心理的安全性の高い職場と低い職場の違いは?心理的安全性の定義や注目される理由、測定方法を解説
更新日: 2026.4.27 公開日: 2025.3.25 jinjer Blog 編集部

従業員の働きやすい職場環境を整備し、組織力強化をめざす人事施策として、職場の心理的安全性の向上が注目されています。
心理的安全性の重要性を聞いたことはあるものの、具体的な定義や取り組み内容を把握しきれていない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、心理的安全性の高い職場と低い職場の特長や取り組むメリット、心理的安全性の測定方法、企業向けの人事施策の例について解説します。
職場の心理的安全性を高めて、企業成長につなげたい方はぜひ参考にご覧ください。
従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
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1. 職場における心理的安全性とは


心理的安全性とは、誰もが安心して発言や行動ができる状態を意味する言葉です。
職場における心理的安全性とは、従業員一人ひとりが安心して自分の意見や価値観を発信できる状態を指し、企業の「風通しのよさ」を示す指標のひとつとして知られています。
心理的安全性は、英語のpsychological safety(サイコロジカル・セーフティ)を訳したもので、1999年に米国ハーバード大学の組織行動学者であるエイミー・C・エドモンドソン教授によって提唱されました。
現在では、組織における人間関係の質を左右する重要な要素として注目されています。
1-1. 「ぬるま湯組織」との違い
心理的安全性の高い職場は、しばしば「ぬるま湯組織」と混同されることがあります。
ぬるま湯組織とは、対立や責任をともなう発言を避け、問題意識や意見があってもあえて口にしない状態の組織のことです。従業員が現状維持を優先する傾向が強く、次のような特徴がみられます。
- 従業員のモチベーションや組織への関与意識が低い
- 主体的に動かず、受け身の姿勢のメンバーが多い
ぬるま湯組織は、外から見ると穏やかで働きやすい環境の印象を受けますが、意見や課題が表に出ないため、組織としての改善や成長が進みにくい点が課題です。
一方、心理的安全性が高い職場は、単に居心地がよいだけの環境ではありません。従業員が安心して意見を述べられるだけでなく、必要な対立や建設的な議論がおこなわれ、組織の成果を向上させる要素になりえます。
2. 職場の心理的安全性が重視されたきっかけ


心理的安全性が広く知られるようになった背景には、Googleが実施した組織研究の影響があります。
Googleでは2012年から約4年間にわたり、「プロジェクト・アリストテレス」と呼ばれる取り組みを通して、社内の数百のチームを対象に、生産性の高いチームの特徴を分析しました。その結果、メンバーの能力や経験、チーム構成以上に、「安心して発言できる雰囲気」がチームの成果に大きく影響していることが明らかになりました。
心理的安全性が高いチームでは、ミスや課題が早期に共有され、建設的な議論が生まれやすく、パフォーマンスや創造性が高まる傾向がみられました。このGoogleの取り組みをきっかけに、心理的安全性は多くの企業で注目されるようになりました。
ただし、心理的安全性の重要性はGoogleの研究によって新たに生まれたものではありません。事業環境の変化やマネジメント手法の転換により、従業員の主体性やチームでの協働が求められるようになった結果、心理的安全性が組織運営の前提条件として認識されるようになったといえます。
3. 職場における心理的安全性が求められる理由


従来の年功序列制度の変化や人手不足の深刻化により、人材マネジメントの在り方は大きく変化しています。
社会構造が変化するなかで、従業員一人ひとりの主体性や能力を引き出すことが重要となり、心理的安全性への注目が高まりました。
ここでは、心理的安全性が求められる理由を解説します。
3-1. マネジメント手法の変化
従来の年功序列や終身雇用を前提とした組織では、上司からの指示や方針に沿って業務を遂行することで、一定の成果を上げやすい環境でした。意思決定はトップダウン型でおこなわれる傾向があり、現場はその方針に基づいて動くことが一般的でした。
しかし近年は、市場環境の変化や事業の複雑化により、トップダウン型のマネジメントだけでは成果を上げにくくなっています。そのため、指示や管理を中心としたマネジメントから、対話や支援を通じて、従業員の主体性を引き出すマネジメントへと変化しています。
また、ジョブ型雇用の広がりなどにより、従業員が自らの役割を理解し、自律的に価値を発揮することも重要になりました。
この変化を受けて、従業員の自発性を引き出し、組織全体のパフォーマンスを高めるために、心理的安全性の必要性が高まりました。
3-2. 人的資本経営の浸透
近年は、人材をコストではなく資本として捉える「人的資本経営」の考え方が広がっています。人的資本経営は、従業員の価値を高めるために人材投資をおこない、その成果として企業価値の中長期的な成長を目指す人材マネジメント手法です。
しかし、従業員が失敗を恐れて発言を控えたり、自身の意見を出せなかったりする状態では、能力やスキルを十分に発揮することはできません。心理的安全性の高い職場は、挑戦や学習を促進し、人的資本の価値を最大化する基盤としても必要とされています。
関連記事:人的資本経営とは?基本概念と注目された背景、実践ステップを解説
3-3. 人材定着やエンゲージメント向上の必要性
少子高齢化による労働力不足や転職者の増加により、人材の流動化が進んでいます。その結果、企業にとっては人材の確保だけでなく、離職率をおさえることが重要な経営課題となっています。
心理的安全性が低い職場では、上司や同僚に相談しづらく、従業員が孤立しやすい環境になりがちです。そのため、不満やストレスが蓄積しやすく、結果としてエンゲージメントの低下や離職につながる可能性があります。
一方で、心理的安全性が高い職場では、安心して意見や悩みを共有できるため、従業員のエンゲージメントが高まり、人材の定着も期待できます。人材の流動化が進むなかで、心理的安全性の確保は、企業が持続的に成長していくための重要な要素といえるでしょう。
関連記事:エンゲージメントとは?ビジネス上の意味や高める方法を徹底解説
3-4. 働き方改革やメンタルヘルス対策の必要性
心理的安全性の向上は、働き方改革の推進による長時間労働の是正や、従業員のメンタルヘルス対策の観点からも必要とされています。
長時間労働の是正は、従業員の負担軽減に一定の効果がある一方で、それだけではメンタルヘルス不調の防止に十分とはいえません。実際に、ストレスや人間関係に起因するメンタルヘルス不調による休職や離職は、依然として企業の課題となっています。
このような問題の背景には、悩みや不安を抱えても周囲に相談しづらい職場環境があるケースも少なくありません。
心理的安全性の高い職場では、困りごとや不安を早期に共有できるため、問題の深刻化を防ぐことができます。従業員が安心して働き続けるための環境づくりとしても、心理的安全性の確保が求められています。
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4. 心理的安全性の高い職場と低い職場の違い


心理的安全性の高低は、日常のコミュニケーションや行動に明確に表れます。ここでは、それぞれの職場の特徴を整理します。
4-1. 心理的安全性が高い職場の特長
心理的安全性が高い職場では、従業員が安心して発言や行動ができる環境が整っています。心理的安全性が高い職場の特長の例は、次のとおりです。
- 役職や立場に関係なく意見をいえる
- ミスや課題が早期に共有される
- 質問や相談がしやすい
- 異なる意見や価値観が受け入れられる
- 建設的な議論がおこなわれる
このような環境では、情報共有や意思決定の質が高まり、組織の生産性向上につながります。
4-2. 心理的安全性が低い職場の特長
心理的安全性が低い職場では、自分の意見を発言したり、行動したりすることに不安を感じやすく、次のような特長が表れると考えられます。
- 発言する人が限られている
- ミスや問題が共有されない
- 質問や相談が少ない
- 異論が出にくい
- 表面的な合意にとどまる
心理的安全性が高い職場、低い職場の特長を確認し、自社の職場環境を見直してみるとよいでしょう。
5. 職場の心理的安全性を高める個人のメリット


職場の心理的安全性を高めることは、組織にとって非常に重要ですが、働く従業員にとっても多くのメリットがあります。ここでは、心理的安全性の向上によって期待できる個人向けのメリットを4つ取り上げてご紹介します。
5-1. 集中力の向上
心理的安全性が高い職場では、従業員は自分の意見を自由に発信できるため、余計なストレスを感じずに仕事に集中することができます。自分の意見が尊重される環境では、安心して業務に取り組むことができ、結果として仕事に対する集中力が高まるでしょう。
さらに、安心して業務を進めることで、ミスや過度な不安が減少し、効率的に作業を進められます。
5-2. ストレス軽減とやりがい向上
心理的安全性が高い職場は、従業員にとってストレスの少ない環境を提供します。発言や行動に対する不安が少なくなるため、自己表現がしやすく、仕事に対するやりがいも感じやすくなるでしょう。自分の意見が受け入れられる環境では、仕事へのモチベーションが向上し、自己成長を実感しやすくなります。その結果、従業員はより高いレベルで業務に取り組めるでしょう。
5-3. 責任感の向上
心理的安全性の高い職場では、従業員が自分の意見や行動に責任を持つことが奨励されます。自分の意見が尊重され、間違いを恐れずに改善点を指摘できる環境では、責任感を持って業務に取り組めます。このような環境では、失敗を恐れずに積極的に改善策を提案したり、新しいアイデアを試すことができ、個人の責任感が自然と育成できるでしょう。
5-4. 集団思考に左右されなくなる
心理的安全性が高い職場では、集団思考が減少します。集団思考とは、グループの意見や考えに流されてしまう傾向を指します。心理的安全性が確保されている職場では、従業員は自分の意見を自由に表現でき、ほかの意見に左右されずに独自の視点を持ち続けることが可能になります。これにより、チーム全体の意見の多様性が保たれ、より革新的なアイデアが生まれることにつながるでしょう。
6. 職場の心理的安全性を高める組織のメリット


職場の心理的安全性を高めることは、組織全体の成果にも大きく影響します。
- 情報交換による知識の深化
- 多様な価値観がイノベーションを生み出す
- 個人や組織のビジョンが明確になる
- 人材が定着しやすくなる
ここでは、職場の心理的安全性向上に取り組むことのメリットを4つご紹介します。
6-1. 情報交換による知識の深化
心理的安全性が高い職場では、従業員は自分の考えを自由に発信しやすく、情報交換が活発におこなわれます。このような環境では、従業員同士での知識の共有や意見交換が進み、組織全体の知識が深まるでしょう。問題解決のためのアイデアが豊富に集まりやすく、業務の効率化や革新が促進されます。
6-2. 多様な価値観がイノベーションを生み出す
心理的安全性の高い職場は、多様な価値観や視点が尊重されるため、イノベーションを生み出す土壌を作り出します。自分の意見を自由に発言できることで、従業員は新しいアイデアを提案しやすくなり、これが新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を高めるでしょう。多様な価値観の融合が、組織にとっての競争力を向上させることにつながります。
6-3. 個人や組織のビジョンが明確になる
心理的安全性が高い職場では、組織内での対話が活発になり、従業員個人のビジョンや組織のビジョンが明確になりやすくなります。組織の目標に向かって従業員が一致団結して取り組むためには、各メンバーが自分の役割や目的を理解することが重要です。心理的安全性が高い環境では、コミュニケーションが円滑におこなわれ、ビジョンの共有が促進されます。
6-4. 人材が定着しやすくなる
心理的安全性の高い職場では、従業員が自分の意見を自由に言える環境が整っているため、職場のストレス軽減が期待できます。従業員がストレスなく働ける環境は、満足度が高まり、離職率が低下します。また、従業員が自分を大切にしてもらえていると感じることで、長期的な雇用関係が築かれるため、企業にとっても人材の定着につながるでしょう。
関連記事:離職率とは?日本の現状や高くなる原因・改善が必要な理由を解説
関連記事:人材定着とは?メリットや定着率を向上させるための施策を解説
7. 職場の心理的安全性を測定する方法


心理的安全性は目に見えない概念ですが、アンケートなどを用いて定量的に把握することが可能です。
エイミー・C・エドモンドソン教授の研究では、チームの心理的安全性を測るために複数の質問項目が用いられています。ここでは、その考え方をもとにした代表的な質問例を紹介します。
【エドモンドソンの研究に基づく代表的な7つの質問】
- チーム内でミスをすると非難されると感じる
- チーム内では難しい問題や課題を指摘し合える
- 自分と異なる意見や個性が受け入れられている
- リスクのある発言や行動をしても安全だと感じる
- 困ったときに他のメンバーに助けを求めやすい
- チーム内で意図的に他者をおとしめる行動がない
- 自分のスキルや強みが尊重されていると感じる
これらの項目について、5段階評価などで回答を集計することで、チームの状態を把握できます。なお、否定的な表現の設問(逆転項目)が含まれる場合は、スコアの解釈に注意が必要です。
また、心理的安全性は本音が反映されてこそ正しく把握できるため、アンケートは匿名で実施することが望ましいとされています。
8. 職場の心理的安全性の作り方とは?3つの取り組み例


職場の心理的安全性を高めることの必要性を理解したうえで、心理的安全性を高める具体的な取り組みを確認していきましょう。ここでは、3つの代表的な人事施策について解説します。
- 1on1ミーティング
- コミュニケーション活性化施策
- 組織目標の共有
関連記事:効果的な心理的安全性の作り方とは?メリット・成功事例を解説
8-1. 1on1ミーティング
職場の心理的安全性を高める取り組みのひとつとして、定期的な1on1ミーティングの実施が挙げられます。
1on1ミーティングとは、上司と部下のあいだで定期的におこなわれる面談のことで、関係性の構築やキャリア支援を目的とした施策です。
定期的に1対1で対話の機会を設けることで、上司と部下の信頼関係が深まり、心理的安全性の向上につながります。1on1ミーティングでは、部下が主な話し手となり、上司は傾聴に徹することが基本とされています。
また、1on1ミーティングは評価の場とは切り分けて実施することが重要です。評価と結びつくと、部下が本音を話しづらくなり、心理的安全性の向上につながりにくくなります。
部下は自身の仕事やキャリアについて上司と継続的に対話することで、悩みや不安も共有しやすくなります。一方で上司は、部下の状態や課題を早期に把握できるため、適切な支援やフィードバックをすることが可能になります。
関連記事:1on1とは?目的や人事面談・フィードバックとの違いをわかりやすく解説
8-2. コミュニケーション活性化施策
コミュニケーション活性化施策の実施も、職場の心理的安全性を高める取り組みのひとつです。だれでも活発に自由な発言ができる場や互いの信頼関係を築く場を整えるためには、次のようなコミュニケーションの活発化施策が欠かせません。
- 社内SNS・社内報・社内チャットツールの導入
- 社内イベントの開催
- 社員食堂・カフェの開設
- ミーティングスペースの設置
また、多様な価値観を認める組織風土をめざす際にも、社内コミュニケーションの活性化は重要です。
8-3. 組織目標の共有
職場の心理的安全性を高める取り組みには、組織目標の共有もあります。組織目標を次のような方法で全従業員と共有すると、組織としての一体感が増して組織力が向上するため、持続的な企業成長につながるでしょう。
| 社内ネットワーク | 全従業員に対する、社内SNS・社内報・社内チャットツールを用いた組織目標の周知徹底 |
| OKR | 目標と主要な結果を設定して目標を管理するフレームワークのひとつで、企業目標に連携させたチームや従業員の目標設定が可能 |
組織目標が社内にいきわたると、組織や従業員一人ひとりの業務遂行における発言・行動・目標設定の指標になります。その結果、目標達成に向けた行動促進ができ、生産性の向上も期待できるでしょう。
関連記事:OKRとは?導入するメリットや導入方法、具体例を紹介
9. 職場の心理的安全性施策の効果を高めるポイント


職場の心理的安全性は、施策を導入するだけで自然に高まるものではありません。日々のマネジメントや組織の在り方によって左右されるため、運用のポイントを押さえることが重要です。
ここでは、心理的安全性を高める施策の効果を引き出すためのポイントを解説します。
9-1. リーダーの心理的柔軟性を向上させる
リーダーがメンバーの心理的安全性を向上させるためには、心理的柔軟性が不可欠です。心理的柔軟性とは、変化に柔軟に対応し、他者の意見を尊重し受け入れる能力です。リーダーがこの柔軟性を持つことで、従業員は自身の意見を自由に発信しやすくなり、意見交換が活発になります。
リーダーがオープンな態度を示し、失敗を受け入れる文化を作ることが、組織全体の心理的安全性を高めます。リーダー自身が率先して、意見に対して肯定的である姿勢を示すことが大切です。
9-2. 仕事の基準を高くしているチームを目指す
高い仕事の基準を持つことは、心理的安全性を確保するためのひとつの方法です。仕事の基準が高いチームは、メンバー間で建設的なフィードバックを活発におこない、成長を促進する環境を作り出します。高い基準を設定することで、従業員は自分の役割に対して責任を持つようになり、業務に対する意欲が高まります。これは、従業員が自分の意見や考えを出しやすくする効果もあります。
9-3. 思い込みや偏見を改善する
職場内での思い込みや偏見が心理的安全性を損ねる原因となることがあります。従業員が自分の意見が受け入れられないと感じたり、偏見に基づいた判断がおこなわれたりすると、心理的安全性が低下します。そのため、思い込みや偏見を改善するための取り組みが重要です。
10. 職場の心理的安全性の向上に取り組もう


心理的安全性とは、従業員が安心して発言や相談ができる状態を指し、組織のコミュニケーションや意思決定に影響を与える要素です。
近年はマネジメント手法の変化や人材の流動化により、その重要性は高まっています。心理的安全性は、施策の導入だけでなく、日々のマネジメントやコミュニケーションの積み重ねによって高めていくことが重要です。
まずは自社の現状を把握し、できるところから心理的安全性の向上に取り組んでいきましょう。



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