人事評価の不満で退職が発生すれば企業にとっての大きな損失へ
更新日: 2026.4.24 公開日: 2022.5.10 jinjer Blog 編集部

人事評価をきっかけに従業員が不満を抱え、退職してしまうケースがあります。優秀な人材の流出は企業にとって大きな痛手となるため、従業員の退職を防ぐ適切な対応を取りたいものです。
今回は、人事評価への不満が高まって退職者が発生した場合に考えられる会社の損失について考えていきましょう。
関連記事:人事評価はなぜ必要?導入して考えられるメリットやデメリット
目次
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
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1. 人事評価への不満が退職へとつながる原因とは?

企業の人事評価に不満を抱える従業員は少なくありません。人事評価は従業員の働きぶりや成果を体系的に評価するものであるため、ときに基準があいまいになり納得感が下がってしまうことが原因です。
人事評価に納得できない従業員は、より適切に評価してくれる場所を求めて転職を考えることがあります。まずは、従業員が人事評価に不満を抱え退職を考える原因について紹介していきます。
関連記事:人事評価で考えられる不満とは?訴訟リスクを回避する健全な運用法
関連記事:人事評価で部下がやる気をなくすのはなぜ?やる気を高める方法を解説
1-1. 人事評価によってモチベーションが下がった
人事評価では、プラス面だけでなくマイナス面についても指摘する必要があります。しかし、ネガティブな面の指摘は伝え方や表現方法によっては、従業員のモチベーション低下につながりやすいです。
特に、意識していなかった問題点を指摘されたり、がんばったと自認している部分に触れられなかったりすると、従業員は能力を十分に評価してもらえなかったと感じます。評価の不透明性や不公平感が、従業員に転職を決意させるきっかけになるケースは少なくありません。
1-2. 人事評価の内容と処遇が見合っていないと感じた
報酬の低さや待遇の悪さは従業員の退職にダイレクトに影響します。従業員を正当に評価していても、人事評価の結果が報酬や待遇に十分に反映されなければ、やりがいや満足感は得られません。
企業には、評価の高い社員がそれに見合った報酬や待遇を得られるような人事評価システムが必要です。
また、そうした人事評価と報酬や待遇の変化がどのように連動しているのか、従業員にもわかりやすいように明示することも大切です。ランクによる待遇の変化や、評価されるポイントがわかれば、人事評価と処遇に対しても納得感が生まれます。
1-3. 会社に対して不信感を持った
人事評価をきっかけとした退職の大きな原因は、評価の納得感の低さにあります。特に、自己評価と人事評価の内容が乖離していると、従業員は正当に評価してもらえない職場であると感じやすいです。こうした感情は会社の体質や制度そのものに対する不信感につながっていきます。
評価基準が明確でなかったり、評価に私情が混ざってしまったりすると、従業員は人事評価への不満を溜めてしまいます。そしてその状態を放置している会社に対して、失望や諦めのような感情が強くなれば、自然と人材は流出していくでしょう。
1-4. 人間関係の問題が表面化した
人事評価がきっかけで社内の人間関係のぎこちなさを意識し、退職を決意する従業員もいるものです。
社内のコミュニケーションが十分に取れていない状態で人事評価を実施すると、従業員は「現場をそれほど見ていない人に否定された」と受け取ってしまいます。適切に評価しているつもりでも、社内で十分なコミュニケーションが取れていない状態では人事評価の内容が伝わりにくくなってしまうのです。
こうした人間関係の希薄さや問題が表面化すると、報告や相談も減り、さらに人間関係が悪化していきます。それによって仲間意識や帰属意識が薄れ、退職者が出やすくなります。
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2. 人事評価制度そのものに不満がある可能性も考えられる

ここまでは、人事評価の結果が不満を生み、モチベーションを下げて退職者を増やすというお話をしてきました。しかし、人事評価制度そのものに不満を抱えて退職するケースもあります。近年の人事評価に対する考え方とあわせて考えていきましょう。
2-1. 人事評価制度に対する考え方の変化
日本では勤務年数が長いほど評価が上がる「年功序列」が長く採用されてきました。年功序列は慣習のように当たり前に受け入れられてきましたが、近年はその考えが変化し、勤続年数や年齢による評価には不満が出やすくなっています。
欧米の考え方が広まっているというのも近年の傾向で、従業員をランク付けしない「ノーレイティング」や、上司から部下だけの評価ではなく、あらゆる角度から評価をする「360度評価」などの導入が進んでいます。
こうした新しい評価制度は、若い世代に特に求められるものです。そのため、古い評価制度のまま変化がないと、若い世代は会社の評価制度そのものに不満を持ってしまいます。
2-2. 成果主義・能力主義が求められやすい
年功序列が古い人事評価制度になりつつある中で、主流になりはじめたのは成果主義や能力主義です。
成績や成果、保有しているスキルなどによる評価は、労働者の努力や貢献がそのまま評価へ、そして待遇や給与に影響します。年齢や性別などで評価されないため、若手でも能力のある人は正当な評価を得やすいという点が求められている大きな理由です。
ただし、成果主義・能力主義の評価は、これまでの年功序列で高い評価を得ていた人の評価を下げることがあります。すべての従業員が不満を持たない人事評価制度は存在しません。そのため、会社の方針や評価制度の課題の解消方法を考え、自社に適した制度を導入することが大切です。
3. 人事評価の不満による退職で起きる問題

人事評価に対する不満を抱え、退職を選ぶ人が増えると企業にとっても痛手になります。どのような影響があるのか見ていきましょう。
3-1. 人材が流出する
退職を選んだ従業員は、同業他社に流出しやすいです。経験やスキルを活かせることや、それが評価を得やすいことが理由です。また、そうした退職者が目立つ人物であった場合、周囲の人も触発されて退職を考えることがあります。その結果、次々に人材が流出するという事態になる可能性があります。
また、十分なキャリアをもつ従業員が退職した場合、現場のモチベーション低下を招く可能性も無視できません。その従業員が担っていた業務の穴埋めも必要となり、ほかの従業員の負担が増えるリスクも考えられます。従業員が辞めて穴が生まれたことで、残った従業員にしわ寄せがきて、不満が溜まっていく可能性があります。その結果、不満を持った従業員がさらに離職しかねません。
関連記事:人事評価の不満で退職が発生すれば企業にとっての大きな損失へ
3-2. 人が定着しない会社だと思われやすい
人事評価制度に対する不満を解決できないと、同じ理由による退職者が出続けることになります。減った人員の穴埋めをするために新規雇用をしても、また退職者がでれば新規雇用が必要になり、継続的に社員の募集をしなければなりません。
そうした常に従業員募集をしている会社や、顔ぶれがすぐに変わる会社は、人が定着しにくい会社というイメージを持たれやすいです。取引先や転職希望者からは、何か原因がある会社なのでは?と不信感を持たれる要因にもつながるでしょう。
3-3. 新たな人材の雇用に大きなコストがかかる
離職者が出た場合には新たな人材を確保する必要がありますが、採用活動には一定のコストがかかります。採用した人材を教育して一人前に育て上げるためには、膨大な費用と時間が必要です。
評価制度への不満で退職者が出やすく、人が定着しない企業は常に新しい人材を求めることになります。新規採用をするために採用コストと育成コストをかけていると、いつまでも会社は成長できません。業績悪化や企業全体の不活性化へとつながる可能性も考えられます。
4. 人事評価の不満による退職を予防する方法

人事評価を理由とした従業員の退職を防ぐためには、評価制度そのものの見直しや、評価者の育成が必須となります。評価内容を今一度チェックし、問題点を改善していきましょう。また、評価者と従業員の信頼関係を築くことも大切なポイントです。
4-1. 人事評価制度のシステムを十分に周知する
人事評価がきっかけで不満が噴出する大きな理由は、評価基準があいまいという点にあります。人事評価を実施する際には、どのポイントを評価するのかを中心に、制度の内容を十分に周知することが大切です。
人事評価では一般的に、本人の能力や成果、情意を評価します。情意とは意欲や態度、行動力などのことを指します。仕事のスキルと業績、情意を評価する際には、適宜数値を使うなどして具体性をもたせましょう。また、評価対象となる能力や成果、情意のうちどのポイントを重視しているのかを公開するのも効果的です。
4-2. 人事評価を報酬や待遇に反映する
従業員を評価するだけでモチベーションアップにつなげるのは難しいものです。人事評価を実施する際には、従業員の昇給や昇進とリンクするシステムを構築しましょう。
また、「評価と処遇がどのように連動しているのか」「評価を高めたらどう変化していくのか」という部分も明確にするとよいでしょう。より透明性が高まり、目標設定もしやすくなります。
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4-3. 人事評価に際して面談を丁寧におこなう
人事評価の内容が不透明であると感じさせないためには、従業員の評価面談を丁寧におこなう必要があります。
評価面談の際には一方的に評価を伝えるのではなく、従業員の自己評価を十分に聞くよう心がけましょう。その後、従業員の考えと一致している部分について共感を示し、従業員が気付いていない問題点についてアドバイスを交えて伝えていくのが最適です。
人事評価の際に、内容の根拠を客観的に説明することも重要なポイントです。納得感のある人事評価ができれば、従業員のモチベーションを維持できます。
面談をおこなった上で従業員が評価について納得していない場合は、先述の通り、人事評価の項目や基準を見直してみましょう。人事評価は成果、能力、情意など、複数の軸から評価することが大切です。
4-4. 評価者と従業員の間で信頼関係を築く
評価対象となる従業員と評価者は、十分なコミュニケーションを取るように、普段から意識しておくことも大切なポイントです。
コミュニケーションが不足していると、従業員は人事評価に不満や不信感を持ちやすくなります。逆に、十分な信頼関係が築けていれば人事評価の内容が伝わりやすくなり、適切なフィードバックにつながっていきます。「しっかりと自分を見たうえで評価してくれている」という感覚も生まれやすいでしょう。
従業員の話を丁寧に聞くようにしたり、情報をこまめに共有したりするだけでも従業員の反応は変わります。評価者と従業員の間の適度なコミュニケーションには、より的確な人事評価ができるという良さもあります。
4-5. 評価者の教育もおこなう
人事評価制度がどれほどしっかりと構築されていても、評価を下すのは人間です。そのため、評価者の主観や感情、経験などの影響を受けて、公平な評価ができなくなることがあります。こうした問題を「評価エラー」といいます。
評価エラーにはさまざまな種類があるため、評価者は内容を理解し、評価エラーを起こさないように意識しなければなりません。そのための研修や評価者に対する評価などをおこない、公平な評価ができる体制を維持しましょう。
【関連記事】人事評価のポイントは?フェーズごとの注意点や評価者の課題を紹介
4-6. 評価制度の抜本的な改革も検討する
評価制度そのものに対する不満を抱え、諦めのような感情から退職を選んでいるケースも考えられます。
特に年功序列をはじめとした序列型の評価制度は、若い世代が不満を抱えやすく、成果主義や能力主義で評価をする会社に転職しやすいです。現行の評価制度の軸が不満の元になっていないか、ヒアリングをおこないましょう。
その結果、問題があることがわかったら評価制度を根本から見直し、時代に合った評価制度にしていくことも必要です。
4-7. 評価制度を定期的に見直す
評価制度は、事業規模や会社の状況、そして時代にも合わせたものである必要があります。制度を構築したあとも、定期的に見直して問題がないか確認しましょう。評価者からもヒアリングを実施し、評価するうえでわかりにくい部分はないか、負担は大きくなっていないかなど、評価する側の意見も取り入れた見直しが効果的です。
また、評価基準は、会社の方針や目標によって見直すことで、会社が求める人材の成長を促します。人材の保持と育成の両方に影響するため、しっかりとブラッシュアップしましょう。
5. 人事評価に対する不満を減らして退職を防ごう

人事評価をきっかけに従業員が退職してしまう背景には、人事評価制度への大きな不満があります。また、評価者や会社を信頼できないと感じ、退職を決意する従業員もいます。
この問題を解決するためには、公正な人事評価で従業員の不満を取り除く必要があります。また、時代や会社の状況に合わせた評価制度にすることも重要です。定期的な見直しや課題の洗い出しをおこない、適性な人事評価制度を運用することが大切です。
まずは既存の人事評価制度の問題や不公平さがないか確認し、、必要に応じて内容の改善や制度の変更をおこないましょう。また、評価者と被評価者が日頃からコミュニケーションを取れるように、被評価者の業務負担にも目を向けて評価がしやすい環境を作ることも考えていきましょう。
関連記事:これから人事評価制度を導入する前にチェックすべきポイント
関連記事:成功例から学ぶ人事評価制度と採用した評価制度の事例
関連サイト:株式会社シナプルリンク運営メディア「メルズジョブ」
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
当サイトではそのような企業のご担当者に向けて「人事評価の手引き」を無料配布しています。
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