年末調整での還付金(返金)処理はいつまでに?仕組みや方法を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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年末調整での還付金(返金)処理はいつまでに?仕組みや方法を解説

電卓

年末調整によって、その年に多く支払った所得税・復興特別所得税の返金を受けられることがあります。

しかし、申告漏れや内容に不備があった場合は、受けられるはずの返金額が減ってしまったり、返金そのものを受けられなくなったりするケースもあります。

年末調整における返金の仕組み・方法を正しく理解し、正しく年末調整の手続きをおこないましょう。

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「特定親族特別控除」が新設されるなど、例年以上に複雑になる令和7年の年末調整。
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1. 年末調整での返金(還付金)の仕組み

歯車を操る男性

年末調整をおこなうと返金(還付金)が生じることも少なくありません。ここでは、そもそも年末調整とは何か説明したうえで、年末調整で還付金が生じる仕組みや、いつまでに返金処理をしなければならないのかを紹介します。

1-1. そもそも年末調整とは?

年末調整とは、その年に源泉徴収をした税額の合計額と、実際に納めるべき所得税額を比べて差額を精算する手続きを指します。

年末調整は所得税法で定められた従業員に給与を支払う雇用主の義務です。対象者を確認したうえで、法令に基づき正しく手続きをおこなう必要があります。

関連記事:年末調整とは?確定申告との違いや必要書類、計算の流れをわかりやすく解説

1-2. なぜ年末調整で返金(還付金)が発生する?

従業員の給与や賞与から毎月天引きされる所得税は、源泉徴収税額表をもとに概算で計算されます。税額表には扶養親族の人数や社会保険料控除額など一定の条件が反映されていますが、年の途中で扶養人数が変動したり、生命保険料・地震保険料を支払ったりする場合、実際に納めるべき所得税額と差が生じることがあります。

年末調整では、配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)などの各種控除を適用し、その年の最終的な所得税額を確定します。その結果、源泉徴収された税額が実際の税額を上回っている場合には返金(還付金)が発生するのです。

関連記事:年末調整でマイナスになる主な理由と対処方法を詳しく解説

1-3. 年末調整での返金(還付金)処理はいつまでに?

年末調整による還付は、まず年末調整をおこなった月(通常12月)の源泉所得税の納付額から差し引いて返金します。還付額がその月の納付額を超える場合は、翌年1月以降の納付額から順次差し引いて返金することになるでしょう。

ただし、次のいずれかに該当する場合は、「年末調整過納額還付請求書兼残存過納額明細書」を所轄税務署長に提出し、税務署から直接還付を受けます。

  • 解散・廃業などで給与の支払者でなくなった場合
  • 納付すべき源泉所得税がなくなった場合
  • 過納額が多く、還付予定日の翌月から2ヵ月を経過しても全額返金できないと見込まれる場合

提出時期は明確に定められていませんが、当該事由が生じた日から5年以内に提出しない場合、時効により請求権が消滅するので留意が必要です。

参考:No.2675 年末調整の過不足額の精算|国税庁

参考:A2-17 源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額の還付請求

2. 年末調整での返金(還付金)を受ける方法

コイン

年末調整で還付金が発生した場合の従業員への返金方法は、明確に定められていません。ここでは、手渡しする方法と給与口座に振り込む方法について紹介します。

2-1. 手渡しする

年末調整により還付金が生じた場合、その額を従業員へ手渡しにより返金する方法があります。従業員数が少なく、毎月の給与なども手渡しで支給している場合は、手渡しで返金しても問題ないでしょう。

しかし、従業員数が多い場合、一人ひとりに対して還付金の返金をすると、担当者の負担が大きくなりやすいです。また、手渡しでおこなう場合、人的ミスが発生し、「還付金を受け取っていない」など従業員トラブルにつながる恐れもあるので注意して対応する必要があります。

2-2. 給与口座に振り込む

従業員の給与口座に還付金を振り込むことでも、年末調整の返金処理ができます。通常は12月分の給与と同じタイミングで還付金を振り込むケースが多いでしょう。

給与口座に振り込む場合、システムにより自動化すれば、人的ミスを抑制し、業務を効率化できます。給与口座に還付金を振り込む際は、給与明細に「年末調整還付金」などと従業員にわかりやすいよう記載することが大切です。

関連記事:給与明細とは?保管期間や注意点、記載項目までくわしく解説

3. 年末調整の返金(還付金)と控除の関係

男性

年末調整では、従業員がさまざまな所得控除や税額控除を申告することによって、実際に納付すべき年税額が減り、返金が生じやすくなります。

ここでは、主な所得控除と税額控除の種類について詳しく紹介します。

3-1. 基礎控除

基礎控除とは、所得が一定以下のすべての人が適用できる所得控除です。令和7年度税制改正により、2025年分からの基礎控除は見直しされています。

例えば、基礎控除の最低保障額は48万円から95万円へと引き上げられています。年末調整の計算をする際は間違いが生じないよう注意しましょう。

参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁

3-2. 配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者控除とは、その年の合計所得額が58万円(給与収入のみの場合は123万円)以下の配偶者がいる場合に、一定の条件を満たすことで受けられる所得控除です。

一方、配偶者特別控除は、配偶者控除を受けられない場合に、一定の条件を満たすことで受けられます。その年の合計所得額が58万円超133万円(給与収入のみの場合は123万円超201万円)以下であることが条件のひとつです。

関連記事:年末調整は結婚したら何が変わる?結婚後の書き方や結婚予定がある場合の対応を解説

3-3. 扶養控除

扶養控除は、納税者と生計を一にしている16歳以上の扶養親族がいる場合に適用されます。令和7年度税制改正により、2025年分から新たに特定親族特別控除が創設されました。

扶養控除の特定扶養親族(特定扶養控除)の所得要件を満たせない場合でも、特定親族特別控除を適用できる可能性があります。また、2025年分から扶養親族等の所得要件も見直しされているのであわせて確認しておきましょう(配偶者控除やひとり親控除、勤労学生控除にも影響)。

参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁

3-4. 障害者控除

障害者控除は、納税者本人に所得税法上で規定している障害がある場合、控除を受けられます。これは、配偶者や扶養親族に対しても同様の扱いです。障害者控除には3種類あり、納税者本人や配偶者、扶養親族の障害の状態によって控除額が変わります。

関連記事:年末調整の障害者控除とは?対象範囲やいくら戻るのか、書類の書き方を解説

3-5. 寡婦控除

寡婦控除とは、納税者自身が寡婦に該当する場合に受けられる所得控除です。寡婦控除は女性のみが対象で、男性には適用がないので注意しましょう。

3-6. ひとり親控除

ひとり親控除とは、納税者自身がひとり親に該当する場合に受けられる所得控除です。寡婦控除とは違い、女性だけでなく、男性も対象です。また、未婚でも生計を一にする子がいれば、控除を受けられる可能性があります。

関連記事:年末調整の「ひとり親控除」とは?寡婦控除との違いや対象者を解説

3-7. 勤労学生控除

勤労学生控除とは、納税者自身が勤労学生に該当する場合に受けられる控除です。特定の学校に通っていること、合計所得金額が85万円以下(給与収入のみの場合は150万円以下)などの条件を満たす必要があります。令和7年度税制改正の勤労学生の所得要件の緩和、給与所得控除の最低保障額の引き上げにより、これまでよりも勤労学生控除は受けやすくなっています。

参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁

3-8. 社会保険料控除

社会保険料控除とは、健康保険や厚生年金保険、雇用保険などの社会保険料を支払っている場合に受けられる所得控除です。納税者自身だけでなく、配偶者や子などの親族の負担すべき社会保険料を支払った場合も社会保険料控除の対象です。また、国民年金保険料など一定の保険料については、年末調整の申告の際、証明書類の添付もしくは提示が必要になるので注意しましょう。

関連記事:年末調整の社会保険料控除とは?対象となる保険や計算方法を解説

3-9. 生命保険料控除

生命保険料控除では、一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3つが控除の対象です。新契約(平成24年1月1日以降に契約)と旧契約(平成23年12月31日以前に契約)では、生命保険料控除の内容が異なります。また、保険期間が5年未満の生命保険も控除が適用対象にならないケースがあるため注意が必要です。

3-10. 地震保険料控除

地震保険料控除は、地震保険料と経過措置の対象となっている旧長期損害保険に控除が適用されます。なお、火災保険の保険料は控除対象とならないので注意しましょう。

3-11. 小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済法に基づく共済契約の掛金、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金、心身障害者扶養共済制度の掛金を支払った場合などに適用される所得控除です。年末調整で控除を受けるには、従業員が「保険料控除申告書」に記載し、掛金の払込証明書を提出する必要があります。

3-12. 住宅ローン控除(2年目以降)

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)とは、一定の条件で組んだローンで、居住用の住居を購入または特定の改修工事をした場合に適用となる税額控除です。

年末調整では2年目以降の住宅ローン控除から申告が可能となるため、1年目に控除を適用する場合は確定申告が必要となります。

3-13. 【具体例】年末調整の返金(還付金)が発生するケース

実際に年末調整の還付金が発生するケースの具体例を紹介します。なお、所得控除や税額控除を適用したとしても、年税額のほうがその年の源泉徴収税額の合計額よりも大きい場合、還付金は生じないので留意が必要です。

還付が生じやすくなるケース

対象になる控除

結婚した場合

配偶者控除・配偶者特別控除

扶養対象者が増えた場合

扶養控除

配偶者と離婚・死別した場合

寡婦控除

ひとり親である場合

ひとり親控除

本人や家族が障がい者の場合

障害者控除

生命保険や地震保険に加入している場合

生命保険料控除・地震保険料控除

個人で社会保険料を支払った場合

社会保険料控除

iDeCoに加入している場合

小規模企業共済等掛金控除

住宅ローンを組んでいる場合

住宅借入金等特別控除

生活環境や家族構成などが変わり、新しく控除を受けられるようになった場合は年末調整をおこなうことで返金を受けられる可能性があります。とくに保険関係やローン関係の控除は申告漏れが発生しやすいため従業員に注意を促しましょう。

このように、控除の種類は複数あり、それぞれの条件や必要書類を確認しながら業務を進めていく必要があります。当サイトでは、控除ごとの条件や必要書類をリスト形式で確認できる資料を無料で配布しています。年末調整業務に不安のある方は、こちらから「年末調整ガイドブック」をダウンロードして、控除や年末調整業務の理解にお役立てください。

4. 年末調整で申告ができない控除

はてな

所得控除や税額控除のなかには、年末調整で適用できないものがあります。そのような控除を適用したいと申し出があったら、従業員自身で確定申告をしてもらわなければなりません。ここでは、年末調整で申告ができない控除の代表例を紹介します。

4-1. 医療費控除

納税者本人または生計を一にする配偶者や扶養親族が、一定額を超える医療費を年間で支払った場合は、医療費控除を受けられます。控除額は200万円が限度で、控除額を求めたい場合は以下の計算式を使います。

医療費の総計 - 保険金などによる補填額 - 10万円※ = 医療費控除額

※年間所得が200万円未満の場合は、10万円ではなく年間所得の5%が適用

なお、通常の医療費控除ではなく、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が適用できるケースもあります。両方を併用することはできないので注意しましょう。

4-2. 雑損控除

災害、盗難、横領などによって、生活に必要な住宅や家具といった資産が被害を受けた場合は、雑損控除により一定額の控除が受けられます。ただし、別荘や骨董品など、生活に必需ではないものに対しては控除を受けることはできません。

4-3. 寄付金控除

寄附金控除とは、国や地方公共団体などへ一定の寄付金を支払った場合に受けられる所得控除です。ふるさと納税も寄附金控除の対象ですが、控除を受けるには原則として確定申告が必要です。

ただし、寄附先が5団体以内で、かつ各自治体へワンストップ特例の申請をおこなっている場合は、確定申告をせずとも控除を受けられます。

参考:No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)|国税庁

4-4. 住宅ローン控除(初年度)

住宅ローン控除は所得控除ではなく、税額控除に該当し、適用を受けることで、大きく税負担が軽減されます。ただし、1年目の住宅ローン控除は年末調整で受けられません。そのため、従業員自身で確定申告が必要です。なお、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の適用が可能です。

5. 年末調整の返金(還付金)の注意点やポイント

注意

年末調整での返金処理には気を付けるべき点がいくつかあります。ここでは、年末調整の還付に関する注意点やポイントについて詳しく紹介します。

5-1. 年末調整で対応できない場合は確定申告で還付金を受け取ってもらう

年末調整は「扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員が対象です。「扶養控除等(異動)申告書」が提出されていない従業員については年末調整をおこなえないため、還付金が生じる場合も、従業員自身による確定申告が必要です。なお、確定申告の期限を過ぎても、還付金を受け取れる場合は、還付申告により対応できます。

関連記事:年末調整の対象者とは?必要な書類や確定申告との関係も解説

5-2. 従業員によっては返金ではなく追加徴収となる可能性もある

年末調整をおこなえば必ず還付金が生じるわけではありません。その年の源泉徴収税額の合計額が、年末調整により計算された実際に納付すべき所得税額よりも低い場合、返金ではなく、追加徴収が必要となります。

5-3. 給与明細書へ正しく返金内容を反映させる

年末調整による還付金を12月分の給与と一緒に支払う場合は、給与明細に還付金であることを明確に記載することが重要です。追加徴収となる場合も同様に、その旨と金額をわかりやすく明示しましょう。

5-4. 返金(還付金)の金額は源泉徴収票でも確認できる?

源泉徴収票には、年末調整による還付金の金額は記載されません。そのため、従業員から返金額を確認したいと申し出があった場合、源泉徴収票ではなく給与明細(通常は12月または1月支給分)を見るように伝えましょう。

なお、源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄には、年末調整後に確定したその年の最終的な所得税額が記載されます。この金額が0円であれば、その年に天引きされた税金はすべて還付されることになります。


関連記事:源泉徴収票の発行の仕方とは?いつどこで発行するかを解説

6. 正しく年末調整の返金(還付金)の仕組みを理解しよう

女性

年末調整で確定した所得税額が、その年の源泉徴収税額の合計額よりも小さい場合、その差額が従業員に還付されることになります。還付のやり方は一定の定めがありますが、手渡しにするか、給与口座に振り込むかなどは、会社が決められます。

また、従業員から医療費控除や寄附金控除などの適用を受けたいと申し出があったら、年末調整で対応できないため、確定申告をしてもらうよう伝えましょう。なお、年末調整や確定申告をしても必ずしも還付金(返金)が生じるわけではありません。追加徴収(納税)となるケースもあるので留意が必要です。

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