管理職(管理監督者)の勤怠管理を徹底解説!労働時間の上限規制は対象外? - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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管理職(管理監督者)の勤怠管理を徹底解説!労働時間の上限規制は対象外?

本を読んで知識を得る

近年の働き方改革により、企業における労働時間の適正な管理に対する意識は、かつてよりも一層強まっています。とりわけ注目すべきは、管理職に対する労働時間の把握も法的に義務化されたという点です。しかし、現場ではその内容や対象範囲について十分に理解されていないケースも少なくありません。

本記事では、管理職に対する勤怠管理の必要性や、労働時間(時間外労働)の上限規制に関する法的ルールについて詳しく解説します。また、企業が誤解しがちな「管理職」と「管理監督者」の違いについてもわかりやすく整理して紹介するので参考にしてください。

関連記事:労働時間と労働基準法の基礎知識をわかりやすく解説!休憩や残業の計算方法とは

管理監督者の勤怠管理、法的に問題なくできていますか?

管理監督者に残業の上限規制は適用されませんが、労働時間の把握は管理監督者であってもしなくてはならないと、法改正で変更になりました。

この他にも、法律の定義にあった管理監督者でなければ、残業の上限超過や残業代未払いとして違法になってしまうなど、管理監督者の勤怠管理は注意すべきポイントがいくつかあります。

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1. 管理職(管理監督者)であっても勤怠管理は必要?

並べられた木槌

管理職(管理監督者)には勤怠管理は不要との認識があるかもしれませんが、正しくは勤怠管理は必要です。ここでは、その背景および必要性について詳しく紹介します。

1-1. 管理監督者の労働時間の把握は義務化されている

以前は、管理監督者の勤怠管理については「おこなうのが望ましい」という位置づけでしたが、2019年4月の働き方改革関連法による労働安全衛生法の改正により、管理監督者であっても勤怠管理が義務化されました。

これは、労働安全衛生法第66条の8において、一定の長時間労働者に対し、医師による面接指導を受けさせることが義務付けられたためです。その対象者を把握するには、労働時間の適正な把握、すなわち勤怠管理が不可欠となったのです。

参考:労働安全衛生法第66条の8|e-Gov法令検索
参考:2019年4月施行 客観的な記録による労働時間の把握が法的義務になりました|厚生労働省

関連記事:労働時間の上限規制は管理職にもある?残業100時間の場合も解説

1-2. 管理監督者の管理には勤怠管理システムがおすすめ

外出が多く、労働時間が長くなりがちな管理監督者の労働時間を把握するには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。勤怠管理システムは、PC・スマホ・ICカード・生体認証などの多様な打刻方法を取り揃えています。外出先でも打刻が可能なほか、労働時間をリアルタイムで把握できるため、管理職だけでなく一般の従業員の勤怠管理にも役立ちます。

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2. 「管理職」と「管理監督者」では意味が異なる

在宅勤務する人

「管理職」と「管理監督者」はしばしば混同されがちですが、実際には異なります。特に、労働基準法を遵守するためには、それぞれの役職の特性を正確に理解しておく必要があります。

ここでは、管理職と管理監督者の定義について詳しく紹介します。

2-1. 管理職とは

管理職とは、一般に課長や部長といった職位を指し、一定の権限を持つ役職です。しかし、たとえ管理職であっても、その職務内容や権限、待遇などが労働基準法上の管理監督者の要件を満たしていなければ、管理監督者とは認められません。

例えば、名目上は課長や部長であっても、実際には勤務時間に厳密な管理があり、経営に関与する裁量も少ない場合は、一般の労働者として扱われます。この場合、残業手当や休日出勤手当などの支払いが必要となります。

2-2. 管理監督者とは

管理監督者とは、労働基準法において、経営者と一体的な立場で労務管理などにあたる者を指し、労働時間・休憩・休日に関する規定の適用を受けないとされています。

管理監督者は一般的な管理職と異なり、「職務内容」「権限の大きさ」「勤務形態」「待遇」などを総合的に勘案して判断されます。例えば、企業の役員や部長職にあり、経営方針の決定や人事・労務に対して実質的な決定権を持つ立場の者が該当するケースが多いです。

参考:労働基準法第41条|e-Gov法令検索

関連記事:労働基準法第41条第2号に規定された管理監督者について詳しく解説

3. 管理監督者とみなされる4つの基準

チェックポイントにチェックする

企業内で「管理職」とよばれていても、必ずしも労働基準法が定める「管理監督者」に該当するとは限りません。労働基準法における管理監督者は、役職名ではなく実態に基づいて判断されるため、たとえ役職に就いていても、実際の職務や権限、待遇などの条件を満たさなければ、管理監督者とは認められないのです。

そもそも労働基準法における「管理監督者」とは、経営者と一体の立場で事業上の重要な判断をおこない、その責任を負う従業員を指します。管理監督者に該当するかどうかは、「職務内容」「責任と権限」「勤務形態」「賃金(待遇)」の4つの要素を総合的に見て判断されます。それでは、それぞれの判断基準について詳しく確認していきましょう。

3-1. 重要な職務を担っていること

管理監督者には労働時間の上限や休憩、休日の規定が適用されませんが、その規制を超えて労働しなければならないほどの重要な職務を担っていなければ、管理監督者とみなされません。

例えば、労働時間の管理や人事考課、従業員の採用・解雇などの業務を担当している場合、重要な職務を担っているといえるでしょう。

3-2. 十分な責任と権限をもっていること

「課長」や「リーダー」などの役職についていたとしても、実際には多くのことについて裁量がなく、上司の判断を仰がなければならない状態であったり、上司の指示や命令に基づいて業務をおこなったりする場合は、管理監督者であるとはみなされません。

3-3. 厳密な管理をされず、労働時間の規制になじまない勤務態様であること

管理監督者は経営者と一体の立場となって経営上の判断をするため、時を選ばずに対応が必要になることがあります。したがって、労働時間が定められており裁量がないなど、厳密に管理されている場合、管理監督者とはいえません。

3-4. 賃金などについて、一般の従業員よりも待遇が良いこと

管理監督者は、一般の従業員よりも重要な職務や重い責任を負っています。したがって、給与や賞与などの待遇も一般の従業員と比較して優遇されていなければなりません。給与を時間単価に換算した際に、一般の従業員の給与や最低賃金よりも下回っている場合、管理監督者とはみなせません。

3-5. 名ばかり管理職に注意

名ばかり管理職とは、実質的には一般社員とほとんど変わらない業務内容や権限であるにもかかわらず、名目上だけ「管理職」とされている労働者を指します。名ばかり管理職は労働基準法上の「管理監督者」に該当しないため、一般従業員と同様、労働時間や休日、休憩の規定が適用されます。

残業代や割増賃金を支給していなかったり、法定の休日や休憩時間を適切に付与していなかったりする場合、労働基準法違反として企業に罰則が課せられる恐れもあるので気を付けましょう。

参考:労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために|厚生労働省

4. 管理監督者は労働時間の上限規制の対象外

虫眼鏡

管理職の労働時間について考える場合、役職を持たない一般の従業員とは労働時間の上限が異なることを知識として覚えておくことが重要です。まずは労働時間の上限規制について理解を深めましょう。

4-1. 時間外労働の上限規制とは

一般の従業員については、労働基準法により「1日8時間・週40時間」を上限とする労働時間の規制が適用されます。しかし「管理監督者」に該当する管理職の場合、法定労働時間の上限規制を受けません。たとえ残業時間が月に100時間を超えたとしても、違法にはならないのです。

つまり、管理監督者には法定労働時間や時間外労働(いわゆる残業)という概念が適用されず、残業時間に対する規制も設けられていません。そのため、管理監督者には通常の残業代は支給されない扱いとなっています。

参考:労働基準法第32条、第37条|e-Gov法令検索

4-2. 深夜労働の割増は対象になるため注意

管理監督者には労働時間や残業時間の規制は適用されません。しかし、深夜労働に対する割増賃金の規定は、管理監督者にも適用されます。具体的には、午後10時から翌午前5時までの深夜帯に勤務した場合、通常の賃金に対して25%以上の割増率が適用される「深夜手当」を支払う必要があります。

したがって、管理監督者であっても、深夜労働の有無やその実施時間を正確に把握することが求められます。適正な手当支給のためにも、管理監督者の勤怠の記録・管理は不可欠なのです。

参考:労働基準法第37条|e-Gov法令検索

関連記事:深夜残業の割増率とは?深夜手当の計算方法も紹介

5. 管理監督者の休憩時間に関するルール

部下と雑談する

労働基準法では、労働時間に応じて休憩時間を与えることが義務付けられています。ここでは、まず休憩に関する基本的なルールを解説したうえで、管理監督者に対する休憩の適用について詳しく紹介します。

5-1. 休憩に関するルールとは

労働基準法第34条に基づき、従業員には1日の労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩が与えられなければなりません。

労働時間が1日6時間以下の場合は、法律上休憩が無くても問題はないとされています。ここで重要なのは休憩時間が何を指すかということです。休憩時間は労働から離れて自由に過ごせる時間であり、誰の指示下にもない時間です。さらに休憩時間は労働時間の途中に取ることと定められています。

例えば、業務開始時間の1時間前に出社させ、業務開始まで休憩を取らせることはできません。さらに労働から離れていなければならないため、1時間電話番をさせたり顧客対応のために待機させたりしている時間を休憩時間とみなすことも不可です。

また、業務をせずにどこかに待機するよう上司が命じた場合でも、誰の指示下にもないという休憩時間のルールに反するので、同様に休憩時間に含めることができません。休憩時間もこのように細かい規定があるのです。

参考:労働基準法第34条|e-Gov法令検索

関連記事:労働時間に休憩は含まれる?労働基準法での休憩時間の定義と計算ルールを解説

5-2. 管理監督者は休憩時間ルールの例外

労働時間と同様に、管理職のうち「管理監督者」に該当する場合には、労働基準法に定められた休憩時間の規制も適用されません。そのため、企業としては管理監督者がどの程度働いているか、どのように休憩を取っているかを把握する必要はありますが、法的には極端な話、まったく休憩を与えずに働かせることも可能です。

しかし、いくら法律上の適用がないとはいえ、企業には管理監督者の健康や安全にも十分に配慮する責任があります。労働時間や休憩の状況を正確に把握し、過重労働を未然に防ぐことが重要です。

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6. 管理監督者に休みや休暇はない?

色んな?がめぐる

労働基準法では、使用者に対し、労働者へ週1日または4週4日以上の法定休日を付与することが義務付けられています。また、一定の条件を満たした労働者には、年次有給休暇(有給)を付与しなければなりません。

ここでは、これらの休日・休暇に関する規定が「管理監督者」にどのように適用されるのかについて詳しく解説します。

6-1.  管理監督者には労働基準法に定められた休日は適用されない

休日に関する労働基準法上の規定も、労働時間や休憩と同様に、管理監督者には適用されません。つまり、管理監督者に対して法定休日を付与しなくても、労働基準法違反にはならないのです。また、休日に勤務させた場合でも、休日労働としての割増賃金(休日手当)を支払う義務は生じません。

しかしながら、企業には労働契約法第5条に基づく「安全配慮義務」があるため、管理監督者であっても過度な連続勤務や休日のない労働を課すことは望ましくありません。心身の健康を損なわないよう、労働時間や休日の取得状況を適切に把握・管理し、必要に応じて休養を確保することが求められます。

参考:労働基準法第35条、第37条|e-Gov法令検索
参考:労働契約法第5条|e-Gov法令検索

関連記事:休日手当とは?休日出勤の割増率の種類や正しい割増賃金の計算方法を解説

6-2. 管理監督者であっても有給休暇はあり、取得義務化の対象

管理監督者には労働基準法上の法定休日の規定は適用されませんが、年次有給休暇(有休)の付与義務は一般の労働者と同様に適用されます。特に年10日以上の有給休暇が付与される労働者には、年5日の取得が義務付けられており、この取得義務は管理監督者も例外ではありません。

「管理職は休みがない」「有給も使わなくてよい」といった認識で運用していると、法令違反となり、企業には是正勧告や罰則が課される可能性もあります。管理監督者であっても、年次有給休暇の付与・管理・取得促進は法律に沿って適切に対応する必要があります。

参考:労働基準法第39条|e-Gov法令検索

関連記事:年次有給休暇とは?をわかりやすく解説!付与日数や取得時期も紹介

7. 管理監督者の労働時間をチェックする方法

チェックしている男性

上述のとおり、労働者の健康を守るという観点からは、管理監督者であっても労働時間を適切に把握・管理することが重要です。ここでは、管理監督者の労働時間を効率的に管理するための3つの方法を紹介します。

7-1. タイムカードを使用する

出勤時と退勤時にタイムカードをタイムレコーダーへ挿すだけで、出退勤時刻を自動で記録できる方法です。出勤簿のように手書きする手間が省けるため、多忙な管理監督者にとっては利便性の高い手段といえるでしょう。

一方で、タイムカードは基本的に出退勤時刻しか記録できないものが多いので、有給休暇の取得状況については別途での管理が必要です。また、テレワークが普及している職場では、紙のタイムカードと設置型のタイムレコーダーによる労働時間の管理は実態に合わず、不向きなケースもあります。

関連記事:【タイムカードの基本知識】タイムレコーダーと勤怠管理システムはどちらが便利?

7-2. エクセルで出勤簿を作成する

エクセルで出勤簿を作成して管理する方法は、エクセルさえあればすぐに導入できるため、3つの方法の中でも一番導入コストを抑えることが可能です。また、関数を活用することで、残業時間や有給休暇の管理も自動でおこなえるなど、柔軟性の高さも魅力です。

ただし、出退勤の時刻は本人の自己申告によって入力されるため、改ざんが容易という欠点があります。さらに、使用している数式が破損すると、集計結果に誤りが生じる可能性もあるので、運用には慎重な管理が必要です。

関連記事:勤怠の改ざんが発覚!従業員への処分方法と不正予防について徹底解説

7-3. 勤怠管理システムを導入する

勤怠管理システムを活用すれば、労働時間を客観的に記録できるため、厚生労働省のガイドラインである「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」に沿った運用が可能です。また、不正打刻の防止にも有効で、ICカードやGPS機能付きスマートフォン、生体認証などに対応したシステムを導入することで、打刻の信頼性を高められます。

近年ではテレワークの普及に伴い、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末にも対応した勤怠管理システムが登場しています。これにより、遠隔地からでも出退勤の打刻が可能となり、オフィスに縛られない柔軟な働き方にも対応できます。管理監督者の勤怠状況についても、正確かつ効率的に把握・管理することが可能です。

参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省

8. 管理職(管理監督者)の労働時間も適切に管理しよう

チェックマークをつける男性

管理職社員の労働時間や休憩時間に関する取り扱いは、企業が独自に定める「管理職」と、労働基準法における「管理監督者」とで大きく異なります。この違いを正しく理解し、従業員に対して適切に周知することは、企業の重要な責任の一つです。

特に、労働時間の上限や休憩時間の長さ、法定休日の確保、さらには「労働時間」「休憩時間」「法定休日」が何を指すのかといった基本的な知識を社内に広く理解を浸透させることは、法令遵守と健全な労働環境の構築につながります。従業員が安心して働ける職場づくりのためにも、企業全体で労働基準法を遵守し、管理監督者を含むすべての労働者の労働時間を正確に把握・管理する意識を持つことが重要です。

管理監督者の勤怠管理、法的に問題なくできていますか?

管理監督者に残業の上限規制は適用されませんが、労働時間の把握は管理監督者であってもしなくてはならないと、法改正で変更になりました。

この他にも、法律の定義にあった管理監督者でなければ、残業の上限超過や残業代未払いとして違法になってしまうなど、管理監督者の勤怠管理は注意すべきポイントがいくつかあります。

当サイトでは、「管理職の勤怠管理を法律に則って行いたい」という方に向け、管理監督者の勤怠管理の方法やポイントについて、本記事の内容に補足事項を加えわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。

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