同一労働同一賃金はいつから適用された?ガイドラインの考え方や対策について - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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同一労働同一賃金はいつから適用された?ガイドラインの考え方や対策について

ガイドライン

2018年6月29日に「働き方改革関連法」が成立したことにより、すべての企業を対象とした同一労働同一賃金の制度が導入されました。大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月から適用されています。

同一労働同一賃金の実現に向けて取り組む企業は、制度が適用されたタイミングを改めて確認しておきましょう。本記事では、同一労働同一賃金の導入時期、制度の理解に欠かせない厚生労働省のガイドラインの内容、そして企業が講じるべき具体的な対応策について詳しく解説していきます。

▼そもそも「同一労働同一賃金とは?」という方はこちら
同一労働同一賃金とは?派遣・非正規の待遇における規定や法改正の背景をわかりやすく解説

労務リスクに備える。 「同一労働同一賃金」対応の再点検を

意図せず不合理な待遇差を放置してしまうと、思わぬ労使トラブルに発展する可能性があります。
企業の信頼性を守るためにも、客観的な視点での定期的な見直しが不可欠です。

◆押さえておくべき法的ポイント

  • 「均衡待遇」と「均等待遇」の判断基準
  • 企業に課される「待遇に関する説明義務」の範囲
  • 万が一の紛争解決手続き「行政ADR」の概要

最新の法令に対応した盤石な体制を構築するために参考になりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 同一労働同一賃金はいつから適用された?大企業・中小企業それぞれの導入時期を解説

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そもそも同一労働同一賃金がいつから施行されたかというと、2020年4月1日からです。同一労働同一賃金は2020年4月1日に施行された「パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)」で整備されたものです。

パートタイム・有期雇用労働法が適用されたのは、大企業では2020年4月1日から、中小企業では1年の猶予期間を経た2021年4月1日からです。つまり、大企業・中小企業ともに同一労働同一賃金の適用がすでにスタートしており、不合理な待遇差の解消に向けた取り組みが必要です。

なお、厚生労働省によると、中小企業とは以下の定義のいずれかを満たす事業者のことを指します。

業種 資本金の額または出資の総額 常時使用する労働者数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 100人以下
卸売業 1億円以下
その他(製造業、建築業、運輸業など) 3億円以下 300人以下

不合理な待遇差の解消のため、就業規則の見直しなどが必要になった場合、労働者への説明が求められるケースがあります。

このように、同一労働同一賃金の原則は大企業だけでなく中小企業にも適用されています。そのため、その実現に向けて社内制度の整備や見直しを着実に進めることが重要です。

参考:不合理な待遇差の禁止(同一労働同一賃金)について|厚生労働省

関連記事:パートタイム・有期雇用労働法の内容を分かりやすく解説
関連記事:同一労働同一賃金で中小企業が受ける影響や対応しない場合のリスクを解説

1-1. 労働者派遣法改正により2020年4月から派遣労働者も対象に!

平成30年に改正された労働者派遣法に基づき、2020年4月からは派遣労働者にも、同一労働同一賃金の考え方が適用されています。これにより、パートやアルバイトなどの短時間労働者、契約社員などの有期雇用労働者に加え、派遣労働者についても不合理な待遇差の解消が求められています。

なお、派遣労働者の待遇は「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」のいずれかの方式により決定することが派遣元事業主に義務付けられているので、正しく制度の理解を深めておきましょう。

参考:派遣労働者の同一労働同一賃金について|厚生労働省

関連記事:労使協定方式や同一労働同一賃金における派遣会社の責任について

1-2. 同一労働同一賃金に違反すると罰則はある?

パートタイム・有期雇用労働法の「同一労働同一賃金」の規定に違反したとしても、直接的な罰則は設けられていません。しかし、厚生労働大臣は、不合理な待遇差が認められる場合などに、事業主に対して報告を求めたり、助言・指導・勧告をおこなったりすることが認められています(法第18条)。

さらに、勧告に従わない場合には、その事実および企業名が公表される可能性があります(法第18条)。また、法に基づく報告を怠った場合や虚偽の報告をおこなった場合には、20万円以下の過料が科されることもあります(法第30条)。

加えて、待遇差が「不合理」であると判断された場合には、労働者から損害賠償請求を受けるリスクもあります。これは裁判などを通じて実際に企業が賠償責任を負うケースもあり、企業のブランドイメージや信頼性にも深刻な影響を及ぼしかねません。

このようなリスクを回避し、適切な雇用環境を維持するためにも、法令に基づき、同一労働同一賃金の原則に則った待遇の見直しや社内制度の整備に取り組むことが重要です。

参考:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)第18条、第30条|e-Gov法令検索

関連記事:同一労働同一賃金の問題点と日本・海外との考え方の違いを解説!法改正の影響とは?

2. 同一労働同一賃金ガイドラインの考え方4つのポイント

KEYPOINTS

厚生労働省は同一労働同一賃金の導入を目指す企業を対象として、「同一労働同一賃金ガイドライン」を作成しています。同一労働同一賃金ガイドラインには、同一労働同一賃金の実現のために企業が対応しなければならない4つの取組内容が記載されています。

厚生労働省のガイドラインの要点を順に解説します。

参考:同一労働同一賃金ガイドライン|厚生労働省

2-1. 基本給・昇給の不合理な待遇差をなくす

基本給には、企業の給与体系によって「労働者の能力又は経験に応じて支払うもの」「業績又は成果に応じて支払うもの」「勤続年数に応じて支払うもの」など、さまざまなものがあります。

厚生労働省のガイドラインでは、いずれの形態の基本給でも、「実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給」をおこなうよう求めています。

また、昇給についても雇用形態によらず、「同一の能力の向上には同一の、違いがあれば違いに応じた昇給」をおこなう必要があります。

関連記事:同一労働同一賃金で業務における責任の程度はどう変化する?

2-2. 賞与も労働者の貢献に応じて支給する

基本給だけでなく、毎年の賞与(ボーナス)の不合理な待遇差をなくすことも大切です。厚生労働省のガイドラインに基づき、賞与は「同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給」をおこないましょう。

関連記事:同一労働同一賃金で賞与はどうなる?契約社員やパートを賞与なしにするリスク

2-3. 各種手当も同一の労働に対し同一の支給をおこなう

各種手当についても同一の労働に対し、原則的に同一の支給をおこなわなければなりません。

厚生労働省のガイドラインでは、各種手当として「役職手当」「特殊作業手当」「特殊勤務手当」「精皆勤手当」「時間外労働手当」「深夜・休日労働手当」「通勤手当・出張旅費」「食事手当」「単身赴任手当」「地域手当」などを挙げています。

これらの手当について、正社員と非正規雇用労働者の間で差別的取扱いをせず、条件が同じ場合は同一の支給をおこなう必要があります。

関連記事:同一労働同一賃金で各種手当はどうなる?最高裁判例や待遇差に関して
関連記事:同一労働同一賃金で交通費はどうなる?判例や課税について解説

2-4. 福利厚生や教育訓練の機会を均等化する

雇用形態によらず、福利厚生や教育訓練の機会を均等化することも大切です。厚生労働省のガイドラインでは、以下のようなものを福利厚生の具体例として例示しています。

  • 食堂、休憩室、更衣室といった福利厚生施設の利用
  • 転勤の有無等の要件が同一の場合の転勤者用住宅
  • 慶弔休暇
  • 健康診断に伴う勤務免除・有給保障
  • 病気休職
  • 法定外の有給休暇その他の休暇

とくに病気休職の場合、無期雇用労働者の場合は正社員と同一の付与を、有期雇用労働者の場合も労働契約期間を考慮したうえで同等の付与をおこなう必要があります。

また、教育訓練の機会についても、「同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施」が求められます。

関連記事:同一労働同一賃金における福利厚生の待遇差や実現するメリットとは

3. 企業が取り組むべき同一労働同一賃金の対策

対策する様子

これから同一労働同一賃金に取り組む企業は、厚生労働省の「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」を確認しましょう。

パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書は、同一労働同一賃金の実現に向けて、社内制度の点検や改定をおこなうための手順を示したパンフレットです。厚生労働省の手順書によると、企業が取り組むべき同一労働同一賃金の対策は6つのステップに分かれています。

参考:パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書|厚生労働省

3-1. 労働者の雇用形態を確認する

短時間労働者や有期雇用労働者を雇用している企業は、まずパートタイム・有期雇用労働法(同一労働同一賃金)の対象となる労働者をリストアップしましょう。

3-2. 待遇の状況を確認する

次に「賃金」「賞与」「各種手当」「福利厚生・教育訓練」の4項目について、正社員と非正規雇用労働者の間で、待遇の違いがあるかをチェックしましょう。わかりやすく整理するため、雇用区分ごとに書き出し、文書化しておくことをおすすめします。

3-3. 待遇に違いがある場合、違いを設けている理由を確認する

正社員と非正規雇用労働者の間で待遇の違いがある場合には、なぜ取り扱いに差があるのかを確認しましょう。例えば、職務内容や責任の違い、異動・配置転換の範囲、就業の継続性などに基づいて、合理的な理由がある場合、その待遇差は法律上問題とはされません。こちらも雇用区分ごとに書き出し、文書化しておくと良いでしょう。

3-4. 待遇の違いが「不合理ではない」ことを説明できるようにしておく

パートタイム・有期雇用労働法第14条により、正社員と非正規雇用労働者の待遇に違いがある場合、労働者から求めがあれば、企業にはその内容および理由を説明する義務があります。

この説明義務は、待遇差が不合理でない場合であっても適用されるため、企業としては、各種待遇の差の理由を明確に整理し、いつでも適切に説明できるよう準備しておくことが重要です。

参考:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)第14条|e-Gov法令検索

3-5. 待遇の違いに「法違反」が疑われる場合は早期の脱却を

もし正社員と非正規雇用労働者の待遇の違いに法違反の疑いがある場合は、早急な是正が求められます。パートタイム・有期雇用労働法では、直接的な罰則は設けられていませんが、不合理な待遇差を放置すれば、訴訟や行政指導の対象となる可能性があります。非正規雇用労働者の活躍の場を広げ、多様な働き方を実現するためにも、公正な待遇の確保に取り組みましょう。

関連記事:同一労働同一賃金で就業規則の見直しは必要?待遇差の要素や注意点

3-6. 改善計画を立てて取り組みを進める

同一労働同一賃金の実現に向けて、まずは改善計画の策定が重要です。経営層の視点だけでなく、必要に応じて現場で働く労働者の意見を取り入れ、公正な待遇を目指した具体的な取り組みを進めましょう。

不合理な待遇差を放置すれば、人材の流出や訴訟・損害賠償などのリスクが生じる可能性があります。企業としての信頼性を確保するためにも、担当部署は早期かつ主体的な対応をおこなうことが大切です。

当サイトでは、同一労働同一賃金に対して不安な点があるご担当者様向けに、「同一労働同一賃金 対応の手引き」という資料を無料で配布しております。同一労働同一賃金の基礎知識や企業が対応すべきことなどを図を用いながら解説しておりますので、不安な点があるご担当者様は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

4. 同一労働同一賃金の適用開始から数年:継続的な見直しを

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金は、大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月から適用されています。これに対応する企業は、厚生労働省が作成した「同一労働同一賃金ガイドライン」および「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」の2点を必ず確認しましょう。

同一労働同一賃金の原則は、基本給にとどまらず、各種手当、賞与、福利厚生、教育訓練など、幅広い項目に適用されます。そのため、部分的な対応ではなく、職務内容や人材活用方針を踏まえた総合的な見直しが求められます。

労務リスクに備える。 「同一労働同一賃金」対応の再点検を

意図せず不合理な待遇差を放置してしまうと、思わぬ労使トラブルに発展する可能性があります。
企業の信頼性を守るためにも、客観的な視点での定期的な見直しが不可欠です。

◆押さえておくべき法的ポイント

  • 「均衡待遇」と「均等待遇」の判断基準
  • 企業に課される「待遇に関する説明義務」の範囲
  • 万が一の紛争解決手続き「行政ADR」の概要

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