労働時間管理を正確におこなうためのガイドラインを徹底解説
更新日: 2026.2.27 公開日: 2020.3.10 jinjer Blog 編集部

従業員の労働時間を適切に管理・把握することの目的は、「給与計算を正確におこなうため」「長時間労働を防ぎ、従業員の健康を守るため」の2つが挙げられます。
しかし、働き方改革が進む前は労働時間の管理が適切におこなわれておらず、残業代の未払いや過労死が大きな社会問題となっていました。
このため、2017年に適正な労働時間管理をおこなうために使用者は具体的にどのような措置をとらなければならないのか、ガイドラインが設けられました。企業は原則このガイドラインに沿って労働時間管理をしなくてはなりません。
本記事では、労働時間管理を適切におこなうための方法やポイント、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」について、わかりやすく解説していきます。
目次
多様な働き方の導入や度重なる法改正により、労働時間管理はますます複雑になっています。
「この対応で本当に正しいのか?」という日々の不安は、コンプライアンス違反という「知らなかった」では済まされないリスクに直結します。
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◆この資料でわかること
- 曖昧になりがちな「勤務時間」と「労働時間」の明確な違い
- 年間労働時間の算出など、給与計算にも関わる重要知識
- トラブルを未然に防ぐための休憩時間の付与ルール
- 罰則リスクを回避するための正しい勤怠管理のポイント
労務リスクへの備えは、企業の信頼を守る第一歩です。自社の勤怠管理体制の見直しに役立ちますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 企業には労働時間管理の義務がある

企業には従業員の安全や健康を守る義務が課されています。労働時間管理もその義務の1つで、怠った場合は罰則もあります。義務化の内容や労働時間の定義をまずは確認していきましょう。
1-1. 労働時間の管理は義務化されている
2019年に労働安全衛生法が改正され、労働時間の状況の把握が義務化されました。労働時間管理の義務化とは、「各企業が従業員の労働時間を客観的な方法で管理すること」という義務付けです。
管理に必要となる「客観的な方法」について、厚生労働省では勤怠管理システムやPCログ、タイムカードなどを推奨しています。紙やエクセルでの管理は、改ざんや不正が起こる可能性があるため、正確な労働時間を管理できる客観的な方法が必要となるのです。
労働時間管理の義務化は、企業の規模や従業員の数に関係なく、従業員を雇っているすべての雇用主が対象となります。義務を怠った場合は法律違反となるため、たとえ一人でも従業員を雇っている場合は必ず労働時間を管理しましょう。
なお、同時に管理監督者やみなし労働時間制が適用される労働者の労働時間管理も義務化されています。また、労働安全衛生法による基準が適用されない労働者に対しても、過重な長時間労働を発生させず、適正な労働時間管理をする責務が企業にはあります。
参照:客観的な記録による労働時間の把握が法的義務になりました|厚生労働省
1-2. 労働時間の定義
労働時間を正しく管理するために、今一度、労働時間の定義について確認しておきましょう。
厚生労働省では労働時間を「使用者の指揮命令下にある時間」と定義しています。使用者の明示だけでなく、黙示の指示によって労働者が業務に従事する時間も労働時間です。たとえば、参加が義務づけられていた研修の受講、業務上必要とされる制服の着替え時間も労働時間に含まれます。一方で、業務には関係ない私的に参加する研修、着用の必要がない制服の着替え時間などは、労働時間に含まれません。
実際に業務に従事していない時間でも労働時間に含まれるケースがあるため、労働時間となる範囲をしっかり見極められるようになることが重要です。
参照:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
2. 正確な労働時間管理はなぜ必要?

労働安全衛生法の改正前までは、労働時間に関する明確な規定がなかったため、長時間労働による健康悪化やサービス残業などさまざまな課題がありました。労働時間管理の義務化は、これらの課題を解決するために定められているといっても良いでしょう。
しかし、課題解決以外にも正確な労働時間管理は重要です。
ここでは、なぜ労働時間を正確に管理しなければいけないのか、その必要性と重要性を解説します。
2-1. 時間外労働の割増率を正確に適用するため
「1日8時間・週40時間」の法定労働時間を超えて労働させた場合、時間外労働に対して25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
また、月の時間外労働が60時間を超えた場合、超過した時間に対して50%以上の割増率を適用しなくてはなりません。
以前まで、この割増率のルールは大企業に対してのみ適用されていましたが、2023年4月1日からは中小企業に対してもルールの適用が拡大されました。
時間外労働を分単位で計算し、割増賃金を正しく計算するためにも、正確な労働時間管理が必要です。
2-2. 残業時間の上限を超えないようにするため
大企業は2019年4月1日から、中小企業は2020年4月1日から、時間外労働(残業)の上限を規制する「時間外労働の上限規制」という制度が導入されました。建設業・ドライバー・医師などの業種に対しては猶予期間が設けられていましたが、2024年4月には終了し、一部の特例を除き上限規制が適用されています。
今までは、残業時間の上限は明確になっていませんでしたが、労働基準法の改正によって明確化され、さらに罰則も設けられています。
残業時間の上限を超えないようにするために、日頃から労働時間を適切に管理し、時間外労働の時間をこまめにチェックすることが必要です。
ちなみに、36協定を締結している企業は月45時間、年360時間までが上限となっており、それを超える場合は特別条項を締結する必要があります。特別条項を締結せずに上限を超える時間外労働を命じた場合、30万円以下の罰金または6ヶ月以下の拘禁刑が科せられる可能性があるため、注意しましょう。
2-3. 厚生労働省によるガイドラインに準じるため
「労働時間管理の義務化」では「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が制定されています。
労働時間管理の義務化に違反した際は是正勧告の対象とされるため、ガイドラインを遵守するための正確な労働時間管理が求められます。
2-4.従業員の健康管理のため
2019年に労働安全衛生法が改正されたことで、1ヵ月の時間外労働が80時間を超えた従業員に対し、医師による面接指導の実施と、労働時間に関する情報の通知が必要となりました。また、80時間を超えた従業員から医師の面接指導を希望する申し出があった際は、希望どおり面接指導を実施しなくてはいけません。
厚生労働省による「過労死ライン」では、「週40時間を超える時間外労働、休日労働がおおむね月45時間を超えて長くなる場合」業務と発症との関連性が徐々に強まるとしています。また、「時間外労働は1ヵ月あたり100時間以上、もしくは2~6ヵ月の平均が80時間以上」となった場合、過労死との関連性が強まるとされています。
労働安全衛生法に従うのはもちろん、大切な従業員の健康を守るためにも、労働時間管理を徹底し、必要に応じて従業員に指導をおこなう必要があるでしょう。
参照:「働き方」が変わります!!2019年4月1日から働き方改革関連法が順次施行されます!|厚生労働省
参照:労働時間の評価目安|脳・心臓疾患の労災認定|厚生労働省
2-5.優秀な人材の確保するため
労働時間が適切に管理されていないと、長時間労働を強いられたり、残業時間が正しくカウントされなかったりすることがあるため、従業員の不満につながります。このような職場環境では、人材の流出につながる可能性があり、定着率の低さによって企業の評価が下がれば、新たな人材の採用が難しくなることも考えられるでしょう。
優秀な人材に自社を選んでもらうには、待遇だけでなく働きやすい職場環境も重要です。正確な労働時間管理によって魅力的な職場環境を整えることは、重要な経営戦略ともなる優秀な人材確保につながります。
3. 労働時間管理が十分にされていない場合のリスク

労働時間管理が適切にできていない場合は、法律違反や労使間のトラブル、人材不足など、企業全体に関わる大きなリスクを抱える可能性があります。どのようなリスクがあるのか十分に理解し、労働時間管理の必要性を今一度認識しましょう。
3-1. 法律違反をすることになる
労働時間管理は、労働基準法・労働安全衛生法によって義務化されています。推奨や努力義務ではなく、厳格な罰則も設けられているものです。
そのため、適切に労働時間管理をおこなっていなかった場合は法律違反とになり、罰金や拘禁刑が科される可能性もあります。違反して即座に罰則が科されるとは限りませんが、是正勧告や指導もあり得るため、そうした事実が露見すれば企業としての信頼は損なわれてしまうでしょう。
3-2. 残業代の未払いが発生しやすい
労働時間管理が十分でないと、従業員の残業時間を正確に把握できなくなります。実際の残業時間よりも少なく計算してしまった場合は、残業代の未払い問題に発展する可能性があります。
残業代の未払いは労働基準法違反となり、未払い分を支払うだけでなく、是正勧告や刑事罰を受けることや、遅延損害金が発生するおそれもあります。また、ブラック企業という印象も持たれやすく、企業のブランドイメージに深刻な影響を与えることもあるでしょう。
3-3. 人材の確保が難しくなる可能性がある
法律違反や残業代の未払いが発生し、それが露見した場合はSNSなどにより一気に情報が拡散されることがあります。また、就職・転職関連サイトの口コミなどにもそうした情報が掲載されることがあり、新たな採用が難しくなることが考えられます。
特に優秀な人材はより良い条件の企業を探すため、会社が求める人材が集まりにくくなる可能性が高いです。
3-4. 企業の信頼を失うおそれがある
企業としても義務を果たしていない会社は、求職者だけでなく取引先や顧客からの信頼も失っていきます。問題が繰り返されたり、長引いたりすれば、取引の停止や顧客離れといった深刻な事態にもつながるでしょう。
一度悪い評判が立ってしまうと、それを払拭することは非常に難しいです。健全な企業であり続けるためにも、法律やトラブルに発展するリスクは回避する必要があります。
4. 労働時間管理で必要な7つの措置

ここからは、2017年に定められた労働時間を適切に管理するためのガイドラインをわかりやすく解説いたします。
なお、このガイドラインの対象企業は労働時間にかかる労働基準法の規定が適用される全事業場になります。ただし、労働基準法第41条に定める者とみなし労働時間が適用される労働者は例外とされていますが、健康を守るための措置や適切な労働時間管理は必要になるため、注意しましょう。
参照:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
4-1. 始業と終業時間の確認・記録
使用者は、従業員の労働時間を適切に把握するため、始業と終業の時間を労働日ごとに確認して記録しなくてはなりません。
ただ単に労働時間のみを把握していると、残業や深夜労働、休日出勤のあった時間を把握できず、割増賃金の支払いをおこなうことができなくなってしまいます。
したがって、労働日ごとに始業と終業の時間を確認して記録する必要があります。
関連記事:タイムカードの基本的な知識と勤怠管理システムとの比較
4-2. 自己申告での勤怠管理は原則不可
従業員の始業と終業時刻を確認し記録する方法として、ガイドラインでは以下の2つ定めています。
使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
使用者や勤怠管理の担当者が、従業員の始業・終業時刻を直接確認して記録する方法です。
タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。
タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間などを使って出退勤の時間を管理する場合は、必要に応じて残業申請書などと突き合わせて実際の労働時間に誤りがないかを確認する方法です。
上記の決まりからもわかるように、原則として自己申告による労働時間管理は認められていません。したがって、従業員にExcelや出勤簿へ出退勤の時刻を記入させている企業では、異なる方法で労働時間を管理することが求められています。
4-3. 自己申告制で始業・終業の確認・記録をする場合
どうしても自己申告で労働時間を把握せざるを得ない場合は、以下の措置を講じる必要があります。
自己申告制の対象となる従業員に対し十分な説明をおこなう
従業員へは、労働時間の定義や自己申告制の運用方法やルール、自己申告によって従業員にとって不利益な取り扱いがおこなわれないことなどの説明が必要です。
勤怠管理担当者へガイドラインの内容を説明する
勤怠管理をおこなう担当者は、ガイドラインの内容を理解する必要があります。従業員へ説明した内容に加え、担当者に対してもガイドラインの内容を説明し、理解してもらう機会を設けましょう。
自己申告時間と実際の労働時間に乖離がないかを調査する
自己申告制によって労働時間管理をおこなう場合は、実態と自己申告とに乖離が起きていないかを定期的に調査し、確認することが望ましいとされています。
特に、執務室への入退出履歴など自己申告以外に従業員の労働時間が分かる記録やデータを有している場合、その記録と突き合わせ著しい乖離が起きているときは、労働時間の実態を調査して正しい労働時間に補正することが求められます。
自己申告した労働時間超過の理由が適切か確認する
労働時間の定義は「労働者が使用者の指揮命令下にある時間」とされています。この定義に照らし合わせると、従業員側は「労働時間でない」と把握していても、労働時間にあてはまる場合があります。
そのため、自己申告と実際の労働時間に乖離が起きた理由を従業員に申告させる場合、報告された時間が労働時間でないとされていても、使用者の指揮命令下にあったと判断できる場合は労働時間として扱わなければなりません。
労働時間の自己申告制は、従業員が正しい労働時間を申告していることを前提に成り立っています。そのため、上限を超える時間外労働は認めないなど、正しい労働時間の申告をためらわせるような制度を設けることは禁止されています。
また、実際は残業時間の上限を超過しているにもかかわらず、記録上は上限を超えていないとみせるために、わざと短い労働時間を申告していることが習慣的におこなわれていないかを確認する必要があります。
4-4. 賃金台帳には項目別に労働時間を記入する
使用者は各事業場ごとに賃金台帳を作成することが労働基準法で定められていますが、この台帳には総労働時間や支払った賃金以外にも記録する項目があります。
賃金台帳には、従業員の労働日数や労働時間数、休日労働時間数や時間外労働時間数、深夜労働時間数など、給与計算をするにあたって必要な事項や、その賃金を全て分けて記入しなくてはなりません。
もしも、項目別に内容が記入されていない場合や虚偽の労働時間数を記入した場合は、労働基準法違反にあたり処罰されるため、正確に記入しましょう。
4-5. 労働時間の記録に関する書類は5年間(当面の間は3年間)保存する
「タイムカードは5年(当面の間は3年間)保管しなければならない」と把握している方は多いと思いますが、実は保管義務のある書類はタイムカードだけではありません。
賃金台帳や残業申請書、残業命令書やその報告書など、従業員の労働時間の記録に関する書類は全て5年間(当面の間は3年間)保管する必要があります。
なお、保管期間の起算日はその書類に最後の記載がされた日となります。「書類は全て期が変わった日に破棄する」などの運用方法で管理していると、労働基準法違反になってしまう恐れがあるため注意しましょう。
関連記事:タイムカードの保管期間は5年!タイムカードの保管について徹底解説!
4-6. 勤怠管理責任者は労働時間とその管理を適正化する
勤怠管理をおこなう部署の責任者やその役員の職務は、労働時間を把握し給与を支払うことだけではありません。適切な方法で労働時間が管理されているのか、過度な長時間労働がおこなわれていないかなどを把握し、問題があればどのような対策をおこなうべきかを検討することも大切な職務になります。
4-7. 労働時間等設定改善委員会を活用する
自己申告制によって労働時間の管理がおこなわれている場合は、必要に応じて「労働時間等設定改善委員会」を活用しましょう。この委員会を通して労働時間の管理方法についての問題点や解決策などを、労使間で協議します。
関連記事:勤怠管理システムを導入する目的とは?メリット・デメリットも確認
5. 労働時間管理を適切におこなうポイント

ここでは、労働時間を適切におこなうためにチェックしておきたいポイントをご紹介します。基本的なことも含まれていますが、しっかりと確認しておきましょう。
5-1. 勤怠管理システムやアプリを導入する
労働時間管理を成功させる方法として、大きな効果を持つのが勤怠管理システムやアプリの導入です。
パソコンだけでなくスマホやタブレットからアクセスできる勤怠管理システムがあれば、日々の出勤・退勤時間の打刻や経費の申請などもすませることができます。
勤怠管理に欠かせない従業員の名簿管理や出退勤の打刻データも自動的に保存されるため、人事担当者の労力を軽減できるのもポイントです。また、こういったシステムやアプリは社外から打刻できるものも多いため、テレワークにも対応しやすくなります。
5-2. 労働時間は1分単位で管理する
労働時間は1分単位で記録をおこない、給与計算するのが原則です。労働時間の端数切り捨ては、労働基準法の「賃金全額払いの原則」に違反するおそれがあります。たとえば、15分単位で労働時間を管理している場合、8時間14分を8時間と処理するのは違法です。
ただし、労働時間の端数処理に関しては、一つ例外があります。1か月の時間外労働については、合計時間に1時間未満の端数がある場合、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を切り上げることが認められています。
この例外を除いては、1分単位での労働時間の管理が原則であるため、注意しましょう。
5-3. 残業時間は法律の上限を遵守する
働き方改革関連法の施行にともなって、これまで実質無制限だった残業時間にも罰則付きの上限ができました。
法律によって定められた残業時間の上限を超えて従業員を働かせてしまった場合、労働基準法違反になります。
「タイムカードを集計してみたら残業時間の上限を超過していた」ということが起こらぬよう、企業の勤怠管理担当者は今まで以上に従業員の労働時間を厳格に把握し管理する必要があります。
上限規制の時間を超過してしまった場合、罰則自体は半年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金ですが、「労働基準法を守れない会社」という事実は、企業にとって大きな不利益となってしまいます。
悪評が広まった結果、有望な新入社員やスキルや経験を持った中途社員の応募が減り採用ができなくなってしまうかもしれません。そうなると、人員の増加や生産性の向上など、残業を減らすための取り組み自体もできなくなる可能性があります。
残業時間を減らすためのルールづくりや人材雇用にも時間がかかるため、人事担当者はできるだけ早く残業時間の管理に着手しましょう。
5-4. 管理職も労働時間の把握が必要
2019年の労働安全衛生法の改正にともない、全ての労働者に対して労働時間の把握が義務化されました。この全ての労働者には、管理職も含まれます。
改正以前は、管理職の労働時間の把握は望ましいとされており、各企業に把握の実施判断が委ねられていましたが、今回は管理職も義務化の対象となっています。
そのため、従業員だけでなく管理職も労働時間の管理を適切におこなわなくてはいけません。
5-5. 適切な雇用と人員配置
過労死などの問題を減らすため、過度の長時間労働は法律で禁止されました。
しかし、現場の人手が足りない場合、一人あたりの労働時間を伸ばしてもらうことが多く、長時間労働になってしまう可能性があります。
そこで必要になってくるのが、新しい人材の雇用・適切な人員配置・そして労働生産性の向上です。従業員数を増やせば、一人あたりの労働時間や残業時間を減らすことができます。
また、忙しい部署とそうでない部署、人材の能力を見たうえでの適切な人員配置ができれば、人数を変えなくても仕事の労力を減らすことができるでしょう。
ただし、人材雇用も人員配置も、人事の独断で対処できる問題ではありません。
積極的に従業員や各部署の上長と面談をして社内の人間関係や得意・不得意を把握したり、経営者側に雇用を呼びかけるためのデータを集める必要も出てきます。
チームやプロジェクト内の相性によっても発揮できる実力に差が出てくるため、法改正後はこれまで以上に人事と各部署の密な連携が重要です。
また、新しい勤怠管理システムを導入し、社内ルールや出退勤の打刻、経費の精算手続きなどの簡略化を通して生産性を高めるといった対策を取る場合も、経営陣や他部署との協力体勢が求められます。
労働関連法の法改正は非常に影響が大きいため、「人事だけでどうにかする」という考えは捨てて、他部署と連携しながら長時間労働対策に取り組みましょう。
5-6. 労働時間管理の完全実務ハンドブックを参考にする
勤怠管理システムを導入したり、労働時間管理に向けて就業規則や労使協定を変更したりするためには、経営陣の承認が必要不可欠です。
ただし、立場の高い人全員が正確な労働時間管理の重要性を理解してくれるとは限りません。
人事主導で勤怠管理を刷新する場合は、従業員と同じく経営層に対する労働時間管理の重要性やメリットのプレゼンが必要です。
また、基準を越える長時間労働は、労働基準法違反であり処罰の対象となることも理解してもらう必要があるでしょう。
そのため、「労働時間管理の完全実務ハンドブック」を参考に、労働時間管理を軽視した場合のリスクも同時に主張しながら、経営層の承諾を得るようにすることをおすすめします。
6. 労働時間管理における課題

正確な労働時間管理を進める際の課題には、『就業規則や労使協定の内容があいまいになっている』『タイムカードを導入していても押し忘れてる従業員がいる』などが挙げられます。
関連記事:従業員のタイムカード打刻忘れ対策として企業がおこなうべき3つのこと
6-1. 就業規則や労使協定の内容があいまい
そもそも、会社の就業規則や労使協定の内容に隙があったり、あいまいだったりするケースも少なくありません。
また、会社を立ち上げたときに作った就業規則をそのまま使っており、実情と合っていない企業も多いです。
就業規則や労使協定の内容と異なる業務命令を出すことはできないため、適切な労働時間管理ができるように、社内ルールを調整し明確にしましょう。
6-2. タイムカードの押し忘れ
タイムカードがあっても、従業員が押し忘れていれば正確な労働時間を把握できません。
押し忘れの多い従業員と面談をしても、確実に打刻をしてくれるようになるとは限らないため、労働時間管理を確実にするためには勤怠管理システムの導入をおすすめします。
勤怠管理システムでは、押し忘れに対するアラートを設定できます。タイムカードの押し忘れに加え、勤怠管理の効率化ができるため導入をぜひご検討ください。
6-3. 多様化する働き方への対応
働き方が多様化し、リモートワークやハイブリッドワークなどが増えました。出社した従業員と会社外で業務をしている従業員が混在する状況では、従来の方法では労働時間の管理が難しくなります。
リモートワークを管理するシステムや制度の構築、対応できる勤怠管理システムの導入などを検討し、どのような働き方に対しても正しい労働時間管理ができるようにしましょう。
6-4. 不正行為への対策
タイムカードによる労働時間の管理では、不正が発生することもあります。故意的にタイムカードを押さずに残業時間を引き延ばす行為や、早退や遅刻の隠ぺいなどが比較的容易にできてしまうからです。
また、故意でなくとも勘違いによって誤った労働時間の申告をしていることも考えられます。
こうした不正行為は、労働時間管理の妨げになります。不正行為がしにくい管理方法や、ルールを明確化して対応しましょう。
7. 法改正の対応には勤怠管理システムの導入がおすすめ

法改正に対応した適切な勤怠管理をおこなうなら、勤怠管理システムの導入がおすすめです。
ガイドラインが定めている「客観的な記録」には、勤怠管理システムでの記録も含まれています。また、勤怠管理システムで簡単に打刻できるようになれば、打刻漏れも減って確認作業にかかる時間を減らすことができます。
さらに、システムを活用すると従業員の労働時間がリアルタイムで把握できるため、「タイムカードを各店舗から集めて集計してみたら、残業時間の上限を超過していた」という問題を防ぐことも可能です。
労働時間に関する記録は全てシステム内に蓄積されるため、書類を保管しておくスペースもいらず、紛失のリスクもありません。
勤怠管理システムでどのような管理ができるか気になる方は、以下のリンクより勤怠管理システム「ジンジャー勤怠」のサービス紹介ページをご覧ください。
▶クラウド型勤怠管理システム「ジンジャー勤怠」のサービス紹介ページを見る
8. 労働時間は適切に管理してトラブルを防止しよう

働き方改革によって、「正確な労働時間の把握」という労働時間管理の必要性が高まりました。これまで違法にならなかった長時間残業も法律違反になるため、人事による労働時間の管理は必要不可欠です。
ただし、労働時間管理を正確におこなうためには、社内ルールの見直しや勤怠管理システムの導入が必要になります。各従業員の努力だけで対応するのは困難なため、日々の勤怠管理を楽にしてくれる勤怠管理システムの導入を検討してみることをおすすめします。
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