会保険の被扶養者となった場合、被扶養者は自分自身で新たに社会保険に加入しなくても、一定の保障を受けることが可能です。
1-1. 税法上の扶養との違い
税法上では、扶養を受ける人は「配偶者」と「扶養親族」に区分されます。従業員(納税者)に所得税法上の「控除対象配偶者」がいる場合、その納税者は「配偶者控除」として一定額の所得控除を受けることができます。
控除対象配偶者となる主な要件の一つは、年間合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であることです。所得が給与のみの場合は、給与収入103万円以下が目安となります。
ただし、配偶者の所得が48万円を超えて配偶者控除の対象外となった場合でも、所得が一定範囲内であれば「配偶者特別控除」を受けられる可能性があるので確認しましょう。
関連記事:配偶者控除等申告書の書き方を徹底解説!令和6年度年末調整の基礎知識
2. 健康保険で扶養に入るための条件とは

社会保険(健康保険)における扶養に入るための条件は、単に家族関係があるだけでなく、年間収入や同居の状況など複数の要件を満たさなければなりません。
ここでは、加入者の多い全国健康保険協会(協会けんぽ)の被扶養者の範囲を元に解説します。
2-1. 社会保険の被扶養者になる範囲
社会保険(健康保険)の被扶養者の範囲は、大きく2つに分類されます。
<範囲①被保険者と同一世帯および同居の必要がない人>
被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人は、被保険者と同一世帯であることや、同居の必要もなく、被扶養者の対象になります。配偶者は、事実上婚姻関係と同様の人も含む点に注意が必要です。
直系尊属とは、被保険者(従業員)から見て直線的につながる上の世代の親族のことを指します。具体的には、被保険者本人の父母、祖父母、曽祖父母などが該当し、配偶者の父母、祖父母、曽祖父母はここには該当しないので注意しましょう。ただし、次の範囲②に該当する可能性があります。
<範囲②被保険者と同一世帯に属し、同居の必要がある人>
範囲②は、被保険者と同一の世帯に属し、主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人です。こちらは同一の世帯に属し、同居して家計を共にしている必要があります。
- 被保険者の三親等以内の親族(範囲①に該当する人を除く)
- 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
- 2.の配偶者が亡くなった後における父母および子
三親等以内の親族とは、本人(被保険者)と子とその配偶者、孫とその配偶者、曾孫とその配偶者、兄弟姉妹とその配偶者、甥姪とその配偶者、伯叔父母とその配偶者、さらに、配偶者の父母、祖父母、曽祖父母、兄弟姉妹、甥姪、伯叔父母のことです。ただし、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は除きます。
また、税法上の配偶者は婚姻関係にある人に限定されるのに対し、社会保険法上の配偶者は事実上、婚姻関係と同様の人も含まれます。
なお、厚生年金保険法上は「扶養」という概念はなく、「配偶者のみ」第3号被保険者となることができます。例えば、20歳の子供がいた場合、健康保険上の被扶養者にはなれますが、厚生年金保険法における第3号被保険者にはなれず、本人が保険料を納付します。
配偶者の国民年金第3号被保険者に関する届出は、健康保険の「被扶養者(異動)届扶養」と同一の書式となっており、手続きは一体となって処理されるため特段問題はありませんが、制度の仕組みを理解しておきましょう。
2-2. 扶養対象になる家族の収入要件
被扶養者として認定されるには、被保険者の収入による生計維持の認定が必要です。ここでは被扶養者の認定基準を説明します。
まず、被扶養者の認定を受けるもの(認定対象者)と被保険者が同一世帯に属している(同居して家計を共にしている状態)かどうかによって基準が異なります。
<①認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合>
認定対象者の年間収入が以下2つの基準を満たした場合に被扶養者となります。
- 130万円未満であること(※1)
- 被保険者の年間収入の2分の1未満であること
<②認定対象者が被保険者と同一世帯に属しているが、上記の2条件に該当しない場合>
認定対象者の年間収入が以下2つの基準を満たすと、被扶養者となる場合があります。
- 130万円未満であること(※1)
- 被保険者の年間収入を上回らない場合には、その世帯の生計の状況を果たしていると認められるとき
<③認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合>
認定対象者の年間収入が以下2つの基準を満たした場合に被扶養者となります。
- 130万円未満であること(※1)
- 被保険者からの援助による収入額より少ない場合
年間収入とは、過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んで算出したものです。健康保険の手続きの際、所得税法の規定により控除対象配偶者または扶養親族と認定されている場合、事業主の証明があれば添付書類は不要です。ただし、実務上は被扶養者の収入を証明する書類(給与明細、雇用契約書、確定申告書など)を収集し、年間収入が基準以下であることを確認しましょう。
(※1)認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満
参考:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構
3. 社会保険の扶養における年収金額の壁

「社会保険の年収の壁」とは、社会保険の扶養に入れるかどうかを左右する収入の上限を指します。扶養認定の際には、「年間収入130万円未満(被保険者の年収の2分の1未満)」が基本のラインとなりますが、週20時間以上勤務など一定の条件を満たすと「106万円の壁」も適用されるなど基準が複数あるので注意が必要です。ここでは、代表的な年収の壁について解説します。
3-1. 106万円の壁
「106万円の壁」とは、被扶養者の年収が106万円を超えると、一定の条件を満たす場合に社会保険への加入が必要になるという収入の基準を指します。具体的には、パートタイマー等の短時間労働者が以下の要件を満たす場合です。
- 厚生年金保険の被保険者数が常時51人以上の事業所で働いている場合
- 所定内賃金が月額8.8万円以上(年収換算で約106万円)である場合
※所定内賃金には残業代、賞与、臨時的賃金を含まない
- 週の所定労働時間が20時間以上である場合
- 雇用期間が2カ月を超えて見込まれる場合
- 学生でない場合
3-2. 130万円の壁
被扶養者が厚生年金保険の被保険者数が常時50人以下の事業所で働いている場合には、上記「106万円の壁」は適用されず、原則の「130万円」が上限となります。
年収が130万円を超えると、社会保険の被扶養者から外れ、自分で国民年金・国民健康保険に加入して保険料を負担しなければなりません。この保険料の発生により、収入が増えても手取りが減少する可能性があるため「壁」と呼ばれています。
なお、収入には、働いて得た給与収入だけでなく、自営業等の事業収入、公的年金(老齢年金、障害年金、遺族年金など)、失業給付金(雇用保険の基本手当)、育児休業給付金、傷病手当金、不動産収入、その他の継続的な収入が含まれます。
重要なポイントは、これらの収入は「課税・非課税を問わず」すべて収入として算定される点です。税法上の取扱いや考え方とは異なるため、非課税収入であっても被扶養者認定の収入要件の判断では収入として含まれるので注意しましょう。
関連記事:130万円の壁とは?企業がすべき配慮や超えた場合の手続きを解説
4. 2024年10月から社会保険の適用範囲が拡大

2024年10月から、パート・アルバイトなどの短時間労働者に対する社会保険(厚生年金保険・健康保険)の適用範囲がさらに拡大されました。2022年10月以降は、厚生年金保険の被保険者数が101人以上の事業所が「特定適用事業所」として適用義務の対象となっていましたが、2024年10月からはこの基準が緩和され、被保険者数51人以上の事業所まで対象が広がっています。
現時点では、2024年10月の適用拡大以降の具体的な法改正のスケジュールは明示されていません。ただし、政府は全ての働く人が将来に安心感を持てるよう、被用者保険のさらなる適用拡大を進めるという方針を示しており、将来的には適用事業所の規模要件のさらなる引き下げ(51人未満の企業への拡大)や、適用要件の緩和(週20時間以上の要件や月額88,000円以上の要件の見直し)、学生アルバイトへの適用拡大の可能性も考えられます。
参考:被用者保険の適用拡大及びいわゆる「年収の壁」への対応について|厚生労働省
関連記事:社会保険適用拡大とは?拡大対象となる企業や対応方法を解説
5. 社会保険の被扶養者を追加するときの手続き方法と必要書類

被扶養者を扶養に加えるには、被保険者(扶養者)が事業主を通して届出をおこなう必要があります。従業員から配偶者や子などを扶養に入れたいとの申出があった場合は、以下の手順と方法で届出をおこないましょう。
なお、以下では全国健康保険協会(協会けんぽ)における手続きを紹介しています。保険者が健康保険組合の場合には、必要書類や提出先が異なりますので別途加入している健康保険組合にご確認ください。
5-1. 手続き時期
手続き時期は、事実発生から5日以内です。期限を過ぎたことによる罰則はありません。ただし、手続きの遅延により、被扶養認定対象者が医療機関を受診する際に、システム上での資格情報が更新されずマイナ保険証が利用できない可能性や、健康保険資格確認書の発行が遅れてしまう恐れがあります。
その際には、被扶養認定対象者が医療費を一旦全額(10割)自己負担しなければならず、事業主としても後日払い戻しを受ける等の対応が求められます。被扶養認定対象者に対して、金銭的な負担を与えるリスクがあるため、速やかに手続きをおこないましょう。
5-2.必要な書類
被扶養者を扶養に加える手続きに必要な書類は以下の通りとなります。
届出様式:「健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」
添付書類:
- 前職を退職した場合:退職証明書または雇用保険被保険者離職票の写し
- 雇用保険失業給付受給中または雇用保険失業給付の受給終了の場合:雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知の写し
- 年金受給中の場合:現在の年金受取額がわかる年金額の改定通知書などの写し
- 自営(農業等含む)による収入、不動産収入等がある場合※直近の確定申告書の写し※自営業者についての収入額は、当該事業遂行のための必要経費を控除した額となります。
- 上記以外にほかの収入がある場合:課税(非課税)証明書
障害年金、遺族年金、傷病手当金、出産手当金、失業給付等の非課税対象となる収入がある場合は、別途「受取金額のわかる通知書等のコピー」が必要です。
その他にも、被保険者と別居している被扶養者が対象の場合には、仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類を、内縁関係の確認が必要な場合には内縁関係にある両人の戸籍謄(抄)本と被保険者の世帯全員の住民票の提出が必要となります。
なお、これらは一例です。追加で書類が必要となる場合もあるため、被扶養認定対象者ごとに必要書類の確認をおこないましょう。
参考:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構
5-3.届出書の提出先
前項記載の書類の提出先は、日本年金機構(事務センターもしくは管轄の年金事務所)です。
保険者が健康保険組合の場合には、健康保険は別途組合への手続きとなり、年金(第三号被保険者)の手続きのみ日本年金機構への提出となります。それぞれ提出の様式や添付書類、提出先が異なりますので注意しましょう。
5-4.提出方法
提出方法は下記のいずれかにより選択が可能です。
- 電子申請(届出作成プログラム、市販ソフトを使用した電子申請、e-Gov電子申請)
- 郵送
- 窓口への持参
「e-Gov電子申請」は、デジタル庁が運営する行政ポータルサイトです。年金事務所への各種申請手続きを24時間オンラインでおこなうことができます。電子申請の際には電子証明書またはGビズIDが必要となり、発行までに2~3週間かかるので、利用の際には早めに手続きを進めましょう。
参考:電子申請・電子媒体申請(事業主・社会保険事務担当の方)|厚生労働省
6. 社会保険の被扶養者から外れる条件と手続き

社会保険の被扶養者から外れる条件とその際の手続きについて解説します。
6-1. 社会保険の被扶養者から外れる条件
社会保険の被扶養者は、年収が基準額を超えた際や、就職、結婚、離婚、死亡等の場合に扶養から外れます。例えば、扶養している配偶者が就職し、給与見込みが130万円を超えた場合、配偶者は勤務先で健康保険・厚生年金に加入する義務が生じ、扶養から外れることとなります。
また、同居を要件とする被扶養者が転居して別居することとなった場合も、扶養から外れる手続きが必要です。
6-2. 社会保険の被扶養者から外れた場合の手続き
社会保険の被扶養者から外れる際には、まず被保険者が事業主を経由して「被扶養者(異動)届」を日本年金機構へ提出します。配偶者が扶養から外れる場合には「国民年金第3号被保険者関係届」を併せて提出し第3号被保険者に該当しなくなったことを届け出ます。
その後、扶養から外れた配偶者や家族が、自身の勤務先で社会保険の加入要件を満たしている場合には、その勤務先で「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出し加入手続きを進めます。
収入の基準を超えた場合や、離婚などで扶養を外れて国民健康保険に加入する際は、本人または世帯主が住所地の市区役所または町村役場で手続きをおこないます。この際、国民年金第1号被保険者への切り替えの手続きも同時に実施します。
医療費の二重給付やその返還手続きの発生、保険料の遡り徴収といったトラブルを避けるためにも、被扶養者の異動があった際には速やかに届け出ましょう。
7. 社会保険の扶養に家族を入れるメリット

家族を社会保険の被扶養者とすると、被扶養者が保険料を負担せずに健康保険の給付や制度の保障を受けられるうえ、年金保険料も免除されるため、経済的なメリットがあります。本章では、被保険者と被扶養者の視点から、社会保険の扶養に入るメリットを詳しく解説します。
7-1. 被扶養者の社会保険料が免除になり、手取りが増える
社会保険の扶養に入ると、被扶養者は社会保険料の負担が免除されるため、被扶養者は自ら保険料を納める必要がなくなります。
例えば、パートの配偶者が年間収入を基準内に抑えて扶養に入っている場合、健康保険や年金保険料を月々数万円負担せずにすみます。扶養制度による社会保険料の免除は、家計の負担を軽減し、扶養される家族にとって大きなメリットとなるでしょう。
7-2. 被保険者の社会保険料は増えない
社会保険の扶養制度の最大のメリットは、「被保険者本人の社会保険料は増えない」という点です。
社会保険では、被扶養者が何人増えても被保険者が支払う保険料に変化はありません。
健康保険料は被保険者の標準報酬月額に保険料率を掛けて算出され、被扶養者の人数に関わらず一定です。この点は、国民健康保険(世帯の人数によって保険料が変わる)とは異なる大きな特徴です。
7-3. 扶養手当を得られる可能性がある
家族を社会保険の扶養に入れると、会社の就業規則に基づき「扶養手当(家族手当)」が支給されるケースがあります。多くの場合は、社会保険上の扶養認定基準と手当の支給条件をそろえていますが、自社の就業規則ではどのように定められているのか確認しておきましょう。
関連記事:扶養手当とは?家族手当との違いや金額・条件を詳しく解説
8. 社会保険の扶養に入れるデメリット

社会保険の扶養に入ることで保険料負担がなくなる一方デメリットはあるのでしょうか。具体的な内容をチェックしましょう。
8-1. 被扶養者の年金収入が減少する
20歳以上60歳未満の者が被扶養者となった場合、年金制度においては「国民年金第3号被保険者」となります。国民年金第3号被保険者は、国民年金保険料を納める必要はなく、国民年金第3号保険者期間は保険料納付済期間(その期間保険料を払ったもの)として扱われます。
例えば、フルタイム正社員(第2号被保険者:厚生年金・国民年金共に加入)からパートタイムに変更し、社会保険被扶養者(第3号被保険者:国民年金のみに加入)となった場合、国民年金に関しては加入区分の変更のみで将来もらえる年金額には影響はありません。
一方、厚生年金に関しては、加入していた期間の報酬に応じて年金額が決定されます。扶養に入っている期間は厚生年金に未加入となるため、その期間分の年金収入は減少します。
そのため、フルタイム正社員で働く場合と比較すると、扶養に入った場合は保険料はかからないものの将来もらえる年金額は減少することを認識しておきましょう。
関連記事:厚生年金保険料とは?保険料率や計算方法などわかりやすく解説
8-2. 被扶養者が収入を管理・制限する必要がある
扶養内で収入を得る場合、収入の基準を超えないように管理する必要があります。
例えば、シフト勤務により、月ごとで勤務時間や日数が変動する場合や、繁忙期に残業や追加シフトがある場合、ボーナスや一時金の支給がある場合にも注意が必要です。
被扶養者を扶養に入れ続けたい場合には、給与明細を毎月確認し、年間収入が基準を超えないような調整をしなければなりません。
8-3 .被扶養者が病気・怪我で休んだ際の保障はない
健康保険上の保険給付の中で、被保険者は受けられるが被扶養者は受けられない保険給付に「傷病手当金」があります。傷病手当金は、被保険者が病気や怪我のために会社を休み、給料を受けられないときに支給される手当です。
被扶養者にはこの給付がおこなわれないため、病気・怪我で休んだ際の保障はありません。
9. 社会保険の扶養への加入条件を正しく理解し適切に運用しよう

社会保険における扶養とは、被保険者の家族が保険料の負担なく医療や年金の保障を受けられる仕組みです。扶養には、保険料がかからず一定の保障が受けられるメリットがある一方、被扶養者の年間収入の管理や、怪我や病気の際の収入保障がないことなどのデメリットにも注意が必要です。従業員には、メリット・デメリットを伝えたうえで、加入条件に当てはまった従業員には丁寧な説明を行い適切な運用をおこないましょう。
また、扶養に入る際の手続きは、従業員である被保険者から回収すべき書類があるため、必要事項を事前に案内しておくとスムーズに進められます。正しい手続きの流れを理解し、、扶養者や家族に必要な保障が提供されるように適切に運用をおこないましょう。
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