雇用契約の電子化とは?電子化のメリットや方法を解説
更新日: 2025.8.4 公開日: 2020.11.19 jinjer Blog 編集部

従業員として雇った労働者と雇用契約を結ぶ場合、これまでは紙で契約書を作って渡す必要がありました。
それが2019年4月1日より規制が緩和され、労働条件通知書の電子化が解禁されました。加えて、テレワークが一般的になったことを受け、雇用契約書や労働条件通知書の電子化を検討する企業も増えています。
電子化は手間や経費を減らせるというメリットがあるため、規制の緩和に合わせて電子化を進める企業も多いです。
本記事では雇用契約のオンライン化は可能なのか、書類を電子化する際の注意点は何かについて解説します。
関連記事:雇用契約書とは?法的要件や雇用形態別に作成時の注意点を解説!
目次
「入社手続き・雇用契約の書類作成や管理業務を楽にしたいが、どうしたらいいかわからない…」
とお困りの方におすすめなのが、入社手続き・雇用契約の電子化です。入社手続き・雇用契約を電子化すると、入社手続きを郵送ではなくシステム上で行えるため、差戻や修正書類の回収にかかる時間や工数を削減することができます。
「便利なのはわかったけど、どうやって電子化すればいいか分からない」という方に向け、
当サイトでは雇用契約・入社手続きを電子化する方法や、電子化によって入社手続き業務がどのように効率化されるかをまとめた資料を無料で配布しておりますので、ご興味のある方はぜひこちらからダウンロードしてご覧ください。
1. そもそも雇用契約とは


雇用契約とは、労働者が使用者(企業)のもとで労働に従事し、使用者がその労働の対価として労働者に報酬を支払う約束をする契約のことを指します。
雇用契約を締結した労働者は、労働保険や社会保険の加入や有給休暇の取得、使用者からの一方的な解雇の禁止など、労働契約法・労働基準法などの法による保護を受けることができます。
雇用契約を締結するには、雇用する労働者に対して「労働条件の明示」をおこなわなければならない事が、労働基準法第15条で義務付けられています。
使用者は、「労働条件通知書」として労働条件が書かれた書類を作成して労働者に明示する必要があります。
この労働条件通知書は雇用契約書とは別のもので、取り扱いや法律による定めも異なります。内容は似ていますが、別のものであり電子化もそれぞれ異なる扱いが必要になります。
2. 雇用契約書と労働条件通知書の違い


雇用契約をするうえで作成することになる書類は「雇用契約書」と「労働条件通知書」の2種類があります。電子化の話をする前に、改めてそれぞれの違いを理解しておきましょう。
2-1. 労働条件通知書の作成は義務付けられている
雇用契約に関連する書類2種類のうち、雇用契約書は作成が望ましいとされているものの、法律による定めはありません。
一方で労働条件通知書は、必ず交付する必要があります。正社員だけでなく、パートやアルバイトでも雇用契約をおこなう限りは必ず労働条件通知書の交付が必要です。交付を怠った場合は、労働基準法に違反しているとみなされて30万円以下の罰金に処される可能性もあります。
雇用契約書と労働条件通知書は内容も非常に似ているものですが、この違いは非常に大きいです。
2-2. 雇用契約書と労働条件通知書に記載する項目
「雇用契約書」は、 給与、就業場所、時間、業務内容、昇給、退職などの労働条件に関する事項が書かれています。
一方で「労働条件通知書」は、始業時間や終業時間、就業場所、業務内容、賃金など、従業員の労働条件に関する事項が書かれています。
このように「雇用契約書」と「労働条件通知書」に書かれる項目は、そのほとんどが重複していますが、それぞれの書類の持つ意味が異なるため、両方発行することが推奨されています。
「労働条件通知書」は法律上の義務を果たした証拠として発行し、「雇用契約書」は労働条件に関する合意がとれていることを証明するために発行するのです。
関連記事:雇用契約の定義や労働契約との違いなど基礎知識を解説
2-3. 雇用契約書と労働条件通知書を発行するタイミング
2つの書類を発行するタイミングとして、労働者を新規雇用する時と労働条件が変わる時の2シーンが考えられます。
原則、労働条件の明示は雇い入れ時のみ義務となっており、変更する場合は(労働条件変更通知書の発行は)特に義務化されていません。ただ、アルバイトとして雇用していた労働者を正社員登用するなど、雇用形態が変わる場合は、あらためて正社員として雇用契約書を取り交わし労働条件通知書を交付することが一般的とされています。
また、有期労働契約の場合は、締結時と更新時、無期転換申込権が発生する契約の更新時には労働条件を明示しなければなりません。
労働条件の明示ルールは令和6年に改正されているため、明示内容や雇用契約書・労働条件通知書で明示すべき内容は最新の情報にしておきましょう。
参考:令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます|厚生労働省
2-4. 雇用契約書と労働条件通知書の法的効力
労働条件通知書は「通知書」であるため、そのものに法的効力はありません。一方、雇用契約書は「契約書」であるため、法的な効果が生じます。
雇用契約を締結すると、労働者側も使用者側も契約内容に拘束されますが、労働基準法において、雇用契約の労働条件が法律で定める内容を下回る場合や、労働者にとって不利な内容だった場合、その内容は無効となり、代わりに労働基準法の内容が適用されます。
例えば、週5日勤務の方が雇い入れから半年経過し、全労働日の8割以上出勤した従業員へ5日間有給休暇を付与するルールを雇用契約書に記載したとします。
労働基準法では、全労働日の8割以上出勤した従業員へ年10日の有給休暇を付与することが義務付けられているため、10日未満となっているこのルールは無効となります。
もし雇用契約書どおりに5日しか付与しなかった場合、労働基準法違反となり使用者に罰則が科せられます。
3. 電子契約とは?労働契約は電子化できるの?


そもそも電子契約とはどのような契約方法を指すのでしょうか?雇用契約に関係する書類の電子化と併せて解説していきます。
3-1. 電子契約とは電子データを用いた契約方法
電子契約とは、紙の書類に押印する代わりに、PDFなどの電子データへ電子署名を付与するなどの方法でインターネット上で契約を完結させる手段のことを指します。
そもそも「契約」自体が、民法522条2項の契約方式の自由によりいかなる形式でも成立すると定義されているため、電子契約も法的に有効と認められています。
電子契約ではデータへの不正なアクセスや改ざんが問題視されてきましたが、「電子署名」と「タイムスタンプ」という技術を用いてこうしたリスクを防げるようになりました。
現在ではさまざまな書類が電子化されており、雇用契約も例外ではありません。
3-2. 2019年4月1日より雇用契約の電子化が可能に
これまで雇用契約書は電子化が可能だったものの、労働条件通知書は必ず書面での通知が雇用主に義務付けられていました。
しかし、2019年4月1日より労働基準法施行規則(法律を施するためのルール)が改正されて規則が緩和され、労働条件通知書の電子化が解禁になりました。これによって、雇用契約のオンライン化が一気に進んでいます。労働者が希望すればファックスや電子メールでの労働条件通知書の送付が可能となりました。
労働基準法施行規則第5条4項
法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。ただし、当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。
一 ファクシミリを利用してする送信の方法
二 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において「電子メール等」という。)の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)
これで雇用主側は面接から採用、雇用契約のすべてをオンライン化することができ、採用の効率を大幅に高めることができるようになりました。
労働条件通知書を電子化するためのソフトの選び方や作成方法については、下記の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:労働条件通知書はソフトを使って作成できる?選び方も解説
4. 雇用契約をシステムで電子化するメリット


雇用契約を電子化し、オンラインでのやり取りを可能にすると業務の効率化や情報の管理などがしやすくなり、コストの削減につながります。具体的にどのようなメリットが考えられるのか、4つ紹介します。
4-1. 採用業務が効率化できる
新たに従業員を雇用する際、紙の書類でやり取りをしていると郵送や来社してもらう手間などがかかります。また、採用人数が多い場合は一人ひとりのタスク管理も複雑になり、人的なミスが発生しやすくなります。
雇用契約を電子化すればオンラインで必要な書類を送受信できることに加え、管理ツールを利用すればタスク管理もしやすくなります。
採用に関連する煩雑な業務ややり取りをオンラインでおこない、一元管理も可能になれば採用業務は大幅に効率化できるでしょう。
4-2. 契約の管理がしやすくなる
雇用契約を電子化しておけば、契約内容や契約更新のタイミングもまとめて管理することができます。
とくに、事業所が複数ある飲食店やサービス業などは、店舗ごとに従業員がおり、その全員を紙の書類で管理することは非常に負担が大きいです。契約内容を確認したい場合や、契約内容に変更があった場合など、契約書が電子化されデータベース化されていればすぐに確認することができるでしょう。
もちろん書類の保管場所に困ることもなくなります。従業員数が多いほどこのメリットは大きくなります。
4-3. コストの削減が可能
細かいコストですが、紙の書類を郵送したり、返送用の切手を用意したりする費用、封筒や印刷用のインクや紙の費用も長期になれば大きくなります。書類を保管するファイルやキャビネットなどを準備する費用も考えると決して無視できない経費になります。
電子化をすれば、紙による保管や郵送が必要な書類が大幅に減り、こうした細かいコストを削減することができます。
4-4. 従業員の負担も軽減できる
雇用契約に関連する書類を電子化すれば、リモートワークの利点をしっかりと活かすことができます。
紙による管理の場合は、郵送の手間が発生することや、出社が必要になるケースも出てきます。オンライン面接と併用することができれば、場所を選ばずに面接・採用・契約の流れを進めることができます。
これによって遠方の人材ともスムーズな契約が可能になり、フルリモートの働き方にも柔軟な対応ができるでしょう。
5. 雇用契約書・労働条件通知書を電子化する方法


では雇用契約書や労働条件通知書を電子化するためにはどのような方法をとる必要があるのでしょうか。大きく分けて3つの方法があるため、会社に合った方法を選びましょう。
5-1. 労働条件通知書のみを電子化して交付する方法
最初の選択肢は、雇用契約書を交付せず労働条件通知書のみを電子化して労働者に送付するという方法です。雇用契約書の交付は法律で義務付けられているものではないため、企業によってはこの方法を取っているところもあります。
労働条件通知書のモデルは厚生労働省や各地方労働局のホームページで入手可能です。
しかし労働条件通知書だけを電子化して交付すると、就業規則などを含めて労働者が合意したという証拠が残らないためトラブルの元となります。
可能であれば、労働条件通知書のみを電子化して交付する選択肢は避けるのが賢明です。
5-2. 雇用契約書・労働条件通知書を電子化して交付する方法
企業によっては電子化された労働条件通知書とは別に、就業規則などを明記した雇用契約書をPDFなどで作成して交付しています。
2つの書類を別々に作ることで労働者にはっきりと労働条件が提示された証拠になります。非常によい方法ですが、労働者を採用するたびに2つの書類を作るため手間がかかるのがデメリットです。
また、新卒者や書類をしっかりと読まなかった人は、2つの書類が同じものだと勘違いして片方を消してしまう恐れもあります。
関連記事:労働条件通知書と雇用契約書の違い|それぞれの役割と発行方法を解説
5-3. 労働条件通知書兼雇用契約書を電子化して交付する方法
事務処理を最小限にしつつ労働者に雇用の条件を明示するためには、雇用契約書と労働条件通知書の両方を兼ねる書類を作って電子化するのがもっとも効率的な方法です。
労働条件通知書の最後の部分に就業規則に則って働く旨を記しておけば、法的にも問題のない書類を作成できるでしょう。
当サイトでは、このように労働条件通知書を電子データ化して締結する際のフォーマットを無料配布しています。
社労士の監修付きで、令和6年に労働条件の明示ルールが変更された点も反映した最新のフォーマットです。雇用契約書として兼用することもできる雛形です。「これから作る雇用契約書の土台にしたい」「労働条件通知書を更新する際の参考にしたい」という方は、ぜひこちらからダウンロードの上、お役立てください。
関連記事:雇用契約書と労働条件通知書の兼用はできる?そのメリットや作成方法
6. 雇用契約の電子化を導入する際の流れ


雇用契約を電子化するには、「雇用契約書」と「労働条件通知書」でそれぞれ条件が異なります。電子化する流れとともに、注意点を把握しましょう。
6-1. 雇用契約書を電子化する流れ
前述の通り、「契約」自体が民法522条2項の契約方式の自由によりいかなる形式でも成立すると定義されているため、電子化を導入しても問題ありません。
電子化する方法としては「PDF化して電子メールで送付する」「デジタル署名サービスを利用する」「クラウドサービスを契約する」などがあげられます。
電子契約のためにクラウドサービスなどを導入する際は以下の流れで進めていくといいでしょう。
①現状の把握、改善点をまとめる
雇用契約書の作成→送付→締結→回収の各フローを、現状どのような方法で進めているのか、それぞれどのくらい時間が掛かっているかを把握します。そのうえでどの部分が改善出来そうか検討します。
②電子契約を導入した際の効果を算出する
①で明確になった改善点に対し電子化システムを導入した場合、どの程度の作業時間が削減できるのか数値化しましょう。具体的に削減できる作業時間を数値化することで、決裁者へ導入の承認を得る際、システム導入のメリットを客観的に訴求することができます。
③無料トライアルで試運転してみる
導入するシステムの目星がつき、もしそのシステムが無料トライアルを提供していたら、ぜひ実際に使ってみることをおすすめします。
システムのWebサイトなどを熟読し機能を理解していたつもりでも、実際に使ってみると想像していた使用感と異なる場合もあります。
また、実際に利用してみた結果、実際に削減できた作業時間も確認することができます。導入後にこんなはずではなかった、とならないように十分に確認しましょう。
④導入の社内承認を得る
作業時間削減の効果の試算や、無料トライアルなどを通して、導入したいシステムが決定したら、社内ルールに基づいて導入の承認を得ます。
⑤従業員へ事前説明をする
システムを利用するのは管理者だけでなく、従業員も対象です。今までのフローと異なる点やシステムの使い方などを事前に説明しましょう。
⑥システムの導入、契約書の交付
従業員への説明が完了したら、いよいよ導入です。導入したら完了ではなく、運用していく中で利用者からの疑問点や改善点などが発生します。システムのヘルプページやサポート機能を用いて、システムを最適化していきましょう。
また、システムを選定する際の観点として、署名・捺印が発生する雇用契約書においては、署名機能を補完しているデジタル署名サービスや、署名だけでなく契約書の作成や個々の従業員との取り交わしもシステム上で完結できるクラウドサービスを導入するとコスト削減やスピード化への効果が大きいでしょう。現状の課題と自社の状況をふまえて導入するツールを検討しましょう。
6-2. 労働条件通知書を電子化する流れ
労働条件通知書は、企業側が電子化を希望していても、労働者側が電子媒体での交付を希望していなければ、電子交付が認められません。
また、労働者が電子化を希望した場合、労働者本人だけが閲覧可能な状態かつ労働者本人が自由に出力出来る形式であれば電子交付が可能で、いずれかの条件が欠けていた場合は交付が認められないのです。
よって、労働条件通知書に関しては電子化したとしても、書面で交付するフローも想定しておかなければならないことを覚えておきましょう。
労働条件通知書の電子化はシステムを導入せずとも、メールやFAXの送信で対応可能です。そのため、システムを導入するのか、メール・FAX等で運用するのかを最初に決めましょう。
システムを導入する場合の流れは、雇用契約を電子化する場合と大きくは変わりませんが、「従業員から同意を得る」という点が異なります。導入の流れは以下の通りです。
①現状の把握、改善点をまとめる
②システムを導入した際の効果を算出する
③無料トライアルで試運転してみる
④導入の社内承認を得る
⑤従業員へ事前説明をする
⑥システムの導入
⑦従業員に電子媒体での交付を希望するか確認をする
この時、希望したことを客観的に証明できるよう、労働者とのやり取りを記録しておくことが望ましいです
⑧労働条件通知書の交付
電子媒体での交付を希望した労働者にはシステムを用いて交付、希望されなかった労働者に対しては紙媒体での交付をおこないます。
労働条件通知書は交付に関する要件があるため、その要件を満たせる機能を持っているシステムなのか、といった観点を持ってシステム選定をすることが重要です。
6-3. 労働条件通知書兼雇用契約書を電子化する流れ
労働条件通知書兼雇用契約書の電子化を検討している場合は、雇用契約書を電子化するうえで持っておくべき機能と、労働条件通知書を交付するための要件を満たせる機能の、2つの観点で、電子化システムを選定する必要があります。
■雇用契約書を電子化するうえであると望ましい機能
・署名機能がついている
・契約書の作成や個々の従業員との取り交わしもシステム上で完結できる
■労働条件通知書を交付するための要件を満たせる機能
・労働者本人だけが閲覧可能
・労働者本人が自由に出力出来る
導入の際は、労働条件通知書の際と同様の流れにそって進めましょう。
①現状の把握、改善点をまとめる
②電子契約を導入した際の効果を算出する
③無料トライアルで試運転してみる
④導入の社内承認を得る
⑤従業員へ事前説明をする
⑥システムの導入
⑦従業員に電子媒体での交付を希望するか確認をする
⑧労働条件通知書の交付
7. 雇用契約の電子化を導入する際の注意点・課題点


7-1. 契約の撤回についての説明が必要
電子化された書類は、1度署名してしまうと撤回するのが非常に難しくなります。そのため雇用主側も労働者側も、書類の内容を精査したうえで慎重に署名しなければなりません。
万が一意思を撤回したくなったときのために、どのような条件で撤回が可能なのかについても明示しておくことが必要でしょう。双方の合意が必要であることや、撤回するために必要な要件を明確にしておけばトラブルの予防になります。
もちろん書類や署名の改ざんを防止するための対策も重要であるため、セキュリティの観点からも契約の撤回が難しいことを説明しましょう。
7-2. 電子帳簿保存法への対応準備
電子帳簿保存法に基づき、雇用主は契約書の電子データを適切に保存する必要があります。特に、真実性、見読性、検索性の要件を満たす形式での保存が義務付けられています。
- 真実性:認定タイムスタンプや社内規程などを確認できる機能
- 見読性:契約内容が納税地で確認できること
- 検索性については、主要項目を指定して検索できる機能
タイムスタンプの機能が不足している簡易的な電子契約システムでは、法律上の要件を満たせない場合があるため、システム導入の際には注意が必要です。
また、電子帳簿保存法は改正が繰り返しおこなわれており、今後も必要要件や保存義務に変化がある可能性があります。必ず最新の法律に対応できるようにしておきましょう。
7-3. 受け取りと保管を正しくできているか確認する
雇用契約書や労働条件通知書を電子化し労働者に交付した場合、労働者側がきちんと受け取って確認しているかチェックしなければなりません。
万が一メールフィルター機能などで受け取りができておらず確認していない場合は後々トラブルに発展する可能性があります。
交付することを事前に知らせ、交付内容を確認したか後日チェックしましょう。また保存も忘れずにおこなうよう促しましょう。
こうした条件を満たすためには十分な準備が必要となるため、導入に際してはプロジェクトチームを作って対応することが必要かもしれません。
8. 雇用契約に関連する書類を電子化して業務効率を上げよう


雇用契約を電子化すれば、採用に割く人員や費用を大幅に削減することが可能です。
また、採用者や従業員も端末さえあれば書類の送受信が可能になるため、出社や郵送の負担を減らすことができます。
電子化には法律への対応やシステムの整備など、事前の準備が必要となりますが、ぜひ雇用契約を電子化することでより重要な業務に多くの人員をあてられるようにしたいものです。
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