人事DXは未来の効率的な人材戦略への投資!DXとはなにか基礎から徹底解説
更新日: 2024.5.8
公開日: 2023.6.6
OHSUGI
社会環境が大きく変化する現代において、ビジネスにおけるDXの必要性はますます高まっています。人事分野(社員管理、人材管理、人事管理、人事評価など)の業務でDXを推進すれば、パフォーマンスの向上や業務の効率化が見込めます。
人材不足や人事配置のミスマッチといった問題を解決するためにも、人事部門のDX化を随時進めていきましょう。
本記事では人事DXの意義や具体的な方法について解説します。
目次
【人事担当者必見!】DX化の落とし穴とは
「DX化したいけど何から始めたら良いかわからない」
「DXについて基礎から正しい知識をつけたい」
などDX化を進めるにあたって不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
DX化を進める企業が増えていますが、その一方で間違った進め方をして、プロジェクトが失敗になってしまうケースもあります。
当サイトで公開している「システム導入=DXではない!企業が考えるべきDXとは?」の資料では、DXで本質的に何が大切なのかを基礎から解説しており、失敗しないDXの進め方や注意点なども解説しています。
DXを推進する担当者にとっては大変参考になる内容となっておりますので、興味のある方はこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
1. 人材管理や人事評価業務を効率化させる、人事DXとは?
人事DXとは、人事の部署が担当する業務をデジタル化し、効率化につなげていくという考え方です。人事に関する業務の最適化や再構築をおこなうためには、最新のデジタルツールやテクノロジーを導入するのが効果的です。一連の作業の効率がアップすれば生産性向上や競合優位性、パフォーマンス向上を実現できます。
DXは単純なデジタル化やIT化と同義であると考える方もいます。デジタル化やIT化はDXの推進において欠かせない要素ですが、これらはあくまでもDX化のための手段です。デジタル化やIT化を通して企業全体の変革をおこなうことがDX化の最終的なゴールとなります。
1-1. そもそもDXとは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用して組織やビジネスの全体的なプロセスやモデルを変革し、新たな価値を創造する取り組みを指します。
DXによって、従来のアナログな方法からデジタルな方法への転換がおこなわれ、効率性、柔軟性、生産性が向上します。さらに、データの活用や顧客体験の改善など、新たなビジネスモデルやサービスの創出にも貢献します。
近年、グローバルな市場で競争していく日本の企業も増えています。一方で、高齢化社会に直面しており、将来の働き手が少なくなってしまう懸念もあります。
デジタル技術の革新だけでなく、少ない人数で効率的に業務をしなければならない社会的背景もあり、DXに取り組む企業が増えていたり、日本政府もDX推進のために様々な施策を打っています。
1-2. なぜ人事管理の領域でDXは重要なのか
フロントオフィス部門から優先的にDX移行を進めるという企業は多いものです。しかし、企業全体の業務改革をおこなうためには、バックオフィスのDX化も欠かせません。特に人事領域を担う部署には、従業員の配置や教育、採用、目標や評価、勤怠などの人材管理や人事評価といった労務の幅広い業務が集中します。人事業務を進めていくにはまとまった時間や労力が必要です。
人事業務をDX化すれば作業の工数が減り、人事担当者の負担も少なくなります。またデータベースを構築すれば、より効率的な戦略を立てたり分析をおこなったりすることも可能です。
多くのデータを管理できる便利なシステムを選び、人事のスマート化や効果的な分析、検証を進めていくことが求められているのです。
2. 人事DXとHRテックの違い
人事DXを考えるうえではHRテックとの違いについて把握しておきましょう。人事DXは単に業務を効率化することだけではありません。効率化によってパフォーマンスを高め、新たなビジネスへ変化につなげることも意味します。一方、HRテックは人事業務を効率化するシステムそのものを指します。
2-1. 人事DXとHRテックの共通点
人事DXとHRテックには違いがある一方で、共通点もあります。どちらも業務の効率化に関係というのが共通点です。人事DX、HRテックとも業務を効率化させるために、システムやビッグデータを用いるという点も共通といえます。
3. 人材管理や人事評価の課題
人材管理や人事評価として挙げられるのが次のような点です。
- 優秀な人材の確保
- 人事のリソース不足
- 管理の煩雑化
- ツールの未統合
3-1. 優秀な人材を確保したい
人材を評価するための指標は数多く存在しますが、最近では従業員の個性や特性を尊重する方法として「タレントマネジメント」という手法が注目を浴びています。従業員の個別のスキル、能力、意欲、ポテンシャルなどを総合的に評価し、従業員の成長やキャリアパスに合ったマネジメントをおこなうアプローチです。
企業が人材評価や人材管理において重要視すべきなのは、様々な情報を駆使して従業員一人ひとりを尊重することです。組織内外のデータやフィードバックを収集し、従業員の能力、成果、エンゲージメント、パフォーマンスなどを総合的に評価することが求められます。
それに基づいて、適切な評価やフィードバック、キャリア開発、報酬制度、スキルトレーニングなどを提供することで、従業員の成長と組織の成果を両立させることができます。
つまり、現代の労働環境では、従業員の個別性を尊重した人材評価と人材管理が重要な要素となっています。企業は多様な情報を活用し、従業員の能力や成長を的確に評価し、彼らが持つポテンシャルを最大限に引き出すための戦略を策定する必要が求められているのです。
3-2. 業務量が膨大で人材活用まで手が回らない
人事担当者は採用プロセス、労務管理、トレーニング、従業員のパフォーマンス評価など、さまざまな業務に対応しなければならず、十分なリソースや時間を確保することが難しくなっています。組織の成果を意識した戦略的な人材活用まで踏み込んだ検討まで手が回らないといった問題を抱えています。
3-3. 従業員数が増加し、管理が煩雑
企業が成長し、従業員数が増加すると、従業員の管理が煩雑になる傾向があります。人事担当者は異なる部署やチームに所属する多くの従業員を管理しなければなりません。
しかし、従業員数が増えるにつれて、コミュニケーションや情報共有、担当領域の割り当てなどの課題が増えます。このような状況では、個別の従業員のニーズや要望に対応することが難しくなり、組織全体の効率や生産性に影響を及ぼす可能性があります。
3-4. ツールがバラバラで維持が大変
人事業務をサポートするためのツールやシステムは数多く存在しますが、それらがバラバラの状態で導入されていることがあります。例えば、採用管理システム、勤怠管理システム、パフォーマンス管理ツールなどがそれぞれ別々に使用されているケースです。これにより、データの整合性や情報の連携に課題が生じ、簡易化するために導入したはずが、かえって管理が複雑化し維持が困難になることがあります。
すでにシステムを導入している場合でも、見直す点がないか定期的に振り返ることが重要です。
4. 人事DXを推進することで得られる効果
- 人事業務の効率が高まる
- データ分析に役立てられる
- 高度なマネジメントができる
これらの効果を得るためにも、人事業務のDX化を積極的に進めていきましょう。それぞれ詳しく解説します。
4-1. 人事業務の効率が高まる
人事DXには、人事部門の業務効率を高める効果が見込めます。
業務をデジタル化すればルーティンワークの工数を減らせます。
例えば従業員ポータルや人事労務管理がおこなえるモバイルアプリなどを導入することで、従業員が自分自身で情報の更新や手続きをオンライン上でできるようになります。
給与明細の閲覧や休暇申請、個人情報の更新などを人事労務担当者をはさまずにセルフサービスでおこなえる仕組みをつくることで結果として、人事労務担当者の業務の手間や時間、コストを大きく削減できます。
業務効率がアップすれば、人事担当者はより戦略的な業務に時間を割けるようになっていきます。
従業員データの更新管理や、勤怠管理、給与計算などの業務が自動化されることで、生産性が向上し、より戦略的な人事業務に集中できます。
4-2. データ分析に役立てられる
人事に関する情報をDX化することで、分析や検証の効率も高まります。システム上で情報をソートしたり分析をおこなったり、組織のシミュレーションなどをおこなえば、現状の人事の問題点や今後のビジョンが見えやすくなります。
採用データ、パフォーマンス評価、離職率などのデータを継続的に収集し、分析することで、優秀な人材の獲得と育成、従業員のエンゲージメント向上などの課題に対して具体的な施策を立案することができます。データ分析による客観的な判断と効果的な人事戦略の展開に役立てられます。
人事計画や人事に関連する課題の解決を目指すためにも、さまざまなデータを比較分析していきましょう。
4-3. 高度なマネジメントができる
人事DXは人材配置や人材育成、人材採用といった人材管理の場面で役立ちます。
従業員の基本情報やスキル、キャリア、パフォーマンス等の状況をデジタルデータとして一元管理することで、
従業員の特性や能力をシステム上で確認しながら、適切な人材の配置やキャリアプランの支援をおこなうことができます。加えて、配置のミスマッチや能力不足による事業ひいては業績への影響を軽減することができます。
また、人事DXは働き方の多様化や雇用形態にも柔軟に対応することができます。システムに取り込んだデータを活用することで、各従業員のニーズやキャリアパスを把握し、適切な人材管理と評価をおこなえます。さまざまなシーンで高度なマネジメントを実現するために、人事DXの活用を検討しましょう。
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5. 人事DXの具体的な進め方
ここからは、人事のDX化のステップや推進のコツを紹介します。
5-1. 人事DXの目的を定める
人事DXを実施するときには、なぜDX化が必要なのかという目標をはっきりさせておきましょう。
高度な人材マネジメントをおこないたい、人事管理業務の工数を減らして効率を高めたい、蓄積したデータを分析して今後の人事計画につなげたいなど、DXの目的によって取り組むべき内容は変わってきます。
目標や目的が曖昧なまま人事のDX化をおこなうと、十分な成果が出ないまま終わってしまう可能性があります。人事DX導入にかかったコストを上回る効果を得るためにも、最終的なゴール地点を明確にしておきたいものです。
5-2. 人事DXに対応できる人材を確保する
人事のDX化を効率的に進めるためには、IT分野に特化した人材やシステムに詳しい人材が必要不可欠です。
人事DXでは専用システムの導入や運用をおこなうのが一般的です。しかし、人事部署の担当者がシステムを使いこなせなければ人事DXの効果は下がってしまいます。
人事部署の担当者がデジタルに疎いという場合には、新たに人材を採用したり、人材育成をおこなったりといった対処をおこないましょう。
5-3. 人事課題を抽出する
目的の設定や人材確保と並行して、人事課題の抽出をおこなうことも重要です。
人材不足が続いている、優秀な人材の採用に結びつかない、人材配置のミスマッチが起きているなど企業が抱える問題はさまざまです。また、人事データの一元管理ができておらず、効率が下がっているケースもあります。
現在の人事業務にどのような問題や課題があるのかを具体的に確認しておけば、取るべき対応が定まりやすくなります。
5-4. 課題の解決方法を検討する
人事部門が抱えている課題が可視化できたら、どのように解決していくかを考えておきましょう。
状況によっては、業務フローの抜本的な改革が求められることもあります。また、属人化の解消や業務の削減によって課題を解決できるケースもあるかもしれません。
専用のツールやシステムの導入によって課題解決が見込めるケースは多いものです。自社の課題を解決できるようなサービスを見極めた上で導入を進めましょう。
5-5. デジタルツールを導入する
人事DXの目的が十分に定まった段階で、実際のDX化を実行していきます。
人事業務に特化した専用のシステムは、人事分野のDX化に役立ちます。手軽に導入できるクラウド型のシステムなどを選び、自社に合ったカスタマイズをしていきましょう。
一度にすべての業務をデジタル化すると、一時的に業務が滞るおそれがあります。また、コストが跳ね上がってしまうケースもあるので気をつけましょう。人事DXでは優先順位を意識し、より優先度の高い部分からデジタル化していくなどの工夫が必要です。
5-6. 効果の検証や分析をおこなう
人事DXはデジタルツールを導入して終わりではありません。導入後には細かい分析をおこない、フィードバックにつなげていきましょう。
人事DXの目的を達成できているか、人事部門の課題解決につながっているかを検証することは大切なポイントです。DX化によって新たに問題が発生したときには、その解決方法を模索するなど適切な対処をおこないましょう。
6. 人事DXの課題と対応策
人事DXの課題と対応策は次のとおりです。
- 人事部門にデータをまとめる
- システム導入そのものが目的化している
- 社内の周知が徹底できていない
- DXに精通した人材がいない
それぞれの課題と対応策について解説します。
6-1. 人事部門にデータをまとめる
人事DXを進めるうえでは人事についてのデータを、人事部門に集約する必要があります。しかし、データが複数の部署に点在してしまっていることもあるでしょう。また、データが紙として保管されているかもしれません。
人事DXを推進していくには、データに優先順位をつけて人事部門に集めていきましょう。また、集約されたデータの取り扱い方法についてもルールを定めることが大切です。
6-2. システム導入そのものが目的化している
人事DXではさまざまなシステム、ツールを用います。そのため人事DXの推進にはシステムを導入するのが一般的です。しかし、人事DXに必要なシステム導入が目的化してしまうケースがあります。
システムやツールの導入は人事DX推進の手段のひとつにすぎません。まずは、自社でどのようなシステム、ツールが必要なのかを洗い出して、状況に応じた物を導入しましょう。
6-3. 社内の周知が徹底できていない
人事DXは人事部だけで進めてしまっては、期待する効果が得られないかもしれません。例えば経営部に周知が徹底できていないのであれば、自社の戦略と人事DXにズレが発生する可能性があります。また、現場への周知ができていないと、反発が起きかねません。そのため、次のような点を伝えて、人事DXについての理解を深めてもらいましょう。
- DXを進める理由
- DXによってどのような企業を目指すのか
- DXがどのようなメリットをもたらすのか
6-4. DXに精通した人材がいない
人事DXを進めるうえでの障壁としてDXに精通した人材がいないという点も挙げられます。DXに精通した人材はただ単にデジタル技術に精通しているだけではありません。デジタルについての知識や経験をもとに、事業に変革をもたらせる人材です。DXに精通している人材を確保するためには、新たに従業員を採用する、すでにいる従業員を育成するといった方法が挙げられます。
7. 一部の変化がDXへつながる。電子化できる人事領域の業務
先述の通り、DXは、デジタル技術を活用して組織やビジネスの全体的なプロセスやモデルを変革することです。よく、システムを導入しペーパーレス化を図った点だけに着目してDXと呼ぶこともありますが、目指すべき姿としては、様々なシステムが連動し事業全体の効率が良くなることで変革を起こすところにあります。
とはいえ、小さなことの積み重ねがやがて大きな変化をもたらします。人事労務領域にはさまざまな業務があり、また、業務に対して数多くのシステムがリリースされています。
個々のシステムを導入することで、DXに一歩ずつ近づいていきます。また、個々のシステムが最終的には連動することが理想系です。
本章では、どのような人事労務業務が電子化できるのかご紹介します。電子化を考えているご担当者は、最終的にはすべてのシステムが連動することを頭の片隅に思い描きながら導入を進めていただけると幸いです。
7-1. ワークフロー
ワークフローの自動化により、業務プロセスの効率化が可能です。タスクの自動割り当て、承認フローの自動化、リマインダーの送信などをデジタルツールを用いておこなうことで、タイムリーな業務処理が促進されます。また、従業員情報と紐づけることで人員配置等で承認者が変わった場合、連動して承認ルートを変更できるシステムも存在します。
関連記事:ワークフローのDXとは?重要性やDXの流れをわかりやすく解説
7-2. 給与管理
給与計算ソフトウェアやクラウドベースの給与システムを導入することで、給与計算プロセスを自動化し、計算の正確性を向上させることができます。また、社員の勤怠情報や福利厚生データと連携させて給与計算をおこなうことも可能です。
関連記事:給与計算のDXを進めるには?効果や手順を詳しく解説
関連記事:交通費精算のDXとは?注意点や導入時のポイントを解説
7-3. 年末調整
給与データや源泉徴収票の電子化により、年末調整のプロセスを効率化できます。デジタルフォーマットでデータを提出することで、正確性を確保しつつ修正など差し戻しの手間を軽減できます。紙に印刷して手書きする必要もなくなるため、ペーパーレスにつながります。
関連記事:年末調整をDX化するには?メリットや手順を詳しく解説
7-4. 勤怠管理
バーコードやICカードを用いたタイムレコーダーやスマートフォンにインストールするモバイルアプリを活用して、勤怠情報の記録や承認プロセスをデジタル化することが可能です。適切なセキュリティ対策を施すことで、正確な勤怠情報を保護しながら業務を効率化できます。
関連記事:勤怠管理をDX化する重要性や手順をわかりやすく解説
7-5. 社員管理
企業に所属している社員に関するさまざまな情報の管理にデジタルツールを用いることもDXのひとつです。社員管理は、人材管理と労務管理の2面性を持っています。
人材管理は人材の確保から評価・育成など、会社の資本である「ヒト」を活用するために必要な業務全般を指します。一方で労務管理は、社員が安心して働けるような労働環境を管理するのに必要な業務全般を指します。
近年では、ピープルアナリティクスという言葉が新たに出現したりと、人材管理という意味合いで社員管理という言葉が使われることが増えてきました。
ピープルアナリティクスとは、HRテックを駆使して従業員や組織に関する人事データを集め、集めたデータを分析することを指します。
分析したデータは企業活動における人材戦略の策定や意思決定に用います。
具体的には、従業員の勤怠データ、給与データ、パフォーマンス評価データ、離職率、採用データなど、さまざまな人事関連のデータを収集し、分析することで、不足している人材を把握し採用の優先順位を検討したり、従業員のスキルや能力、パフォーマンス、意欲などを分析し、育成、配置転換などを検討します。
ピープルアナリティクスをおこなうために、人材管理システムを導入することもDXへの取り組みのひとつと言えます。
関連記事:社員管理とは?管理のトレンド、メリット・デメリットを解説
関連記事:社員管理システムとは?機能やおすすめのシステムと導入手順を紹介
7-6. タレントマネジメント
クラウドベースの人材管理システムを利用して、採用プロセスや人材開発、キャリアプランニングを一元管理できます。個人のスキルや成果をデジタルで記録し、適切な人材配置や育成プランを立案することが可能です。
7-7. モチベーション管理
モチベーション管理にデジタルツールを活用することで、従業員とのコミュニケーションを強化し、職場の満足度やエンゲージメントを向上させることができます。アンケートやフィードバック機能がついており、収集したデータをリアルタイムで集計・分析し、傾向や課題を可視化・把握することができます。
7-8. 人事評価
クラウドベースのパフォーマンス管理システムを使用して、目標設定や評価プロセスをデジタル化できます。成果の可視化やフィードバックの迅速な提供を通じて、従業員のモチベーション向上に貢献します。
8. 人事管理DXの事例
実際に人事管理DXの第一歩としてシステムを導入して業務効率化を図った企業の事例をご紹介します。
8-1. 社員データを一元管理する
もともと、勤怠管理・人事管理・給与管理と、それぞれのシステムを導入しており、従業員情報の変更があった際、サービスごとに情報を更新する手間の工数がかかっていました。
そこで従業員情報を一元管理できるデータベースを持ったサービスに刷新し、従業員情報の変更があった際は、データベースを更新するだけで他の勤怠や給与機能に含まれている従業員情報を一括で更新できるようになりました。
従業員情報の更新の二度手間をなくすことに成功し、効率的に情報管理をおこなえるようになった事例です。
事例記事:勤怠、人事、給与情報などを各サービスごとに管理する工数を、ジンジャーの導入により削減!また一元管理によりさらにペーパーレス化を促進!
8-2. 従業員のコンディションをリアルタイムで確認
事業の規模が拡大し、従業員数が急激に増えたことにより、従業員のコンディション管理に課題を感じていた企業の事例です。
従業員が現状の業務や働く環境に対してどのように感じているかアンケートを取れる、モチベーションサーベイ機能がついた人事労務システムを導入することで、300人を超える従業員のコンディションの変化をリアルタイムで確認できるようになりました。
事例記事:離職率が11.8%低減し、月100時間かかっていた面談時間も1/4に!
8-3. 勤怠管理システムで場所にとらわれず打刻可能
関連会社を含めると900人を超える従業員を抱えている企業が、紙の出勤簿による勤怠管理に限界を感じ、勤怠管理システムを導入した事例です。
iPadやスマートフォンから打刻出来るシステムを導入したことによって、直行直帰の多い営業職の方でも場所にとらわれず手軽に打刻することができるようになり、正確な勤務時間の把握が可能となりました。
また、従業員はマイページから自身の勤務時間を閲覧できるようになり、残業の抑制など働き方改革に向けての意識づけにも効果を発揮したそうです。
事例記事:決め手は「多様な打刻方法」と「システムのUI」従業員の意識改革につながった勤怠システム
9. 人事DXを推進するデジタルツール
人事DXを推進するためには、自社の状況にあったデジタルツールの選定・活用が不可欠です。昨今、数多くの人事領域のデジタルツールがリリースされています。本章では、どのような業務を効率化するツールがあるのか、またデジタルツールの大まかな種類と、ツールを選ぶ際のポイントも解説します。
自社の人事DXを検討する際にお役立てください。
9-1. デジタルツールの種類と出来ること
人事DXを推進するデジタルツールは、大きく以下の6つに分類できます。
採用管理に特化したツール | 採用プロセスの効率化や候補者の管理、選考プロセスの追跡などを支援します。 |
勤怠管理に特化したツール | 従業員の出勤・退勤記録や休暇管理、シフト管理などをデジタル化し、効率的な勤怠管理を実現します。 |
給与管理に特化したツール | 給与の計算、明細の発行、振り込みの手配などをデジタル化し給与管理業務の効率化を支援します。 勤怠と給与は密接に関連しているため、セットになっているツールもあります。 |
経費精算に特化したツール | 従業員の入力の負担やミスを軽減し、経費精算の効率化や経費の透明性を向上させることができます。 |
パフォーマンス管理に特化したツール | 目標設定や評価、フィードバックの管理など従業員のパフォーマンスを追跡・評価します。 エンゲージメントサーベイといった、従業員のモチベーションを把握するツールもあります。 |
学習管理ツールに特化したツール | 従業員のスキル開発や継続的な学習を支援し、トレーニングプログラムの管理や成果の評価をおこないます。 |
また、分類と掛け合わせて提供形態も確認しましょう。提供形態とはどのような形式で販売されているかを指しており、「パッケージ型」「クラウド型」の大きく2つに分けられます。
パッケージ型は買い切り方式で、一度購入してしまえばそれ以上の費用は発生しませんが、自社で保守をおこなわなければなりません。一方でクラウド型は運用コストが発生する代わりに、保守までサポート範囲に含まれています。
9-2. デジタルツールの選び方
デジタルツールを選ぶ際には、以下の5つのポイントに注意することが重要です。
9-2-1. 機能と要件
人事業務のニーズに合致し、必要な機能を備えているかを確認しましょう。例えば、採用業務を効率化したい場合は、採用管理ツールが採用プロセス全体をカバーしているかどうかを確認します。
9-2-2. ユーザビリティ
ツールの使いやすさや直感的な操作性が重要です。ユーザインターフェースやナビゲーションがわかりやすく、従業員や管理者が簡単に操作できることが望まれます。
9-2-3. カスタマイズ性と柔軟性
ツールが組織のニーズや要件に適合し、カスタマイズが可能かどうかを確認します。特に、これまで可能だった機能が搭載出来ない場合、従業員への説明コストが大きく発生します。
9-2-4. セキュリティとデータ保護
ツールが適切なセキュリティ対策を講じ、従業員データや機密情報の保護が十分におこなわれていることを確認します。
9-2-5. サポートとアフターサービス
ツールの導入後も適切なサポートやアフターサービスが提供されるかを確認しましょう。ツールは導入後の運用フェーズを通して最適化を図ります。定期的に相談ができるのかは、ツール選定において重要な観点です。
10. 人事DXの目的や効果を十分に見極めて導入することが大切!
しかし、目的がはっきりしない状態で人事DXを導入してもなかなかうまくはいかないものです。なぜ人事DXが必要なのか、どのような効果を得られるのかを見極めて、最適な施策を導入することが肝心です。
人事業務に特化したマネジメントシステムを管理してデータの分析や検証をおこない、人事業務の効率を高めていきましょう。
関連記事:中小企業にとって人事評価システムは必要?メリット・デメリットを知り導入すべきか判断しよう
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