就業規則の労働基準監督署への届出を解説!届出義務や期限、必要書類とは
更新日: 2026.1.29 公開日: 2021.10.25 jinjer Blog 編集部

就業規則とは、会社で働くうえで重要な労働条件や賃金に関するルールを明文化した文書です。賃金は「賃金規程」、育児や介護は「育児介護休業規程」など、カテゴリーごとに分けて規程を作成している会社もあるでしょう。
名前が「就業規則」ではなくても、働くうえでのルールを定めた文書は、名称に関わらずすべて就業規則の一部として扱われるため、労働基準監督署への届出が必要です。
本記事では、どのような場合に就業規則の届出が必要なのか、また届出をする際はどのような書類が必要なのかを解説します。
関連記事:就業規則とは?人事担当者が知っておくべき基礎知識をわかりやすく解説
目次
労務管理をおこなう上で、就業規則の「作成、届出・変更、さらには周知において」——正しく理解できていますか?
記載すべき項目のミスや、変更する際のルールの見落としは、法令違反や労基署からの指導といった深刻なトラブルを招きかねません。就業規則の管理ミスは企業リスクに直結するため、人事労務担当者であれば、必要な労働基準法を正しく理解しておくべきです。
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1. 就業規則の届出とは


就業規則の届出とは、事業主が就業規則を作成または変更した際に、その内容を届け出る手続きを指します。就業規則は作成した後に、事業所を管轄する労働基準監督署に届出をしなければ、労働基準法違反になる可能性があります。具体的にどのようなケースで届出が必要なのか解説します。
1-1. 就業規則の届出義務が発生する条件
労働基準法89条では、次のように就業規則の届出義務が定められています。
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
常時10人以上にカウントされる労働者とはパートやアルバイトなどの雇用形態や勤務日数に関わらず、在籍している労働者です。派遣社員は、派遣元の事業所でカウントするため、自社の労働者に含めません。
また、就業規則は事業所ごとに必要のため、労働者のカウントも事業所ごとにおこないます。例えば、本社に10人の正社員が在籍していて、営業所に1人の正社員と4人のアルバイトが在籍している場合、就業規則の届出義務があるのは、本社のみです。
1-2. 届出が必要な就業規則とは
就業規則とは、労働条件や賃金など会社で働くうえで労働者に適用されるルールを定めている文書全般のことを指します。そのため、「就業規則」という名前ではなくても、働くうえで労働者に適用されるルールを定めた文章はすべて就業規則です。
代表的なものは次のとおりです。
- パートタイマー就業規則
- 賃金規程
- 育児介護休業規程
- 出張旅費規程
- 慶弔見舞金規程
雇用形態別に就業規則を分けて作成したり、賃金や出張旅費、慶弔見舞金などは就業規則に含めず、別規程として作成したりするケースもあるでしょう。そのように規程を分けて作成した場合でも、就業規則の付属規程として取り扱われ、届出義務が課されます。規定を作成した際は、忘れずに届出をおこないましょう。
2. 就業規則の届出における3つの必要書類


就業規則を労働基準監督署に届け出る際には、どのような書類を準備し、提出すればよいのでしょうか。届出が必要な書類は次の3つです。
- 就業規則
- 意見書
- 就業規則(変更)届
本章では、これら3つの必要書類を具体的に解説します。
2-1. 就業規則
就業規則の本体を紙もしくはデータで準備します。 Wordで作成している場合は、変更履歴などを削除しておきましょう。就業規則は新規作成時だけでなく、内容を変更した場合も届出が必要です。改定日やバージョン情報を明記し、誤って従前の就業規則を提出することがないよう管理するとよいでしょう。
また、1章で触れたように、就業規則の本則以外に賃金規程などの「別規程」がある場合はそれらも全て就業規則となるため、忘れずに届出をおこないましょう。
関連記事:就業規則の作成方法|記載すべき項目や注意すべきポイントを解説
2-2. 従業員代表者の意見書
就業規則の届出をする際には、従業員代表の意見書を添付する必要があります(労働基準法第90条)。就業規則の届出にあたっては、従業員代表に意見を聴かなければなりません。意見を聴いたうえで、意見書を作成し、添付をして届出をおこないます。
意見書の記載事項は次のとおりです。
- 意見を求められた日付
- 従業員代表の氏名
- 従業員代表の意見(ない場合は、「特に意見なし」などと記載)
- 従業員代表の選出方法
従業員代表とは、従業員の過半数を代表する労働者のことです。従業員代表は民主的な方法で選出する必要があり、管理監督者は従業員代表になれません。
従業員代表は、就業規則の制定や変更時に従業員側を代表し、意見を表明する役割を担っています。また36協定の締結時に会社側と内容を協議をし、締結をするのも重要な役割の一つです。
従業員代表の選出方法や、具体的に何をするのか、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
関連記事:36協定の労働者代表とは?役割・選出方法や決め方も紹介!
意見書のフォーマットは、厚生労働省のサイトからダウンロードができます。
関連記事:就業規則の意見書とは?様式・記入例や作成に必要な内容と押印時のポイントを解説
2-3. 就業規則(変更)届
就業規則(変更)届とは、作成した就業規則を労働基準監督署に提出するための、届出書面のことです。新規作成・変更の種別、変更内容、労働保険番号などの会社情報が記載されています。
就業規則(変更)届のフォーマットも、厚生労働省や労働局のサイトからダウンロードできます。
参考:就業規則(変更)届フォーマット(Word)|厚生労働省
意見書とあわせて就業規則(変更)届の記載例は次のとおりです。
就業規則の変更に伴い届出をする場合、主な変更事項の欄に、変更前・変更後の内容を記載すれば、規程については該当部分のみの添付で提出が可能です。
また、変更事項が多い場合は、「別紙のとおり」などと記載をし、新旧対照表を添付することでも届出ができます。
関連記事:就業規則の変更を届出る際の提出方法と気をつけるべき4つの注意点
3. 労働基準監督署への就業規則の届出方法


労働基準監督署への届出は、書面での提出やオンラインでの提出など、複数の方法があります。それぞれの届出方法の注意点も含め解説しているので、ぜひ自社に合った届出方法を選択する際の参考にしてください。
3-1. 管轄の労働基準監督署に持ち込む
1つ目の方法が、事業所を管轄する労働基準監督署の窓口に直接提出する方法です。訪問するための移動時間や交通費がかかりますが、最も速く、確実です。急いでいる場合や、内容について直接確認したいことがある場合は、この方法が適切でしょう。
「就業規則」「就業規則(変更)届」「意見書」をそれぞれ2部ずつ印刷して準備します。窓口に提出し、特に不備などがなければその場で受理印を押してもらえるため、1部は自社の控えとして持ち帰り、保管しておきましょう。
3-2. 郵送で手続きをおこなう
2つ目の方法が、労働基準監督署へ郵送する方法です。窓口へ持参する場合と同様に、必要書類を2部ずつ印刷します。
切手を貼った返信用封筒を同封すると、1部は返送してもらえるため、必ず2部提出し、控えを返送してもらいましょう。ただし、不足している書類や情報がある場合は差し戻される可能性があり、その分の手間と時間がかかってしまう点に注意が必要です。
3-3. 電子申請で手続きをおこなう
3つ目の方法が、電子申請です。現在では、労働基準監督署への届出書面の多くが電子申請に対応しており、就業規則(変更)届も電子申請での届出が推奨されています。時間や場所を問わず届出ができ、郵送などのコストもかからないことがメリットといえます。
活用するシステムであるe-Gov(イーガブ)は、行政手続きをオンライン上で対応できる政府運営の電子申請システムです。
電子申請で届出をする場合、就業規則(変更)届の書面の準備は必要ありませんが、就業規則と意見書はPDFなどのデータの用意が必要です。
届出をすると、後日労働基準監督署から公文書データが返ってきます。受理印が押された就業規則(変更)届、就業規則、意見書のデータを保管しておきましょう。
なお、受理印の扱いは、管轄の労働基準監督署によって異なります。「手続きが完了しました」という受付完了通知だけで、提出したデータが返却されない場合もあります。データが返却されない場合は、受付完了通知を保管しておきましょう。
3-4. 本社一括届出も可能
就業規則の届出義務のある事業所が複数ある場合は、本社一括届出という制度が利用できます。この制度を利用すると、本社を管轄する労働基準監督署にまとめて提出することができ、事業所ごとの提出は不要です。ただし、本社と事業所が同じ内容の就業規則を適用している場合に限られるため注意しましょう。
また、従業員代表の意見書は、事業所ごとに作成する必要があります。本社だけでなく、事業所の意見書も作成し添付するようにしましょう。
4. いつまでに届出が必要?就業規則の届出期限


就業規則の届出は、労働基準法施行規則49条で「遅滞なく届出をしなければならない」と定められています。何日以内など明確な期限はありませんが、作成をしたらなるべく迅速に提出しましょう。施行日の前でも届出は可能です。
4-1. 変更・改定・追加の場合の届出期限
就業規則を変更した場合も、新規作成した場合と同様、「遅滞なく」届出をする必要があります。変更や改定をした際は忘れがちですが、従業員への意見聴取、周知、労働基準監督署への届出の順番で手続きをおこない、漏れがないようにしましょう。
4-2. 就業規則の提出を忘れていた場合
就業規則の届出を忘れていた場合は、気がついた時点で速やかに届出をしましょう。就業規則の届出をしていなかったことで、ただちに就業規則が無効となるわけではありません。
就業規則は、従業員への周知義務があり(労働契約法第7条)、適切に周知しているかどうかが、就業規則の有効性を判断するうえで一番重要なポイントです。ただし、就業規則の変更が従業員にとって不利益な内容を含む場合、変更の合理性が問われます。届出をしていない場合、法的に必要な義務を果たしていないことにより、合理性の判断にマイナスの影響を及ぼす可能性もあります。
また、労働基準監督署の調査時などに届出をしていないと、行政指導の対象や30万円以下の罰金が科される可能性があります。会社側が不利にならないためにも、適切な時期に確実に届出をしましょう。
5. 就業規則の届出における注意点


ここまで、どのような場合に就業規則の届出が必要なのか、また届出の際の必要書類についてみてきました。本章では、届出をしなかった場合のリスクやその他の注意点を解説します。
5-1. 就業規則の届出をしない場合は罰則が課される可能性がある
常時10人以上の労働者を使用する事業所において、就業規則の届出をしなかった場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。また、就業規則は新たに作成したときだけでなく、変更したときも届出が必要となるため届出漏れがないか注意が必要です。
5-2. 付属規程等の届出が必要な範囲に注意する
就業規則の届出は、付属規程等について届出が必要な範囲に注意が必要です。契約社員就業規則やパート社員就業規則、嘱託社員就業規則など、雇用形態に関係なくすべての就業規則に届出義務があります。ただし、単に社内の参考資料や指針としての「規程集」のようなものは対象外です。
また、賃金・休暇・評価制度などの労働条件に関わる内容を別規程として運用している場合は、それらもすべて就業規則の一部として届出の対象になります。
人事関連の規程は、同一の記号や体系で管理をし、「人事規程」として分類しておくと漏れを防げるでしょう。
5-3. 従業員への周知を忘れない
就業規則には、作成および労働基準監督署への届出義務に加えて、「従業員への周知義務」が欠かせません。適切な方法で就業規則の内容を従業員に周知していない場合、懲戒処分や労働条件の変更が無効と判断されるなど、会社にとって重大なリスクが生じます。
周知する際は、従業員全員がいつでも確認できる状態で周知されているかどうかが重要なポイントです。例えば、就業規則の懲戒規定に基づき懲戒をした事案で、就業規則が従業員に周知されていなかったことを理由に、懲戒が無効と判断された裁判例もあります。就業規則を作成・変更した場合は、必ず従業員が常時閲覧できる状態にしたうえで、周知をしたことの記録をとっておきましょう。
参考:就業規則の効力|裁判例
関連記事:企業が就業規則の閲覧を求められたら?労働者の権利と会社の義務に基づいた対応方法とは
6. 就業規則の届出義務を遵守して適切な手続きをしよう


就業規則は、給与や勤務条件、休暇など会社で働くうえでのルールをまとめた大切な文書です。常時10人以上の従業員がいる事業所では、就業規則を作成し、従業員へ周知したうえで、労働基準監督署へ届出をする義務があります。
就業規則は、労使間のトラブルの予防や、信頼できる職場づくりの一環としても重要な役割を担っています。確実に効力を発生させるためにも、作成・変更後は、忘れずに提出するようにしましょう。
労務管理をおこなう上で、就業規則の「作成、届出・変更、さらには周知において」——正しく理解できていますか?
記載すべき項目のミスや、変更する際のルールの見落としは、法令違反や労基署からの指導といった深刻なトラブルを招きかねません。就業規則の管理ミスは企業リスクに直結するため、人事労務担当者であれば、必要な労働基準法を正しく理解しておくべきです。
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