タイムカードの打刻忘れ対策・漏れ防止策として企業が行うべき勤怠管理とは?
普段なにげなく押してもらっているタイムカードですが、タイムカードの打刻は、従業員一人ひとりの労働時間を正確に把握するための客観的な記録です。
タイムカードの打刻忘れがあると、出退勤時間の事実確認ができなくなるため、会社業務に支障が出てしまいます。タイムカードの締め日に近いと、給与計算や源泉所得税・社会保険料の算出を再度おこなう必要があるケースもあります。
企業として、余計な工数を減らし、業務効率化を進めるなら、タイムカードの打刻忘れを防ぐ適切な仕組み作りが必要です。この記事では、実際に企業が導入している3つの対処法を解説します。
関連記事:なぜ打刻は必要なのか?打刻忘れによるリスクを知り、必要性を理解しよう
タイムカードによる勤怠管理で頭を悩ませるのが、打刻漏れです。毎月締め日に漏れを確認し、従業員に問い合わせるだけでも多くの時間がかかってしまい、人事業務を圧迫していませんか?
勤怠管理システムでは打刻漏れがあった際にアラートが上がる仕組みになっており、すぐに打刻修正を行えるため、打刻漏れを減らし確認作業にかかる時間を減らすことができます。
実際、4時間かかっていた打刻漏れの確認作業がシステム導入によりゼロになった事例もあります。
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目次
1. 出退勤の打刻を忘れる原因と理由
出退勤の打刻漏れをなくすためには、まず従業員が打刻を忘れてしまう理由を理解して改善に取り組むべきです。考えられえるケースをみていきましょう。
1-1. 打刻機・レコーダーの設置場所が適切ではない
打刻機やレコーダーがオフィスの出入り口や主要な動線上に設置されていない場合、従業員が打刻を忘れやすくなります。特にタイムレコーダーが遠く離れた場所にあると、従業員は打刻機のある場所まで移動する時間がかかり、結果として打刻を忘れることがあります。大規模な施設や複数階にまたがるオフィスでは移動時間が長くなるため、そのリスクは更に高くなります。また、部屋の隅のようにタイムレコーダーが目に入りにくい場所に設置されていると、うっかり打刻を忘れることも多いでしょう。
1-2. 手間のかかる打刻方法で面倒くさい
従来のタイムカードや認証システムが複雑で手間がかかると、従業員が打刻を忘れがちになります。タイムカードの打刻に手間がかかる場合、従業員が打刻の作業を面倒に感じて後回しにしてしまい、結局忘れてしまうことがよくあります。そこで、よりシンプルで直感的な打刻方法を採用することが必要です。自動的に打刻されるシステムや、スマートフォンのアプリを利用して従業員が手軽に打刻できるようにするのも一つの方法です。
1-3. 出退勤時の打刻習慣がない
新人や入社間もない従業員にとって、日常的な業務の一部として出退勤時の打刻が習慣化していない場合があります。打刻する習慣がついていないと、タイムカードの打刻を忘れる可能性が高まります。特に在宅勤務とオフィス勤務で打刻方法が異なる状況や、新しい従業員や短期間のアルバイトが打刻を忘れることがよく見られます。
1-4. 直行直帰が多く打刻を忘れてしまう
営業職などで直行直帰が多い場合、タイムカードの打刻が難しくなることがあります。特にそのような業務形態では出退勤の時間が不規則であり、オフィスに立ち寄る機会も少ないため打刻忘れが頻発します。また、周囲に同僚がいない状況ではうっかり打刻を忘れてしまいがちです。これを防ぐには、職場外での業務を支援するために、スマートフォンを使ったタイムカードの打刻システムを導入することが効果的です。
2. 打刻の押し忘れがもたらす会社への悪影響とは
従業員が打刻漏れを発生させ続けることで、会社にはどのような悪影響や損失が発生するのかリスクを把握しておきましょう。その上で打刻環境の改善に努めましょう。
2-1. 給与計算や残業代の計算にミスが発生する
打刻漏れが発生すると、正確な労働時間の把握が難しくなり、給与計算や残業代の計算に重大なミスが発生する可能性があります。労働法において、規定労働時間を超過した場合には割増賃金を支払うことが義務付けられていますが、打刻忘れがあると会社側は従業員の実際の労働時間を正確に把握できません。その結果、未払いの残業代が発生し、従業員から未払い請求が起こるリスクがあります。
特に、従業員から残業代の未払いを理由に裁判を起こされた場合、打刻忘れが頻発すると証拠が不十分で会社が不利になる可能性が高まります。裁判に至らなくても、未払いによる従業員の不信感や不満は、離職率の上昇や会社の評判悪化につながる可能性があります。勤怠管理の精度を高める対策を講じることで、こうしたリスクを回避できるでしょう。
2-2. 労働時間を正しく把握できず勤怠管理が正しくない
タイムカードの打刻忘れが発生すると、労務担当者は従業員の正確な出退勤時刻を確認できなくなります。この結果、正確な勤務時間の把握が困難になり、これに基づく賃金の支払いが不正確になると、従業員との信頼関係が損なわれるだけでなく、労働基準法に抵触するリスクも高まります。さらに、2019年4月からすべての企業に対して従業員の労働時間の把握が義務化されており、打刻忘れを防ぐことは法的な義務でもあります。そのため、打刻の押し忘れへの対策は、企業の健全な労務管理と法令遵守に不可欠な要素です。
3. 従業員のタイムカード打刻忘れを防ぐ5つの方法
従業員のタイムカード押し忘れが頻発すると、無駄な工数が増加し、業務効率化の妨げになってしまいます。打刻忘れを防ぐために、低コストで実践できる5つの対処法を解説します。
3-1. 声掛け・張り紙・ポスターで従業員の意識改善
タイムカードの押し忘れは、結局のところ会社の従業員一人ひとりの意識や心がけの問題です。しかし、忙しい始業前や業務量が増える繁忙期などでは、意識していてもうっかり打刻を忘れてしまう従業員も少なくありません。
そこで、始業前に従業員同士で「声掛け」をしたり、タイムレコーダーの周辺に「張り紙やポスター」をしたりして、どんなに忙しい時期でも打刻のことを思い出せるような仕組みを作りましょう。
3-2. 打刻機・レコーダーを出退勤時の動線を考慮した配置に移動
タイムレコーダーの配置場所も、打刻忘れの件数と深い相関関係があります。打刻忘れが頻発している企業では、タイムレコーダーが不便な場所やワークスペースから遠い場所に置かれているケースが少なくありません。
始業前の着替えやトイレの際などに、タイムカードの打刻をついつい後回しにしやすく、押し忘れの原因となってしまいます。タイムレコーダーを設置するなら、従業員の動線を考えて、従業員が立ち寄りやすい場所にしましょう。
具体的には、従業員の出勤・退勤の際に使われる通路や、トイレや更衣室の付近、ワークスペースに近く目に付きやすい場所がおすすめです。タイムレコーダーの周辺が散らかっていると目に付きづらいため、設置場所は常に整頓しましょう。
関連記事:建設業従業員の打刻に勤怠管理システムを活用する2つのメリット
3-3. リマインド機能を導入する
従業員の打刻忘れを防ぐためには、リマインド機能を導入することが有効です。リマインド機能とは、タイムカードシステムに設定された時間になると、従業員に打刻のリマインドメッセージを自動的に送信する仕組みです。勤務開始時刻や勤務終了時刻の30分前や10分前にリマインドメッセージが送信されることで、従業員が忙しい時間帯や疲れているときでも打刻を忘れにくくなります。メールやスマートフォンのアプリを活用することで、対象の従業員に適切なタイミングで通知を送ることができます。また、社内で使用しているチャットツールのリマインド機能やパソコン上のリマインダー機能を設定する方法も有効です。
3-4. 打刻を管理する責任者を配置する
従業員のタイムカード打刻忘れ対策には、打刻管理の責任者を配置することが重要です。責任者を決めることで、打刻漏れが発生した際に即座に対応でき、ミスの軽減につながります。さらに、本人と責任者でダブルチェックの体制を整えることで、より徹底した勤怠管理が可能です。従業員が勤務時間の記録に疑問を持った際には、すぐに責任者に相談できる環境を作れます。これは労務担当者の負担軽減にも寄与します。また、責任者を固定せず当番制とすることで、社内全体の勤怠管理に対する意識向上を図れます。打刻忘れが発生した場合には、都度責任者から差し戻しを行うことで、月末の集計作業もスムーズに進行するでしょう。
3-5. 従業員の負担にならない打刻方法を採用する
タイムカードを使った打刻は意外と手間がかかります。自分のタイムカードを探し、タイムレコーダーで打刻し、所定の位置にタイムカードを再度保管する一連の作業は、とくに忙しい始業前だと面倒に感じる従業員も少なくありません。
最近は、指紋認証やICカードなどで、手軽に打刻できるタイムレコーダーも登場しています。また、タイムレコーダーの代わりにPCやスマホ、タブレットを使った打刻方法も存在します。
導入コストは必要ですが、出勤時・退勤時の従業員の負担を少なくすることで、タイムカードの打刻忘れを抑止できます。
ここでは3点紹介しましたが、打刻ミスを防ぐ方法はほかにもだたくさんあります。以下の記事では具体的な打刻ルールを5点紹介しており、社内で打刻ルールが明確に定まっていない企業の方が特に参考になるような記事になっています。ルールがあやふやになっている企業の担当の方は一度ご確認ください。
▶タイムカードで打刻ミスをなくすために用意しておきたい打刻ルールの具体例
関連記事:タイムカードはもう不要?GPSで打刻できる勤怠管理システムとは
4. 勤怠管理システムを導入する3つのメリット
従業員の打刻忘れを根本的に防止するなら、勤怠管理システムの導入がおすすめです。従業員にとって負担が少ない、さまざまな打刻方法と連携できるだけでなく、打刻状況のリアルタイム監視やアラート機能などが搭載されているため、タイムカードの押し忘れがあった場合にすぐ気がつくことができます。
4-1. 多彩な打刻方法と連携できる
勤怠管理システムは、さまざまな打刻方法と連携し、従業員の勤務データを自動で取得・管理するためのシステムです。従業員に負担がかからない打刻方法を選べるため、忙しい始業前の時間帯でも、打刻忘れが起きにくくなるのです。
PC・スマホ・タブレットのアプリでの打刻や、Webブラウザを経由した打刻、指紋認証やICカードを使った打刻など、かけられるコストや想定する利用シーンに合わせ、会社にとって最適な打刻方法を選べます。
最近では、スマホやタブレットのGPS機能を使い、設定した座標に従業員が入ると自動で打刻する「GPS打刻」も利用できるため、さらに打刻忘れが起きにくできます。
関連記事:外出先からでも正確な打刻を可能にする勤怠管理の3つのポイント
4-2. 打刻忘れにすぐ気がつける
勤怠管理システムには、打刻忘れがあった場合に通知をだしてくれる機能もあります。従業員の打刻状況は、管理画面からリアルタイムで確認できるため、打刻していない従業員を一目で把握することが可能です。
タイムカードを1枚1枚確認する作業と比べると、手間とコストを大きく削減できます。また、打刻アラート機能のある勤怠管理システムなら、管理画面でわざわざ確認しなくても、打刻漏れがある従業員に対し自動で警告することも可能です。
タイムカードの打刻忘れを防止し、万が一の際のアフターフォローも考えるなら、スモールスタートも可能な勤怠管理システムを導入してみましょう。しかし実際に勤怠管理システムをご覧になったことがない方は、どのように対策ができるのかイメージがしづらいと思います。そこで当サイトでは、アラート機能のついた勤怠管理システム「ジンジャー勤怠」の管理画面を紹介しつつ、導入前後でどのように変わるのか解説した資料を無料で配布しております。実際の使用イメージを付けながら検討したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
4-3. 打刻修正申請で修正できる
従業員が打刻ミスに気づいた際、勤怠管理システムを利用して修正申請を行うことができます。具体的には、打刻を忘れたあとでもどのような理由で打刻を忘れてしまったのか理由を添えて、正しい出退勤時間を申請することができ、これを受け取った管理者は内容を確認した上で承認します。その結果、正確な労働時間の把握が可能となり、給与計算のミスを防ぎます。
5. 従業員のタイムカード打刻忘れに対する企業の3つの対応
もし、従業員の打刻忘れに気がついたら、企業としてどのような対応をとればよいのでしょうか。また、タイムカードの押し忘れに対し、なんらかのペナルティを課すことは可能でしょうか。ここでは、タイムカードの打刻忘れにとるべき3つの対応を解説します。
5-1. 打刻忘れに気がついたらすぐに事実確認を
まずすべきことは、タイムカードの打刻忘れがあった日の出退勤時刻の事実確認です。たった1日であっても、従業員の出退勤時刻がわからなければ、月の労働時間の合計を計算できません。
給与計算や源泉所得税・社会保険料などの算出など、労務管理に支障が出てしまいます。従業員の打刻忘れを見つけたら、すぐに本人や周辺の従業員に聞き取りをおこない、正確な出退勤時刻を把握しましょう。出退勤時刻は、後でタイムカードに手書きで記入してもらうのが一般的です。
関連記事:労働時間を正しく理解してタイムカード打刻のミスをなくそう
5-2. 直属の上司から注意するのも効果的
何度もタイムカードを押し忘れる従業員に対しては、直属の上司や管理者から口頭で注意するのも効果的です。
タイムカードの押し忘れは、たった1日のことでも会社の労務管理の妨げとなり、無駄な工数とコストを増やしてしまいます。
従業員にタイムカードを手書きで記入してもらう際、直属の上司の印鑑を必要とするような仕組みを作れば、従業員と上司の接点をスムーズに作り出せます。「タイムカードを押し忘れたら、後で面倒なことになる」という意識付けができるため、打刻忘れの防止策としても効果的な方法です。
関連記事:労働時間を正しく理解してタイムカード打刻のミスをなくそう
5-3. ルールを見直して再発防止につなげる
打刻忘れが続く場合、現行の打刻ルールやシステムを見直し、再発防止につなげることは非常に重要です。まず、従業員がなぜ打刻を忘れてしまうのか、その理由を尋ねましょう。この過程で改善のヒントが見つかるかもしれません。次に、従業員が打刻ルールを再確認することが肝要です。ルールを知っていても、その重要性を理解していないために守られないケースもあります。
勤怠管理は給与計算や長時間労働の抑制と直結しています。打刻忘れが発生すると、これらの業務に大きな支障が生じる可能性があります。従業員に対して、このような具体的な支障を説明することで、打刻ルールの重要性を十分に理解してもらいましょう。ルールを守る理由を「やらなければならない」という義務感から、「必要だから守ろう」という意識に変えることが必要です。
新しいルールを策定し、周知徹底することで打刻漏れを防止します。これにより、打刻忘れの再発を防ぐだけでなく、全体的な勤怠管理の質も向上します。
6. 打刻を忘れた従業員に対するペナルティ
タイムカードの押し忘れに対し、ペナルティを課したい企業もあるかもしれません。ペナルティを設定する際の注意点や具体的な運用を解説します。
6-1. ペナルティは就業規則に記載する
打刻忘れは会社業務の損失と考えられるため、罰則規定を設けることは可能です。ただし、罰則規定はあらかじめ就業規則として明文化し、社内に周知徹底する必要があります。
6-2. 始末書を提出させることは可能?
打刻漏れが続き何度も指導をしているにも関わらず改善されない場合、管理者は始末書を提出させることを検討できます。しかし、このような措置を取る際には、従業員の心理的負担や業務への影響を十分に考慮することが重要です。まず打刻漏れの原因を明確にし、適切な対策を講じることが推奨されます。打刻漏れの再発を防ぎ、全体の勤怠管理を改善することが最終的な目的です。従業員に対する信頼関係を損なわないように、適切なコミュニケーションを保ちながら対応することが求められます。
6-3. 欠勤扱いにできる?
ペナルティとして、打刻忘れをしてしまったからといって、該当日を欠勤扱いにすることは労働基準法上できません。法律に違反してしまうため、欠勤の扱いには注意が必要です。
6-4. 常習的な打刻忘れには減給は可能?
打刻漏れに対して、減給処分とすることは可能です。この場合、平均賃金の1日分の半額を超え、1か月の賃金総額の1割を超える場合は労働基準法91条に違反します。いきなり重い処分を課すのではなく、従業員の教育を目的として適切なペナルティを設定しましょう。
打刻漏れに対する従業員への対応についてはこちらの記事をご覧ください。
▼タイムカードの押し忘れで給料なしや減給、欠勤扱いの処分は妥当?労働基準法の規定に注意!
7. 打刻漏れを未然に防いで勤怠管理を正しく行おう
今回は、タイムカードの押し忘れを防ぐための3つの対策を解説しました。従業員の打刻漏れが頻発すると、給与計算や源泉所得税・社会保険料の算定などの会社業務に支障が出ます。
「声掛けや張り紙で意識改善をおこなう」「タイムレコーダーの配置を工夫する」「負担のかからない打刻方法を選ぶ」といった対策が有効です。
打刻忘れを根本的に防止したい場合は、さまざまな打刻方法と連携し、打刻漏れのアラート機能がある勤怠管理システムがおすすめです。
関連記事:建設業従業員の打刻に勤怠管理システムを活用する2つのメリット
関連記事:裁量労働制の従業員の打刻管理で注意すべき2つのこと
タイムカードによる勤怠管理で頭を悩ませるのが、打刻漏れです。毎月締め日に漏れを確認し、従業員に問い合わせるだけでも多くの時間がかかってしまい、人事業務を圧迫していませんか?
勤怠管理システムでは打刻漏れがあった際にアラートが上がる仕組みになっており、すぐに打刻修正を行えるため、打刻漏れを減らし確認作業にかかる時間を減らすことができます。
実際、4時間かかっていた打刻漏れの確認作業がシステム導入によりゼロになった事例もあります。
「システムで打刻漏れを減らせるのはわかったけど、実際にタイムカードでの労働時間管理とどう違うのかを知りたい」
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