労働基準法はアルバイトにも適用!有給や労働時間の扱いに注意しよう - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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労働基準法はアルバイトにも適用!有給や労働時間の扱いに注意しよう

アルバイト

労働基準法では職業の種類に関係なく事業に使用される者で、賃金を支払われる者は全て労働者に該当し、労働基準法が適用されます。

それは正社員・契約社員・嘱託などさまざまな雇用形態であっても同じです。

もちろんアルバイトにも労働基準法が適用されますが、時間給で雇用し、週の勤務時間が人それぞれのケースばかりですからよくわからないこともあるでしょう。

そこで今回は労働基準法に準じたアルバイトの雇用方法や注意点などを解説します。

▼そもそも労働基準法とは?という方はこちらの記事をまずはご覧ください。
労働基準法とは?雇用者が押さえるべき6つのポイントを解説

\人事担当者向け労基法を5分でおさらい/ 労働基準法違反にならないための必須知識まとめ

人事担当者であれば、労働基準法の知識は必須です。しかし、その内容は多岐にわたり、複雑なため、全てを正確に把握するのは簡単ではありません。

◆労働基準法のポイント

  • 労働時間:36協定で定める残業の上限時間は?
  • 年次有給休暇:年5日の取得義務の対象者は?
  • 賃金:守るべき「賃金支払いの5原則」とは?
  • 就業規則:作成・変更時に必要な手続きは?

これらの疑問に一つでも不安を感じた方へ。当サイトでは、労働基準法の基本から法改正のポイントまでを網羅した「労働基準法総まとめBOOK」を無料配布しています。

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1. アルバイトの労働時間・休憩・割増賃金

休憩

労働基準法ではアルバイトも労働者として認められており、労働時間や休憩などが定められています。

また、労働基準法第56条1項では「使用者は、児童が満15歳に達した日以降の最初の3月31日が終了するまで使用してはならない」と定められており、一部の例外を除いて中学生が就業できないのはそのためです。

1-1. アルバイトの労働時間

法定労働時間は労働基準法第32条に次のとおり規定されており、アルバイトの法定労働時間は、休憩を除いて1日で8時間以上・1週間で40時間以上の労働を禁止しています。

第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
引用:労働基準法|e-Gov法令検索

18歳未満の場合、法定労働時間に制限がある

さらに18歳未満の労働者については深夜労働(22時〜5時)が原則禁止されています。
繁忙期などにアルバイトの労働者に頼ってしまうケースは多々ありますが、18歳未満の場合はこの制限があることを忘れないようにしましょう。

1-2. アルバイトの割増賃金

割増賃金に関しては労働基準法第37条に規定されており、どうしても事情があって、法定労働時間外でアルバイトを労働させる場合は、残業扱いとなり割増賃金が適用されます。

雇用主は残業したアルバイトに対して、通常賃金の25%以上割増しした賃金を原則1分単位で払わなければなりません。例えば通常の時給が1,000円であれば、法定労働時間外の労働分の時給は1,250円以上にする義務があります。

また深夜の割増賃金は時間外労働と同様に25%以上の割増が必要で、法定休日の出勤があった場合は割増賃金が35%以上へと変わるため、割増賃金の計算は気を付けておこなわなければトラブルへとつながる可能性があります。

関連記事:労働基準法第37条における割増賃金規定の正しい計算方法

1-3. アルバイトの休憩時間

休憩時間に関しては労働基準法第32条に規定されており、アルバイト労働者も正社員と同様に権利として労働から離れる(=休憩)する時間も保証されています。

6時間を超えて勤務した場合は45分以上、8時間を超えて勤務した場合は1時間以上の休憩を取らせる必要があり、合計で45分以上であれば複数回に分けて休憩させても問題ありません。

2. アルバイトにも有給を取得する権利がある

権利

アルバイト従業員の多くはシフト制で勤務しており、休日も自己申告制のことが多いです。正社員とは異なる働き方ですが、アルバイトであっても有給休暇は取得できます。アルバイトの有給休暇の条件や賃金について知っておきましょう。

2-1. アルバイトが有給を取得できる条件

アルバイトは以下の条件を満たすと有給を取得できます。正社員とは異なるため、しっかりと区別して有給休暇の計算をおこないましょう。

  • 雇用された日から6ヵ月以上継続して勤務している
  • 週1日以上もしくは年48日以上勤務している
  • 決められた出勤日の8割以上に出勤している

さらに付与される有給休暇の日数は週の所定労働日数や週の所定労働時間により決まっています。
週5日以上または週30時間以上労働している場合は、初年度で年間10日間の有給休暇が付与されます。

そのあと翌々年まで1年に1日ずつ、それ以降は1年に2日ずつ増やした日数が付与されますが、20日間の上限が設けられています。

また、有給休暇の有効期限は2年間です。1年間で消化しきれなかった分はその翌年まで繰り越されますが、翌々年まで残った分は消滅します。

2-2. アルバイトの有給期間の賃金

アルバイトが有給を取得した期間に支払われる賃金は次の3つの方法の中で雇用主が選択肢、雇用契約や就業規則などにあらかじめ明記する必要があります。

平均賃金で計算する

労働基準法によって定められている計算方法で算出した平均賃金で計算する方法です。以下のいずれかの式に当てはめて平均賃金を計算し、支給します

過去3ヶ月間に該当する労働者に支払った賃金の総額 ÷ その期間の総日数

過去3ヶ月間に該当する労働者に支払った賃金の総額 ÷ その期間の実労働日数

この計算式のうち、金額が高くなる方が平均賃金になり、有給休暇の日数に応じて支給します。

通常の賃金で計算する

通常通り勤務した場合に支払う賃金で計算をする方法です。

所定労働時間が一定である場合、所定労働時間に時給をかけて計算する方法や、勤務予定シフトの時間を基準に計算する方法があります。

この方法は、所定労働時間が一定のアルバイト従業員の有給休暇中の賃金を計算する際に用いられることが多いです。

標準報酬日額で計算する

社会保険料の標準報酬月額を日割りした金額で支払う方法も可能です。

標準報酬月額÷30日の計算式で求めた賃金を支払う形になりますが、この場合前述した2つの計算方法よりも有給休暇中の賃金が低くなることがあります。

労働者にとって不利な計算方法になってしまうため、標準報酬日額で支払う場合は労使協定による取り決めが必要です。

参考:標準報酬月額の決め方|全国健康保険協会

2-3. 有給取得に関係する権利と時季変更権

有給休暇は従業員本人が任意のタイミングで取得することが原則です。しかし、従業員の有給休暇の取得によって正常な業務が遂行できない場合に限り、雇用主には休暇の取得時期を変更する権利が認められています。これを「時季変更権」といい、従業員の雇用形態がパートやアルバイトの場合にも適用される使用者側の権利です。

ただし、使用者側は有給休暇の日程を変更できますが、有給休暇の取得そのものを認めないとすることは禁じられています。また、単に「忙しい」「代わりの人がいない」という理由だけでは変更できないため注意が必要です。

このほか、時季変更権が行使できない事例がありますが、気になる方は以下の関連記事をご覧ください。

関連記事:労働基準法におけるパート・アルバイトの有給休暇の条件と計算方法

3. アルバイトでも災害補償を受ける権利がある

男性

アルバイトでも災害補償を受ける権利があることは、企業の担当者や経営者にとって知っておくべき重要なポイントです。労働基準法に基づき、アルバイトが通勤中や仕事中に怪我や病気をした場合、労災保険が適用されます。例えば、通勤中に事故に遭ったり、仕事中に作業中の不注意で怪我をした場合でも、医療費や薬代は労働保険で全額負担されます。これは、自分の健康保険を使用した場合の3割自己負担と比べて大きなメリットがあります。

休憩中や私的行為で発生した怪我や病気は補償の対象外となります。このため、労働基準監督署が判断し、正当な請求と認められた場合にのみ補償が受けられます。

労働者に有資格の補償権を拒むことなく、正しい情報提供とサポートをおこなうことは、企業の責任であり信頼性を高める要素でもあります。自身や従業員の負担を減らし、安全な労働環境を提供するため、適切な災害補償の知識を持つことが重要です。

4. アルバイトの解雇にも正当な理由が必要

一人ひとりに注目するアルバイトであっても会社都合の解雇は労働基準法によって厳しく制限されています。企業がアルバイトを解雇するには正当な理由が必要であり、これは正社員と同様の権利として認められています。バイト先がバイトを一方的に解雇することはできません。

例えば、アルバイトが会社のルールを逸脱したり、企業に対して深刻な損害を与えたりした場合に限り、解雇が認められる可能性があります。しかし、通常の業務過程において会社都合でアルバイトを解雇することはまず考えられません。解雇理由が正当でない場合、企業は法律違反となり得ます。

さらに、会社都合で解雇された場合、アルバイトは失業手当を受ける権利があります。一方、自己都合とされる退職の場合は失業手当の支給開始が遅れるなどのデメリットが存在します。したがって、企業側が自己都合の退職を強要することは不当です。アルバイト従業員に対しても、法律を守った適切な解雇の手続きをしましょう。

5. アルバイトの労働基準法で注意が必要なポイント

ポイント

アルバイトは時間で雇用できる便利な労働力と考える企業も多いかもしれませんが、労働基準法でさまざまなことが定められています。
万が一、違反があると、罰金刑などが課せられる可能性もあるため注意が必要です。

ここからは労働基準法によるアルバイト雇用に関係する違反例や注意点について解説します。

5-1. アルバイトの有給申請も認めなければならない

先ほども解説した通り、条件を満たしていればアルバイト雇用であっても有給休暇は取得する権利があります。

アルバイトだからというだけで事前に申請されたにもかかわらず、有給を認めなかった場合、30万以下の罰金が課せられることもあるため注意が必要です。

5-2. 勤怠管理を適切におこなう

アルバイトは時間給であることがほとんどで、誰がいつ、何時から何時まで勤務したか、勤務時間はしっかり把握する必要があります。

タイムカードを切るタイミング、休憩時間、残業代の説明などはあらかじめ詳細なルールを作っておくことでアルバイトの誤解や不正によるトラブルを防げます。

なお、従業員のタイムカードは原則として5年間の保管義務があります。この部分も怠らないように十分に注意しましょう。

5-3. 過度なペナルティを設けるのは違法になる

労働基準法の第91条には、制裁規定の制限という項目があります。この条文には「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」と記載されています。

労働契約法第91条に規定される減給には具体的には以下のようなルールがあります。

  • 減給の総額が賃金総額の10分の1を超えてはいけない
  • 1日の減給額が平均賃金1日分の半分を超えてはいけない

減給のルールは雇用者が決めることですが、労働基準法でこの2つの制限を超えるようなペナルティは禁止されています。例えば、5日連続で遅刻したからといって、1日分の賃金を減らすのは違法です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

関連記事:労働基準法第91条に規定された「減給の限度額」の意味や計算方法

5-4. 最低賃金を下回ってはいけない

最低賃金について定めた最低賃金法は昭和34(1959)年4月15日に公布されました。最低賃金法では次のように定義されています。

第四条 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
引用:e-Gov法令検索「最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)」

雇用主は、最低賃金を適用する労働者の範囲や具体的な金額などを労働者に対して広く知らせなければなりません。

アルバイトに支払われる賃金は雇用契約によって決められますが、都道府県ごとに定められた最低賃金を下回ることは禁止されています。アルバイトに入ったばかりの研修期間であったり、能力が低いからというような理由でも原則、最低賃金を下回らないように給料を支払わなくてはなりません。

詳しく知りたい方は以下の関連記事をご覧ください。

関連記事:労働基準法に基づく最低賃金とは?その基準や違反への罰則を解説

5-5. 18歳未満の年少者は残業・休日労働ができない

アルバイト従業員の中には学生もおり、高校生の労働者もいるケースが多いです。18歳未満の労働者には、労働基準法で残業・休日労働・深夜労働が禁止されています。

深夜労働に該当するのは、22時~翌朝5時までの深夜時間帯の勤務です。この時間帯以外であれば労働することは可能ですが、必ず法定労働時間を守ったシフトにしなければなりません。

忙しさや急な欠勤によってシフトの延長が必要な場合でも、このルールは守らなければなりません。未成年を雇用する際は十分に注意しましょう。

5-6. 健康診断を受けさせる義務が発生するケースがある

事業者は常時使用する労働者に対して、年に一度の定期健康診断を実施しなければなりません。これは正規・非正規問わずに対象になります。

そのため、以下の条件を満たすアルバイトにも健康診断を受けさせる必要があります。

  • 雇用期間の定めがないか、1年以上の長期雇用契約をしている
  • 1年以上継続して雇用している
  • 1週間の労働時間が通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上である

いずれか1つでも条件を満たす場合は、当該従業員に対して健康診断を受けさせる義務が生じます。

なお、健康診断の実施費用は事業者が負担すべきものであるとされています。

6. アルバイトでも賃金の支払いの5原則を厳守する

女性

労働基準法では次のように5つの原則を定めています。

賃金については、労働基準法第24条において、(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと規定されています(賃金支払の五原則)。
引用:賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。|厚生労働省

上記のとおり、使用者は労働者に支払う賃金について、それぞれ定めた上で支払う義務があります。

店の売り上げがよくないからといって実物支給や本来の給料の一部だけしか支払わなかったり、決められた給料日を遅れて支給するなどは認められません。これはアルバイトに限らず労働者全員に該当することであるため、注意が必要です。

詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

関連記事:労働基準法に定められた賃金とその支払い方法を分かりやすく解説

7. アルバイトの権利を十分に理解して正しく雇用しよう

女性

労働基準法における労働者にはアルバイト雇用も含まれており、労働時間や休憩・有給休暇、減給の制限、最低賃金など多くのことが定められています。

また、学生など18歳未満の労働者については深夜時間や時間外・休日勤務の労働が禁止されているため注意が必要です。

時間給で雇用できるアルバイトは便利な労働力ですが、労働基準法でその権利はしっかり守られています。
違反があると罰金が課せられるなど企業側にペナルティが発生するため、注意が必要です。

\人事担当者向け労基法を5分でおさらい/ 労働基準法違反にならないための必須知識まとめ

人事担当者であれば、労働基準法の知識は必須です。しかし、その内容は多岐にわたり、複雑なため、全てを正確に把握するのは簡単ではありません。

◆労働基準法のポイント

  • 労働時間:36協定で定める残業の上限時間は?
  • 年次有給休暇:年5日の取得義務の対象者は?
  • 賃金:守るべき「賃金支払いの5原則」とは?
  • 就業規則:作成・変更時に必要な手続きは?

これらの疑問に一つでも不安を感じた方へ。当サイトでは、労働基準法の基本から法改正のポイントまでを網羅した「労働基準法総まとめBOOK」を無料配布しています。

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