給与計算ミスへの対処法は?要因をおさえミスの防止につなげよう
更新日: 2024.12.26
公開日: 2020.12.11
OHSUGI
給与計算は総支給額の計算や税金の各種控除など、毎月多くの業務処理をおこないます。また、これは従業員に支払う給料の計算であるため、小さなミスも許されません。
しかし、働き方が多様化したり、従業員が増えたりすると、給与計算をミスするリスクが高まります。
今回は、もし給与計算のミスをしてしまった場合、どのように対処するべきか解説します。
また、本記事ではよくあるミスの例やミスの要因、またそれに応じた防止策をご紹介いたします。ミスは要因を知ることで防げます。ミスが起こりそうなパターンを把握して、防止に繋げましょう。
【給与計算のやり方について解説はコチラ▶【図解】給与計算ガイド!例を用いて給与計算のやり方を徹底解説!】
【給与計算業務のまとめはコチラ▶給与計算とは?計算方法や業務上のリスク、効率化について徹底解説】
給与計算のミスは、残業の割増率などの単純な計算間違いだけでなく、そもそも労働時間の集計が誤っていた、昇給や介護保険の新規加入などを反映し忘れ社会保険料の徴収金額を間違えていたなど、様々な要因で発生します。
当サイトでは、給与計算で生じるミスの対処方法を場合別に紹介した「給与計算のミス別対応BOOK」を無料で配布しております。
- 給与計算でミスが頻発していてお困りの方
- 給与計算業務のチェックリストがほしい方
- 給与計算のミスを減らす方法を知りたい方
上記に当てはまるご担当者様は、「給与計算のミス別対応BOOK」をぜひご覧ください。
目次
1. 給与計算でミスをしてしまった場合の対処法
給与計算でミスをしてしまい、支給額に間違いがあった時は、すぐに当該従業員へ謝罪をします。そのうえで、当月か翌月に給与が不足していれば追加で支給を、過払いであれば控除をしましょう。
給与計算でミスが発生した際の対応方法を詳しく解説します。
1-1. まずは発覚した段階で謝罪を
給与計算のミスが発覚した際、まずは対象の従業員にその旨を知らせ、すみやかに謝罪しましょう。
ミスが発覚した場合、給与明細を作成し直したり、過不足を調整したりする必要があります。しかし、それらの対応後に通知すると、従業員に不信感を持たれる要因にもなるため、ミスに気が付いたときはすぐに謝罪することが大切です。
【給与計算のミスで謝罪する方法を知りたい方はコチラ▶給与計算で間違いが発覚したときのお詫びで注意すべきこと】
1-2. 給与明細を訂正する
謝罪が完了したら、給与明細を修正します。
修正する項目によっては所得税や雇用保険料も再度計算しなければなりません。焦らず注意して修正作業をおこないましょう。
影響を与えてしまう基本的な項目は以下の通りです。
– |
所得税に影響を与える |
雇用保険料に影響を与える |
基本給 |
○ |
○ |
各種手当 |
○ |
○ |
欠勤/遅刻早退控除 |
○ |
○ |
通勤手当 |
○ |
○ |
健康保険料 |
○ |
|
厚生年金保険料 |
○ |
|
介護保険料 |
○ |
|
雇用保険料 |
○ |
1-3. 当月中に現金精算をおこなう
給与計算ミスに気付いた時は、可能であれば当月中に精算をおこないましょう。労働基準法第24条によって、「通貨で」「直接労働者に」「全額」「毎月1回以上」「一定の期日を定めて」支払わなければならないと規定されているためです(賃金支払の五原則)。
特に支払った給与に不足が生じている場合は、当月中に精算されないと、この賃金支払いの五原則に抵触する恐れがあるため注意しなくてはいけません。
現金で支払う場合には、すでに控除してしまった所得税や社会保険料も給与計算のやり直しが必要になるため、念頭に入れた上で対応をおこないましょう。
【給与計算のミスに関する人気記事はこちら▶給与計算で間違いが発覚したときのお詫びで注意すべきこと】
1-4. 翌月に過不足分(遅延損害金含む)を精算する
給与計算のミスに気付くタイミングによっては、当月中に精算するのが難しいという場合があるかもしれません。このときは、必ず本人の合意をとった上での対応が必要となります。
多く支給していた場合は、「調整金」などの項目で多く支給してしまった分の給与を差し引きます。不足している場合も同様に、翌月支給分の給与に「調整金」などとして足りなかった分を追加します。
2. 給与計算でよくあるミス6つ
給与計算をおこなう上でよくあるミスは次の6つです。
- 扶養から外れたあとの反映が漏れている
- 時間勤務の割増計算が漏れている
- 役職手当の反映が漏れている
- 40歳以降の介護保険料の控除が漏れている
- 月途中退職者の社会保険料控除誤り
- 社会保険制度改定に対する対応漏れ
それぞれを以下に詳しくご紹介していきます。
2-1. 扶養から外れたあとの反映が漏れている
「子どもが社会人となった」「配偶者の収入が増えた」など家族が扶養から外れたときは、配偶者控除や扶養控除などが受けられなくなるため、給与から所得税の徴収が発生します。
反映漏れがあった場合には、年末調整で差し引かれます。
2-2. 時間外労働の割増計算が漏れている
日本では労働基準法により「1日8時間、週に40時間」の法定労働時間が定められています。この法定労働時間を超えて残業した場合、割増した賃金を支払う必要があります。
割増率は労働状況や時間によって異なるので、給与計算の際は必ず確認しましょう。この割増計算が漏れてしまうと、給与計算ミスが発生します。
2-3. 役職手当や資格手当などの反映が漏れている
基本給とは異なる役職手当や資格手当といった各種手当の反映は、給与計算担当者がしっかりと把握しておく必要があります。
担当者側で正確な情報が共有されていないと、給与計算の間違いにつながってしまうため、昇格や資格など従業員に関する情報は常に更新しておくと良いでしょう。
2-4. 40歳以降の介護保険料の控除が漏れている
通常、介護保険料は40歳になる誕生日の前日を含む月から必要となります。5月20日生まれであれば5月分、5月1日生まれであれば4月分から徴収しなくてはいけません。
しかし、従業員数が多いことが要因で漏れが発生することもあり、給与計算時にミスを招いてしまいます。
2-5. 月途中退職者の社会保険料控除誤り
月途中で退職した従業員の社会保険料については、控除の対象となりません。そもそも社会保険料は月単位で計算おこない、加えて「資格喪失月の前月」までの分を徴収する仕組みとなっています。
うっかり差し引いてしまうことで、ミスの発生となってしまうことも少なくないため注意しましょう。
2-6. 社会保険制度改定に対する対応漏れ
保険料率や控除限度額の変更など、社会保険制度に関する法律や規制の改定がある場合には、迅速に対応する必要があります。対応漏れにより保険料の計算を誤ると、給与の訂正に加えて保険料の納付のし直しもせねばならず、非常に二度手間です。
必ず、最新の情報を把握し、適切な保険料を計算・控除するようにしましょう。
当サイトでは、「給与計算のミス別対応BOOK」という資料を無料配布しております。本資料では、給与計算のミスをした際の対処方法やその手順はもちろん、給与計算ミスが起こらない方法をチェックリスト付きで紹介しています。他にも遅延損害金など細かい情報も記載しており、給与計算の担当者にとっては大変参考になる資料となっておりますので、興味のある方はこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
関連記事:社会保険料の徴収ミスの対処法は?会社負担の必要性や発生の原因、防止策を解説
3. 給与計算のミスが発生する3つの要因
それではなぜ、上記で取り上げたようなミスが給与計算で発生しやすいのでしょうか。その要因について考えていきます。
一般的に「給与計算の複雑さ」「担当者のスキル不足」などが理由として考えられます。しかし、ほかにも給与計算でミスが発生する原因には次の3つが挙げられます。
- 固定給の頻繁な変更
- 手動での給与計算
- 働き方の多様化
ここでは、これら3つの原因について順に確認していきましょう。
3-1. 固定給の頻繁な変更
年に一度の給与額変更や、扶養家族の変更など固定給が変わるタイミングは多くあります。それにともなう社会保険料控除についても、都度見直しをおこなわなくてはいけません。
これらの変更が頻繁に起きている場合、処理が追いつかずに漏れが発生してしまう可能性があります。
3-2. 手動での給与計算
手作業によって給与計算をおこなっている場合、どうしても担当者の負担が大きくなります。また、自動計算でないためミスが発生しやすい状況にもなります。
データの転記ミスや計算ミスなど、手動での給与計算は、ミスが発生する可能性が高まるので注意が必要です。
3-3. 働き方の多様化
近年、働き方の多様化が広がっています。
例えば、パート・アルバイトといった従来からの働き方だけでなく、テレワークやフレックスタイムといった働き方を受け入れている企業も多くなってきました。
そのため、勤怠管理はますます複雑化し、労働時間の集計ミスや担当者の負担増加により、給与計算のミスが起こりやすいといった悪循環が
4. 給与計算の計算ミスによって起こるリスク
給与計算のミスは、単に従業員へ迷惑をかけるという以外にも、さまざまなリスクを生じさせます。
計算ミスによって未払い賃金が発生した場合、すぐに対応しなければ、労働基準法の賃金支払5原則の違反として30万円以下の罰金を科される恐れがあります。それだけでなく、労働基準監督署から是正勧告を受ける可能性もでてくるでしょう。
このほかにも、不足分の賃金支払いが遅れたことに対する遅延損害金を従業員に支払う可能性も出てきます。加えて、給与計算ミスと連動して納税額が不足していた場合も、納付期限から遅れた分の遅延損害金を支払わなくてはいけません。
会社の信用や費用面などにおいて損失を被る恐れがあるため、給与ミスをしないための対策を講じておくことが重要です。
5. 給与計算でミスをしない4つの防止策
ここまで給与計算でミスが発生する原因についてご紹介してきました。給与計算のミスを防ぐには、どのような方法を取るのが望ましいのでしょうか。
ここからは、その方法について4つご紹介します。
- チェックリストの作成
- 2人以上でのチェック体制
- 給与計算スケジュールの見直し
- 給与計算システムの導入
【給与計算のミスを防止する方法を詳しく知りたい方はコチラ▶給与計算のミスを防止する5つの施策を原因別に解説】
5-1. チェックリストの作成
給与計算をおこなう際に発生する業務をあらかじめリスト化しておくことで、作業漏れの発生を防げます。
従業員の異動や社会保険料の改定、定期的に発生する業務などを洗い出し、チェックリストを作成しておくのがおすすめです。
5-2. 2人以上でのチェック体制
手動での計算ミスやデータ転記の誤りなど、人為的ミスの発生防止のためにも、担当者1人の確認だけで完結することは避けましょう。1人の担当者のみに負担がかかることで、ミスが発生する可能性が高まります。
給与計算時のミスを防止するためにも、なるべく2人以上でのダブルチェック体制を取るようにするとよいでしょう。
【給与計算のダブルチェックを強化する方法を知りたい方はコチラ▶給与計算におけるダブルチェックの重要性と精度を上げる方法】
5-3. 給与計算スケジュールの見直し
給与計算ミスを削減するために、給与計算スケジュールの見直しをおこなってみましょう。
具体的なポイントとしては、「固定給などの従業員情報の変更を定期的に曜日固定で反映させることで、入力漏れの防止につなげる」「給与締め日を従業員に周知徹底し、給与計算業務にスムーズに移せる状況にする」「給与締め日から支給日までの間隔を十分にあけておき作業時間を確保する」などが挙げられます。
余裕のあるスケジュールはミス防止にもつながります。
【給与計算の流れを確認したい方はコチラ▶給与計算業務の流れ|月間と年間のスケジュールも紹介!】
5-4. 給与計算システムの導入
手動だと人為的ミスが発生しやすい給与計算ですが、システムを導入することにより、ミス発生のリスクが低減します。勤怠管理システムと連携できるものであれば、労働時間の集計を自動でおこなうことも可能です。
さらに、システムを導入することで、上記の通りミス発生のリスクが低減することに加え、給与計算における人的リソースを減らすことが可能になり、業務の効率化も期待できます。
システム導入の際には、セキュリティやコスト面も検討しながら、自社に合った製品を選ぶようにしましょう。
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給与計算のミスでお悩みの方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
関連資料:給与計算システムのジンジャー(ジンジャー) l 給与明細発行までをスムーズに
6. もう給与計算でのミスは繰り返さない!
今回は、給与計算でよくあるミスの要因とミスを防ぐ方法、またミスをしてしまった場合の対策などについてご紹介しました。
働き方の多様化が促進されるなか、今後ますます複雑化が予想される給与計算については、ミスの要因を把握し、ミスを防ぐための手立てをあらかじめ検討しておくことが重要となります。
給与計算でのミスを減少させるためにも、ぜひご紹介した内容を参考に対策を練ってみてはいかがでしょうか。
【給与計算が大変でやりたくない方へ▶給与計算が辛くてやりたくない人に知っておいてほしい4つの考え方】
給与計算のミスは、残業の割増率などの単純な計算間違いだけでなく、そもそも労働時間の集計が誤っていた、昇給や介護保険の新規加入などを反映し忘れ社会保険料の徴収金額を間違えていたなど、様々な要因で発生します。
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