有給休暇の計算方法とは?出勤率や付与日数、取得時の賃金をミスなく算出するポイントを解説
更新日: 2026.1.29 公開日: 2020.4.17 jinjer Blog 編集部

年次有給休暇(有給休暇)は従業員の権利であり、運用時には出勤率や付与日数、取得時の賃金を正確に計算しなければなりません。
本記事では、有給休暇の運用に必要な計算のポイントをわかりやすく解説します。計算ミスによるトラブルを招かないよう、正しい計算方法を押さえましょう。
関連記事:年次有給休暇の基本をわかりやすく解説!付与日数や取得時期も紹介
3分でわかる「有休管理の工数削減方法」
働き方改革により「有給休暇の取得義務」が適用されました。
有給休暇は従業員によって付与日数が異なるため、毎回付与日数の計算をしなければなりません。
また、従業員の取得状況の把握や残日数の確認など、人事担当者様がおこなう必要のある業務は手間がかかります。そのような課題解決の一手として検討していきたいのが、Excelの活用術と勤怠管理システムです。
有休を紙で管理している方には、無料で使えるExcelでの管理をおすすめしています。この資料には、入社日を入力するだけで基準日や付与日数を計算してくれる関数を組んだExcelを付録として掲載しています。
また、Excelで管理している方には、勤怠管理システムをおすすめしており、どのような操作画面なのかをご紹介します。ぜひこちらから「3分でわかる有休管理の工数削減方法」をダウンロードの上お役立てください。
目次
1. 年次有給休暇の計算方法とは

有給休暇で計算が必要になる事項は主に次の3つです。
| 計算が必要な事項 | 計算方法 |
| 出勤率(有給休暇の発生要件) | 出勤日 ÷ 全労働日 |
| 付与日数 |
|
| 取得時の賃金 | 次のいずれかの額
|
実務の流れに沿って、それぞれの計算方法を章に分けて解説します。
2. 出勤率の計算方法


年次有給休暇は、従業員の雇い入れ日から6ヵ月間継続勤務し、出勤率が8割以上の場合に付与されます。
出勤率の計算式は、「出勤日÷全労働日×100」です。
例えば、4月1日に入社し、有給休暇の付与日(基準日)が10月1日の場合、入社後半年間の日数は183日、所定休日数が52日だとすると全労働日は131日となります。
この場合、全労働日の8割は131 × 0.8 = 104.8となるため、105日以上出勤していれば、有給休暇の取得条件である出勤率8割以上を満たします。
2-1. 出勤したものとみなす日
出勤率の計算方法における「出勤日」とは、職場へ出勤した日だけではありません。
有給休暇発生の要件は、従業員の出勤率が低い場合に対象から除外する趣旨のため、実際に出勤しなくても、次の日は出勤したものとして取り扱います。
- 業務上の負傷・疾病などにより療養のため休業した日
- 産前産後休業を取得した日
- 育児・介護休業を取得した日
- 年次有給休暇を取得した日
なお、終日出張や在宅勤務の日は業務をおこなっていることには変わりなく、出勤日に含まれます。
2-2. 全労働日から除外する日
全労働日とは、計算期間の暦日数から所定休日を除いた日です。全労働日も有給休暇発生要件の趣旨に反しないよう、次の場合は日数から除外します。
- 休日労働をした日
- 労働者の責めに帰すべき事由によらない不就労日
- 不可抗力による休業
- 使用者に起因する経営、管理上の障害による休業
- 正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日
3. 付与日数の計算方法


有給休暇が発生する場合、その従業員に何日の有給休暇が発生するのか、具体的な付与日数の計算が必要です。
有給休暇の付与日数は、通常の従業員の場合は勤続年数のみで付与日数が決まりますが、労働日数や労働時間が短い従業員の場合は、勤続年数に加え所定労働日数も確認する必要があります。
通常の付与日数と比例付与の場合の付与日数について解説します。
関連記事:有給休暇の日数を雇用形態別に解説!発生条件や付与タイミング、最大日数は?
3-1. 通常の付与日数
年次有給休暇の付与日数は、入社日からの勤続年数に応じて決まります。正社員など一般従業員の場合、有給休暇の付与日数と勤続勤務年数の関係は次のとおりです。
| 勤続年数 | 6ヵ月 | 1年6ヵ月 | 2年6ヵ月 | 3年6ヵ月 | 4年6ヵ月 | 5年6ヵ月 | 6年6ヵ月 |
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
例えば、2023年4月1日に入社した従業員の場合、2025年10月1日時点では勤続年数が2年6ヵ月で、付与日数は12日です。
勤続年数とは企業に在籍している年数を意味するため、休職期間なども含めて数えます。出勤率の計算と間違いやすい点なので注意しましょう。
なお、表の付与日数は法定の最低基準なので、上回る日数を付与したり、付与するタイミングを早めたりする運用は問題ありません。
3-2. 比例付与の付与日数
パート・アルバイトなどで週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の従業員の場合、1週間あたりの所定労働日数(定めていない場合は年間の所定労働日数)に応じて、年次有給休暇を比例付与します。付与日数は、次の表のとおりです。
| 週所定労働日数 | 1年間の所定労働日数 | 勤続年数 | |||||||
| 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 | |||
| 付与日数 | 4日 | 169〜216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 121〜168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
| 2日 | 73〜120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
| 1日 | 48〜72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 | |
比例付与に該当するのは、週の所定労働時間(30時間未満)と週の所定労働日数(4日以下)の両方の要件を満たす従業員です。週の所定労働時間が30時間未満でも、週5日(または年間の所定労働日数が217日以上)働いている場合は通常の付与日数の有給休暇を与えなければなりません。
比例付与の場合でも年に10日以上の有給休暇が付与されると「有給休暇を年5日取得させる義務」が発生するため、忘れずに管理しましょう。
参考:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省
関連記事:パート・アルバイトにも有給休暇はある!付与日数や発生条件について解説
4. 賃金の計算方法


有給休暇を付与した場合の賃金の計算方法には次の3パターンがあります。
- 通常出勤と同じ金額を支払う方法
- 平均賃金を用いる方法
- 標準報酬月額を用いる方法
それぞれの計算方法を解説します。
4-1. 通常出勤と同じ金額を支払う方法
通常の賃金とは、賃金体系によりそれぞれ次のように算出した額を指します。
- 時給制:時給 × その日の所定労働時間数
- 日給制:日給
- 週休制:週給 ÷ その週の所定労働日数
- 月給制:月給 ÷ その月の所定労働日数
- 出来高払制:賃金の総額 ÷ その期間の総労働時間数 × 1日の平均所定労働時間数
ただし、通常出勤と同じ金額を支払う方法では、上記の計算を都度おこなう必要はなく、通常の出勤をしたとして扱えば足りるとする通達が出されています。(昭和27年9月20日基発675号)
「通常の出勤をしたとして扱えば足りる」とは、有給休暇を取得した期間に対し、出勤した場合と同じ金額を支払う、つまり有給休暇を取得した日の賃金を個別に計算したり控除したりする必要がないという意味です。
有給休暇の取得による賃金計算が発生しないため、最も管理しやすい方法といえるでしょう。
4-2. 平均賃金を用いる方法
有給休暇を取得した分の賃金は、平均賃金を用いて計算する方法もあります。
平均賃金とは、労働基準法で定められている、各種手当や保障、減給制裁の制限額を算出するときに基準となる金額です。「直近3ヵ月間の賃金総額 ÷ 3ヵ月の暦日数」で計算します。
例えば、10月10日に有給休暇を取得した場合、7月~9月の3ヵ月の賃金総額と暦日数を用いて平均賃金を算出します。計算例は次のとおりです。
【3ヵ月分の給与が75万円、3ヵ月間の暦日数が92日の場合】
平均賃金:75万円 ÷ 92日 = 8,152円17銭(銭未満切り捨て)
有給休暇を取得した日の賃金:8,152円(円未満四捨五入)
なお、平均賃金を用いて計算する場合は最低保障額に注意しましょう。最低保障額は「直近3ヵ月の賃金総額 ÷ 直近3ヵ月の労働日 × 0.6」で算出します。通常の計算方法で出した平均賃金が最低保障額よりも低い場合は、最低保障額を賃金計算に用いなければなりません。
例えば日給制や時給制の従業員は、夏季休暇や年末年始休暇期間などの影響で労働日が少ないと、平均賃金が低額になるため、最低保障額を用いて計算する場合があります。
関連記事:労働基準法に定められている平均賃金について分かりやすく解説
4-3. 標準報酬月額を用いる方法
3つ目の方法として、標準報酬月額を用いて計算する方法を解説します。
標準報酬月額とは、健康保険料や厚生年金保険料の算定基準となる金額です。4〜6月の給与や、固定賃金に変動があった月以降3ヵ月間の給与の額をもとに算出します。
1日分の有給休暇を取得した場合は、標準報酬月額の30分の1に相当する金額を給与として支給します。
しかし、標準報酬月額を用いる方法は労使協定の締結が必要で、変動するたびに額を計算しなければならないため、ほかの2つの方法より複雑です。実務ではこの方法を採用する企業は滅多になく、採用するメリットもあまりないといえるでしょう。
関連記事:標準報酬月額とは?調べ方や社会保険料の算出方法について解説
5. 有給休暇の計算に関する注意点


有給休暇の計算には、それぞれ気を付けるべきポイントがあります。有給休暇の計算に関する注意点を詳しく紹介します。
5-1. 【出勤率】継続勤務の考え方
年次有給休暇の付与日数を計算する場合の継続勤務とは、企業に在籍した期間のことです。
勤務が継続しているかは実態にもとづき判断するため、次の場合も勤務が継続していると扱われます。
- 定年退職後の再雇用
- 試用期間からの本採用
- 在籍出向
- アルバイトの従業員が正社員に転換
- 企業の吸収合併
5-2. 【日数】有給休暇の時効は2年
労働基準法第115条では、賃金請求権を除くその他の請求権の時効は2年と定められています。そのため、有給休暇の有効期間は、原則として付与日から2年間です。つまり、付与された年度に消化しなかった有給休暇は、翌年度に繰り越せますが、2年を経過すると時効により消滅します。
原則どおり、入社日から6ヵ月、以降は1年毎に有給休暇を付与している場合、付与日だけでなく、有給休暇が消滅するタイミングも入社日によって異なります。忘れやすいポイントなので注意しましょう。
関連記事:【図解】有給休暇の繰越とは?上限やルール、計算方法をわかりやすく解説
5-3. 【日数】年5日の取得義務
2019年4月の労働基準法改正により、年10日以上の有給を付与されたすべての従業員には、年5日の有給休暇を使用させることが企業に義務付けられました。
パート・アルバイトなど、比例付与の対象となる従業員でも、年10日以上の有給休暇が付与される場合は年5日の取得義務の対象となります。
取得義務がある従業員が年5日以上の有給休暇を取得できなかった場合、1名ごとに「不足する日数 × 30万円以下」の罰金が課せられる可能性があります。有給休暇管理簿で一人ひとりの取得日数を把握しておくなど、確実に年5日以上取得させる体制を整えましょう。
関連記事:有給休暇年5日の取得義務化とは?企業がおこなうべき対応を解説
5-4. 【賃金】半日単位・時間単位の有給休暇を取得した場合
有給休暇は1日単位だけでなく、規則で定めれば半日単位・時間単位でも取得できます。なお、時間単位の有給休暇には労使協定の締結も必要です。
半日単位・時間単位で有給休暇を取得した場合、1日単位の有給休暇を取得した場合に支給する賃金額を基準に賃金額を計算します。
例:1日の所定労働時間8時間、1日単位の有給休暇を取得した場合に支給される賃金が1万円の従業員が3時間休を取得した場合
10,000円 ÷ 8時間/日 × 3時間 = 3,750円
半日単位・時間単位の有給休暇取得時の賃金計算方法も、就業規則で定めた方法を用いる必要があるため注意しましょう。
5-5. 【賃金】計算方法は就業規則に定めが必要
有給休暇を取得した際の賃金計算に「通常の賃金」「平均賃金」「標準報酬月額」のいずれの方法を用いるかは、就業規則であらかじめ定めておく必要があります。
企業は、就業規則で定めた方法に従って賃金を計算しなければなりません。従業員ごと、日ごとに計算方法の変更はできないため注意しましょう。
なお、現在議論が進められている労働基準法の改正案が成立すると、通常の賃金方式が原則化されることになります。実務担当者は、法改正についての最新情報もチェックしておきましょう。
関連記事:有給休暇取得日の賃金計算方法と正しく計算するための注意点を解説
関連記事:2026年の労働基準法の改正は見送り?施行時期や議論中のテーマを解説
6. 有給休暇の計算を効率化する方法


年次有給休暇の計算は、従業員数が増えれば増えるほど手間がかかります。特に比例付与に該当するパートタイムの従業員が多い職場は、付与日数の計算方法が正社員と異なるため、有給休暇の管理が煩雑になりがちです。
Excelや、勤怠管理システム、給与計算ソフトを活用して、有給休暇の計算を効率化しましょう。
6-1. Excelで「年次有給休暇取得計画表」や賃金計算用シートを作成する
Excelの関数機能を使って年次有給休暇取得計画表を作成すれば、有給休暇の計算を自動化できます。例えば、従業員の入社年月日のデータを参照し、関数で処理すれば次回の有給休暇の発生日を自動的に算出できます。
実際の取得日数や調整日数など、一部の情報は手入力する必要がありますが、全体の工数が大幅に減らせるため、Excelに慣れている企業にとっては効率的な運用方法です。
関連記事:年次有給休暇管理簿の作成が義務化!作成方法と保管期間を解説
6-2. 勤怠管理システムで勤務情報や有給休暇を一元管理する
紙の申請書で有給休暇を管理している場合、勤怠管理システムを導入するのも有効です。勤怠管理システムを導入すれば、有給休暇の取得状況や残日数を、従業員も管理者もパソコンやスマートフォンからいつでも確認できます。
さらに、法律や就業規則に基づいて自動的に有給休暇の付与日数を算出し、基準日が到来したタイミングで自動付与してくれるシステムもあるため、計算作業や作業タイミングを確認する手間が省けるでしょう。
紙の申請書で有給休暇の日数を管理している場合、従業員から残日数に関する問い合わせがあるたびに申請書を確認し、手作業で計算して対応しなければなりません。中途入社の従業員が多い企業では、有給休暇の基準日が人によって異なり、付与日数の管理がさらに複雑になります。
勤怠管理システムを使えば、付与日数の誤りや管理の手間が減り、有給休暇の管理にかかる作業時間を削減できるでしょう。
関連記事:勤怠管理システムを導入する目的とは?メリット・デメリットも確認
6-3. 給与計算ソフトで自動計算する
有給休暇の日数だけでなく、取得時の賃金計算も給与計算ソフトで自動化できます。給与計算ソフトには休暇取得時の賃金計算を設定する機能があり、最初に正しく設定できれば自動で賃金計算をおこないます。
有給休暇以外の休暇も個別に設定できるうえに、勤怠管理システムと連携ができれば時間外手当の計算なども効率化が可能です。
導入には手間がかかりますが、上手に活用すれば有給管理だけでなく毎月の給与計算業務の効率化も図れます。
7. 有給休暇の正しい計算方法を押さえ、ミスなく効率的に計算しよう


計算方法自体はシンプルですが、細かいルールが多々あるため、理解が不十分な状態ではミスが発生したり、従業員からの質問に十分に答えられなかったりなどの支障が出るでしょう。
ミスなく効率的に有給休暇を管理するには、Excelや勤怠管理システム、給与計算ソフトの活用が有効です。
自動化できる作業は各種ツールに任せ、人為的なミスをなくし、誤りによるトラブルを防ぎましょう。
有給休暇の未取得は罰金が科せられます
年次有給休暇の法律違反は「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられます。
しかし、人事労務担当者の方のお仕事は、有給休暇の管理だけではありませんので、業務の効率化や自動化によって、手間なく管理業務を実現することが鍵です。
今回は、入社日を入力するだけで基準日や付与日数を自動集計してくれるExcelテンプレートや、有給休暇の取得日を記録し、一覧で確認できる「Excelテンプレート付き、無料ノウハウブック」をご用意しました。
有給休暇の管理工数を削減する方法についてもご紹介しておりますので、有休管理に手間を感じている方は、ぜひこちらからご覧ください。
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