経費精算とは?業務フローの流れや工数削減方法を徹底解説
更新日: 2024.10.2
公開日: 2020.1.29
jinjer Blog 編集部
経費精算とは、従業員が業務に関する場面で発生した金銭を企業が支払うことです。経費精算はすべての従業員が関わる業務ですが、特に経理担当者の負担が非常に大きいことが、企業の課題となっているのではないのでしょうか。
本記事では、経費精算に関する基礎知識や業務フロー、工数削減策を解説します。ぜひ最後までお読みください。
経費精算システムは申請者、承認者、経理担当者の業務を大幅に削減することができます。しかし、経費精算の中で起きてしまうそれぞれの課題を経費精算システムで解決できるかどうかは、しっかりと考えておかなければなりません。
「いろいろ課題はあるんだけど、全部経費精算システムで解決できるのかな・・・」とお悩みの方は「システムを利用した課題別解決方法」の資料をぜひご覧ください。
資料では
・経費精算システムが注目されている背景
・経費精算業務でよくある課題
・経費精算システムを用いた課題別の解決方法
など、経費精算の課題解決に関する内容を総まとめで解説しています。
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目次
1. 経費精算とは
経費精算とは、従業員が立替払いをした経費を企業が支払うことです。ここで該当する立て替え払いは、営業担当者が取引先に訪問に行く際に発生した交通費、日常業務で発生する各種購入費、社外の人との交際費などがあげられます。
経費精算は、一般従業員がおこなう必要がある項目と、経理担当者がおこなう業務の二種類に分けられます。それぞれの担当項目は以下の通りになります。
・立て替え払いをおこなった日程
・支払った金額
・目的
といった事柄を、経理担当者に提出する「支払い申請書」に記載します。支払い申請書を提出する際にはかならず領収書やレシートの原本を添付する必要があります。
従業員から提出された「支払い申請書」と添付された領収書やレシートを合わせて確認します。内容に問題がなかった場合は、仕訳をして経費として計上し、支払先への会計処理を実施します。
経費の判断基準は、自社の企業活動に関係する支出であり、それらを裏付けることができる領収書があれば、基本的には経費として認められます。
しかし、これだけを経費の定義としてしまうと、不正受給の温床となる可能性があるため、「何をどこまでおこなった場合に経費として認められるのか」という具体的な指標をあらかじめ規定しておく必要があります。
関連記事:経費精算とは?今さら聞けない経費精算のやり方と注意点を大公開!
1-1. 経費精算の種類
経費精算には、大きく分けて「小口精算」「交通費精算」「旅費精算」の3つのカテゴリーに分類することができます。それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
《小口精算》
小口精算とは、社内の小口現金からそのまま現金を取り出し、経費を従業員に支払うことです。多くの企業では、経費精算は毎月の給与と同じタイミングで支払われますが、一部の企業では小口精算をおこなっていることがあります。
小口精算は社内手続きが一般の経費精算と比較すると手間がかかり、計算ミスが原因でトラブルに発展してしまう恐れがあります。
《交通費精算》
交通費精算とは、自宅から会社までの通勤費用や、営業活動で相手の企業で訪問に行く際に発生した近距離の移動にかかった交通費を指します。
ここでいう近距離とは、一般的に在来線で日帰りが可能な距離の場合が多いです。交通費精算には具体的に以下のものが含まれます。
・通勤定期代
・電車代(近距離に限る)
・バス代(近距離に限る)
・タクシー代
・駐車場代
・ガソリン代
《旅費精算》
旅費精算とは、出張時に発生したホテル代、出張手当、往復交通費などを指します。基本的に遠隔地に出張した際の費用であるため、旅費規定にもとづいて処理されます。
旅費は従業員が立て替え、経費精算をすることで立て替えた分の費用が翌月の給与と同じタイミングで振り込まれることが一般的です。
関連記事:経費精算規定を作成するときに知っておきたいポイントと注意点
1-2. 費用との違い
経費と費用はしばしば混同されますが、それぞれ異なる意味を持ちます。企業活動における費用は、収益を上げるために必要なすべての出費を指します。これは労務費、材料費などが含まれます。一方、経費とはその費用の中でも特定のプロジェクトや部門に関連する支出を指します。
法人における経費は、財務会計上の費用の一部と見なされます。企業は収益から費用を差し引き、利益を算出します。そして、法人税は税務会計上の所得に基づき計算されます。税務会計では、所得は益金から損金を引くことで求められます。ここでいう損金は、法人税を計算する際に差し引かれる費用です。
経費を多く使うと、会社の売上から費用として計上され、利益が減少します。これにより、税務会計上の所得も小さくなり、最終的に納税額が減少します。企業が経費を増やす理由は、納税額を最小限に抑え、手元に残る資金を増やすためです。
しかし、すべての費用が損金として認められるわけではありません。財務会計上の費用であっても、税務会計上では一部取り扱いが異なる場合があります。したがって、企業は財務会計と税務会計の違いを理解し、適切に経費を管理することが重要です。
1-3. 経費精算の対象となる費用
経費精算の対象となる費用は、主に業務上必要なものに限られます。事業活動で発生した費用のうち、すべてを経費として処理できるわけではありません。たとえば、法人税などの税金や、プライベートの旅行や私物の購入に関する出費は、経費として認められません。
経費精算対象となる具体的な費用は、以下のような勘定科目に分類されます。
– **消耗品費**: 文房具やインクカートリッジの購入費
– **旅費交通費**: 出張や外出で発生した移動費や宿泊費
– **通信費**: はがき・切手代や電話料金、インターネット回線使用料
– **交際費**: 取引先とのゴルフや祝儀、弔慰金など
– **飲食接待費**: 取引先の接待にかかる飲食費
– **新聞図書費**: 業務に必要な書籍や雑誌の購入費や定期購読料
– **研修費**: 社内研修やセミナー参加費
– **福利厚生費**: 従業員を対象とした慰労会やイベントの費用
– **広告宣伝費**: 新聞やテレビなど各種媒体への出稿費や販促物の費用
従業員が経費精算で申請する際に特に使用頻度が高い勘定科目としては、「旅費交通費」や「消耗品費」、「交際費」、「新聞図書費」などが挙げられます。
2. 経費精算の基本的な業務フロー・流れ
経費精算が必要になるのは、従業員が立て替え払いをおこなったり、企業の法人カードで支払った費用を会社が支払う場合です。
従業員が経理部へ支払い申請書を提出することで、経理担当者が内容を確認し、処理を実行する流れが一般的です。本項目では、経費精算の流れを解説します。今一度確認し、自社のフローにミスがないか今一度確認しましょう。
ステップ1:領収書を確認しながら支払い申請書を作成する
まず、経費精算が必要になった場合は、従業員が経理部に提出するための「支払い申請書」を作成します。支払い申請書に記載する必要がある項目は、以下の通りです。
支払い申請書と合わせて領収書やレシートの添付を必ずおこないましょう。
関連記事:経費精算の領収書や帳簿の保存期間は?保存方法や注意点を紹介
ステップ2:支払い申請書を所属部署の部長に提出する
支払い申請書を経理日に提出する前に、所属部署の部長に提出し、承認を得る必要があります。部長の承認印をもらうことで、申請書が正式なものになります。
紙での承認依頼では外出先などから対応することができないため、経費精算の遅れの原因となる事もしばしばあります。
ステップ3:部署から提出された支払い申請書を経理部が処理する
部署内で承認された支払い申請書が経理部に提出された際は、経理担当者が申請書をもとに支払いをします。
実際に支払い処理を実行する前に、経理担当者は、提出された申請書と領収書が正しいものですか、支出の内容に問題はないか、などの点を確認します。
内容に不備がなかった場合は、会計処理をおこないます。
関連記事:経費精算の基本フロー・やり方・注意点をわかりやすく解説
関連記事:経費精算の仕訳方法や精算書作成、使用する科目を解説
2-4. 仮払い精算の場合
仮払い精算は、事前に一定の金額を社員に仮払いし、その後支出内容を確認して精算する方法です。これにより、急な出費にも対応しやすくなります。仮払い精算の具体的な流れは以下の通りです。
・経費の概算費用を計算し仮払申請書を作成・申請
・承認を経て概算費用を従業員に事前支給
・従業員は事前支給された費用で支払い領収書を受領
・実際にかかった費用の仮払精算書を作成し領収書とともに提出
・経理部門で確認・会計処理を行い実費の差額を支給・返金
仮払い精算の場合、仮払申請書と仮払精算書を作成・申請する必要があるものの、従業員の金銭的負担を抑えることができます。これにより、従業員の経済的安心感を高め、効率的な経費管理を実現することができます。
3. 経費精算を実施する際の注意点
日々経費精算業務に携わっている中で、経理担当者はさまざな問題点に向き合うことがあるでしょう。それらの問題点をなくし、効率化することでよりスムーズに業務ができるようになります。
ここでは、経費精算を実施する際に注意したいポイントについて解説します。
3-1. 経費の使い道の合理性に注意する
金額の小さな経費(交通費や会議費など)については、予算の範囲内で支出されることが多いので、問題となることは少ないです。
しかし、注意しなくてはならない点が2点あります。
・経費使途が合理的であるかどうかということ
・税務上問題のない支出であるかどうかということ
一つ目は、資金使途が合理的ではない経費は無駄な出費に他なりません。こういった申請を発見するための正確な経費管理が必要です。
二つ目、「経費精算の不適切な事務処理をしてしまったたがために、法人税等が課される」という税務上の不利益を回避するためにも注意すべき点です。
以上を意識することで、無駄な経費を削減することにつながることが期待できます。
3-2. 法人税に影響する科目を理解しておく
経費精算をおこなうにあたり、その事務処理が重要であるということを前述しました。なぜこういったものが必要かというと、経費として計上する費目の種類によっては法人税に影響が及ぼされるからです。以下に注意すべき費目についてまとめました。
- 交際費
→交際費とは、法人が得意先や仕入先、その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のための支出のことです。これらは基本的に、法人税の減少に寄与しません。 - 寄附金
→寄附金についても、税金の計算をする際に、費用として認められない(損金算入されない)部分があるため注意が必用となります。 - 旅行交通費
→旅行の目的によっては、法人税の減少に寄与しません。
関連記事:経費精算時のその費用、どの勘定科目にあてはまる?科目ごとに解説
3-3. 関連書類は原則7年間保存する必要がある
税法に基づき、経費精算に関する書類は原則として7年間保存する義務があります。また、欠損金の繰越がある事業年度については10年間の保存が必要です。これは、万一の税務調査に対応するためであり、書類の正確な保存が求められます。
経費精算の関連書類を保存する方法には、紙媒体による保存が原則ですが、電子帳簿保存法の要件を満たすことで電子データとして保存することも可能です。効率的な経費管理システムを導入することで、電子データの管理が容易になり、書類の紛失リスクや管理負担を軽減できます。
4. 経費管理の必要性
経費管理の目的は企業における費用の最小化と説明しました。しかし、費用の最小化がもたらす企業のメリットは利益の最大化だけではありません。今回は以下の2つのメリットをご紹介します。
経費精算の管理手法を明確にし、自社の経費管理を徹底化しましょう。
メリット1 :円滑なキャッシュフローの維持
企業内のそれぞれの部門が「どのタイミングで」「どれだけ経費を欲しているか」を把握せずに経営をおこなえば、キャッシュフローが維持できない局面になりやすいでしょう。
企業内の経費の需要を逐一把握し記録することで、「いつまでにどれくらいのキャッシュの確保をすればいいか」がわかるため、企業活動の計画を事前に立てられることから、円滑なキャッシュフローの維持につながるといえるでしょう。
また、健全な経営を維持することはお客様からの信頼を醸成することにもつながるでしょう。
メリット2 :不正な経費申請の防止
各部署からの経費申請の使途を正確に把握することで、企業の財産を守ることにつながります。
たとえば、出張時などに交通費や滞在費などの申請が降りることがあります。それが実際に申請された通りの利用目的によってかかった費用かどうかを把握していなければ、従業員個人の私利のために使われる費用を経費として清算してしまう、といったことにつながりかねません。
経費管理の目的は、費用の最小化です。正確な経費管理をおこなうことで、目的達成に大きく貢献することができます。
関連記事:経費精算の不正を防ぐためにやっておくべき3つの対策とは
関連記事:経費精算の不正防止のためにやっておきたい4つの施策
5. 経費精算の課題「めんどくさい」や「大変」を削減するためには
5-1. エクセルやスプレッドシートで業務改善
経費管理をおこなうにあたってはさまざまな手法が考えられます。たとえば、エクセルやスプレッドシート上で予算・実績の管理をおこなう企業もあります。
しかし、エクセルやスプレッドシート管理では手入力となるため、申請ミスが多発しやすいです。
スプレッドシートでの管理は他の従業員と共有できるため、自分の意図しない編集などが発生し、不正のリスクがありますし、なにより煩雑でめんどくさいと感じるでしょう。
関連記事:経費精算がめんどくさい!経費精算の課題と具体的な解決策とは
関連記事:経費精算の業務改善方法とは?やっておきたい3つの施策
5-2. 経費精算システムの活用
経費管理を実施するにはクラウド型管理システムを利用することがおすすめです。クラウド管理であれば、申請ミスが是正されるだけでなく、経理担当者の負担を減らすことができます。
たとえば、「自動仕訳機能」は、申請時に自動で仕訳がされることで、面倒な仕訳や手入力の工数を減らすことができます。また、クラウド管理となりますので紙の申請書類なども不要となり、システムで一括管理することが可能となります。
その他、従業員が申請する際の入力ミスを抑制できたり、申請書類の一覧表示などの機能もあれば、申請書の確認・承認業務の負荷も軽減することができます。
関連記事:経費精算に関してよくある課題とは?解決する方法を徹底解説
関連記事:経費精算で担当者が大変と感じる4つのネックポイントと対処法
5-3. クレジットカードなどでキャッシュレス化する
クレジットカードやICカードなどで経費を精算することができれば、金額の確認作業や従業員の申請ミスが格段に減少します。
経費精算システムでICカードを読み込み、経費として精算したい履歴を選択すれば申請が完了するため、従業員のストレスも軽減することができます。
ただし、クレジットカード使用時は領収書ではなく利用明細が発行されますので、扱い方には注意が必要になります。
関連記事:経費精算でクレジットカード。明細やレシートは使える?
6. 経費精算を合理化して働き方改革を進めよう
いかがでしたか?経費管理の仕組み、経費管理をおこなう際に気をつけたいポイントについてご紹介しました。経費管理のミスは会社に損失を与えてしまう場合があります。
本記事でご紹介したポイントを踏まえて、慎重におこないましょう。
関連記事:経費精算の合理化のためにやっておきたい5つの施策とは
関連記事:経費精算から見えてくる働き方改革!効率化のための5つのポイント
経費精算システムは申請者、承認者、経理担当者の業務を大幅に削減することができます。しかし、経費精算の中で起きてしまうそれぞれの課題を経費精算システムで解決できるかどうかは、しっかりと考えておかなければなりません。
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・経費精算業務でよくある課題
・経費精算システムを用いた課題別の解決方法
など、経費精算の課題解決に関する内容を総まとめで解説しています。
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