休日手当とは?割増率と割増賃金の計算方法、休日手当が発生しない場合を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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休日手当とは?割増率と割増賃金の計算方法、休日手当が発生しない場合を解説

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休日手当とは、従業員が会社の休日に出勤した場合に支払われる割増賃金のことです。労働基準法では、「法定休日」に出勤した場合、休日労働に対する割増賃金の支払いが必要であると定められています。

本記事では人事担当者向けに、休日手当の概要と休日手当として割増賃金を支払う際の条件、割増賃金の計算方法と運用上の注意点を詳しく解説します。

休日手当そのものの意味を詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

参考記事:休日手当とは?法的な取り決めと正しい計算方法を徹底解説

休日出勤の対応や 振休・代休の付与に不安のある方へ

人事担当者の皆さまは、労働基準法における休日・休暇のルールを詳細に理解していますか?
従業員に休日労働をさせた場合、代休や振休はどのように取得させれば良いのか、割増賃金の計算はどのようにおこなうのかなど、休日労働に関して発生する対応は案外複雑です。

そこで当サイトでは、労働基準法にて定められている内容をもとに、振休や代休など休日を取得させる際のルールを徹底解説した資料を無料で配布しております。
「休日出勤させた際の対応を知りたい」「代休・振休の付与ルールを確認したい」という人事担当者の方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 休日手当とは?

休日手当とは、従業員が会社の法定休日に労働した際に支払う割増賃金のことです。休日手当は法律上の正式名称ではありませんが、実務上は「休日割増賃金」とほぼ同義で用いられます。

労働基準法37条では、従業員を法定休日に労働させた際、「休日労働に対する35%以上の割増賃金」の支払いを義務付けています。この35%が休日手当の割増率です。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

1-1. 休日には法定休日と所定休日の2種類がある

休日には、「法定休日」と「所定休日(法定外休日)」の2種類があります。

労働基準法第35条では、使用者は労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日または4週間を通じて4日以上の休日を付与することを義務づけています。この休日のことを「法定休日」といいます。

また、労働基準法32条では、労働時間は1日に8時間かつ1週間に40時間を超えてはならないと定めています。

所定労働時間が1日8時間の会社では週5日の勤務で40時間となるため、週の休日を2日としているケースが一般的です。この週休2日のうち、1日は「法定休日」として与えられ、もう1日は会社が独自に定める「所定休日(法定外休日)」として扱います。

関連記事:所定休日と法定休日の違いや運用ルールを分かりやすく解説

1-2. 祝日は法定休日?

祝日は必ずしも法定休日にはなりません。

例えば、就業規則で「毎週日曜日を法定休日、土曜日を所定休日」と定める会社があるとします。この会社が、カレンダー上の祝日も休みにしていた場合、この祝日は「所定休日」として扱われます。つまり、祝日は会社が独自に休日と設定しているだけで、労働基準法で義務付けられた法定休日になるとは限りません。

ただし、サービス業などで「毎週水曜日を法定休日」と就業規則で定めている場合、その水曜日が祝日と重なると、その日は法定休日となります。このように、祝日そのものが法定休日になるわけではなく、会社が決めた法定休日が祝日と重なったときに、その日は法定休日として扱われます。

関連記事:法定休日と祝日の違いとは?重なる場合の処理や注意点を解説

2. 休日手当における割増率の種類

条件

「法定休日」に出勤をした場合、休日割増賃金の支払いが必要となります。

ここでは、労働基準法上、休日手当として割増賃金を支払わなければならない条件を以下の表をもとに解説していきます。

 

割増率

 

1ヵ月の時間外労働

60時間以内

1ヵ月の時間外労働

60時間超え

(1)時間外のみ

25%以上

50%以上

(2)休日労働のみ

35%以上

(3)深夜労働のみ

25%以上

(4)時間外労働+深夜労働

50%以上

75%以上

(5)休日労働+深夜労働

60%以上

2-1. 法定休日に出勤した場合

休日には労働基準法で取得が義務付けられている「法定休日」と、会社が任意で決定する「所定休日(法定外休日)」があります。

法定休日の労働は原則禁止ですが、時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定)の締結と届出により、労働が可能となります。ただし、法定休日の労働に対しては、35%以上の割増賃金の支払いが必要です(表の(2)に該当)。

2-2. 法定休日の出勤に加え深夜労働となった場合

法定休日に出勤した従業員が深夜に労働をおこなった場合、休日割増賃金と深夜割増賃金を同時に支払わなければなりません。

労働基準法では、22時から翌5時の時間帯の労働を深夜労働と扱うと定義されており、この時間に勤務する際には25%以上の割増賃金の支払いが義務付けられています(表の(3)に該当)。

そのため、法定休日における労働が深夜の時間帯に重なった場合、休日手当の35%以上に加えて深夜手当の25%以上が加算され、割増率は60%以上となります(表の(5)に該当)。

2-3. 法定休日の出勤に加え時間外労働が60時間を超えた場合

時間外労働が60時間を超えた場合、割増賃金の割増率は50%以上となります(表の(1)「1ヵ月の時間外労働60時間超え」に該当)。

通常の時間外労働の上限は1ヵ月45時間とされていますが、特別条項付きの36協定を締結している場合には、業務上やむを得ない臨時的な特別の理由がある場合に限り、月45時間を超えることが可能です。

しかし、時間外労働が60時間を超えると、50%以上の割増賃金を支払う必要があります(表の(1)「1ヵ月の時間外労働60時間超え」に該当)。

ただし、法定休日においては法定労働時間の考え方がないため、時間外労働60時間超えを判断する時間数には休日労働の時間は含まず計算します。

法定休日の労働は1日8時間を超えた時間も「時間外労働」としては扱わず、「休日労働」として扱うので注意しましょう。

関連記事:時間外労働とは?定義や上限規制、割増賃金の計算など原則ルールを解説

2-4. 所定休日(法定外休日)に出勤した場合

法定休日に出勤した場合は35%以上の割増賃金を休日手当として支払いますが、所定休日(法定外休日)に出勤した場合は休日手当の支払いは不要です。

しかし、労働時間の上限(1日8時間・週40時間)を超えた場合には、25%以上の時間外割増賃金の支払いが必要となります(表の(1)「1ヵ月の時間外労働60時間以内」に該当)。

休日出勤が、法定休日か所定外休日(法定外休日)かによって割増賃金の計算方法が異なるため注意しましょう。

2-5.  祝日に出勤した場合

祝日が休日の場合、法定休日と所定休日のどちらで扱うかの判断は、会社の規定によって異なります。

祝日が法定休日と規定されている場合のみ、休日労働の割増賃金率を適用します。法定休日でない祝日に出勤した場合は、「2-4.所定休日に出勤した場合」と同様に扱います。

2-6. 法定休日に出勤し後に代休を取った場合

代休とは、休日労働の後に取得する代わりの休日のことです。

法定休日に出勤し、後に代休を取得した場合でも、休日労働については35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

代休を取得したからといって、休日割増賃金の支払いは免れないので注意しましょう。

関連記事:代休とは?労働基準法上での定義や知っておくべき振替休日との違い

万が一、法定休日に労働させたのに割増賃金を支払わなかった場合、労働基準法違反となり罰金または懲役刑が科される可能性もあります。また、起訴されなかったとしても、報告書の提出や管理方法の見直しなどの再発防止策を講じなければなりません。当サイトで無料配布している「休日・休暇ルールBOOK」では、休日・休暇の考え方や対応方法について詳しく解説しています。法定休日や割増賃金の支給条件について不安な点が残る方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

2-7. 法定休日に出勤し後に振替休日を取った場合

振替休日は、休日出勤をする際に、あらかじめ代わりの休日を設定する制度です。

事前に労働日と休日を交換する考え方のため、休日出勤しても35%以上の休日割増賃金を休日手当として支払う必要はありません。

しかし、法定労働時間の1日8時間、週40時間を超えた場合には、表(1)のとおり時間外割増賃金の支払いが必要となります。

関連記事:振替休日とは?代休との違いや取得期限、労働基準法の観点から見る注意点を解説

3. 割増率を用いた休日手当の計算方法

計算している様子

休日手当として支払う割増賃金は、以下の順で計算をおこないます。

  1. 従業員の1時間あたりの基礎賃金を算出する
  2. 基礎賃金に割増率をかける
  3. 1時間あたりの割増賃金に法定休日労働の時間をかける

【計算式】
「休日手当=1時間当たりの基礎賃金×割増率×対象の労働時間数」

休日手当の割増賃金の計算の際には、それぞれの割増率を確認し、間違えないようにしましょう。

【割増率】
休日労働:35%以上
時間外労働:25%以上
深夜労働:25%以上
月60時間超の時間外労働:50%以上

3-1. 従業員の1時間あたりの基礎賃金を算出する

割増賃金が必要な従業員の、1時間あたりの基礎賃金を下記により算出します。

「1時間当たりの基礎賃金額=各種手当を含めた月給÷平均所定労働時間(1ヵ月あたり)」

各種手当と月給、所定労働時間は就業規則や労働条件明示書を確認しましょう。

なお、基礎賃金には、含める手当と含めない手当があります。労働と直接関係せず、個人的な事情に基づいて支給される以下の手当は、基礎賃金に含めなくても差し支えありません。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金

これらに該当しない手当は、原則として基礎賃金に含める必要があり、例えば役職手当、職務手当、地域手当、資格手当などが該当します。ただし、名称が上記に当てはまっていても、全従業員に一律で支給されている場合は、基礎賃金に含める扱いとなります。

判断に迷う場合は、最寄りの労働局や労働基準監督署へ確認することをおすすめします。

関連記事:割増賃金の基礎となる賃金とは?計算方法など労働基準法の規定から基本を解説

参考:割増賃金の基礎となる賃金とは?|厚生労働省

3-2. 基礎賃金に割増率をかける

1時間あたりの基礎賃金を算出した後、割増賃金率をかけて1時間あたりの賃金額を算出します。

例えば、1時間あたりの基礎賃金額が2,000円だった場合の、休日割増賃金は下記です。

休日労働のみの割増賃金(1時間当たり)
2,000円×1.35倍=2,700円

また、所定休日や法定休日でない祝日に出勤した場合は、時間外割増賃金の適用となり、割増率が異なることに注意しましょう。

それぞれのケースにおいて、正確な給与計算をおこなうためには、休日や労働時間の扱いを明確にしておくことが重要です。

関連記事:時間外労働の割増率とは?計算方法と法改正で中小企業がとるべき対応を解説

3-3. 1時間あたりの割増賃金に法定休日労働の時間をかける

最後に、法定休日の労働時間を確認し、3-2.で算出した賃金(2,700円)に時間数をかけて休日割増の賃金を計算します。例えば、法定休日の労働時間が8時間の場合は、下記のとおりです。

2,700円×8時間=21,600円

以上が基本的な計算方法となります。必ず押さえておきましょう。

関連記事:休日手当の計算方法とは?休日出勤した場合の割増賃金や間違えやすいポイントを解説

4. 休日手当の割増が発生しない場合とは

計算している様子

同じ休日でも、休日手当として割増賃金が発生しない場合があります。それが、以下の4パターンです。

  • 法定外休日(所定休日)の場合
  • 振替休日を取得した場合
  • 管理監督者の場合
  • 固定残業制を導入している場合

それぞれ詳しく解説します。

4-1. 法定外休日に休日出勤した場合

週1回の取得が義務付けられている「法定休日」ではなく、会社が任意で定める「法定外休日(所定休日)」に労働しても、休日割増賃金の支払いは必要ありません。

例えば、日曜日が法定休日、土曜日が法定外休日の会社では、土曜日に働いた際に、休日手当として35%の割増賃金を支払わなくても問題ありません。

ただし、法定外休日に働いた時間も全て、平日と同様に通常の労働時間として換算されていることに注意する必要があります。

そのため、もし労働時間が1週間で40時間を超過しているのであれば、別途、時間外労働の割増賃金(25%)を支払います。さらに、午後10時〜翌午前5時までの時間帯に働いた場合は、時間外労働の割増賃金に加えて、深夜割増賃金(25%)の支払いも必要となるので注意しましょう。

4-2. 振替休日を取得し休日出勤した場合

法定休日の労働でも、事前に振替休日を取得申請している場合、休日割増賃金の支払いは不要です。

振替休日は、あらかじめ「休日」と「労働日」を交換する考え方のため、休日に働いた場合でも、35%以上の休日割増賃金は適用されません。ただし、法定労働時間の1日8時間、週40時間を超えた場合には、25%以上の時間外割増賃金の支払いが必要となります。

ただ、振替休日を導入する際には就業規則に規定しなければならないことに注意しましょう。取得期限や申請方法に法的な定めはありません。自社で規定する場合は、運用方法も含め従業員にわかりやすく周知しましょう。

関連記事:振替休日とは?代休との違いや取得期限、労働基準法の観点から見る注意点を解説

4-3. 管理監督者が法定休日に出勤した場合

労働基準法上の「管理監督者」に該当する者は、時間外割増賃金や休日割増賃金の支払いは不要です。管理監督者の要件は下記のとおりです。

  • 労働時間・休憩・休日の規制の枠組みを超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること。
  • 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること。
  • 現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること。
  • 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること。

引用:労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために|厚生労働省

管理監督者は労働条件の決定その他労務管理について「経営者と一体的な立場」であるものをいい、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けません。

管理監督者に当てはまるかどうかは、役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様などの「実態」によって判断されます。「店長」や「営業課長」など肩書のみで、職務内容や責任と権限、勤務態様などが通常の従業員と変わらない「名ばかり管理職」は、労働基準法上の管理監督者には該当しません。

該当しない場合には、労働基準法で定める労働時間などの規制を受け、時間外割増賃金や休日割増賃金の支払いが必要です。役職名ではなく、実態により判断する点に注意しましょう。

関連記事:管理職(管理監督者)の勤怠管理を徹底解説!労働時間の上限規制は対象外?

4-4. 固定残業制を導入している場合

固定残業制を導入している場合、実際の残業時間に関わらず、一定の時間外労働をおこなったものとして、固定残業代を支給します。

この仕組みにより、設定されたみなし残業時間の範囲内であれば、時間外割増賃金の追加支払いは不要です。そのため、振替休日を取得した週に休日出勤をしても、実労働時間が週40時間を超えたとしても、みなし時間内であれば固定残業代に含まれる扱いとなり、追加の割増賃金は発生しません。

一方、法定休日に出勤し振替休日を取得しない場合には、休日手当として35%の割増賃金を支払わなければならないので注意が必要です。

関連記事:固定残業代とは?制度の仕組みや導入のポイントをわかりやすく解説

5. 休日の種類や割増率を理解して正しく休日手当を計算しよう

 

チェックリスト

休日手当を正確に計算するには、まず休日区分を正しく把握することが重要です。休日労働が「法定休日」に該当するか、「所定休日(法定外休日)」にあたるかどうかによって、適用される割増賃金が異なるため、正しい計算をおこなうためには必要となります。

また、事前に休日を振り替える「振替休日」か、休日労働の後に休みを与える「代休」かによって、手当の扱いが異なるため注意が必要です。

支払うべき賃金が「休日割増賃金(休日手当)」なのか、それとも「時間外割増賃金」かどうかについて正しく判断し、適切に計算・支給しましょう。

 

休日出勤の対応や 振休・代休の付与に不安のある方へ

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