給与計算業務の流れとは?月間・年間スケジュール、実務フローや注意点を解説
給与は、従業員とその家族の生活を支える大切な基盤です。支給遅れや計算ミスは、即座に会社への不信感につながりかねません。毎月、給与が期日通りに振り込まれるという「当たり前」を守ることは、従業員が安心して働くために欠かせません。
一方で、給与計算は勤怠の集計、社会保険料や税金の計算など多岐にわたり、その流れは非常に複雑です。
この記事では、給与計算の全体像を、年間・月間のスケジュールから日々の実務フロー、そして遵守すべき法的注意点まで、網羅的に解説します。
【給与計算業務のまとめはコチラ▶給与計算方法を11ステップに分けて解説!注意点・効率化のポイントも】
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給与計算は日々の勤怠管理でもれなく勤怠情報を収集した上で、一人一人計算していく必要があることに加え、ミスが許されない業務であるため、手間だと感じる方も多いでしょう。
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目次
1. 給与計算の年間スケジュール


まずは給与計算の年間のスケジュールから確認しましょう。
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月 |
業務内容 |
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4月 |
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5月 |
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6月 |
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7月 |
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8月 |
– |
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9月 |
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10月 |
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11月 |
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12月 |
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1月 |
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2月 |
– |
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3月 |
– |
このように、給与計算は毎月の業務に加え、年の特定の時期に発生する大きなイベントがあります。年間でも特に大きなイベントを解説します。
・6月1日~7月10日:労働保険の年度更新
前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を計算し、申告・納付します。計算対象期間は4月1日〜翌3月31日です。
・6月頃:住民税の更新
各市区町村から「住民税決定通知書」が届きます。これに基づき、6月支給の給与から新しい住民税額を控除します。
・7月1日~10日:社会保険の算定基礎届
4月・5月・6月に支払った給与の平均額を算出し「算定基礎届」を提出します。これにより、9月からの新しい標準報酬月額が決定されます。
・10月頃:最低賃金の確認
毎年10月頃に最低賃金が改定されることが多いため、自社の給与が新しい基準を下回っていないかを確認します。
・11月~1月:年末調整
その年の1年間の所得税を正しく計算し、過不足を清算する業務です。従業員から「扶養控除等申告書」などの書類を回収し、計算をおこないます。
このほか、賞与を支給する場合、賞与額の計算業務も必要です。また、毎月の給与に大幅な変動がある場合、社会保険料を決定する標準報酬月額を見直すため、その都度、月額変更届の作成・提出が必要になります。
このように、給与計算担当者は毎月の給与計算だけでなく、社会保険や税金関係の手続きなど、さまざまな業務が必要です。スムーズな手続きのために、事前に書類の提出方法や提出先も把握しておきましょう。
2. 給与計算の月間スケジュール


毎月の給与計算は、会社の「給与締日」と「支払日」を基準に進みます。ここでは、末日締め、翌月25日払いの場合を例に解説します。
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日 |
業務内容 |
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前月末日(締日) |
勤怠集計期間終了 |
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1日~10日 |
勤怠・変動情報の収集 従業員からの勤怠データ(タイムカード、システム打刻)を収集します。残業、休日出勤、欠勤、有給休暇の取得状況などを確認します。入退社、昇給、異動などの人事情報に変更があれば修正します。 |
|
11日~18日 |
給与計算・明細作成 勤怠データに基づき、残業代や手当を含む「総支給額」を計算します。社会保険料、税金(所得税・住民税)を控除し、「差引支給額」を確定させ、給与明細を作成します。 |
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19~24日頃 |
承認・振込準備 計算結果の最終チェックをおこない承認を得ます。銀行振込用のFB(ファームバンク)データを作成・登録します。 |
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25日 |
給与支給 給与明細を配布し、従業員の口座へ給与を振り込みます。 |
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支給後~翌月10日 |
税金と社会保険料の納付 控除した源泉所得税と住民税を、原則として翌月10日までに国・市区町村に納付します。社会保険料は、当月分を翌月末までに納付します。 |
3. 給与計算業務の流れ(フロー)


月間スケジュールの中でおこなう「給与計算」の具体的な実務フローを、8つのステップにわけて解説します。
3-1. 勤怠情報の収集と整理
まず、タイムカードや勤怠管理システムから従業員一人ひとりの労働時間を収集します。把握すべき勤怠情報は次のとおりです。
- 総労働時間
- 所定内労働時間
- 時間外労働(残業)、深夜労働、休日労働の時間
- 欠勤、遅刻、早退、有給休暇の取得日数
打刻漏れがないか、また、残業や休暇などの申請・承認が滞りなく進んでいるかを確認し、その月の労働時間を確定させます。
3-2. 総支給額の計算
次に、勤怠情報と給与規定に基づき「総支給額(額面給与)」を次の式により計算します。
総支給額 = 基本給 + 各種手当 – 欠勤控除
総支給額は、基本給に各種手当を加算し、そこから欠勤や早退、遅刻にともなう減給分を差し引いた金額になります。総支給額を計算するときに必要な情報は、次に記載する「基本給」「各種手当」「欠勤控除」の内容です。
・基本給
従業員の能力、経験、年齢、職務内容などに基づき、固定的に支払われる基本的な賃金です。時間外手当や、通勤手当などの変動的な諸手当は含まれません。賞与や割増賃金を計算する際の基礎となる重要な項目です。
・各種手当
役職手当、資格手当、家族手当、通勤手当、時間外手当などのことをいいます。転勤や転居、結婚などの情報更新があった従業員は、その都度情報の更新をする必要があります。時間外手当は、3-1で集計した残業時間などに基づき、法所定の割増率(時間外1.25倍、深夜0.25倍、休日1.35倍)で計算します。
関連記事:残業代単価の計算方法と勤務形態ごとの考え方をわかりやすく解説
・欠勤控除
月給制の従業員が欠勤・遅刻・早退をした場合に、労働しなかった時間分の給与を月給から差し引くことをいいます。控除額の計算方法は、就業規則によって定められています。
3-3. 保険料の算出と控除
次に、総支給額から、法律に基づき社会保険料を控除します。健康保険料と厚生年金保険料は、「標準報酬月額」を基に算出されます。
各保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率
標準報酬月額とは、社会保険料の計算を簡略化するために、給与額を一定の範囲(等級)で区切ったものです。この等級は、原則として毎年1回、7月に提出する「算定基礎届」(4月~6月の給与平均に基づく)によって決定され、その年の9月から翌年8月まで適用されます。また、昇給などで給与が大幅に変動した場合は、「月額変更届」を提出し、随時改定をおこない標準報酬月額を決定します。
関連記事:標準報酬月額とは?調べ方や社会保険料の算出方法について解説
①健康保険料・介護保険料
「標準報酬月額」に基づき計算します。保険料は会社と従業員で折半します。40歳〜64歳の従業員は「介護保険料」も合わせて徴収します。
参考:令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)|全国健康保険協会
関連記事:健康保険料はいくら?仕組みや計算方法をくわしく解説!
②厚生年金保険料
健康保険料と同様に「標準報酬月額」に基づき計算します。保険料は会社と折半で負担します。
関連記事:厚生年金保険料とは?標準報酬月額の決め方から計算方法をわかりやすく解説
③雇用保険料
「総支給額」に所定の「雇用保険料率」を乗じて計算します。保険料率や負担割合は、一般事業と農林水産・清酒製造、建設業など、業種ごとに違うため注意が必要です。
雇用保険料 = 総支給額 × 保険料率
関連記事:雇用保険とは?パート・アルバイトの加入適用や給付内容についてわかりやすく解説
上記の計算で従業員の負担分をそれぞれ算出し、次に続く税金などと一緒にまとめて「総支給額」から控除します。
関連記事:社会保険料の計算方法とは?給与計算や社会保険料率についても解説
3-4. 税金の控除額を算出
社会保険料のほかに、税金として所得税と住民税を給与から控除します。
①所得税
所得税は、次の式により算出した「課税対象額」と、従業員から提出された「扶養控除等申出書」の扶養人数に基づき、「源泉徴収税額表」から該当する税額を特定し控除します。
課税対象額 = 総支給額 – 非課税手当 – 社会保険料・雇用保険料合計
給与から控除すべき税額は、国税庁ホームページ「令和7年分 源泉徴収税額表」に当てはめると、給与から天引きすべき所得税額を確認することができます。
なお、所得税額を算出するには、従業員一人ひとりの扶養人数の情報が必要です。事前に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらい、正確な人数を確認しておきましょう。
関連記事:給与計算における所得税の計算方法とは?源泉徴収の仕組みも解説
②住民税
市区町村から送付される「住民税決定通知書」に記載された月額をそのまま控除します。会社側で計算する必要はありません。これを「特別徴収」といいます。 一方で、従業員が自ら納付する方法が普通徴収です。これは従業員が任意に選べるものではなく、法律で会社に特別徴収での住民税の納付が義務づけられています。そのため原則として、会社は特別徴収をしなければなりません。
関連記事:給与計算における住民税とは|住民税の計算・納付・注意点について解説
関連記事:住民税の特別徴収とは?普通徴収との違いや手続きの流れを解説
3-5. 労使協定による控除を計算
税金や社会保険料といった法律で定められたもの(法定控除)以外で給与から控除をおこなう場合は、必ず「労使協定」の締結が必要です。
これは、労働基準法第24条の「賃金全額払いの原則」の例外として認められるためです。例えば、財形貯蓄、組合費、社宅費、親睦会費、団体保険料などが該当します。一般的には就業規則などであらかじめ規定されているケースが多いため、算出する際はそちらを確認しましょう。
関連記事:給与明細の「その他控除」って何?具体例や法定控除との違いを解説
3-6. 支給額の算出
全ての計算の最終ステップです。「総支給額」から「控除額の合計」を差し引き、手取り額を確定させます。
差引支給額 (手取り) = 総支給額 – (社会保険料 + 所得税 + 住民税 + その他控除)
3-7. 給与明細と賃金台帳の作成
法律に基づき、計算結果から給与明細書と賃金台帳を作成します。
・給与明細書
従業員への交付が義務付けられています。支給額、控除額、勤怠の内訳を明記します。なお、従業員の同意を得れば、Web明細などの電子交付も可能です。
・賃金台帳
会社の保管が義務付けられている法定三帳簿のうちのひとつです。法律で原則5年間(当面は3年間)の保存が義務付けられています。
関連記事:給与明細とは?保管期間や注意点、記載項目までくわしく解説
関連記事:法定三帳簿とは?記載事項や保存期間・作成しない場合の罰則を解説
3-8. 給与の振込
確定した差引支給額(手取り額)を、指定された支払日に従業員へ支払います。
従来は従業員が指定する銀行口座へ一括して振り込む方法が一般的でしたが、2023年4月の法改正施行により、加えて「デジタル給与払い」も選択肢となりました。これは、従業員本人の個別の同意と労使協定の締結を前提として、厚生労働大臣が指定した資金移動業者(いわゆる「〇〇ペイ」など)の口座へ給与を振り込む方法です。
ただし、銀行振込であってもデジタル払いであっても、支払日に1円の間違いもなく実行することが給与支払い業務の最終的なゴールです。
参考:資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について|厚生労働省
関連記事:給与のデジタル払いとは?銀行振込との違いとメリット・デメリットを解説
4. 給与計算をおこなう前に知っておくべきこと


給与計算の実務は、労働基準法などの法律に強く拘束されています。担当者は次の原則・ルールを必ず理解しておきましょう。
4-1. 賃金支払い5原則を守る
労働基準法第24条では、賃金の支払い方に5つのルールを定めています。
- 通貨払いの原則:現金(通貨)で支払う。※銀行振込は別途労使協定が必要
- 直接払いの原則:従業員本人に直接支払う。
- 全額払いの原則:税金や社会保険料など、法律で定められたもの以外は控除してはならない。
- 毎月1回以上払いの原則:毎月最低1回は支払う。
- 一定期日払いの原則:「毎月15日」「毎月月末」など、支払日を特定する。
これら「賃金支払い5原則」は、不当な中間搾取や賃金の未払いから労働者を守り、その生活を安定させるために定められた、会社が必ず守るべき重要な取り決めです。
関連記事:賃金支払いの5原則とは?例外や守られないときの罰則について
4-2. 最低賃金ルールを遵守する
給与は、原則として地域別に設定された最低賃金額以上にしなければならないと、最低賃金法に規定されています。この法律は、正社員だけでなく、パートやアルバイトも含めたすべての従業員に適用される仕組みになっています。そのため従業員の賃金が最低賃金を下回っていないか、時給換算して確認が必要です。特に月給制の従業員は見落としやすいため注意しましょう。
時給換算する際は、残業代、通勤手当、家族手当などを除いた賃金額を、「1ヵ月の平均所定労働時間」で割って算出します。
また、最低賃金には「地域別」と「産業別」があり、必ずより高い方の金額を適用しなければなりません。最低賃金は原則毎年10月に改定されるため、このタイミングでの全社的な見直しが必須となります。
関連記事:労働基準法に基づく最低賃金とは?その基準や違反への罰則を解説
4-3. 社会保険の加入要件を確認する
社会保険の加入対象は正社員に限りません。パート・アルバイトであっても、次のいずれかの基準を満たした場合は加入義務が発生するため、手続き漏れがないかを確認します。
【基準1】正社員の「4分の3」基準
週の所定労働時間および月の所定労働日数が、同一事業所で働く正社員の4分の3以上である場合、対象となります。
【基準2】短時間労働者の適用拡大基準
基準1を満たさなくても、次のすべての要件を満たす場合は加入対象となります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 学生ではない ※夜間学生などは加入対象
上記に加えて、次のいずれかの適用事業所で勤務していることも条件です。
- 従業員数が51名以上の特定適用事業所(※)
- 労使合意により短時間労働者にも社会保険を適用する旨の申出をおこなった事業所
- 国または地方公共団体の適用事業所
※「従業員数が51名以上」という会社規模の要件については、将来的にこれを撤廃し、従業員数に関わらず個人の要件(週20時間、月8.8万円など)を満たせば加入対象とする方向で、すでに議論が進められています。
また、従業員が40歳に達した月の給与からは、健康保険料とあわせて介護保険料の徴収が新たに発生します。対象者の年齢を毎月確認し、徴収漏れがないよう注意が必要です。
関連記事:社会保険の加入条件は?労働時間を満たさない場合の対応策まで説明!
4-4. 法改正を随時チェックする
社会保険料率、雇用保険料率、所得税のルール、最低賃金などは、毎年のように改正されるため、常に最新の情報をキャッチアップし、計算に反映させる必要があります。法改正を給与計算に正しく反映させないと、社会保険料・税金の納付ミスにつながります。また、給与支給額(手取り額)に誤りが生じ、未払い・過払い賃金が発生し、担当者の業務負担が増えることにもなるでしょう。
手作業やExcelで給与計算をおこなう場合、法改正のたびに手作業での確認が必要となり、工数とミスのリスクが増大します。さらに、人事担当者がこの業務に追われると、本来やるべきコア業務に集中できなくなるという生産性の問題も生じます。
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5. 給与計算をおこなうときの注意点


給与計算の実務上、特に注意すべき3つのポイントと、その具体的な対策を紹介します。
5-1. 情報漏洩に注意
給与データは、氏名、住所、家族構成、基本給、評価などが含まれる「個人情報の塊」であるため、その取り扱いには細心の注意が求められます。
具体的な対策としては、給与計算システムや関連ファイルへの厳格なアクセス権限管理やパスワード設定はもちろん、扶養控除申告書といった紙書類も施錠可能なキャビネットで物理的な保管が不可欠です。
また、給与明細を従業員に渡す際も、中身が見えないよう封入するか、本人しか閲覧できないWeb給与明細システムを導入するなどの配慮が求められます。
5-2. 計算ミスに注意
残業代の計算漏れや社会保険料の控除間違い、税額の算定ミスなどは、前述の「賃金全額払いの原則」に違反する可能性があり、従業員との信頼関係を大きく損ねます。
これを防ぐため、計算担当者と確認者など、必ず複数名でチェックするダブルチェック体制を構築することが欠かせません。特に、入退社、昇給、扶養家族の変動、40歳到達(介護保険料)など、その月に変動があった従業員をリストアップし、重点的に確認するチェックリストも活用しましょう。
法改正に伴う保険料率の変更や複雑な割増賃金計算など、ヒューマンエラーが起きやすい領域は、給与計算システムによる自動化も根本的な対策となります。
5-3. 端数計算に注意
社会保険料や割増賃金の計算では、1円未満の端数が生じる場合があります。給与計算の担当者は、この処理方法が法律や通達に違反しないように、正しく計算しなければなりません。
対策として、法律で認められている端数処理の方法(50銭未満は切り捨て、50銭以上は1円に切り上げるなど)を就業規則や賃金規程に明確に定めておきましょう。給与計算担当者が変わっても常に一貫したルールで運用できる体制を整えておく必要があります。
6. 計算方法や手順を正しく理解しミスなく給与計算をおこなおう


本記事では、給与計算の年間・月間スケジュールから、実務フロー、そして法的な原則と注意点までを網羅的に解説しました。
給与計算は単なる事務処理ではありません。従業員とその家族の生活を支え、会社への安心と信頼を築くための大前提です。給与計算の流れは「勤怠集計」「支給額計算」「控除額計算」「振込・納付」というステップにわかれ、それぞれに法的なルールが存在します。
毎月の業務をミスなくおこない、法改正にも対応し続けるためには、本記事で解説したフローを元に自社の業務プロセスを標準化し、属人化を防ぐ体制の構築が不可欠です。システムの活用も検討しながら、ミスのない給与計算業務の流れを構築しましょう。
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