パートの試用期間とは?メリットや労働条件を解説
更新日: 2025.7.7
公開日: 2025.7.6
jinjer Blog 編集部
「パートを採用する際、試用期間は設けたほうが良いのか?」
「試用期間中の労働条件や扱いに注意点はある?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
パートを雇用する際に、試用期間を設けるのは、安定した職場づくりに役立つ有効な手段です。しかし、正社員とは異なる働き方であるパートには、労働条件や契約内容において注意が必要です。試用期間中の労働条件を正しく把握し、適切に運用しなければ、トラブルの原因につながります。
本記事では、パートの試用期間を基本から解説し、設けるメリットや留意すべき労働条件を詳しく紹介します。採用の現場で役立つ実務的な情報を盛り込んでいるので、ぜひ最後までご覧ください。
従業員の採用が決定した際は雇用契約を締結し、法令で定められた事項を明示した上で労働条件通知書を発行する必要があります。しかし、会社によっては独自の試用期間があったり、新たに従業員を採用せずとも既存の雇用契約を更新・変更する必要が出てくるタイミングもあるでしょう。
そのような際に、当サイトでは雇用契約に関して「よくある疑問」を簡単な基礎から応用編まで、まとめて一挙に解説した資料を無料配布しています。
資料では、一問一答形式で勤務形態ごとの契約書における注意点や、試用期間の正しい取り扱い方、さらには契約違反や違法性が疑われる契約トラブルへの対処法をまとめて解説しています。雇用契約に関して抱えている課題に対して、すぐに解決できる資料がほしいという方は、ぜひこちらからダウンロードしてお役立てください。

1. パートの試用期間とは
パートの試用期間とはなにか、以下の内容で紹介します。
- パートの試用期間の目的
- 試用期間と研修期間の違い
詳しく見ていきましょう。
1-1. パートの試用期間の目的
パートの試用期間を設ける目的は、本採用の前に人材が自社に適しているかを見極めることです。
書類選考や面接だけでは、スキルや人物像を完全に把握するのは難しい傾向があります。雇用後に「想定していた能力と異なった」とギャップが生じるリスクがあるでしょう。パートの場合、限られた時間の中で即戦力を求めるケースも多いため、事前確認の重要性はさらに高まります。
試用期間中に実務を通じて、業務への理解度や指示への対応力など、現場でのパフォーマンスを客観的に評価可能です。
本採用を見送る判断もできるため、長期的に安定した雇用関係の構築に役立ちます。企業にとっては、採用の失敗を防ぐセーフティーネットとして活用できる制度だといえるでしょう。
1-2. 試用期間と研修期間の違い
試用期間は見極める期間、研修期間は育成する期間といえます。
試用期間は、パート従業員の勤務態度や業務適性を見極めるための期間です。対して研修期間は、採用後に必要な知識やスキルを習得してもらうための教育期間といえます。
この違いを理解して制度を運用すると、採用のミスマッチを減らし、円滑な戦力化を図れるでしょう。
2. パートに試用期間を設けるメリット
パートに試用期間を設けるメリットは、応募者の勤務態度や実務能力を実際の業務を通じて確認できる点です。
また、どの業務に適性があるか判断できるため、将来的な配置にも役立ちます。試用開始から14日以内であれば、労働基準法上の「試みの使用期間」に該当し、即時解雇が可能です。
採用ミスを未然に防ぎ、効率的な人材確保をおこなうためにも、試用期間の導入は有意義な手段といえるでしょう。
3. パートの試用期間を設ける際の労働条件
パートの試用期間を設ける際の労働条件に関して、以下の内容で解説します。
- 給与
- 社会保険
- 本採用への切り替え
詳しく見ていきましょう。
3-1. 給与
パートの試用期間中であっても、給与を最低賃金以下とするのは控えましょう。試用期間の時給を本採用後より低く設定するケースもありますが、その際は事前に説明し、本人の同意を得る必要があります。
また、残業代などの割増賃金も本採用時と同様に支払う必要があります。採用後のトラブルを防ぐためにも、求人票や労働条件通知書で給与条件の違いを明記しておきましょう。
3-2. 社会保険
法律上、試用期間中でも、要件を満たしていれば社会保険への加入は義務となります。週20時間以上の勤務や月収88,000円以上などの条件を満たすパートは、試用期間中であっても加入対象です。
現在は、従業員51人以上の企業も対応が必要になるなど、最新の制度変更にも注意が必要です。
3-3. 本採用への切り替え
パートの試用期間が終われば、原則そのまま本採用となります。試用期間は本採用を前提とした期間です。特別な手続きをおこなわなくても雇用関係は継続されます。
ただし、待遇を変更する場合は、必ずその理由を本人に説明し合意を得ることが必要です。例えば、「時給を試用期間よりあげる」「勤務時間を調整する」などが該当します。
したがって、切り替えの際には条件に変更があるか確認し、適切な対応をおこなうことが重要です。
4. パートの試用期間を設ける際の手続き
パートの試用期間を設ける際の手続きは、以下の通りです。
- 試用期間に関する規定を設ける
- 労働条件通知書にて試用期間がある旨を通知する
- 労働者に試用期間があると説明する
詳しく見ていきましょう。
4-1. 試用期間に関する規定を設ける
パートに試用期間を設ける場合は、あらかじめ就業規則に明記しておくことが重要です。労働条件の透明性を保ち、後々のトラブルを防止するために必要となります。
「採用日から3ヵ月間を試用期間とする」など、具体的な内容を記載しておくと、スムーズに進められるでしょう。試用期間に関するルールを就業規則で整備しておくと、双方が納得のいく雇用関係を築けます。
4-2. 労働条件通知書にて試用期間がある旨を通知する
パートを採用する際には、労働条件通知書に試用期間の設定を明示することが必要です。重要事項を明確にし、誤解やトラブルを防ぎましょう。
本採用後と試用期間中で労働条件に違いがある場合は、各々の労働条件通知書を作成しても問題ありません。試用期間の取り扱いについて明記することは、雇用契約の信頼性を高めるために大切です。
4-3. 労働者に試用期間があると説明する
パートを採用する際には、事前に試用期間の存在を労働者へ説明することが重要です。試用期間の内容に了承を得ると、誤解やトラブルを防げます。
試用期間を伝えたうえで、雇用契約書などに署名をもらえば、合意の証拠として残るでしょう。口頭の説明でも法的には問題ありませんが、書面で記録を残す方がより確実です。事前に明確な説明と同意を得ることで、安心して雇用関係をスタートできます。
5. パートの試用期間の長さ
パートの試用期間の長さに関して、以下の内容で紹介します。
- 試用期間の長さは1~3ヵ月が一般的
- 試用期間中の解雇は14日以内かどうかで対応が異なる
詳しく見ていきましょう。
5-1. 試用期間の長さは1~3ヵ月が一般的
パートの試用期間は、一般的に1〜3ヵ月程度に設定されています。短期間で業務への適性や勤務態度を見極めるのに、適切な期間です。
飲食業や販売業などでは1ヵ月、事務職や専門的なスキルを求める職種では3ヵ月程度を試用期間として設定しています。また、まれに6ヵ月間とする企業もありますが、試用期間が極端に長くなると、労働者にとって不利益となる可能性があるため注意が必要です。
試用期間は必要最小限の範囲で設定し、合理性のある期間としましょう。
5-2. 試用期間中の解雇は14日以内かどうかで対応が異なる1
試用期間中であっても、一定の条件を満たせば企業はパートを解雇可能です。試用期間は「解約権留保付き」の契約形態であり、企業側に本採用を見送る自由が残されています。
入社から14日以内の解雇なら、解雇予告や解雇手当の支払いは不要です。15日目以降に解雇する場合には、原則として30日前の予告、もしくは30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。
ただし、どのような場合でも解雇が認められるわけではなく、「社会通念上、相当とされる理由」が必要です。何度注意しても遅刻・欠勤を繰り返す、勤務態度が著しく悪いなど、合理性のある理由でなければなりません。さらに、改善を促す努力をせずに突然解雇するのは不当とされる可能性もあります。
試用期間中の解雇は法律上可能ですが、ルールと適正な手続きを守ることが必要です。企業側はその点を理解しておきましょう。
6. パートの試用期間を設けてお互いの相性を確かめよう
パートの試用期間は、労働者と企業が互いの適性や勤務条件を確認するための重要な仕組みです。企業側には解約権が留保されているとはいえ、解雇には社会通念上相当とされる合理的な理由が必要になります。
また、入社日から14日以内と以降では、解雇手続きに違いがある点にも注意が必要です。試用期間は単なる「お試し期間」ではなく、法的ルールに基づいて運用される正式な労働契約の一部となります。
適切に試用期間を活用して、トラブルを未然に防ぎ、より良い雇用関係を築きましょう。
従業員の採用が決定した際は雇用契約を締結し、法令で定められた事項を明示した上で労働条件通知書を発行する必要があります。しかし、会社によっては独自の試用期間があったり、新たに従業員を採用せずとも既存の雇用契約を更新・変更する必要が出てくるタイミングもあるでしょう。
そのような際に、当サイトでは雇用契約に関して「よくある疑問」を簡単な基礎から応用編まで、まとめて一挙に解説した資料を無料配布しています。
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