所得控除とは?控除の種類や所得控除を受ける方法を解説
更新日: 2025.12.23 公開日: 2022.3.16 jinjer Blog 編集部

所得控除とは、納税者の個々の事情に応じて、所得から一定の金額を差し引くことで課税所得を軽減する仕組みです。給与計算や年末調整では、この所得控除の内容を正しく理解しておくことが、正確な税務処理をおこなううえで欠かせません。
本記事では、所得控除の基本的な考え方をはじめ、人的控除・物的控除を含む全16種類(2025年時点)の控除一覧を解説します。さらに、給与計算への反映方法や、年末調整・確定申告での所得控除の申告ポイントについても紹介します。
関連記事:所得税とは?源泉所得税や定額減税など複雑な処理を詳しく解説
目次
労務担当者の実務の中で、給与計算は出勤簿を基に正確な計算が求められる一方で、Excelからの手入力や別システムからのデータ共有の際、毎月のミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
さらに、昇格や人事異動に伴う給与体系の変更や、給与計算に関連する法令改正があった場合、更新すべき情報も多く、管理方法とメンテナンスにお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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1. 所得控除とは


まずは控除とはなにか、所得控除の基本的な考え方とあわせて確認しておきましょう。
1-1. そもそも控除とは?
控除とは「金銭・数量などを差し引くこと」を意味する言葉です。
税金において、納税額の算出をする際に、所得から費用などを差し引くことによって課税対象額を減少させる仕組みがあります。
控除は税金の公平性や社会的な配慮を反映するために、個人や家族の状況や支出に応じて異なる金額や条件が設定されています。
例えば、世帯の生活費や必要経費を考慮せずに全額を課税すると、一定の人々に負担が過重されてしまいます。世帯の条件に応じた生活費や経済的な負担を考慮しているのです。
控除は所得税だけでなく、住民税、法人税などの税金にも取り入れられています。
1-2. 所得控除は課税対象の所得から一定額を差し引ける制度
所得控除とは、所得税を計算する際に、納税者の個人的な事情に応じて、給与所得や事業所得などの各種所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。
所得税は、所得控除を差し引いた後の課税所得に税率をかけて算出します。したがって、所得控除が適用されることで課税所得が減り、その分納める税額も少なくなります。
所得控除にはさまざまな種類があり、家族構成や保険加入の有無など、個人の状況によって内容や金額が大きく異なります。正確な処理のためにも、担当者は各種控除の種類と内容をしっかり把握しておきましょう。
関連記事:所得税計算の税率は?所得税計算の基礎や控除を解説!
2. 所得控除の種類


所得控除には基礎控除や扶養控除ほか、16種類(※2025年時点)の控除があります。どのような控除があるのか覚えておきましょう。
2-1. 所得控除には人的控除と物的控除がある
所得控除には、大きく分けて人的控除と物的控除の2つがあります。
人的控除は、配偶者や扶養親族(親・子など)の有無など、納税者の家庭状況や個人的事情を考慮して適用される控除です。例えば、ひとり親であるか、結婚しているか、子どもがいるかなど、家族構成によって適用できる控除や金額が変わります。
一方で、物的控除は、納税者が支出した費用に基づく控除のことです。生命保険料控除や社会保険料控除、医療費控除、寄附金控除などが代表的で、社会的な配慮の観点から設けられています。これらも人的控除と同様に、従業員ごとに内容や適用の有無が異なります。
2-2. 受けられる控除一覧
所得税の控除で受けられるものは16種類(※2025年時点)あります。どのようなものがあるか、その内容と併せてみていきましょう。
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雑損控除 |
災害や盗難などによって損害を受けた場合に適用される控除です。 「(差引損失額) – (総所得金額等) × 10%」または「(差引損失額のうち災害関連支出の金額) – 5万円」のいずれかのうち、金額の多いほうが適用されます。 |
|
医療費控除 |
1月1日〜12月31日のあいだに、納税者本人やその配偶者、その他の親族のために一定額以上の医療費を支払った場合に適用されます。 控除額の上限は200万円で、原則として、実際に支払った医療費から保険金などで補填される金額を差し引き、さらに10万円を差し引いた額が控除されます。 なお、特例として「セルフメディケーション税制」が設けられており、通常の医療費控除といずれか一方を選んで適用できます。 |
|
社会保険料控除 |
国民健康保険料や厚生年金保険料、国民年金保険料などを支払った場合に適用されます。支払った金額が全額控除対象です。 納税者本人だけでなく、生計を一にする配偶者やその他の親族の社会保険料も含まれます。 |
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小規模企業共済等掛金控除 |
小規模企業共済やiDeCo(イデコ)などの掛金を支払った場合に適用される控除です。支払った金額が全額控除対象です。 |
|
生命保険料控除 |
生命保険料・介護医療保険・個人年金保険の3区分のうち、支払った保険料がある場合に適用されます。控除額の上限は12万円です。それぞれの区分の控除上限や新旧区分に注意が必要です。 |
|
寄附金控除 |
ふるさと納税などの地方公共団体や特定公益増進法人、社会福祉法人などに寄附した場合に適用される控除です。基本的には支出した特定寄附金額の合計額から2,000円を控除した金額が控除額となります。 |
|
地震保険料控除 |
地震保険料を支払った場合、最高5万円の所得控除が適用されます。火災保険料は控除対象外です。 |
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障害者控除 |
納税者や生計を同じくする一定の配偶者、扶養親族が障害者に該当する場合、27万円の控除が受けられます。また、特別障害者にあてはまれば40万円、さらに同居特別障害者に該当すれば75万円の控除が適用されます。 |
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ひとり親控除 |
納税者本人が税法上の「ひとり親」に該当する場合に35万円のひとり親控除が受けられます。条件を満たせば性別に関係なく適用できます。事実婚であることが認められた場合は適用できません。 |
|
寡婦控除 |
納税者本人が税法上の「寡婦」に該当する場合に27万円の寡婦控除が受けられます。ひとり親控除と寡婦控除は併用できず、寡婦控除は女性のみ適用できる制度です。 |
|
勤労学生控除 |
納税者本人が税法上の「勤労学生」に該当する場合に27万円の勤労学生控除が受けられます。特定の学校に通っていることが条件のひとつです。 |
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配偶者控除 |
納税者に控除対象配偶者がいる場合、納税者の所得が一定以下であれば、最大38万円(控除対象配偶者が70歳以上の場合は最大48万円)の配偶者控除が受けられます。 |
|
配偶者特別控除 |
配偶者控除を受けられない場合でも、配偶者の所得金額が一定以下であれば、最大38万円の配偶者特別控除が受けられます。 |
|
扶養控除 |
納税者に控除対象扶養親族(一定の子や親など)がいる場合に適用されます。 一般の控除対象扶養親族がいる場合の控除額は38万円です。特定扶養親族がいる場合は63万円、老人扶養親族がいる場合は48万円(同居老親等に該当すれば58万円)の扶養控除が受けられます。 |
|
特定親族特別控除(2025年分から適用可能) |
納税者に、生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等(扶養控除の対象となる控除対象扶養親族に該当しない)がいて、その者の所得が一定以下の場合に最大63万円の特定親族特別控除が受けられます。 |
|
基礎控除 |
基本的にすべての納税者が適用できる所得控除です。ただし、所得が一定を超える場合には控除額が下がったり、適用できなかったりする場合があります。控除額の最大は95万円です(2025年分以降)。 |
2-3. 令和7年度税制改正で2025年分からの所得控除制度が大きく変更
令和7年度の税制改正により、次のように「基礎控除」の金額が引き上げられました。なお、令和7年分・令和8年分と令和9年分以降では控除額が一部異なるため、適用年度に注意が必要です。
|
納税者の合計所得金額 |
令和7年分・令和8年分 |
令和9年分以後 |
|
132万円以下 |
95万円 |
95万円 |
|
132万円超336万円以下 |
88万円 |
58万円 |
|
336万円超489万円以下 |
68万円 |
|
|
489万円超655万円以下 |
63万円 |
|
|
655万円超2,350万円以下 |
58万円 |
|
|
2,350万円超2,400万円以下 |
48万円 |
48万円 |
|
2,400万円超2,450万円以下 |
32万円 |
32万円 |
|
2,450万円超2,500万円以下 |
16万円 |
16万円 |
|
2,500万円超 |
0円 |
0円 |
また、2025年分以降の所得税の計算において適用できる「特定親族特別控除」が創設されました。特定親族特別控除とは、納税者に特定親族がいる場合に、次のように最大63万円の所得控除が受けられる制度です。
|
特定親族の合計所得金額 |
所得控除額 |
|
58万円超85万円以下 |
63万円 |
|
85万円超90万円以下 |
61万円 |
|
90万円超95万円以下 |
51万円 |
|
95万円超100万円以下 |
41万円 |
|
100万円超105万円以下 |
31万円 |
|
105万円超110万円以下 |
21万円 |
|
110万円超115万円以下 |
11万円 |
|
115万円超120万円以下 |
6万円 |
|
120万円超123万円以下 |
3万円 |
さらに、扶養親族等に関する所得要件も見直され、これまでよりも扶養控除や配偶者控除、勤労学生控除、ひとり親控除などが適用されやすくなりました。
なお、これらの所得控除を判定する基準となる「合計所得金額」とは、簡単に言えば、事業所得や不動産所得、給与所得、一時所得、雑所得など、すべての所得を一定の基準で合計した金額のことです。正確な定義や計算方法は、国税庁ホームページなどの最新情報を確認しましょう。
参考:専門用語集|国税庁
関連記事:2025年(令和7年)の年末調整の変更点!手続きのポイントもわかりやすく解説
3. 所得控除を考慮した給与計算方法


ここでは、所得税の計算手順に沿って、所得控除の計算方法をわかりやすく解説します。対象は給与収入のみを得ている従業員をモデルケースとしており、年末調整の際にも役立つ内容となっています。
関連記事:【2025年分】年末調整の計算方法を5ステップで解説!計算例も紹介
3-1. 年間給与額、社会保険料、源泉徴収税を算出する
まずは年間の給与額と、毎月の給与から差し引いている社会保険料、源泉徴収税を算出しましょう。その際、従業員に支給した一定の通勤手当など、所得税法上で非課税とされる項目は含めずに計算することが大切です。
関連記事:年末調整で通勤手当や交通費は給与に含まれる?非課税限度額や処理方法を解説
3-2. 給与所得控除額を差し引いて給与所得額を算出する
続いて、年間の給与総額から「給与所得控除額」を差し引いて、「給与所得」の金額を算出します。給与所得控除額は、収入金額に応じて次のように定められています。
|
給与等の収入金額 |
給与所得控除額 |
|
190万円以下 |
65万円 |
|
190万円超360万円以下 |
収入金額 × 30% + 8万円 |
|
360万円超660万円以下 |
収入金額 × 20% + 44万円 |
|
660万円超850万円以下 |
収入金額 × 10% + 110万円 |
|
850万円超 |
一律195万円(上限) |
令和7年度税制改正により、給与所得控除の最低保障額が従来の55万円から65万円へ引き上げられました。そのため、2025年分以降の給与所得を計算する際には、新しい控除額を用いる必要があります。
例えば、年間の給与総額が800万円の場合、給与所得控除額は190万円となり、給与所得額は610万円と計算できます。所得控除の中には合計所得金額を基準に判定をおこなうもの(基礎控除や配偶者控除など)もあるので、正確に給与所得を計算することが重要です。
なお、給与等の収入金額が660万円未満の場合、上記の表を用いず、所得税法別表第5「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」により給与所得の金額を算出する点に留意が必要です。
関連記事:給与所得控除とは?間違いやすい他の控除との違いや計算方法をわかりやすく解説
3-3. 給与所得−所得控除で課税所得を算出する
次に、給与所得から各種の所得控除を差し引いて、課税所得を算出します。所得金額調整控除の適用がある場合は、あらかじめその控除額を給与所得から控除したうえで計算をおこないます。なお、所得税は「収入」ではなく、「所得(所得控除を差し引いた後の金額)」を基準として算出される点がポイントです。
関連記事:所得税率は所得金額で変わる!税率改定の影響や注意すべきポイント
3-4. 課税所得×所得税率で所得税額を算出する
算出した課税所得に所得税率を乗算して、最終的な所得税額を計算します。所得税は、所得が多いほど税率が上がる「超過累進課税制度」を採用しており、税率は5%から45%までの7段階に区分されています。
計算の際は、次に示す「所得税の速算表」を活用すると、税額を効率的に求めることが可能です。
|
課税所得金額 |
税率 |
控除額 |
|
1,000円から1,949,000円まで |
5% |
0円 |
|
1,950,000円から3,299,000円まで |
10% |
97,500円 |
|
3,300,000円から6,949,000円まで |
20% |
427,500円 |
|
6,950,000円から8,999,000円まで |
23% |
636,000円 |
|
9,000,000円から17,999,000円まで |
33% |
1,536,000円 |
|
18,000,000円から39,999,000円まで |
40% |
2,796,000円 |
|
40,000,000円以上 |
45% |
4,796,000円 |
例えば、課税所得金額が600万円だった場合、所得税額の計算方法は下記のようになります。
6,000,000円(課税所得) × 20%(税率) − 427,500円(控除額)= 772,500円(所得税額)
この算出された所得税額から、該当する税額控除(住宅ローン控除など)を差し引いて基準所得税額を求めます。
この基準所得税額に2.1%を乗じて復興特別所得税を計算し、両者を合算することで実際の納付所得税額(復興特別所得税を含む)を求めることが可能です。
年末調整では、この年間の所得税額と、1年間に源泉徴収された所得税額を比較し、過不足分の精算をおこないます。
本章で解説したように、控除の有無で所得税額は異なるため、自社の従業員が控除対象か忘れずに確認するようにしましょう。
当サイトでは、本記事で解説した税金の計算方法や、税金の計算時に気を付けるべきポイントなどを解説した資料を無料で配布しております。
所得税だけでなく住民税も併せて解説しているため、税金の計算方法に関して不安な点があるご担当者様は、こちらから「所得・住民税 給与計算マニュアル」をダウンロードしてご確認ください。
4. 所得控除の申告方法


所得控除を受けるには、基本的に「年末調整」と「確定申告」のいずれかで申告をおこなう必要があります。会社員の場合、多くの控除は年末調整で自動的に適用されますが、一部の控除は確定申告をしなければ受けられません。この違いを理解しておくことで、従業員への説明や案内もスムーズにおこなえるようになります。
4-1. 年末調整で申告する
年末調整は、企業が従業員の給与から源泉徴収した所得税を精算するためにおこなう手続きです。従業員が提出する年末調整関連書類(扶養控除等申告書など)の情報をもとに、企業が税額を再計算し、過不足があれば調整します。
この結果は管轄の税務署に提出され、所得控除が適用されます。ただし、年末調整で受けられる控除には限りがあり、すべての所得控除を適用できるわけではありません。2025年分(令和7年分)以降、年末調整で適用できる所得控除は次の通りです。
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 特定親族特別控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 社会保険料控除
- 障害者控除
- ひとり親控除
- 寡婦控除
- 勤労学生控除
関連記事:年末調整とは?【令和7年最新】確定申告との違いや必要書類、計算の流れをわかりやすく解説
4-2. 確定申告で申告する
年末調整の対象外の人は、年末調整だけでは税額の精算ができないので、自身で収入金額や所得控除の内容を正確に申告し、追加納付や源泉徴収税額の還付を受けるために、確定申告をおこなう必要があります。
また、年末調整を受けた人でも次の所得控除を適用するには、原則として確定申告を個別におこなわなければなりません。
- 医療費控除
- 雑損控除
- 寄附金控除
具体的には、医療費が多額にかかった場合、災害や犯罪被害に遭った場合、また寄附をおこなった場合が該当します。確定申告の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。
なお、還付を受けられる場合は、翌年1月1日から5年間の間に還付申告をおこなうことが可能です。年末調整の段階でこれらの情報をあらかじめ案内しておくと、従業員が混乱せず手続きを進めやすくなります。
4-3. 【例外】ふるさと納税(ワンストップ特例制度)
ふるさと納税は、自分の故郷や応援したい地域の自治体に寄附をすることでその地域の活性化に貢献できる制度です。寄附をおこなうと、原則として確定申告を通じて所得控除(寄附金控除)が受けられます。
ただし、確定申告が不要な給与所得者などの場合は「ワンストップ特例制度」を利用すれば、確定申告をせずに寄附金控除を受けることが可能です。この制度を利用した場合、控除は所得税ではなく、翌年度の住民税からまとめて差し引かれます。
なお、ワンストップ特例制度を利用するには条件があります。主な条件として、1年間に寄附できる自治体は5団体までという上限があり、6団体以上に寄附した場合はワンストップ特例の対象外となります。その場合は、確定申告をすることで寄附金控除を適用しなければならないので注意が必要です。
関連記事:所得税と住民税の違いは?高いのは?計算方法の違いについても解説
5. 所得控除の申告の際に押さえておきたいポイント【人事担当者向け】


所得控除の申告は、従業員の税額計算に直接関わる重要な工程です。ここでは、人事担当者が年末調整において所得控除を取り扱う際に、特に注意すべきポイントを整理します。
5-1. 住宅ローン控除は所得控除ではなく税額控除
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、所得控除ではなく税額控除に分類されます。所得控除が課税所得を減らすことで間接的に税額を軽減するのに対し、税額控除は算出された所得税額から直接控除されるので、控除の効果が明確で還付額も具体的に確定します。
住宅ローン控除を年末調整で適用できるのは2年目以降です。初年度は、住宅の取得や入居の状況を税務署に申告する必要があるため、従業員本人が確定申告をしなければなりません。2年目以降は、税務署から送付される「住宅借入金等特別控除申告書」と、金融機関が発行する「年末残高証明書」を提出してもらうことで、企業が年末調整時に控除額を計算・適用します。
5-2. 年末調整関係書類の書き方や提出期限を理解しておく
年末調整で所得控除を適用する際は、従業員に次の書類を作成・提出してもらう必要があります。
- 扶養控除等(異動)申告書
- 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
- 保険料控除申告書
これらの書類に記入漏れや誤った記載があると、間違った所得控除が適用され、納税額の計算ミスにつながるおそれがあります。したがって、あらかじめ記入例を配布するなど、従業員が正しく記載できるようサポートすることが重要です。
また、年末調整関係書類には提出期限が定められています。原則として、その年の最後の給与を支払う日の前日までに提出を受ける必要があります。ただし、「扶養控除等申告書」については、その年の最初の給与を支払う日の前日が提出期限です。年末調整をスムーズにおこなうため、事前に提出スケジュールを明確にし、余裕をもって回収・確認を進めましょう。
関連記事:年末調整はいつが期限?具体的なスケジュールや提出書類を解説
5-3. 源泉徴収票に適用する所得控除を具体的に記載する
年末調整の手続きが完了した後は、給与を支払ったすべての従業員に対して源泉徴収票を作成し、確実に交付する必要があります。源泉徴収票には、その年に支払った給与の総額や源泉徴収税額のほか、基礎控除や扶養控除、社会保険料控除など適用した各種控除の内容と金額を正しく記載しなければなりません。
この源泉徴収票は、従業員が確定申告をおこなう際などに使用される重要な書類です。記載内容に誤りがあると、申告内容に影響し、本来より多くの税金を納めてしまったり、還付を受けられなくなったりする可能性があります。
このようなトラブルを防ぐためにも、国税庁が公表している最新版の源泉徴収票の書き方マニュアルを参照し、記載ルールや改正点を正確に把握しておくことが大切です。さらに、給与計算ソフトや年末調整支援システムを活用し、源泉徴収票の作成・確認作業を自動化すれば、人的ミスの防止や業務効率化にもつながります。
参考:令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引|国税庁
関連記事:源泉徴収票の発行の仕方とは?いつ発行するか、どこでもらえるか解説
6. 所得税控除を理解して従業員が受けられる控除を正確に処理しよう


所得控除とは、所得税を計算する際に、各種所得から一定額を差し引くことができる制度です。会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者は、年末調整の際に多くの所得控除を適用できます。ただし、医療費控除・寄附金控除・雑損控除といった一部の控除は年末調整では対応できず、従業員が確定申告をおこなわなければなりません。
給与計算や年末調整の担当者は、所得控除の内容と仕組みを正しく理解し、所得税の計算を正確におこなうことが求められます。また、法改正や制度変更に応じて最新情報を従業員へ周知し、申告ミスを防ぐ体制を整えることも重要です。



労務担当者の実務の中で、給与計算は出勤簿を基に正確な計算が求められる一方で、Excelからの手入力や別システムからのデータ共有の際、毎月のミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
さらに、昇格や人事異動に伴う給与体系の変更や、給与計算に関連する法令改正があった場合、更新すべき情報も多く、管理方法とメンテナンスにお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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