発注書と請書の違いやそれぞれの役割・書き方を詳しく解説
更新日: 2024.5.8
公開日: 2021.11.20
jinjer Blog 編集部
発注書や請書は、企業間で商品やサービスを取引する際に使われる契約書です。発注書は商品やサービスを依頼した側が受注者に対して発行します。請書は商品やサービスを依頼された側が依頼を受けることを証明するために発行する文書です。この記事では発注書と請書の違い、それぞれの役割や書き方を詳しくご紹介します。
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1.発注書は見積もりを了承したあとに発行する文書
発注書とは、商品やサービスを注文したときに発行される文書のことです。注文書とよばれることもあります。業界によっては発注書と注文書を使い分けていますが、一般的には同じ意味として使われることが多いでしょう。発注書が発行されるのは、見積書のあとです。商品やサービスを注文した側が見積書の内容を確認し、問題がなければ発注書に取引内容を記載し提出します。
関連記事:発注書と注文書の違いとは?それぞれの役割や作成方法を解説
1-1.発注書にはトラブルを避ける役割がある
発注書は発注者と受注者で商品やサービスの仕上がりイメージを共有するために作られます。
例として、発注者があるサービスの見積もりをなじみの受注者に依頼したケースについて考えましょう。
サービスの依頼はすべて口頭で行われ、納品されたサービスはまったく予想外の仕上がりになってしまいました。発注者は具体的なイメージや数、予算をきちんと伝えたと言い、受注者はそんなことは聞いていなかったと主張する……こうした水掛け論になるトラブルは避けなければなりません。
発注書には商品やサービス名、個数、単価や金額といった取引の具体的な決まりごとが書かれています。納期や検収完了日も書かれているため、両者にとって安心して仕事ができる文書となるのです。
また、取引内容が下請法(下請代金支払遅延等防止法)の対象であれば、必ず発注書を作らなければいけません。中小企業庁が定める適用範囲は以下のように決められています。
“親事業者が下請事業者に物品の製造、修理、情報成果物(ソフトウェアなど)の作成又は役務(運送、情報処理、ビルメンテナンスなど)の提供を委託したときに適用されます。”
[引用元]中小企業庁:下請代金支払遅延等防止法
補足として、発注書の保存期間は法人で7年〜10年、個人の場合は5年です。[注1][注2]
2.請書は依頼を受けることを証明する文書
請書とは、発注を受ける意思を証明するための文書です。同意書や確認書、発注請書ともよばれています。請書は発注書を受け取った側が発行するものです。
2-1.収入印紙は紙で発行する場合は必要、PDFなどの場合は不必要
請書に収入印紙が必要かどうかは、請書が課税文書に当たるかどうかで判断されます。課税文書とは、その名の通り作成した契約書に税がかかることです。国税庁の「課税文書に該当するかどうかの判断」では、以下の3つに当てはまる場合は、課税文書に当たると書かれています。[注3]
・印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
・当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
・印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。
収入印紙の金額は、契約書に書かれている金額によって違います。たとえば契約金が1万円未満であれば収入印紙は不必要、1万円以上かつ100万円以下のものであれば200円の収入印紙が必要です。[注4]
また請書をPDFやFAXで送信する場合には、収入印紙を貼る必要はありません。しかし請書をPDFやFAXで送信したあと、用紙を印刷し、受注者に送る場合には収入印紙が必要になります。[注5]
請書を紙で発行した場合には収入印紙が必要、PDFやFAXの場合は不必要と覚えておきましょう。
3.発注書と請書の違いは?
発注書と請書の違いは、発行者が違うことがポイントです。発注書は商品やサービスを注文する側が下請法に基づき、トラブルを防ぐために発行します。請書は発注を受ける側が、発注を受けるという意思を証明するために発行します。
関連記事:発注請書とは?載項項目・収入印紙の必要性を詳しく解説
4.発注書と請書が発行される流れ
発注書は商品やサービスを依頼する側が受注者に発行する文書、請書は受注する側が発注者に対して発行する文書とお伝えしました。それぞれ商品やサービスを取引する際に発行される文書ですが、企業間で商品やサービスが契約される流れにおいて、どういったタイミングで発行される文書なのでしょうか。以下では取引全体の流れをご紹介します。
4-1.受注者が発注者に見積書を送る
まず発注者が受注者に見積もり依頼をします。どういった商品やサービスがほしいのか、数量はどれほどか、予算はどれほどなのかといった内容が話し合われたあと、受注者が発注者に見積書を送ります。見積書には商品やサービスの単価、合計金額、数量などが書かれています。
関連記事:見積書の作成方法を徹底解説!知っておきたい4つのポイント
関連記事:見積書の正しい書き方とは?知っておきたい18のポイント
4-2.発注者が受注者に発注書を送る
見積書を受け取った発注者が、正式に依頼をする場合に発行する文書が発注書です。発注書には、依頼する商品やサービスの内容、希望する納期、金額などが書かれています。見積書に納得できない場合には、再度見積もり依頼をすることもあります。
4-3.受注者が発注者に請書を送る
請書は受注者が発注を受けることを証明するための文書です。内容は発注書と同じく、受注する商品やサービスの内容、納品日、金額などが書かれています。企業間で行われる取引では省略されたり、発注書と兼ねられたりする場合もあります。
4-4.受注者が発注者に納品書を送る
依頼された商品やサービスが完成した際に、受注者が納品書を発行します。納品書には完成した商品やサービス名など、見積書と似た内容が書かれます。発注者によっては納品書がいらないという場合もありますので、納品書を発行する際は取引先に確認するとよいでしょう。
4-5.発注者が受注者に検収書を送る
検収書は、発注者が受注者から受け取った商品やサービスに問題がないと判断した場合に発行される文書です。受領書と呼ばれる場合もありますが、どちらも同じ用途で使われます。内容は納品書とほとんど同じものです。検収印や受領印の欄に押印し、送ります。
関連記事:検収書とは?その役割や書き方のポイント・注意点を解説
4-6.受注者が発注者に請求書を送る
検収書を受け取った受注者が商品やサービスを納品した代金を請求するために発行する文書が請求書です。受注者によっては、納品のタイミングで請求書と兼ねて納品兼請求書を発行することもあります。請求書には納品書と似た内容に加え、支払期限や振込口座などが書かれています。
4-7.受注者が発注者に領収書を送る
領収書は、受注者が納品した商品やサービスに対し、代金が支払われたと確認できたときに発行します。企業間の取引では省略されることもあります。
5.発注書の書き方のポイント
・取引先の宛名
・発注書を発行した日付
・自社名、住所、電話番号、メールアドレス、担当印など
・依頼する内容、単価、数、合計金額
・備考
発注書には発注番号を書いておくと管理がしやすいでしょう。このとき見積書の番号とひも付けておくと管理が便利です。備考には納期や納品方法、支払方法や伝えておきたいことを書きます。トラブルがないよう、できる限り詳しく書くと親切です。また発注書をメールで送る際は、PDFかExcelで送ると受注者も対応しやすいでしょう。
またインターネット上には発注書のテンプレートが公開されています。型を作るのは面倒だと感じる方は、テンプレートの使用をおすすめします。
関連記事:発注書の書き方や記入項目・注意点を分かりやすく解説
6.請書の書き方のポイント
請書は発注を受けることを取引先に伝えるための文書です。請書の内容は発注書とほとんど変わりません。必ず書かなければいけないことは以下の5つです。
・取引先の宛名
・請書を発行した日付
・自社名、住所、電話番号、メールアドレス、担当印など
・依頼された内容、単価、数、合計
・備考
備考には支払方法や支払期限、納品予定日などを書きましょう。こちらもインターネット上にテンプレートが公開されています。手間をかけたくない場合はテンプレートを使って作るとよいでしょう。
7.発注書と請書は取引で使われる文書
発注書は商品やサービスの見積もりを了承し、正式に依頼する際に発行される文書です。対して請書は、依頼を受けることを証明するための文書として、受注者が発行します。ふたつの違いは、発行者が違うことです。発注書や請書の書き方はほとんど変わりがありません。作成に時間や労力をかけたくないという場合は、ネット上に公開されているテンプレートを使ってもよいでしょう。
[注1]国税庁:帳簿書類等の保存期間
[注4]国税庁:負債に関する契約書
[注5]国税庁:(別紙)(事前照会者の求める見解となることの理由)
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