育児休業とは?最新の法改正から給付金、取得期間、男性の育休取得などわかりやすく解説

仕事と育児の両立を図るために、育児休業制度が法律で定められています。一定の条件を満たす従業員が申し出た場合、企業は休業を認める義務があります。近年は男性の取得促進や柔軟な働き方の実現などを目的に、制度改正が続いており、最新の情報を正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、育児休業とほかの制度との違い、対象者や給付金の仕組み、男性の育休取得の動向、最新の法改正ポイントまでわかりやすく解説します。制度を正しく知り、育児に専念できる環境づくりに役立てましょう。
目次
育児・介護休業に関する法改正が2025年4月と10月の2段階で施行されました。特に、育休取得率の公表義務拡大など、担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
本資料では、最新の法改正にスムーズに対応するための実務ポイントを網羅的に解説します。
◆この資料でわかること
- 育児・介護休業法の基本と最新の法改正について
- 給付金・社会保険料の申請手続きと注意点
- 法律で義務付けられた従業員への個別周知・意向確認の進め方
- 子の看護休暇や時短勤務など、各種両立支援制度の概要
2025年10月施行の改正内容も詳しく解説しています。「このケース、どう対応すれば?」といった実務のお悩みをお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 育児休業制度とは?


育児休業制度とは、労働者が子どもを養育するために、一定期間仕事を休むことを法律で保障した制度です。原則として、子どもが1歳になるまで取得できますが、条件を満たせば最長2歳まで延長もできます。
取得期間中は雇用保険から「育児休業給付金」が支給される場合があり、仕事と育児の両立を支える重要な仕組みです。
ここからは、似ている制度との違いや女性・男性別の取得状況など、制度を理解するうえで押さえておきたい基本事項を解説します。
1-1. 育児休暇との違い
育児休業と混同されやすい「育児休暇」は、企業が独自に設ける休暇制度です。導入の有無や取得方法、期間は企業ごとに異なります。育児休業は法律に基づき、原則として子どもが1歳になるまで取得できますが、育児休暇には法的な制限がありません。企業によっては3歳まで取得できる場合もあります。
また、育児休暇は企業の規定によって給与が支給されない事が多く、法的な保障もありません。一方、育児休業では雇用保険から育児休業給付金が支給される点が大きな特徴です。世の中で一般的に「育休」とよばれるものは、「育児休業」のことを指しています。
関連記事:育児休暇とは?制度概要や育児休業との違い、期間・対象者をわかりやすく解説
1-2. 産休(産前・産後休業)との違い
産休(産前・産後休業)は、労働基準法で定められた、出産前後の母体保護を目的とした休業制度です。女性のみが取得でき、出産予定日の6週間前から出産後8週間までの期間が対象になります。
産前休業は本人から請求があった場合にのみ付与するものですが、産後休業は本人の希望にかかわらず、休業させることが法律で義務づけられています。ただし、産後6週間を過ぎて本人が希望し、医師から許可が出た場合に限り、8週間を待たずに復職することも可能です。
一方、育児休業は育児・介護休業法に基づく制度で、男女問わず取得でき、子どもが1歳になるまで(条件により最長2歳まで)取得できます。このように、対象者や目的、根拠法が異なる点が大きな違いです。
関連記事:産休はいつからとれる?期間や育休制度との違い、給与計算・手当について解説
1-3. 産後パパ育休との違い
産後パパ育休(正式名称:出生時育児休業)は、男性の育休取得促進を目的に、2022年10月に新設された制度で、子どもの出生後8週間以内に最大4週間まで取得できる休業です。2回まで分割取得が可能で、労使協定を締結していれば休業中に就業も可能であるなど、柔軟な取得スケジュールを組めるのが特徴です。
また、産後パパ育休は通常の育児休業とは別枠で取得できるため、産後パパ育休の後に改めて育児休業を取ることもできます。
関連記事:産後パパ育休とは?育児休暇との違いや手続きのポイントを解説
1-4. パパ・ママ育休プラスとの違い
パパ・ママ育休プラスとは、父母がともに育児休業を取得する場合に利用できる制度です。通常は原則子どもが1歳まで取得できる育児休業を、子どもが1歳2ヵ月になるまでに延長できます。
ただし、1人あたりの育児休業の取得可能期間(産後休業を含め最長1年間)が延びるわけではありません。例えば、次のようなパターンで活用できます。
1-5. 女性・男性別の育児休業の取得率
厚生労働省が実施する「雇用均等基本調査」によると、令和5年度の育児休業取得率は、女性が84.1%、男性が約30.1%となっています。女性は高い取得率を維持している一方、男性は年々上昇しているものの、女性と比較すると依然として取得率が低い状況です。
また、育児休業取得期間をみると、女性は約70%が1年前後取得している一方で、男性は約70%が3ヶ月未満の取得となっており、男性の取得期間の短さも課題となっています。
国は男性育休の取得促進に向け、2023年以降、取得状況の公表義務化や数値目標設定の義務化などを段階的に進めているところです。企業にとっても、男女ともに育児休業を取りやすい環境づくりが求められています。
参考:令和5年度育児休業取得率の調査結果公表、改正育児・介護休業法等の概要について|厚生労働省
2. 育児休業の対象者


育児休業を取得できる対象者の条件や、対象外となるケースについて解説します。育児休業は以前より利用しやすくなってきていますが、一部は取得対象外となる場合もあるため、注意しておきましょう。
2-1. 対象者になる条件
育児休業を取得できる対象者は、原則として1歳未満の子どもを養育している従業員で、男女問わず取得できます。
【有期雇用労働者の取得要件】
子が1歳6ヵ月に達する日までに、労働契約の期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと
※以前は、「同じ企業に1年以上雇用されていること」も条件でしたが、2022年4月の改正により要件緩和され、廃止されました。
【育児休業の対象となる子】
- 実子・法的に認められた養子
- 未成年後見人が養育している子
- 特別養子縁組等の関係にある子
- 事実婚の妻の子
これらの子供が実際に労働者と同居していることが前提です。同居していない場合や、短期間だけの預かりの場合は対象外となります。
2-2. 労使協定により対象外になるケース
原則として1歳未満の子を養育していれば育児休業は取得できますが、労使協定で条件を定めている場合、該当する労働者は取得対象外とすることもできます。
【労使協定による除外対象】
- 雇用期間が1年未満
- 1年(1歳以降の休業の場合は6ヵ月)以内に雇用関係が終了
- 週の所定労働日数が2日以下
従業員から育児休業の申し出があった際には、労使協定の除外規定に該当しないかを必ず確認しましょう。
3. 育児休業の取得期間と申請期限


育児休業は、子どもの年齢によって取得できる期間が限定されています。また、申請期限も定められているため、しっかりとルールを把握しておきましょう。
3-1. 取得期間と期間の延長方法
育児休業は、原則として子どもが1歳になるまで取得できます。一括での取得のほか、2回までの分割取得も可能です。
また、育児休業満了の時点で保育所に入所できず復職が難しい場合、雇用継続のために必要と認められれば、1歳6ヵ月まで延長できます。さらに、1歳6ヵ月の時点でも保育所に入所できない場合、最長で2歳まで延長可能です。
3-2. 育児休業の申請期限
育児休業の申請期限は、子どもの年齢によって次のように定められています。
|
子どもの年齢 |
申請期限 |
|
1歳まで |
休業開始予定日の1ヵ月前まで |
|
1歳から1歳6ヵ月まで |
休業開始予定日の2週間前まで |
|
1歳6ヵ月から2歳まで |
期限は人事担当者が把握しておくだけでなく、取得予定の従業員にも事前に伝えておきましょう。
なお、育児休業期間中の社会保険料免除を申請する場合は、育児休業期間中または終了後1ヵ月以内に日本年金機構への手続きが必要です。漏れがないよう、育児休業が開始したら早めに対応するようにしましょう。
4. 育児休業中の給与の扱いと育児休業給付金


育児休業を取得する従業員にとって、休業中の収入は大きな関心事です。従業員から質問された際、正確に答えられるよう、給与の取り扱いと育児休業給付金の支給条件・計算方法を確認しておきましょう。
関連記事:育児休業給付金とは?支給条件や申請手続き、計算方法を解説!
4-1. 育児休業中の給与支払いは企業次第
育児休業期間中は、原則として企業が給与を支払う必要はありません。ただし、企業が社内規定によって、独自に有給扱いや一部給与を支給することも可能です。
給与が支払われない場合でも、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。給付額は、休業開始から6ヵ月間は、賃金の67%、その後は50%です。支給期間は、原則として子供が1歳になるまでですが、延長が認められた場合は最長2歳まで支給されます。
加えて、出生後休業支援給付金や出生時育児休業給付金(産後パパ育休)、社会保険料の免除制度などの支援策もあり、これらを活用することで収入の減少を補いながら、育児に専念することが可能です。
4-2. 育児休業給付金が支給される条件
育児休業給付金を受け取るためには、次の条件をすべて満たす必要があります。
- 雇用保険の被保険者であること
- 子どもが1歳(一定の条件で最長2歳)になるまでの間に育児休業を取得していること
- 育児休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金支払基礎時間数が80時間以上の)完全月が12ヵ月以上あること
- 就業日数が1ヵ月につき10日以下、または就業時間が80時間以下であること
- 育児休業期間中に、休業開始前の賃金の80%以上の賃金が支払われていないこと
- 有期雇用労働者の場合、養育する子が1歳6ヵ月に達する日までに、労働契約の期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと
条件を満たしていない場合、申請しても給付を受けられません。取得予定者には事前の確認と周知が必要です。
4-3. 育児休業給付金の計算方法
育児休業給付金は、休業開始時の賃金を基準に次の計算式で算出されます。
|
なお、「休業開始時賃金日額」は、育児休業開始前の直近6ヵ月間に支払われた賃金の総額を180日で割った金額です。
育児休業給付金を受け取るには、休業開始日前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上の月が12ヵ月以上あるなど、一定の支給要件を満たす必要があります。
5. 【実務を確認】育児休業取得手続きの流れ


育児休業を円滑に取得してもらうためには、企業として手続き方法や流れを正しく理解しておくことが必要です。ここでは、育児休業の申し出から終了までの基本的なフローを解説します。
5-1. 育児休業の申し出を受けて必要書類の提出を依頼する
まずは、従業員本人からの育児休業の申し出を受けます。2022年4月からは、妊娠・出産予定の申し出があった従業員に対して、企業が育児休業制度の説明や取得の意向確認をおこなうことが義務化されました。制度内容をきちんと説明し、取得希望の有無を確認しましょう。
育児休業の申し出を受けたら、従業員に書面で「育児休業申出書」を提出してもらいましょう。法律で定められたフォーマットはないため、企業が任意で作成できますが、次の項目を盛り込むと実務上わかりやすくなります。
【申出書に必要な基本項目】
- 申出年月日
- 従業員本人の氏名
- 子どもの氏名、カナ、生年月日、性別、続柄(出産前の場合は、予定情報)
- 育児休業開始日、育児休業終了日
合わせて、「母子手帳コピー(子どもの氏名記載がある市町村認定のページ)」「育児休業給付金を受け取る振込先銀行口座情報」が必要なことを伝えておきましょう。
5-2. 社会保険料免除の手続きをおこなう
育児休業中は、健康保険料・介護保険料と厚生年金保険料が本人負担分・会社負担分ともに免除されます。
従業員から免除の申し出を受けたら、「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構へ提出します。育児休業を延長した場合は、延長のたびに手続きをおこなわなければなりません。
また、予定より早く育児休業が終了した際は、「育児休業等取得者終了届」を提出する必要があるため、忘れないようにしましょう。
5-3. 育児休業給付金の手続きをおこなう
育児休業が開始したら、ハローワークに育児休業給付金の申請をおこないましょう。初回は、育児休業開始から2ヵ月経過後に、受給資格確認と同時に申請することが多く、その後は2ヵ月ごとに「育児休業給付金支給申請書」を提出します。
申請に必要な書類は次のとおりです。
|
【申出に必要な書類一覧】
|
支給が決定すると、ハローワークから「育児休業給付金支給決定通知書」が交付されるため、従業員に渡しましょう。期限内に申請しないと不支給となる場合があるため、申請スケジュールを従業員と共有し、漏れなく対応することが重要です。
関連記事:育児休業給付金支給申請書とは?書き方や申請手続きの方法を解説
5-4. 育児休業の延長可否の確認と案内をする(子が保育園に入れない場合)
育児休業は原則として子どもが1歳になるまでです。しかし、保育所に入所できないなどの事情がある場合は2回の延長ができます。
- 第一次延長:1歳6ヵ月まで(1歳時点で入所できない場合)
- 第二次延長:2歳まで(1歳6ヵ月時点で入所できない場合)
2025年4月からは延長時の審査が厳格化され、従業員には次の3つの書類を準備してもらう必要があるようになりました。
|
【延長時審査に必要な書類】
|
企業はこれらの書類を受け取り、延長申請のタイミングで「育児休業給付金支給申請書」に添付して申請します。3つの書類が揃わない場合は給付金を受けられなくなるため、従業員には事前に十分な案内と確認をおこないましょう。
6. 男性(父親・夫)の育児休業の取得促進に向けた取り組み


共働き世帯が増加する中で、家事・育児の負担を夫婦で分担する必要性が高まっており、育児休業を「男性も取るのが当たり前」とする社会風土への転換が進んでいます。
こうした流れを受けて、法改正により、企業には男性の育児休業取得状況の公表や数値目標の設定が義務付けられました。
さらに、産後パパ育休(出生時育児休業)の創設や啓発プロジェクトの開始など、制度面・意識面の両面から取得を後押しする取り組みが展開されています。
6-1. 男性の育児休業等の取得状況の公表が義務化
2023年4月から、従業員数が1,000人を超える企業には、男性の育児休業取得状況の公表が義務づけられました。さらに2025年4月からは、この義務が従業員数300人を超える企業まで拡大されています。
対象となる企業は、男性の育児休業等の取得率を年1回公表しなければいけません。公表によって企業の取り組み状況が可視化され、男性が育児休業を取得しやすい職場環境づくりにつながることが期待されています。
実際に、厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、令和5年度の男性の育児休業取得率は前年度の17.13%から30.1%へと上昇しました。
6-2. 男性の育児休業等の取得状況の数値目標設定が義務化
2025年4月から、次世代育成支援対策推進法の改正により、従業員数101人以上の企業では、一般事業主行動計画策定時に次の2点の目標を明記することが義務づけられました。
男性労働者の「育児休業等取得率」または「育児休業等及び育児目的休暇の取得率」フルタイム労働者1人あたりの時間外労働および休日労働の合計時間数
参考:育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法改正ポイントのご案内|厚生労働省イクメンプロジェクト
2025年4月にjinjerが実施したアンケート調査では、すでに30.5%の企業が数値目標の設定に対応済みで、現在目標の設定に向けて進めている企業が34.4%との結果でした。同時に、「義務化を知らなかった」と回答した企業も16.3%ありました。


未対応の企業には、厚生労働省から数値目標の公表を求めて勧告される可能性があるため、早めの対応が必要です。
6-3. 共育(トモイク)プロジェクトが2025年7月から開始
2025年7月から、厚生労働省による「共育(トモイク)プロジェクト」が開始されました。このプロジェクトは、男女ともに育児を主体的に担う「共育」文化を社会全体に広めることを目的とした啓発事業です。
主な取り組みとしては、次の内容が予定されています。
- 企業向けセミナー・シンポジウムの実施
- 企業版両親学級の取得促進
- 若年層向け意識調査・結果発表記者会見の実施
- 個人・若年層向けオンラインセミナーの実施
- 「共育の推進」に向けたコンテンツの発信
参考:「共育(トモイク)プロジェクト」開始のお知らせ
参考:共育(トモイク)プロジェクト
7. 【最新】2025年の育児休業に関わる法改正


2025年に育児休業制度の利用促進と柔軟な働き方の実現を目的とした法改正が行われました。子育て世代が仕事と育児を両立しやすくできるよう、企業にとっても制度整備や運用ルールの見直しが求められる内容です。
ここでは、改正の2つの大きなポイントを解説します。さらに詳細を知りたい方は関連記事もご覧ください。
関連記事:育児・介護休業法改正のポイントは?2025年施行予定の内容・企業の対応方法
7-1. 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための拡充措置
2025年10月より、子どもの年齢に応じて柔軟な働き方を選択できるよう拡充措置がおこなわれます。具体的には、「3歳から小学校就学前の子を養育する労働者」に対し、企業は次の5つのうち2つ以上の制度を選択して導入し、利用できるようにしなければなりません。
- 時差出勤またはフレックスタイム制(1日の労働時間は変更なし)
- テレワーク制度など(月10日以上で時間単位の取得可)
- 保育施設の運営やベビーシッター手配及び費用負担
- 養育支援休暇の付与(年10日以上で時間単位の取得可)
- 時短勤務制度(1日の所定労働時間を原則6時間とする)
制度導入には就業規則や社内ルールの改定が必要になるため、企業は早めに準備を始める必要があります。
7-2. 育児休業の取得状況の公表義務の拡大
2025年4月より、従来従業員数1,000人超の企業が対象だった「男性の育児休業等取得状況の公表義務」が従業員数300人超の企業へ拡大されます。
対象企業は、毎年度、次のいずれかを公表しなければなりません。
- 男性の「育児休業等の取得率」
- 男性の「育児休業等と育児目的休暇の取得率」
公表は、自社のホームページや「両立支援のひろば」など、一般の人が閲覧できる方法でおこなう必要があります。
8. 育児休業の制度化と普及のために会社がすべきこと


育児休業制度を形だけ整えても、従業員が利用しにくい環境では効果を十分に発揮できません。企業が積極的にサポート体制を整えて、安心して利用できる職場環境を作ることが不可欠です。ここでは、企業が取り組むべき3つのポイントを解説します。
8-1. 給付金の申請手続きのサポート
育児休業給付金は、従業員が安心して育児休業を取得するための重要な制度です。企業は、従業員が円滑に給付金を受け取れるよう、申請手続きを適切におこなう責任があります。
具体的には、育児休業給付金や出生時育児休業給付金の申請に必要な書類を準備し、期間内に事業所を管轄するハローワークに提出します。また、社会保険料免除を受けるためには、年金事務所や健康保険組合への届出が必要です。
これらの手続きを迅速かつ確実に進めることで、従業員が収入面の不安を抱えることなく育児に専念でき、企業としても安心して制度利用を促進できるでしょう。
8-2. 育休制度の周知徹底と取りやすい環境づくり
会社が育児休業制度を社内で円滑に運用するためには、就業規則や社内規定に育休制度を明確に記載することが重要です。2022年に改正された育児・介護休業法では、次のいずれか1つ以上の措置を講じることが会社に義務づけられました。
- 育休制度に関する研修の実施
- 育休制度に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
- 育休制度の取得事例の収集・提供
- 育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
これらの取り組みによって、従業員が制度を利用しやすい職場環境が整備され、取得率の向上や離職防止につながるでしょう。
参考:育児・介護休業法 令和3年(2021年)改正内容の解説|厚生労働省
8-3. ハラスメントへの対策
育児休業の申し出や取得を理由に不利益な取扱いをすることは、育児・介護休業法第10条および男女雇用機会均等法第9条第3項で禁止されています。また、企業には上司や同僚によるハラスメントを防止する義務もあるので対策が必要です。
具体的には、育児休業中の就労強要や、育児休業制度の利用を控えるように圧力をかける行為、逆に育児休業制度を利用していない従業員に取得を強制する行為もハラスメントに該当します。
現場で適切なコミュニケーションがおこなわれているか、企業は常に把握し、必要に応じて是正措置を講じることが重要です。育児休業制度の適切な運用とハラスメント防止策の徹底は、従業員が安心して制度を利用できる環境づくりの基本になります。
9. 育児休業を理解して育児に専念できる環境を整えよう


育児休業は、子どもが健やかに成長するための大切な時間を確保できる法定制度です。制度の内容や対象者、取得期間、給付金の仕組みを正しく理解し、申請の流れを押さえることで、従業員は安心して育児に専念できます。
また、企業としても、制度の周知やハラスメント防止、男性の育児休業取得促進に向けた取り組みなどの環境整備が不可欠です。2022年から段階的に施行されている法改正に適切に対応することは、これからの企業価値向上にも直結します。
育児と仕事の両立を支える制度を有効に活用し、従業員一人ひとりが安心して子育てに向き合える職場づくりを進めていきましょう。



育児・介護休業に関する法改正が2025年4月と10月の2段階で施行されました。特に、育休取得率の公表義務拡大など、担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
本資料では、最新の法改正にスムーズに対応するための実務ポイントを網羅的に解説します。
◆この資料でわかること
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