給与計算の初心者がこれだけは押さえるべき3つのポイント
更新日: 2026.1.29 公開日: 2020.12.11 jinjer Blog 編集部

給与計算は従業員を雇う場合、必ずおこなう必要があります。経験と知識が求められる上に、さまざまなリスクを含んだ業務です。
今回は、給与計算の初心者の方向けに、給与計算の正しい方法や注意点についてご紹介していきます。
【給与計算業務のまとめはコチラ▶給与計算とは?計算方法や業務上のリスク、効率化について徹底解説
目次
給与計算は、従業員との信頼関係に直結するため、本来絶対にミスがあってはならない業務ですが、計算ミスや更新漏れ、ヒューマンエラーが発生しやすいのも事実です。
当サイトでは、万が一ミスが発覚した場合に役立つ、ミス別に対応手順を解説した資料を無料配布しています。
資料では、ミス発覚時に参考になる基本の対応手順から、ミスを未然に防ぐための「起こりやすいミス」や「そもそも給与計算のミスを減らす方法」をわかりやすく解説しています。
◆この資料がおすすめできる方
・給与計算でミスが頻発していてお困りの方
・ミスをしないために、給与計算業務のチェックリストがほしい方
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1. 給与計算前に準備しておくもの

まず、給与計算を実施するにあたって、あらかじめ準備しておくべきものについて確認しておきましょう。
ここでは、給与計算前に準備しておく4つの項目を取り上げていきます。
就業規則や給与規程の作成
保険への加入
従業員情報の把握および更新
従業員の勤怠管理
以下、具体的にこれら4点についてご紹介していきます。
1-1. 就業規則や給与規程の作成
給与計算前に準備しておくものとして、就業規則や給与規程の作成が挙げられます。
従業員の勤務に関するルールや労働条件を定めた就業規則は、10人以上の従業員を擁する事業所では必ず作成・届出をしなければなりません。
また、給与計算で必要となる賃金の決定や支払い方法など、必ず記載しなくてはいけない絶対的必要記載事項があるため、作成の際は注意が必要です。
給与規程は、従業員に給与を支払う上で給与計算のもとになるため、こちらについてもあらかじめ準備しておきましょう。
1-2. 社会保険への加入
給与計算をする上で、社会保険への加入は重要な項目となります。条件にあてはまる従業員はすべて加入する義務があるため、忘れることのないようにしましょう。
なお、対象となる社会保険は次の4つです。
健康保険
介護保険(40歳以上65歳未満)
厚生年金保険
雇用保険
保険料を計算した上で、従業員の給与から天引きしなくてはいけないため、正しい計算方法を身につけておくことが重要です。計算方法については後述の記事でご紹介します。なお、労災保険の加入も必要となりますが、保険料は全額雇用主が負担するため、従業員負担分の控除はありません。
1-3. 従業員情報の把握および更新
従業員は、雇用形態や勤続年数、役職の変更により、基本給が変更になります。また、役職手当や住宅手当、単身赴任手当など会社が任意で設けている手当がある場合は、対象者を正しく把握することも必要です。勤務地・居住地の変更があった場合は、通勤手当が変わることもあるでしょう。
このような従業員の情報については、給与計算に大きく関係する部分でもあります。
そのため、常に最新の情報を把握し、給与計算時には情報の更新をしておきましょう。特に異動や昇進・昇格のタイミングでは、漏れなく反映できる体制づくりが重要です。
1-4. 従業員の勤怠管理
最後に、給与計算時に欠かせないものとして、従業員の勤怠管理の情報が必要になります。
従業員の勤怠管理情報は、通常の労働時間の計算のほか、時間外労働分、またパート・アルバイトで働く従業員の給与計算に利用します。
勤怠データの入力や集計に誤りがあると、給与計算全体に影響が及びやすいため、正確性の確保が欠かせません。勤怠の締め処理も毎月発生する業務であるため、給与計算までに処理が間に合わないということが起きぬよう、余裕を持たせたスケジュールを組むことを心がけましょう。
2. 給与計算の正しい方法

ここからは、給与計算をする上での正しい方法4つについてご紹介します。
支給額を計算する
保険料の計算をおこなう
所得税・住民税の計算をおこなう
差引支給額を計算する
以下、具体的にこれら4つの方法について解説します。
【給与計算の方法をさらに詳しく知りたい方はコチラ▶給与計算はこれで解決!給与計算の方法や流れなど分かりやすく解説】
2-1. 支給額を計算する
まず、給与として支給する額の計算をおこないます。
給与支給分は大きく2つのものに大別され、固定的な給与(基本給・職務手当)と変動的な給与(残業代や深夜手当・休日手当)から構成されています。
固定的な給与については、雇用契約書や就業規則を参考に算出しますが、変動的な給与については別途計算の必要があります。
変動的な給与支給額の計算方法
残業手当や深夜手当・休日手当といった変動的な給与支給額は、以下の計算式で計算をおこないます。
時間外労働の時間数×1時間あたりの賃金×割増率
1時間当たりの賃金は「月給÷1ヵ月あたりの平均所定労働時間」から算出(月給は基本給に役職手当・資格手当を含める)
1ヵ月あたりの平均所定労働時間は「{ (365日-年間所定休日数)×1日の所定労働時間数 } ÷ 12(ヵ月)」から算出
なお、割増率は労働基準法にて定められたものを用いる形となるので、給与計算前にはあらかじめ確認をしておきましょう。
2-2. 保険料の計算をおこなう
給与計算をする上で算出の必要がある保険料には、次の3つが挙げられます。
雇用保険料
健康保険料(介護保険料)
厚生年金保険料
以下、これら3つの保険料の計算についてご紹介します。
雇用保険料の計算方法
雇用保険料は、厚生労働省の雇用保険料率表をもとに以下の計算式で算出します。
雇用保険料=月支給額合計×保険料率
雇用保険料率は2022年の引き上げに加えて、2023年4月以降もさらに引き上げとなりました。雇用保険料率は社会情勢などにより変動するため、常に最新の保険料率を確認しておくようにしましょう。
なお、保険料率は雇用主と労働者でそれぞれ異なります。誤って雇用主の保険料率を従業員に適用しないよう注意が必要です。
健康保険料(介護保険料)の計算方法
健康保険料(介護保険料)は、全国健康保険協会の都道府県ごとの保険料額表をもとに、以下の計算式で算出をします。
健康保険料(介護保険料)=標準報酬月額×保険料率
標準報酬月額とは、4〜6月の給与の平均額をもとに、標準報酬の等級に当てはめて決まる額の事を指します。健康保険料(介護保険料)は労使折半となるため、上記の計算で求めた額の半額を従業員の給与から控除します。
2025年の健康保険料率は以下の全国保険協会のサイトから確認することができます。
参考:令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)|全国健康保険協会
厚生年金保険料の計算方法
厚生年金保険料は、日本年金機構の保険料額表をもとに以下の計算式で算出をします。
厚生年金保険料=標準報酬月額×保険料率
厚生年金保険料率は2017年以降、18.3%で固定されています。なお、厚生年金についても健康保険と同様に労使折半となるため、従業員の負担額は半額です。
【給与計算にかかる社会保険料の計算について知りたい方はコチラ▶給与計算で社会保険料を算出する方法を分かりやすく解説】
2-3. 所得税・住民税の計算をおこなう
所得税および住民税は、会社が給与からあらかじめ差し引いて徴収し、従業員の代わりに税務署に納付する(源泉徴収)という形をとっています。
そのため、これら2つについても控除の対象となります。
【住民税の計算について知りたい方はコチラ▶給与計算における住民税とは|住民税の計算・納付・注意点について解説】
【所得税の計算について知りたい方はコチラ▶所得税とは?|源泉所得税の計算方法や税額表の見方を解説】
2-4. 差引支給額の計算をおこなう
総支給額と控除額、それぞれの計算ができたら、総支給額から控除額を差し引いた支給額を計算します。社内預金の積み立てや給与天引きの団体保険などがある場合は、このときに差し引きましょう。
計算後は誤りがないかを確認し、差引支給額が正しく算出されているかを必ずチェックすることが大切です。
最終的な支給額が確定したら、給与明細の作成や給与支給の手続き、各保険料や税金の納付手続きなどをおこないます。
3. 給与計算で初心者が注意すべき3つのこと

ここでは、給与計算の実施において初心者が注意すべき点を3つ取り上げ、紹介します。
賃金支払い5原則を守る
最低賃金ルールを確認する
残業代の支払いは正確に
以下、具体的にこれら3つの注意点について解説します。
3-1. 賃金支払い5原則を守る
「賃金支払い5原則」とは、労働基準法第24条で定められたもので、必ず守らなければならないものです。
通貨で支払う
直接本人に支払う
全額払いする
毎月1回以上支払う
支払期日を特定する
これらの原則を守らない場合、30万円以下の罰金が科される可能性があるため、注意が必要です。
なお、状況に応じて労働協約を締結して規定を設けることにより、本人の同意を得た上で、例外が認められる場合もあります。
3-2. 最低賃金ルールを確認する
基本的に、給与を支払う場合は地域別の最低賃金ルールに則った形での支給が必要となります。法律により原則として最低賃金額を下回らないよう義務付けられているため、必ず遵守しなくてはなりません。違反した際には、違反内容に応じた罰則が科される可能性があります。
このルールは、毎年秋に見直しをされているので、都度従業員の給与が最低賃金ルール以下の金額となっていることはないか、確認をおこなうようにしましょう。
3-3. 残業代の支払いは正確におこなう
「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超えて働いた労働分については、残業代として支払う義務があります。この残業代については上述の通り、法で決められた割増賃金で支払う必要があります。
また、法定休日に労働させた場合も、法定休日労働に対する所定の割増賃金を支給しなくてはいけません。22時~翌5時までの深夜帯の労働に関しても、深夜労働に対する割増賃金の支給が必要です
割増賃金は、時間外と休日・深夜で割増率が異なりますので、あらかじめ確認しておきましょう。
【残業と割増賃金の関係を知りたい方はコチラ▶残業による割増率の考え方と残業代の計算方法をわかりやすく解説】
4. それでも給与計算が不安な方は…

正確に給与計算する自信がない方は、自動化する方法を検討しましょう。自動化することで、給与計算業務に関する作業時間の減少も見込めるため一石二鳥です。
給与計算を自動化する主な手段は次のとおりです。
エクセルを用いて計算を自動化する
給与計算ソフトを導入する
給与計算業務自体をアウトソーシングする
4-1. エクセルを用いて計算を自動化する
大半の企業にエクセルは導入されているため、導入費用を最小限に抑えて給与計算の自動化が可能です。
一方で、最新の保険料率などを常に把握して、適宜計算式のアップデートをおこなわなければならないなど、運用時の手間が懸念されます。
具体的な方法を知りたい方は以下の記事をご参考ください。
▶給与計算をエクセルでおこなう方法とは?4つのコツと注意点を解説
4-2. 給与計算ソフトを導入する
給与計算ソフトを導入すれば、給与計算のほとんどの作業を自動化することが可能です。
給与計算ソフトにはさまざまな種類があり、給与計算のみに対応しているものから、勤怠管理システムと連動できるもの、さらにはさまざまな人事情報と連動させられるものなどがあります。
また、提供元によっては企業規模ごとに最適化した製品を用意している場合もあります。
エクセルと比較して、給与計算ソフトの購入費用や操作方法を覚えなくてはならないといった初期コストが発生するのが懸念点です。
給与計算ソフトについて詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
▶給与計算ソフトの選定ポイント7つ!メリット・デメリットをおさえて自社に合うシステムを
4-3. 給与計算業務をアウトソーシングする
自動化とは少し異なる視点ではありますが、給与計算業務を外部の業者にアウトソーシングするという手段もあります。
給与計算に関する業務すべてを任せられるため、社内工数の削減が可能です。
一方で、委託業者が作業できるように勤怠情報など必要な情報をとりまとめて渡さなければならないため、スケジュールの調整ややりとりなどの工数は発生してしまいます。
給与計算のアウトソーシングについて詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
▶給与計算の代行・アウトソーシングのメリット・デメリットと相場をご紹介
5. 給与計算をミスしてしまうとどうなる?

給与計算をミスすると従業員に迷惑をかけるだけでなく、様々な法的リスクが生じます。
計算ミスにより支給額が少なかった場合には、労働基準法で定められた賃金支払い5原則の「全額払い」の違反となり、罰則が科される可能性があります。また、計算ミスによる時間外労働や休日・深夜労働の割増賃金の不支給についても同様です。
この他にも、支給額の計算に誤りがあると、社会保険料や税金の計算にまで影響が及びます。社会保険料や税金の追徴が必要となった場合、状況によっては延滞税や不納付加算税が科される恐れもあるでしょう。
このようなリスクを防ぐには、給与計算に関する本やセミナーなどで正しい知識を身につけたり、よくあるミスを事前に把握したりすることが効果的です。また、先に解説した給与計算の自動化する方法も有効な手段の一つと言えるでしょう。
6. 給与計算は事前に準備が大切!焦らず正確におこなおう

今回は、給与計算を初めておこなう担当者の方に向けて、給与計算前に準備しておくものや給与計算の正しい方法、注意すべき点についてご紹介してきました。
給与計算のミスは、労働問題など大きなトラブルに発展することもありうる事項です。
本記事で紹介した給与計算におけるルールをあらかじめ確認した上で、間違いのない計算をおこなうよう心がけましょう。
給与計算は、従業員との信頼関係に直結するため、本来絶対にミスがあってはならない業務ですが、計算ミスや更新漏れ、ヒューマンエラーが発生しやすいのも事実です。
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