年末調整を忘れた場合に発生する問題と対処法をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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年末調整を忘れた場合に発生する問題と対処法をわかりやすく解説

年末調整

年末調整とは、従業員の給料から天引きしている源泉所得税を正確な税額に計算し直し、過不足分を調整する処理のことです。企業は必ずおこなわなければならず、忘れた場合はさまざまな問題が発生します。

今回は、年末調整をし忘れてしまった場合に考えられるリスクについて解説するとともに、適切な対処法を紹介します。

関連記事:年末調整とは?やり方や計算方法、確定申告との違いをわかりやすく解説

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1. 年末調整を忘れた場合の問題とリスク

リスク

年末調整を忘れた場合に起こりうる問題は、以下の4つです。

  1. 納めすぎた税金の還付を受けられない
  2. 納める住民税の納税額が高くなる
  3. 受けられるはずの控除が受けられない
  4. 従業員が確定申告をしなくてはいけなくなる

いずれも従業員が被るデメリットですが、企業側にも罰則が発生します。また、信用を失うことになりかねないため、従業員だけの問題ではありません。

1-1. 納めすぎた税金の還付を受けられない

通常、従業員の年末調整を会社でおこなった場合には、納めすぎた税金の還付(払い戻し)を受けられます。源泉徴収で納めすぎていた分を取り戻せるわけです。

源泉徴収による納税済み所得税額と納めるべき所得税額の差は、年末調整をしなければ税務署側は把握できません。そのため、企業が年末調整をしないと、従業員が所得税を払いすぎていても取り戻せなくなります。

還付される金額は収入によって異なりますが、10万円前後が還付されるケースもあります。従業員の収入を増やすためにも、年末調整は忘れてはなりません。

▼そもそも還付金の意味が分からない方はこちら
年末調整での返金(還付金)の仕組みやいつもらえるかを解説

1-2. 住民税の納税額が高くなる

従業員が納める住民税の金額は、年末調整でおこなわれた所得控除から算出されます。

年末調整を忘れた場合には、所得控除がされずに収入に対してそのまま住民税がかかってしまいます。大幅な納税額の増加につながってしまうでしょう。

適切な所得控除を従業員が受けるためにも、年末調整は必須なのです。

1-3. 受けられるはずの控除が受けられない

年末調整をおこなうと、従業員はさまざまな控除を受けられます。例えば、配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除のほか、社会保険料を受けたときに受けられる社会保険料控除などです。年末調整を忘れた場合、従業員はこれらの各種控除を受けられず、所得控除と同様に納税額が増えてしまいます。

また、生命保険料控除や地震保険料控除、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)といった控除も同様に影響を受けます。
納税額が増加することは、従業員の経済的な負担を増やすだけでなく、結果として生活の質を下げる可能性があります。これらの控除を最大限に活用するためにも、年末調整の手続きを確実に実施することが必須です。

▼各控除の説明はこちら
年末調整の社会保険料控除とは?対象となる保険の種類まとめ
年末調整の障害者控除とは?その範囲や金額を詳しく解説
年末調整における「ひとり親控除」の対象や寡婦控除の違い

1-4. 従業員が確定申告をしなければいけなくなる

会社が年末調整を忘れてしまうと、ここまで説明したようなデメリットを従業員が被ることになります。しかし、確定申告をおこなえばこれらの問題には対応できます。

ただし、確定申告は従業員が自分でおこなわなければなりません。企業に勤めている人は確定申告をしたことがないケースも多く、また手続きも複雑な部分があります。

税金や還付金が適切に処理されたとしても、業務的な負担が増えてしまうため「確定申告をすればいい」という考えで年末調整を軽視してはなりません。

ここまで解説したように、年末調整を忘れることによる影響は大きいです。また、年末調整において抜け漏れが発生していたり、故意に不正をおこなったりした場合、最悪のケースで罰金や懲役が企業に科される可能性があります。そのようなことにならないためにも、年末調整に必要な業務をあらかじめ把握し、抜け漏れなく対応する必要があります。当サイトでは、年末調整の手順や必要な書類をまとめた資料を無料でお配りしています。ミスなどが発生しないように参照しながら業務をおこないたい方は、こちらから「年末調整のガイドブック」をダウンロードしてご活用ください。

2. 年末調整の提出期限はいつまで?

期限

年末調整を忘れていなくても、うっかり期限を過ぎてしまうと忘れたときと同じことになります。

年末調整の書類を提出する期限を正確に把握し、遅れないように余裕を持って対応しましょう。

2-1. 年末調整の提出期限

会社で取りまとめた従業員の年末調整書類を税務署に提出する期限は、翌年の1月31日までとなっています。

会社側では、原則的に12月に1月1日から12月31日までの従業員の給与について所得税を計算し、所轄の税務署長へ申告をおこないます。

そのため、11月から12月頃を目処に、以下で挙げる年末調整関係書類を従業員に記入、提出してもらわなければなりません。

関連記事:年末調整はいつまでにやるべき?気になる提出期限とは
関連記事:年末調整はいつ行うの?毎年の時期や提出期限について

2-2. 従業員が提出する年末調整関係書類

従業員が記入し、提出すべき年末調整関係書類は次の3つです。

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書
  3. 給与所得者の基礎控除申告兼給与所得者の配偶者控除等申告兼所得金額調整控除申告書

以下、それぞれについて簡単に説明します。

1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、従業員が給与の扶養控除を受けるときに必要な書類です。控除の要件にあたる扶養家族がいるときは、扶養控除を受けることで、本来納めるべき税金の負担を軽減することができます。

この申告書には、扶養者の氏名、生年月日、収入の有無などを記載する必要があります。扶養控除を正確に申告することで、従業員の税負担を減少させることができるので、各自での記入が重要です。

2. 給与所得者の保険料控除申告書

給与所得者の保険料控除申告書は、従業員が保険料(生命保険料や地震保険料等)の控除を受けるときに必要となる書類です。

この申告書には、従業員が支払った各種保険料の金額を正確に記入する必要があります。保険料控除は、従業員の課税所得を減少させる効果があり、その結果、納めるべき税金を軽減することが可能です。従業員は、保険証券や領収書を確認しながら、正確に数値を記入することが求められます。

3. 給与所得者の基礎控除申告兼給与所得者の配偶者控除等申告兼所得金額調整控除申告書

従業員が年末調整で基礎控除や配偶者(特別)控除、または所得金額調整控除を受ける際に必要となる書類です。

この申告書には、配偶者の収入や扶養の状況に関する詳細が記入される必要があります。特に、基礎控除は全納税者に適用される基本的な控除であり、配偶者控除や所得金額調整控除の申告が正確であることが求められます。

従業員は自身の状況に応じて、必要な情報を記入することで税金の還付を受ける可能性があります。また、控除が受けられるかどうかは、配偶者の収入や家族構成によって変わるため、事前に必要な情報を整理しておくことが重要です。

3. 年末調整関係書類の提出期限はいつまでが理想?

困っている女性

年末調整を会社が進めるには、従業員から必要な書類を提出してもらわなくてはなりません。提出が遅すぎるとその影響で年末調整が間に合わなくなります。

年末調整関係書類の提出期限は、会社でおこなう事務処理を考慮した時期にする必要があります。そのため、税務署に提出する期限である1月31日ではなく、その1ヶ月前にあたる12月末を目処に提出するよう、従業員に周知しておくとよいでしょう。

どんなに遅くても、1月中旬には書類がすべて揃っている状態が望ましいです。

なかには、保険会社など外部から発行してもらう書類の添付が必要となる場合があります。提出書類の一覧や発行元なども合わせて周知すると良いでしょう。

4. 年末調整を忘れた場合の対処法

困っている男性

もし従業員が、本来提出すべき時期までに会社までに年末調整の書類を提出し忘れた場合には、適切に対処しなければなりません。

主な対応方法は以下の2種類です。

  • 1月末までで年末調整の再計算を実施する
  • 2月から3月に実施される確定申告で申請する

ただし、望ましいのは必要書類をそろえて通常の年末調整をおこなうことです。万が一の方法として考えておきましょう。

4-1. 1月末までで年末調整の再計算を実施する

12月末の給与までで年末調整をおこなっている場合、会社によっては1月末まで年末調整の再計算を実施することができます。

年末調整に必要な書類の提出を忘れた従業員がいた場合、年末調整の再計算で対応できる旨を伝え、なるべく早く書類をそろえてもらうようにしましょう。

▼年末調整の再調整について詳しく知りたい方はこちら
年末調整の再調整を正しく行うポイントや必要なものを解説

4-2. 2月から3月に実施される確定申告で申請する

年末調整がどうしても間に合わなかった場合は、従業員本人に確定申告をしてもらうことになります。該当する従業員には、源泉徴収票と添付書類を所轄の税務署まで持参し、手続きするよう伝えましょう。

なお、通常、確定申告の期限は2月16日から3月15日です。

確定申告の期限に遅れた場合、無申告加算税(本来の納税額プラス15%から20%の追加税の支払い)および延滞税(年7.3%から14.6%の追加税の支払い)が罰則として科されます。

従業員には確定申告の期限を正確に伝え、忘れずに申告するよう促してください。

関連記事:年末調整しないことによる罰則内容を詳しく紹介

4-3. パート・アルバイトの従業員が年末調整を忘れた場合

働き方の区分によらず年末調整は必要となるため、注意が必要です。パートやアルバイトの従業員についても、年末調整を忘れた場合、前述のリスクを負うことになります。特に、扶養控除や配偶者控除が適用されないと、支払うべき税金が増えてしまうため、最終的な所得が減少することになります。

また、従業員が年末調整をきちんと行わないことで、次年度の住民税にも影響が出るため、注意が必要です。パート・アルバイトが年末調整を忘れた場合も、ここまでに紹介した2つの方法で対応が可能です。

再計算を行ったり、確定申告を通じて申請ができるため、必要な手続きをしっかり進めることが求められます。適切に対処して、トラブルにならないようにしましょう。

また、企業側もパートやアルバイトに対しても適切な説明を行い、必要な書類の提出を促すことが重要です。従業員に対し、年末調整の意義や必要性を理解してもらうための研修や説明会を設けることも効果的です。これにより、従業員が自らの税務処理に責任を持ち、正確な手続きを行うことへの意識を高めることにつながります。

▼企業側が負うリスクについて知りたい方はこちらをチェック
年末調整をしないとどうなる?考えられる5つのリスクを解説

5. 年末調整を忘れると発生する問題を理解して余裕を持って対応しよう

やり方

年末調整を忘れた場合、還付金を受け取ることができないなど、従業員にとっての不利益が生じます。また、その後の確定申告もおこなわずに放置していると、場合によっては企業が罰則の対象となる可能性があるため、要注意です。

会社側は従業員が正しく年末調整の申請ができるよう、やり方や期限などについて早めにアナウンスを出しておくことが大切です。万が一、従業員が申請を忘れてしまった場合は、本記事で紹介した方法で適切に対処しましょう。

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