パート・アルバイトも有給休暇は付与される?労働基準法の条件や日数を解説
更新日: 2026.7.14 公開日: 2021.10.4 jinjer Blog 編集部

労働基準法では、パートやアルバイトとして働く従業員でも、条件を満たせば有給休暇の付与が必要です。しかし、何日付与すれば良いのか、賃金計算の方法など、取り扱いに迷う場面もあるでしょう。
本記事では、パート・アルバイトへの有給付与条件や具体的な日数・賃金の計算方法をわかりやすく解説します。
有給休暇の全体像を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:年次有給休暇の基本をわかりやすく解説!付与日数や取得要件も紹介
パート・アルバイトであっても、雇い入れから6ヶ月が経過し、その間の出勤率が8割以上であれば有給休暇を付与しなくてはなりません。
とはいえ、「本社からアルバイトにも有休を与えるよう指示されたが、どうやって対応すればいいか分からない…」という方も多いでしょう。
そのような方に向け、当サイトではパート・アルバイトへの有給休暇の付与方法や、有給休暇をめぐるトラブルを防ぐ取得ルールの例などをまとめた資料を無料で配布しております。
アルバイトへの有休付与のルールや管理の方法、「休まれたら困る!」という時の対応まで、アルバイトの有休管理ですべきことを確認したい方は、ぜひこちらからダウンロードして資料をご覧ください。

目次
1.パート・アルバイトにも有給休暇の付与は必要


有給休暇は雇用形態に関係なく、条件を満たしたすべての従業員に与えなければなりません。「パート・アルバイトだから有給休暇はない」「人手不足だから有給休暇を認めない」などの扱いは労働基準法違反となる可能性が高くなります。
まずは労働基準法に定められた有給休暇の付与条件と日数のルールを確認しましょう。
1-1. 労働基準法における有給休暇の付与条件と日数
労働基準法に定められた、従業員に有給休暇が発生する条件は、次の2点です。
- 雇入れの日から6ヵ月継続勤務している
- 全労働日の8割以上出勤している
付与条件はパート・アルバイトでもフルタイムの従業員と変わりませんが、付与日数は労働条件によって次のとおり異なります。
週5日以上または週30時間以上勤務の場合
|
勤続年数 |
付与日数 |
|
0.5年 |
10日 |
|
1.5年 |
11日 |
|
2.5年 |
12日 |
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3.5年 |
14日 |
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4.5年 |
16日 |
|
5.5年 |
18日 |
|
6.5年以上 |
20日 |
比例付与(週4日以下かつ週30時間未満)の場合
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週の所定労働日数 |
年間の所定労働日数 |
勤続年数 |
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0.5年 |
1.5年 |
2.5年 |
3.5年 |
4.5年 |
5.5年 |
6.5年 |
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4日 |
169~216日 |
7 |
8 |
9 |
10 |
12 |
13 |
15 |
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3日 |
121~168日 |
5 |
6 |
6 |
8 |
9 |
10 |
11 |
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2日 |
73~120日 |
3 |
4 |
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6 |
6 |
7 |
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1日 |
48~72日 |
1 |
2 |
2 |
2 |
3 |
3 |
3 |
次章から、付与条件や日数の詳細を詳しく解説します。
2. パート・アルバイトに有給休暇が発生する労働基準法の条件


パート・アルバイトの従業員に有給休暇が発生する条件は次の2点です。
- 雇入れの日から6ヵ月継続勤務している。
- 全労働日の8割以上出勤している。
有給休暇の発生条件は、雇用形態による違いはなく、フルタイムの正社員と同様です。それぞれの条件の内容を解説します。
2-1. 6ヵ月の継続雇用があること
労働基準法の有給休暇の条件の1点目が、6ヵ月の継続勤務です。有給休暇は入社初日から自動で付与されるわけではありません。雇用開始から6ヵ月間継続して勤務した場合に与える必要があります。
6ヵ月の継続勤務とは、企業での在籍期間です。実際に6ヵ月間すべて働いている必要はなく、土日などの休日や年末年始休暇の期間も継続勤務に含まれます。
2-2. 基準期間内の全労働日に対して8割以上出勤していること
有給休暇付与のもう1つの要件は、基準となる期間の全労働日で8割以上出勤していることです。基準となる期間とは、初回であれば入社日から初めて年休が付与される日の前日まで、2回目以降は前回年休が付与された日から次回の年休が付与される日の前日までを指します。
継続勤務をしていても、欠勤などで出勤実績が8割に満たない従業員には有給休暇を与える必要はありません。
例えば、パート・アルバイトとして週3日勤務し、年間の所定労働日数が156日の場合、8割にあたる125日以上の出勤実績がなければ、有給休暇を与える必要はありません。
関連記事:有給休暇の計算方法とは?出勤率や付与日数、取得時の賃金をミスなく算出するポイントを解説
2-3. 出勤率算定時の注意点
出勤率を算定する際は、出勤したとみなす日と全労働日から除外する日の理解がポイントです。実際に出勤していなくても、次の期間は出勤したとみなして計算します。
- 業務上の負傷・疾病などにより療養のため休業した日
- 産前産後休業を取得した日
- 育児・介護休業を取得した日
- 年次有給休暇を取得した日
分母となる全労働日は、原則として暦日数から所定休日を引いた日数ですが、次の期間は労働日であっても全労働日から除外します。
- 休日労働をした日
- 労働者の責めに帰すべき事由によらない不就労日
- 不可抗力による休業
- 使用者に起因する経営、管理上の障害による休業
- 正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日
出勤したとみなす日、全労働日から除外する日を踏まえて出勤率を計算しないと、有給休暇を付与すべきパート・アルバイトを除外してしまうおそれがあるため注意しましょう。
3. パート・アルバイトの有給休暇の付与日数


パート・アルバイトに付与する有給休暇の日数は「雇用継続期間」と「週の所定労働日数」をもとに算出します。週の労働日数や労働時間によっては、付与日数がフルタイムの従業員とは異なる点がポイントです。有給休暇の付与日数の計算方法を解説します。
3-1. 週5日以上または週30時間以上勤務の場合
「週の所定労働日数が5日以上、もしくは年間の所定労働日数が217日以上」または「週の平均所定労働時間が30時間以上」のパート・アルバイトの場合、有給休暇の付与日数は勤続年数ごとに次のとおりです。
|
勤続年数 |
付与日数 |
|
0.5年 |
10日 |
|
1.5年 |
11日 |
|
2.5年 |
12日 |
|
3.5年 |
14日 |
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4.5年 |
16日 |
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5.5年 |
18日 |
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6.5年以上 |
20日 |
参考:年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。|厚生労働省
週の所定労働日数か労働時間のいずれかが上回っていれば良いので、例えば1日4時間労働でも、週5日働くパート・アルバイトの従業員には表の日数以上の有給休暇を与える必要があります。
3-2. 週4日以下かつ週30時間未満の場合
週の所定労働日数や労働時間が次の両方を満たす場合は、付与日数が異なります。
- 週の所定労働日数が4日以下、または年間の所定労働日数が216日以下
- 週の平均所定労働時間が30時間未満
この場合の有給休暇の付与方法を「比例付与」といい、勤続年数だけでなく、所定労働日数によって有給休暇の付与日数が次の表のように変動します。
|
週の所定労働日数 |
年間の所定労働日数 |
勤続年数 |
||||||
|
0.5年 |
1.5年 |
2.5年 |
3.5年 |
4.5年 |
5.5年 |
6.5年 |
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4日 |
169~216日 |
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8 |
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10 |
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15 |
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3日 |
121~168日 |
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6 |
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2日 |
73~120日 |
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6 |
7 |
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1日 |
48~72日 |
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2 |
2 |
2 |
3 |
3 |
3 |
パート・アルバイトであれば必ず比例付与の対象となるわけではなく、所定労働日数や所定労働時間によって区分される点に注意しましょう。
3-3. 年の途中で所定労働日数が変更された場合
有給休暇を通常の付与方法で与えるか比例付与で与えるかは、基準日の所定労働日数や所定労働時間で判断します。基準日とは、有給休暇が付与される日のことです。
付与方法は基準日時点の労働条件で判断するため、年の途中で所定労働日数や所定労働時間が変更となった場合でも、すでに付与した日数は変わりません。
次回の基準日時点で、通常の付与方法の対象か比例付与の対象かを判断しましょう。
例えば、当初は1日8時間、週5日勤務で雇い入れた従業員の労働契約を途中で変更し、6ヵ月経過時点での所定労働時間は1日7時間、週4日勤務に変わったとします。この場合は比例付与の対象となるため、付与すべき有給休暇は7日です。
ただし、時間単位の有給休暇の制度があり、年の途中に所定労働時間が変更となった場合は、残時間数だけは所定労働時間に応じて変わります。例えば1日8時間勤務の従業員が1日4時間勤務になった時点で、時間単位の有給休暇が6時間残っている場合、次のように残時間数が変わります。
6時間(残時間数) × 4時間(変更後の所定労働時間) ÷ 8時間(変更前の所定労働時間) = 3時間
計算の結果、端数が生じた場合は切り上げましょう。
関連記事:有給休暇の日数を雇用形態別に解説!発生条件や付与タイミング、最大日数は?
4. パート・アルバイトで有給休暇の取得義務が発生する場合


2019年4月施行の労働基準法改正により、年10日以上の有給休暇が付与される従業員には、年5日以上を確実に取得させる義務が課されました。
条件に該当する場合、パート・アルバイトも取得義務の対象です。取得義務の条件や内容を詳しく解説します。
4-1. 有給休暇の取得義務がある従業員の条件
年5日以上の有給休暇取得が義務づけられるのは「年間の有給休暇付与日数が10日以上の従業員」です。パート・アルバイトも例外ではなく、条件に該当する従業員には有給休暇の取得義務が生じます。
年10日以上とは、その年に付与された有給休暇の日数が10日以上の場合です。前年の有給休暇の残日数数を合計して10日以上となる場合は含まれません。
例えば有給休暇の残日数が3日、付与された年休の日数が9日の従業員の場合、合計すると12日ですが、その年に付与された日数は10日未満のため、取得義務の対象外です。
4-2. 時季指定のうえで最低5日間の有給休暇取得が必要
年10日以上の年次有給休暇が付与されている従業員には、付与日から1年以内に5日以上の有給休暇を取得させる必要があります。
従業員が自ら有給休暇を取得しない場合、企業は従業員の意見を聴取したうえで、5日に満たない分の取得時季を指定し、取得させなければなりません。
従業員が5日以上の有給休暇を自ら取得している場合は時季指定は不要です。基本的には従業員が自ら有給休暇を取得するよう促し、時季指定は例外的な最終手段と考えましょう。
関連記事:有給休暇5日の取得義務化とは?時間単位の扱いから対応方法や罰則まで解説
4-3. 年次有給休暇管理簿の作成・保管が必要
年次有給休暇管理簿とは、従業員ごとの有給休暇の付与状況や取得状況を記録・管理するための帳簿です。2019年に施行された改正労働基準法で、作成および保存が義務化されました。
管理簿の対象となるのは、年10日以上の有給休暇が付与されるすべての従業員です。要件に該当する場合はパートやアルバイトなどの非正規雇用者も含まれます。
保存期間は、有給休暇を付与している期間中および期間満了後5年間(当分の間は3年間)です。様式に決まりはありませんが、基準日や付与日数、取得時季は記載しなければなりません。紙ではなく、データ形式での作成・保管も認められています。
年次有給休暇管理簿の作成・保存義務を怠った場合でも、労働基準法に直接的な罰則は設けられていません。ただし、労働基準監督署から是正勧告を受ける可能性があるほか、有給休暇を適切に取得させていたことを証明できない場合、取得義務違反として罰則が科されるおそれがあるため注意しましょう。
関連記事:年次有給休暇管理簿の作成が義務化!作成方法と保管期間を解説
5. 有給休暇取得時の賃金計算方法


有給休暇を取得したときの賃金算出方法は次の3種類です。
- 労働基準法で定める平均賃金
- 所定労働時間働いた場合に発生する賃金
- 健康保険の標準報酬月額の30分の1
算出方法は就業規則に定める必要があり、定めた方法以外での賃金計算はできません。それぞれの計算方法を解説します。
5-1. 平均賃金
平均賃金とは、過去3ヵ月間に支払われた賃金の平均額です。有給休暇を取得した際の賃金計算のほか、解雇予告手当や休業手当の支払額を計算する際にも用いられます。
原則の計算方法のほか、最低保証額を算出する計算式があり、より金額が高い方が平均賃金になります。
- 過去3ヵ月間に従業員へ支払われた賃金の総額 ÷ その期間の総日数
- 過去3ヵ月間に従業員へ支払われた賃金の総額 ÷ その期間の実労働日数 × 60%(最低保障額)
5-2. 通常の賃金
通常の賃金とは、有給休暇を取得した期間、実際に勤務した場合に支払われる賃金を支払う方法です。賃金体系によって、次のとおり計算します。
- 月給制:月額 ÷ その月の所定労働日数
- 時給制:時給額 × その日の所定労働時間数
- 日給制:日額
- 出来高制:(賃金総額 ÷ 総労働時間数) × 1日の平均所定労働時間数
通常の賃金を支払う場合、通常の出勤をしたとして取り扱えば足り、計算を都度おこなう必要はないとする通達が出されています。最も簡単なため、通常の賃金を支払う方法を採用している企業がほとんどでしょう。
パート・アルバイトの従業員の場合、日によって所定労働時間が異なる場合もあります。有給を取得したときは、取得した日の所定労働時間に応じた賃金を支払います。
例えば毎週月曜日は4時間、水曜日は3時間勤務するパート・アルバイトの場合、月曜に休んだ場合は4時間分、水曜に休んだ場合は3時間分の賃金を支払わなければなりません。所定労働時間が最も短い時間を採用する、全体の平均時間を使うなどの運用はできないため注意しましょう。
5-3. 標準報酬日額相当額
標準報酬月額とは、健康保険料や厚生年金保険料を算出するために、毎月の報酬額を一定の等級幅に区分した金額です。
労使協定を締結すれば、標準報酬日額(健康保険法の標準報酬月額を30で除した額)にもとづいた計算方法で、有給休暇を取得時の賃金を支払えます。
標準報酬月額に連動して支払額を変えなければならず、労使協定の締結も必要になるため、この方法を採用している企業はほとんどありません。
5-4. 【労基法改正】有給休暇の賃金計算方法が統一される?
有給休暇取得時の賃金計算方法は「平均賃金」「通常の賃金(所定労働時間働いた場合の賃金)」「標準報酬日額(標準報酬月額を30で除した額)」の3種類です。
パートやアルバイトなど時給制や日給制で働く従業員は、平均賃金や標準報酬日額で賃金計算をした場合、有給休暇取得日の賃金が、通常出勤した場合の賃金を下回るケースが生じやすいとの指摘があります。
そのため有給休暇取得時の賃金は、実際に勤務した場合と同程度の水準となる「通常の賃金」を基準とする算定方法に統一すべきではないか、との観点から政府で議論されています。現時点では具体的な改正は決定していませんが、今後の制度見直しの動向次第では、算定方法が変更される可能性もあるでしょう。
最新の法改正や行政の動きを継続的に把握し、将来の変更にも対応できるよう、社内制度や運用方法を整備しましょう。
参考:「労働基準関係法制研究会」の報告書を公表します|厚生労働省
関連記事:有給休暇取得日の賃金計算方法と正しく計算するための注意点を解説
関連記事:労働基準法の大改正はどうなる?2026年最新動向と主要論点、企業が今すべき対応とは【社労士が解説】
6. パート・アルバイトの有給休暇に関連するルール


有給休暇は押さえるべきルールが多く、正しく理解しないといつの間にか労働基準法に違反している可能性もあります。パート・アルバイトの有給休暇を管理するうえで押さえておくべきルールを5つ解説します。
パート従業員の有給取得に関しては組織内でルール化されていなかったり管理方法がきちんと決まっていなかったりするケースもしばしば見受けられます。当サイトではパート従業員の有給管理の方法や取得方法、定めるべきルールの例などをまとめた資料を無料で配布しております。店舗内でパート従業員の有給管理をしっかりとおこなっていきたい方は、こちらから資料をダウンロードしてぜひご覧ください。
6-1. 有給休暇の有効期間(繰り越しできる期間)は2年間
有給休暇の有効期限は付与日から2年間です。消化しきれなかった有給休暇は次の年に繰り越せますが、次の1年でも取得しきれなかった場合は時効により消滅します。
パート・アルバイトの場合、人によって付与日が異なるケースが多くなりがちです。有給休暇の有効期限は付与日からカウントするため、付与日を統一していない場合、時効も一人ひとり個別に管理する必要があります。
前回の付与日にかかわらず、年度の切り替え時に前々年度に付与した有給休暇を消滅させる運用をしている場合は、2年に満たない有給休暇を消滅させていないか確認しましょう。
関連記事:有給休暇は消滅する?時効や未消化分の取り扱いの注意点
関連記事:【図解】有給休暇の繰越とは?上限日数・ルール・計算方法をわかりやすく解説
6-2. 半休・時間休の適用が可能
有給休暇の取得は1日単位が原則ですが、労働契約や就業規則で定められていれば、半日単位でも取得できます。この半休・時間休は通常の従業員と同様にパート・アルバイトにも適用が可能です。
労使協定を締結すれば、年5日以内の範囲で時間単位での有給休暇(時間休)の取得も可能です。労使協定には次の内容を規定する必要があります。
- 対象従業員の範囲
- 日数
- 1日の時間数
- 取得単位の時間数(1時間以外を単位とする場合)
半休・時間休を取得できる従業員にパート・アルバイトを含めるかは企業の任意ですが、雇用形態を理由にした差別は同一労働同一賃金の原則(※)に反するおそれがあります。区別する合理的な説明がつかないのであれば、パート・アルバイトも対象者に含めるべきでしょう。
※正社員とパート・アルバイトとの待遇に、不合理な差を設けることを禁止する原則。
関連記事:半休(半日休暇)とは?時間休との違いや導入方法を解説
6-3. 年5日を超える部分の有給は計画的付与が可能
労使協定を締結すれば、年次有給休暇の付与日数のうち、年5日を超える部分は、あらかじめ計画的に取得日を割り振れます。年14日の有給休暇を付与されるパート・アルバイトの場合、計画的付与の対象となる日数は9日です。
計画的付与で有給休暇を与える日は任意です。例として次の方法が考えられます。
- 会社や事業所全体を一斉に休業日とする
- グループごとに交替で有給休暇を付与する
計画的付与を活用すれば、業務の平準化や計画的な休暇取得の促進、長時間労働の抑制に役立ちます。計画的付与で取得させた有給休暇は年5日の取得義務にも含まれるため、有効活用すれば年休管理にも役立つでしょう。
関連記事:有給休暇の計画的付与制度とは?導入方法や注意点を紹介
6-4. 時季変更権行使の基準は正社員と同様
有給休暇の時季変更権の行使は、パート・アルバイトに対しても厳格に判断されます。時季変更権とは、企業が有給休暇の取得時期の変更を命じられる権利です。有給休暇は原則として、従業員本人が任意のタイミングで取得でき、企業から取得の命令はできません。例外的に、有給休暇の取得によって事業の正常な運営が妨げられる場合に限り、時季変更権の行使が認められています。
ただし、単に「繁忙期である」「代わりの人がいない」などの理由では変更できず、有効と認められるケースは限定的です。また、時季変更権では有給休暇の日程変更のみが可能で、取得そのものを認めない取り扱いは禁じられています。
関連記事:時季変更権とは?行使するための条件や注意点を徹底解説
6-5. 労働基準法に違反した場合の罰則
労働基準法第39条に違反した場合、罰則が科される可能性があります。違反となるケースは次のとおりです。
- 法定の基準を満たす有給休暇日数を付与していない
- 有給休暇取得日に支払う賃金が不足している
- 年10日以上の有給休暇が付与される従業員に年5日分の有給休暇を取得させていない
有給休暇の日数や賃金が不足している場合は「6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」が、年5日分の有給休暇を取得させていない場合は「30万円以下の罰金」が科されるおそれもあります。
実際にはすぐに罰則が科されるケースは少なく、まずは労働基準監督署による調査が入ります。調査の結果、労働基準法違反が見つかった場合は是正勧告があり、勧告を受けても対応しなければ罰則が科される可能性が高くなるでしょう。
罰則を受けるリスクを減らすためにも、有給休暇は適切に管理しましょう。
参考:労働基準法第39条、第119条、第120条|e-Gov法令検索
参考:年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説|厚生労働省
7. パート・アルバイトの有給休暇に関連するよくある質問


パート・アルバイトの有給休暇に関連して、実務上よく寄せられる質問とその回答を紹介します。
7-1. パート・アルバイトでも有給休暇を自由に取得できる?
パート・アルバイトでも有給休暇は原則として自由に取得できます。有給休暇は労働基準法で保障された権利であり、雇用区分を理由に利用の制限はできません。
従業員が有給休暇を取得する際、取得の理由を明確にする義務はなく、申告しないことを理由に取得させない場合も労働基準法違反に該当します。
7-2. 年間の所定労働日数が年48日に満たない場合は?
年間の所定労働日数が48日未満の従業員には、原則として有給休暇を付与する義務はありません。比例付与であっても、付与の対象となるのは年間の所定労働日数が48日以上の従業員に限られるためです。
ただし、年間の労働日数が48日未満であっても、週の所定労働日数が1日と定められている場合は、有給休暇を与える必要があります。
7-3. 退職時の有給消化は認める必要がある?
退職が決まった従業員にも、有給休暇の取得は認める必要があります。有給休暇は労働基準法で保障された権利のため、退職が決まったあとも、従業員は残日数の範囲で自由に取得できます。例えば「引き継ぎが必要なのに退職まで日がない」などの理由による取得の制限は労働基準法違反です。
業務の都合上、退職前に出勤してもらう必要がある場合は、退職日や取得時季の調整を依頼するなど、あくまで本人の理解と協力を得る形で調整を進めることが望ましいでしょう。
7-4. パート・アルバイトの有給休暇を効率よく管理する方法は?
パート・アルバイトの有給休暇を効率よく管理する代表的な方法は、次の3点です。
- 取得ルールの明確化
取得期限や申し出・承認のフローを整理し、パート・アルバイトを含む全従業員に周知しましょう。 - 年5日の取得義務への対応
パート・アルバイトのうち、年10日以上の有給休暇が付与される従業員には、年5日の取得義務が発生します。対象となる従業員をピックアップし、年間を通じて取得日数を管理すると取得漏れを防げます。 - 勤怠管理システムの導入
パート・アルバイトの場合、雇入れのタイミングや労働条件によって異なるため、手作業で管理すると手間がかかり、ミスが起こりやすくなります。
有給休暇に対応した勤怠管理システムを導入すれば、申し出から承認までシステムで完結できます。従業員ごとの付与日数や残日数、取得期限を管理しやすくなるでしょう。
8. パート・アルバイトの有給休暇の条件を押さえ正しく付与しよう


有給休暇は、条件を満たす従業員全員に付与しなければなりません。パート・アルバイトは雇入れ日や労働条件によって付与の時季や日数が異なるため、適切な管理が重要です。
労働基準法に違反し、従業員からの信頼を損なわないよう、有給休暇のルールを正しく理解し、適切に運用しましょう。
パート・アルバイトであっても、雇い入れから6ヶ月が経過し、その間の出勤率が8割以上であれば有給休暇を付与しなくてはなりません。
とはいえ、「本社からアルバイトにも有休を与えるよう指示されたが、どうやって対応すればいいか分からない…」という方も多いでしょう。
そのような方に向け、当サイトではパート・アルバイトへの有給休暇の付与方法や、有給休暇をめぐるトラブルを防ぐ取得ルールの例などをまとめた資料を無料で配布しております。
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