勤怠管理のルールとは?企業が定めるべき8項目と法律上の注意 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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勤怠管理のルールとは?企業が定めるべき8項目と法律上の注意

オフィスにいる男性

「勤怠管理のルールを整備したいが、何をどこまで決めればいいのかわからない」「そもそも法律上、何が義務付けられているのか自信がない」と悩む人事・労務担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、勤怠管理のルールの目的から、企業が最低限守るべき法律上のルール、社内で定めるべき具体的な8項目、そしてルールを「作って終わり」にせず現場で機能させるための運用ポイントまで、順を追って解説します。

自社の勤怠ルールの整備・見直しに、ぜひ参考にしてください。

残業管理や残業代の計算、 正しく対応できていますか?

残業時間の管理や残業代の計算では、労働基準法で「時間外労働」と定められている時間を理解し、従業員がどれくらい残業したかを正確に把握する必要があります。
しかし、どの部分が割増にあたるかを正確に理解するのは、意外に難しいものです。

当サイトでは、時間外労働の定義や上限に加え、「法定外残業」と「法定内残業」の違いをわかりやすく図解した資料を無料で配布しております。
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1. 勤怠管理のルールとは?企業に求められる勤怠管理の目的

キャビネットから資料を探す人

勤怠管理のルールとは、従業員の出勤・退勤・休憩・残業・休日といった労働時間に関する取り決めを、社内であらかじめ明確に定めたものです。

単に打刻の方法を決めるだけでなく、労働基準法や労働安全衛生法にもとづく法的な義務を果たすための仕組みでもあります。

企業によっては、勤怠に関する社内ルールを「勤怠ルールブック」といった名称でまとめているケースもあります。こうした自社独自のルールづくりも大切ですが、その土台となるのは、まず法律で守らなければならない勤怠ルールです。

ここからは、法律上の基本ルールを確認していきましょう。

関連記事:勤怠とは?管理方法や管理項目など人事が知っておきたい基礎知識を解説!

1-1. 勤怠管理の対象となる項目(出退勤・休憩・残業・休日・欠勤)

企業が勤怠管理で把握すべき項目は、主に次のとおりです。

  • 出勤・退勤時刻
  • 休憩時間
  • 時間外労働・深夜労働の時間
  • 休日労働の有無
  • 遅刻・早退・欠勤の状況
  • 有給休暇の取得状況
  • 振替休日・代休の取得状況

これらの正確な記録・管理が、適正な労働時間管理の第一歩になります。

1-2. 労働基準法にもとづく賃金計算のための労働時間管理

企業が労働時間を正確に把握しなければならない理由のひとつが、賃金計算のためです。

労働基準法第37条では、法定労働時間を超える時間外労働、法定休日の労働、深夜労働に対して、通常より高い賃率で割増賃金を支払うことが義務付けられています。

割増賃金を正しく計算するには、従業員が実際に何時間働いたか、そのうち時間外労働や深夜労働が何時間あったかを、日々正確に記録しなければなりません。

労働時間の記録があいまいなままでは、割増賃金の未払いが発生し、労働基準法違反として是正勧告や罰則の対象となるおそれもあります。

つまり労働基準法の観点では、勤怠管理は「従業員に正しい賃金を支払うための土台」という位置づけになります。

関連記事:労働基準法第37条とは?割増賃金の計算方法や適用除外をわかりやすく解説

1-3. 労働安全衛生法にもとづく健康確保のための労働時間把握義務

労働安全衛生法第66条の8の3では、企業に対し、従業員の労働時間の状況の把握を義務付けています。この義務の目的は、長時間労働による健康障害を防ぐことです。

月80時間を超える時間外・休日労働があり、疲労の蓄積が認められる従業員から申し出があった場合、企業は医師による面接指導を実施しなければなりません。

労働時間の把握は、この面接指導を適切に実施するための前提となっています。

つまり労働安全衛生法の観点では、勤怠管理は「従業員の健康を守るための仕組み」という位置づけになります。

関連記事:残業時間によっては産業医面談が義務になる?面談の流れやポイントを解説

1-4. 勤怠管理のルールを整備しないことで生じるリスク

勤怠管理のルールが曖昧なまま運用されている企業では、さまざまな問題が生じます。

労働時間が正確に記録されていなければ、割増賃金の計算に誤りが生じ、未払い残業として後から請求されるおそれがあります。

また、長時間労働の実態が把握できなければ、健康障害や過労死につながるリスクも見過ごされやすいでしょう。

こうした状態が労働基準監督署の調査で発覚すれば、是正勧告や罰則の対象となる可能性もあります。勤怠管理ルールの整備は、これらのリスクを未然に防ぎ、従業員が安心して働ける環境を作ることにもつながります。

関連記事:勤怠管理とは?目的や方法、管理すべき項目・対象者など網羅的に解説!

2. 勤怠管理における法律上の基本ルール

ディスカッションをおこなうチームメンバーたち

勤怠管理のルールを定めるうえでは、まず法律で義務付けられている基準を押さえる必要があります。ここでは、企業が最低限守るべき法律上のルールを見ていきましょう。

2-1. 法定労働時間(1日8時間・週40時間)

労働基準法第32条では、労働時間の上限が定められています。

使用者は、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならず、1日については8時間を超えて労働させてはなりません。

この1日8時間・週40時間という基準が「法定労働時間」です。法定労働時間を超えて従業員を働かせるには、36協定の締結・届出が必要になります。

関連記事:労働時間の上限は1日8時間・週40時間!上限規制と違反リスクを解説

2-2. 36協定にもとづく残業時間の上限規制

法定労働時間を超えて従業員に残業や休日労働をさせるには、労使間で36協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。

36協定を締結した場合でも、時間外労働には上限があります。原則として、時間外労働は月45時間・年360時間までです。

臨時的な特別の事情がある場合に限り、労使合意のもとで上限を超えて働かせることができる「特別条項」を設けることも可能です。ただし特別条項付きの36協定であっても、次の条件をすべて満たす必要があります。

  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計は単月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計は2〜6ヵ月平均で80時間以内
  • 月45時間を超えられるのは年6回まで

これらの上限に違反した場合、労働基準法第119条第1号にもとづき、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます。また、違反した事業主個人だけでなく法人にも罰則が科される場合があります。

関連記事:36協定とは?基礎知識から残業上限規制や締結・届出、違反リスクまで完全解説

2-3. 休憩時間の付与ルール

労働基準法第34条では、休憩時間の付与について定められています。

労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えなければなりません。

休憩時間には、次の3つの原則があります。

  1. 労働時間の途中に与えること
  2. 一斉に与えること(労使協定で例外あり)
  3. 自由に利用させること

このうち「自由に利用させること」は、実務で見落とされがちです。例えば、休憩時間中に電話対応や来客対応を命じている場合、その時間は自由に利用できているとはいえず、休憩ではなく労働時間として扱われます。

関連記事:勤怠管理における休憩時間の取り扱いとは?労働基準法の基礎知識を解説

2-4. 年次有給休暇の年5日の取得義務

年次有給休暇は、雇入れの日から6ヵ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員に対して付与されます。

働き方改革関連法により、年10日以上の有給休暇が付与される従業員は、そのうち年5日を、企業が時季を指定して取得させることが義務付けられています。

対象となる従業員が年5日の有給休暇を取得できなかった場合、企業側が罰則の対象となる可能性があります。従業員任せにせず、取得状況を企業側でも把握し、取得が進んでいない従業員には計画的に時季指定をおこなう必要があります。

関連記事:有給休暇5日の取得義務化とは?時間単位の扱いから対応方法や罰則まで解説

2-5. 法定休日の付与ルール(週1日・4週4日)

労働基準法第35条では、休日の付与について定められています。

使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。ただし、4週間を通じて4日以上の休日を与える場合は、この限りではありません。

この法律で定められた最低限の休日を「法定休日」といいます。法定休日に労働させる場合は、36協定の締結・届出が必要になり、割増賃金(3割5分以上)の支払いも必要です。

なお、土曜日や祝日など、企業が就業規則で定める「所定休日」は法定休日とは別のものです。法定休日以外の休日に労働させても、法律上の休日労働には該当しません。

関連記事:法定休日とは?労働基準法のルールや特定義務・割増賃金計算のポイントを解説

関連記事:所定休日と法定休日の違いとは?休日出勤時の割増賃金の考え方も解説

3. 社内で定めるべき勤怠管理のルール8項目

従業員のガイドラインに関する会社の方針

2章で確認した法律上の基本ルールを踏まえ、ここからは企業が社内ルールとして具体的に定めておくべき項目を見ていきます。

3-1. 出勤・退勤時の打刻ルール

出勤・退勤時刻の打刻は、勤怠管理の基本となる記録です。厚生労働省のガイドラインでは、タイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録など、客観的な方法による労働時間の把握が原則とされています。

参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省

打刻ルールを定める際は、次の点を明確にしなければなりません。

  • 打刻のタイミング(着替えや準備が始業時間に含まれるかどうか)
  • 打刻の方法(タイムカード、ICカード、勤怠システムなど)
  • 打刻を忘れた場合の申告・修正手続き

また、労働時間は、始業・終業ともに1分単位で記録・計算するのが原則です。事務作業を簡略化するため、「15分未満は切り捨てる」「10分単位に丸める」といった処理をしている企業も見られますが、実際に働いた時間より短く計算してしまう丸め処理は、賃金の未払いにあたり違法となるおそれがあります。

ただし、1ヵ月間の残業時間の合計に対する端数処理には例外も認められているため、詳しくは関連記事をご覧ください。

打刻ルールを整備する際は、集計方法についても1分単位を基本とし、丸め処理をおこなっていないか確認しておきましょう。

関連記事:15分単位の勤怠管理や切り捨ては違法?残業代の正しい計算方法を解説

3-2. 休憩の取得・記録ルール

休憩時間も、単に法律で定められた時間数を守るだけでなく、社内ルールとして運用方法を明確にしなければなりません。

休憩ルールを定める際は、次の点を明記しましょう。

  • 休憩の開始・終了時刻(一斉付与か、交代制か)
  • 休憩時間中の外出・私用の可否
  • 休憩の分割取得を認めるかどうか

交代制で休憩を取らせる場合は、労使協定の締結が必要です。また、休憩時間中であっても電話や来客対応を命じている場合、その時間は休憩とはみなされず、労働時間として扱われます。

実務では、休憩の開始・終了を打刻またはシステムで記録し、休憩が適正に取得されているかを可視化することが望ましいでしょう。

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休憩時間中の電話番や来客対応は、たとえ短時間であっても「休憩を与えた」ことにはなりません。休憩とは、労働者が労働から完全に解放され、自由に過ごせる時間をさすためです。

実務では「昼休憩中でも手が空いていれば電話に出て」といった運用を、悪気なく続けているケースが少なくありません。こうした対応を求める場合、その時間は休憩ではなく労働時間として扱い、賃金を支払う必要があります。

休憩が実質的に取れていない状態が続くと、未払い賃金請求だけでなく、労基署調査での指摘対象にもなります。休憩時間中に対応が発生しうる業務は、あらかじめ交代制にするなど、全員が確実に休憩を取れる体制を整えましょう。

解説:社会保険労務士 / 小清水 春香

3-3. 残業の事前申請・承認ルール

残業は、発生してから記録するのではなく、事前の申請・承認を原則とするルールを定めましょう。残業ルールを定める際は、次の点を明記します。

  • 申請のタイミング(当日の何時までに申請するか)
  • 承認者(だれが承認権限を持つか)
  • 緊急時の事後申請の扱い

事前申請・承認のルールがないまま残業が常態化すると、労働時間の把握があいまいになり、未払い残業や36協定の上限超過につながるリスクが高まります。

実務では、勤怠システム上で残業申請から承認までを完結させ、承認された時間と実際の打刻時間に乖離がないかをあわせて確認する運用が望ましいでしょう。

関連記事:適切な勤怠管理でトラブルを防ぐ|承認時に注意すべきポイント

3-4. 割増賃金の算定ルール(法定内残業・法定外残業の区分)

割増賃金を正しく支払うには、残業を「法定内残業」と「法定外残業」に区分して管理しなければなりません。

  • 法定内残業:所定労働時間を超えるが、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えない残業。割増賃金の支払いは不要、通常の賃金でよい。
  • 法定外残業:法定労働時間を超える残業。労基法37条にもとづき割増賃金の支払いが必要。

例えば、所定労働時間が7時間で1時間残業した場合、法定労働時間の8時間以内におさまるため、法定内残業となり割増賃金は発生しません。ただし、通常の賃金は支払う必要があります。

実務では、勤怠システムで所定労働時間と法定労働時間の両方を設定し、区分を自動判定できるようにしておくと、算定ミスを防げます。

関連記事:法定内残業と法定外残業の違いは?具体例を交えて解説

3-5. 休日出勤の申請・代休ルール

休日出勤も、残業と同様に事前申請・承認を原則とするルールを定める必要があります。あわせて、代休の扱いも社内ルールとして明確にしておきましょう。

休日出勤ルールを定める際は、次の点を明記します。

  • 休日出勤の申請・承認の手続き
  • 法定休日と所定休日、どちらの出勤かの区分
  • 代休を取得する場合の期限とルール

法定休日に出勤させた場合は3割5分以上の割増賃金が必要ですが、所定休日(法定休日以外の休日)の出勤は、週40時間を超えなければ割増賃金の対象外です。

また、代休は「休日出勤の割増賃金支払い義務」自体をなくすものではなく、あくまで別日に休みを振り替える措置である点に注意が必要です。

振替休日と代休は混同されやすいため、実務では両者の違いを就業規則に明記することが望ましいでしょう。

関連記事:休日出勤のルールは?割増賃金が必要な場合や計算方法を解説

関連記事:代休とは?振替休日との違いや割増賃金の計算方法を解説

3-6. 遅刻・早退・欠勤時の連絡・控除ルール

遅刻・早退・欠勤も、連絡方法や賃金控除の考え方をあらかじめ社内ルールとして定めましょう。遅刻・早退・欠勤ルールを定める際は、次の点を明記します。

  • 連絡方法・連絡期限(始業何分前までに、だれに連絡するか)
  • 控除の計算方法(ノーワーク・ノーペイの原則にもとづく賃金控除)
  • 欠勤が続いた場合の対応(診断書の提出など)

ノーワーク・ノーペイの原則にもとづき、遅刻・早退・欠勤により労働しなかった時間分の賃金を控除すること自体は法律上問題ありません。

ただし、控除額の計算方法が不明確だと、従業員とのトラブルにつながりやすいため、就業規則等に計算方法を明記しておきましょう。

関連記事:勤怠管理で遅刻や早退を管理するには?控除の方法と注意点を解説

関連記事:欠勤とは?休職との違いや欠勤控除の方法を解説

3-7. 雇用形態・勤務形態別の管理ルール

勤怠管理のルールは、正社員だけでなく、雇用形態や勤務形態ごとに適用範囲を整理しましょう。主な区分は次の通りです。

正社員 フルタイム勤務が基本。残業や休日出勤のルールをそのまま適用する。
契約社員 雇用期間が有期である点が正社員との違いで、労働時間自体はフルタイム・パートタイムのどちらもありうる。

契約内容に応じて所定労働時間を個別に確認しなければならない。

パート・アルバイト 所定労働時間が短いケースが多く、法定労働時間との差分(法定内残業)の管理が重要。
派遣社員 勤怠管理は派遣先企業がおこなうが、給与計算や労務管理の責任は派遣元企業にある点に注意が必要。
管理監督者 労働基準法上、労働時間・休憩・休日の規定は適用除外となるが、深夜労働の割増賃金と年次有給休暇の取得義務は適用される。

特に管理監督者は、「管理職だから残業代は一切不要」という誤解が根強く残っています。役職名だけで判断するのではなく、経営者と一体的な立場にあるか、出退勤の自由度があるか、役職手当など待遇が見合っているかといった実態にもとづいて判断しましょう。

労働基準法上、管理監督者には残業代や労働時間・休日の規定が適用されませんが、労働安全衛生法(第66条の8の3)にもとづき、管理監督者を含む全従業員に対して客観的な方法による労働時間の状況把握が義務付けられています。

「管理職だから打刻も時間把握も不要」という運用は誤りで、これを怠ると過重労働の発見が遅れ、医師による面接指導の実施漏れなど安全配慮義務違反につながるおそれがあります。

関連記事:労働基準法第41条第2号の管理監督者とは?判断基準と実務対応を解説

3-8. テレワーク・フレックスタイム制における打刻ルールの整備

働き方が多様化する中、テレワークやフレックスタイム制を導入する企業では、オフィス勤務を前提とした打刻ルールがそのまま適用できないケースがあります。

テレワークの場合、出社・退社という概念がないため、勤怠システムやPCのログイン・ログオフ記録など、客観的な方法で始業・終業時刻を把握する仕組みを整えなければなりません。

あわせて、私用による離席などの中抜け時間の取り扱いや、その時間分を終業時刻の繰り下げで対応するかどうかも、あらかじめルール化しておきましょう。

フレックスタイム制の場合、従業員が始業・終業時刻を自由に決められる一方で、コアタイムの有無や、清算期間内での総労働時間の過不足をどう扱うかを、就業規則で明確にしなければなりません。

関連記事:テレワーク・在宅勤務導入後の労働時間管理におすすめな方法5選

関連記事:フレックスタイム制とは?導入手順や企業が知っておくべきメリット・デメリット

4. 勤怠管理のルールを機能させるための運用ポイント

確認事項にチェックを入れる

法律上のルールと社内で定めるべき具体的なルールを確認してきましたが、ルールは定めるだけでは意味がありません。ここからは、定めたルールを現場で実際に機能させるための運用ポイントを解説します。

4-1. 就業規則・労働条件通知書への明記

勤怠ルールを整備したら、社内共通のルールとして就業規則に明記し、周知しましょう。

就業規則は全従業員に共通するルールブックですが、個々の従業員に対しては、雇入れ時に労働条件通知書で始業・終業時刻や休憩、休日などの労働条件を個別に明示する義務もあります。

勤怠ルールを変更した場合、就業規則の改定だけで満足してしまい、労働条件通知書側の記載が古いまま放置されるケースは実務でよく見られます。

始業・終業時刻や休憩時間を変更した際は、就業規則と労働条件通知書の両方を見直す運用にしましょう。

関連記事:就業規則とは?人事担当者が知っておくべき基礎知識をわかりやすく解説

関連記事:労働条件通知書とは?雇用契約書との違いや記載事項の内容、法改正の明示ルールを解説

4-2. 打刻漏れ・不正打刻への対応と防止策

打刻ルールを整備しても、打刻漏れや不正打刻が発生すれば、正確な労働時間管理は実現できません。打刻漏れが発生した場合の対応としては、次のようなルールをあらかじめ定めましょう。

  • 打刻漏れに気づいた際の申告方法・申告期限
  • 本人の自己申告と、上長やシステムログなど客観的な記録の突き合わせによる確認手順
  • 打刻漏れが常態化している従業員への対応(注意喚起、面談など)

不正打刻は、他人による代理打刻(いわゆる「なりすまし打刻」)や、実際の労働時間と異なる時刻での打刻が典型例です。

防止策としては、ICカードや生体認証を用いた打刻方法の導入、PCログとの突合、抜き打ちでの実態確認などが挙げられます。不正打刻が発覚した場合は、懲戒処分の対象となりうる旨を就業規則に明記しておくことも、抑止力として有効です。

関連記事:勤怠の改ざんが発覚!不正予防と対処法について徹底解説

4-3. 管理職への周知・教育とルール形骸化の防止

勤怠ルールを整備し、就業規則に明記していても、現場でルールが徹底されなければ形骸化してしまいます。特に、部下の勤怠を日々管理する立場にある管理職への周知・教育は欠かせません。

管理職に対しては、次のような点を教育しましょう。

  • 部下の残業申請・承認を適切におこなう責任があること
  • 「サービス残業の黙認」や「持ち帰り残業の容認」が労基法違反につながること
  • 打刻漏れや不正打刻を発見した際の対応手順

定期的な研修や、勤怠ルールの変更時における説明会の実施など、管理職へ継続的に周知する仕組みを作りましょう。

5. 勤怠管理が法律違反となった場合のリスクと罰則

頭の中で様々な人を思い浮かべる

勤怠ルールの整備・運用を怠ると、労働基準法違反として罰則の対象となる可能性があります。ここでは、想定される罰則の内容と、行政による調査・指導のリスクを解説します。

5-1. 労働基準法違反時の罰則

労働基準法に違反した場合、違反の内容に応じて罰則が定められています。

法定労働時間・36協定の上限を超える時間外労働をさせた場合 労基法32条・36条違反 6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
割増賃金を支払わなかった場合 労基法37条違反 6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
休憩を与えなかった場合 労基法34条違反 6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
休日を与えなかった場合 労基法35条違反 6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金

これらの罰則は、違反した事業主個人だけでなく、法人自体にも科される場合があります。また、違反した労働者1人につき1罪として扱われるため、複数の従業員に対して違反があった場合は、対象人数分の罰則が科される可能性がある点にも注意が必要です。

関連記事:労働時間の労働基準法違反で企業が受ける罰則とは?違反しないための対策を解説

関連記事:36協定に違反したらどうなる?違反時の罰則や対象者、対処法を解説

5-2. 是正勧告・労働基準監督署の調査のリスク

労働基準法違反は、刑事罰の対象となるだけでなく、労働基準監督署による調査・指導のリスクも伴います。

労働基準監督署は、従業員からの申告や定期的な調査(臨検監督)により、企業の労働時間管理の実態を確認します。違反が確認された場合、まずは是正勧告書が交付され、期限内に改善報告をおこなうことが求められます。

是正勧告に応じず違反が是正されない場合や、悪質性が高いと判断された場合は、書類送検に至るケースもあります。また、是正勧告を受けた事実が公表されることで、企業の信用低下や採用活動への悪影響につながるリスクもあると理解しておきましょう。

関連記事:労働基準監督署による是正勧告とは?主な違反内容と対処法を紹介

6. 勤怠ルールを支える管理方法

オフィスでノートパソコンを使用している女性

勤怠ルールを実際に機能させるには、労働時間を正確に記録できる管理方法が不可欠です。ここでは、代表的な3つの管理方法とその特徴を紹介します。

6-1. タイムカードによる管理方法

タイムカードは、専用の打刻機にカードを通すことで、出勤・退勤時刻を自動的に記録する方法です。手書きの出勤簿による自己申告と比べ、打刻の改ざんがしにくく、客観性の高い記録が残せます。

一方で、タイムカードの記録はあくまで打刻時刻であり、実際の始業・終業時刻と一致しているとは限りません。また、月次での集計や残業時間の計算は手作業になりやすく、複数拠点がある場合はタイムカードの回収にも手間がかかります。

6-2. Excelによる管理方法

Excelは、あらかじめ用意したフォーマットに出退勤時刻を入力し、関数で労働時間や残業時間を自動集計する方法です。タイムカードより柔軟に項目を設計できるうえ、追加コストがかからないため、多くの企業で使われています。

一方で、入力自体は従業員の自己申告に頼ることが多く、厚生労働省のガイドラインが原則とする客観的な記録の方法には該当しません。あわせて、集計用の関数やマクロの作成・保守に一定の知識が必要な点もデメリットです。

6-3. 勤怠管理システムによる管理方法

勤怠管理システムは、打刻から集計、申請・承認までを一元管理できるツールです。

パソコンやスマートフォンからの打刻に加え、ICカードや生体認証と連携できるものもあり、テレワークやフレックスタイム制など多様な働き方にも対応しやすいのが特徴です。

法定内残業・法定外残業の自動区分や、36協定の上限に近づいた際のアラート機能など、これまでの章で解説した勤怠ルールを実務に落とし込む仕組みが備わっている点も、システム導入の大きなメリットです。

集計作業の工数削減にもつながるため、勤怠ルールを整備した企業ほど、その効果を実感しやすい管理方法といえます。

なお、タイムカードや賃金台帳などの労働関係書類は、労働基準法第109条により保存が義務付けられています。2020年4月の法改正で本則は5年間となりましたが、経過措置により当分の間は3年間とされています。起算日は最後の記入がなされた日です。

管理方法を選ぶ際は、この保存期間に耐えられる形で記録を残せるかどうかも、あわせて確認しましょう。

関連記事:勤怠管理システムとは?はじめての導入にはクラウド型がおすすめ

7. 自社に合った勤怠ルールを整備し、法令遵守と生産性向上を両立しよう

笑顔の女性

勤怠ルールは、労働基準法や労働安全衛生法にもとづく法的な義務であると同時に、従業員が安心して働ける環境を作るための土台です。

まずは、出勤・退勤時の打刻ルールや休憩、残業申請、有給休暇の取得など、社内で定めるべき基本的なルールを整備しましょう。

そのうえで、就業規則への明記やテレワーク・フレックスタイム制への対応、打刻漏れ・不正打刻への対策、管理職への教育まで含めた運用により、ルールを「作って終わり」にせず、現場で機能させ続けることができます。

勤怠ルールを整備・見直しする際は、自社の労働時間管理の実態を正確に把握できる管理方法とあわせて検討し、法令遵守と生産性向上の両立を目指しましょう。

残業管理や残業代の計算、 正しく対応できていますか?

残業時間の管理や残業代の計算では、労働基準法で「時間外労働」と定められている時間を理解し、従業員がどれくらい残業したかを正確に把握する必要があります。
しかし、どの部分が割増にあたるかを正確に理解するのは、意外に難しいものです。

当サイトでは、時間外労働の定義や上限に加え、「法定外残業」と「法定内残業」の違いをわかりやすく図解した資料を無料で配布しております。
資料では効率的な残業管理の方法も解説しているため、法に則った残業管理をしたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

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