タイムカードで計算する簡単な方法は?電卓で勤務時間を集計する計算式も紹介
更新日: 2025.10.7 公開日: 2020.2.29 jinjer Blog 編集部

勤怠管理は、すべての企業において欠かせない重要な業務の一つです。従来は、手書きの出勤簿やタイムカードとタイムレコーダーを用いて従業員の勤務時間を管理している企業が多く見られました。
近年では、勤怠管理システムの導入が進みつつあるものの、依然としてタイムカードによる勤怠管理を続けている企業も少なくありません。本記事では、タイムカードを活用して勤怠管理をおこなっている企業を対象に、労働時間の集計方法や勤怠記録の計算時に注意すべきポイントを解説します。
関連記事:【タイムカードの基本知識】タイムレコーダーと勤怠管理システムはどちらが便利?
目次
毎月の恒例となっている、タイムカードの押し忘れや不備の対応。その場しのぎの確認・修正作業で済ませていませんか?
実はその対応、コンプライアンス違反と隣り合わせかもしれません。
従業員を守り、会社の信頼を維持するためにも、日々の業務効率化と法令を遵守した管理体制の両立が求められます。
◆この資料でわかること
- 法律で定められた正しい「労働時間の管理・記録義務」とは
- ついやりがち?「減給」や「欠勤扱い」に関する法的な注意点
- 押し忘れや府不備を根本から減らすための環境・ルールの設定方法
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1. 無料でタイムカードを集計する方法


タイムカードに記録されている従業員の勤怠記録を集計する手段として、エクセルを用いることが一般的です。しかし、エクセルで正確に集計するためには、関数や計算式を事前に設定する必要があり、一定のスキルが求められます。
そのため、「関数の使い方がわからない」「操作に不安がある」と感じる担当者も少なくないでしょう。ここでは、エクセルを含め、タイムカードを無料で集計する方法について詳しく紹介します。
1-1. 電卓を使って集計する
タイムカードから労働時間を手作業で計算する場合は、電卓を使うのが最もスタンダードな方法でしょう。ただし、時刻同士の引き算は通常の数値計算とは異なり、やや煩雑になるため注意が必要です。ここでは、電卓を使って簡単に労働時間を計算する方法を紹介します。
例えば、出勤時刻が「9:15」、退勤時刻が「19:10」の場合、それぞれ「555分(=9時間×60分+15分)」「1150分(=19時間×60分+10分)」と分に換算します。このように単位を揃えたうえで引き算をすると、拘束時間は「1150分−555分=595分」と計算が可能です。
実際の労働時間は、休憩時間を1時間(=60分)とすれば、拘束時間から休憩時間を差し引き「535分(=8時間55分)」と計算できます。法定労働時間(1日8時間)を超えた55分については、変形労働時間制などを適用していない限り、労働基準法に基づき時間外労働として、1.25倍の割増賃金を支払わなければなりません。
なお、「時間計算」ボタンが搭載されている電卓を用いる場合、60進法に対応できるため、上記のような分に直す作業を省略できる可能性があります。ただし、使用方法や機能は電卓の機種によって異なるので、事前に説明書やマニュアルをよく確認することが重要です。
関連記事:年間での労働時間の計算方法や上限について押さえておきたい4つのポイント
1-2. エクセルを使って計算する
インターネット上には、タイムカードの集計に使えるエクセル関数入りの無料テンプレートが多数公開されています。無料テンプレートにはあらかじめ関数が設定されているため、従業員の出退勤時間を入力するだけで、自動的に労働時間を集計できます。
ただし、エクセルを使う際の注意点として、誤って関数を削除してしまう可能性があります。関数が壊れると正しく集計されなくなるので、テンプレートの操作には十分注意し、必要に応じてバックアップを取っておくことが重要です。
1-3. 無料集計サイトやアプリを使う
タイムカードを集計する方法の一つに、無料集計サイトやアプリを利用する方法があります。これらのツールでは、従業員の出退勤時間を入力するだけで、労働時間を自動で集計できるため、手計算に比べて手間を大幅に削減できます。
エクセルのように関数の誤操作で計算式が壊れる心配もなく、初心者でも扱いやすい点がメリットです。ただし、無料ツールであるので、利用中に広告が表示されることがあり、業務の妨げになるケースもあります。また、多くの無料集計サイトは勤怠の集計機能のみに特化しており、給与計算機能までは備えていないため、給与計算をおこなうには別のツールやシステムの併用が必要です。
関連記事:タイムカード集計にかかる時間を短縮できる3つの方法
2. タイムカードを集計する際の注意点


タイムカードの集計は使用するツールにかかわらず、企業の勤怠管理はもちろんのこと、従業員やアルバイトの正確な給与計算にも直結する重要な業務です。ここでは、タイムカードの集計時に押さえておくべき注意点について具体的に解説していきます。
2-1. 朝礼や着替えなども労働時間に含める
そもそも労働時間とは、使用者(会社)の指揮命令下にある時間のことです。そのため、会社の指示で出席が義務付けられている朝礼や、制服への着替えといった準備時間も、原則として労働時間に含まれます。
例えば、制服への着替えを業務前に会社が義務付けている場合、タイムカードの打刻は「着替える前」におこなう必要があります。同様に、業務後に着替えることが求められているなら、打刻は「着替えた後」にするべきです。
これらの着替えの時間を除外して労働時間を集計すると、労働基準法に違反する恐れがあります。労働時間の正しい定義を理解したうえで、適切にタイムカードを運用しましょう。
2-2. 休憩時間の控除漏れ・残業時間の集計漏れに気を付ける
労働基準法第34条では、労働時間が6時間を超える従業員に対して、休憩時間を与えることが義務付けられています。具体的には、1日の労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は最低45分以上、8時間を超える場合は最低1時間以上の休憩を与える必要があります。
例えば、1日の所定労働時間が6時間のアルバイト従業員を考えてみましょう。通常の勤務であれば1日の労働時間が6時間以下なので、休憩時間の付与は不要です。しかし、1分でも残業が発生した場合、休憩時間の付与義務が生じます。この場合、残業時間に応じて付与すべき休憩時間も変わってきます。
勤怠管理にタイムカードを利用している場合、始業時刻と終業時刻から勤務時間を算出し、所定の休憩時間を差し引くことで労働時間を管理するのが一般的ですできます。そのため、休憩時間の入力欄を設けていないケースも見受けられます。
しかし、残業の有無などによって休憩時間が変動する可能性がある場合は、実際に取得した休憩時間をタイムカードに記録する運用をおこなうことが望ましいでしょう。また、同じように残業が発生した場合は、集計漏れが生じないよう、残業時間を正確に把握・管理できる体制を整備しておくことが重要です。
関連記事:労働時間に対する休憩時間数とその計算方法をわかりやすく解説
2-3. 割増賃金は正しく計算する
従業員が残業をおこない、労働時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える場合には、時間外労働の割増賃金の支払いが必要です。また、深夜帯(原則22時~翌5時)に労働をおこなった場合は深夜労働、法定休日に働いた場合は休日労働にそれぞれ該当し、定められた割増賃金を支払わなければなりません。なお、割増労働の各割増率は、次の通りです。
- 時間外労働(月60時間以下):25%以上
- 時間外労働(月60時間超え):50%以上
- 深夜労働:25%以上
- 休日労働:35%以上
タイムカードを集計する際には、時間外労働・深夜労働・休日労働の各時間を正確に算出し、そのうえで給与計算をおこなう必要があります。集計ミスがあれば、未払い賃金が発生し、従業員とのトラブルや法的リスクにつながる可能性もあるので慎重な対応が求められます。
関連記事:残業による割増率の考え方と残業代の計算方法をわかりやすく解説
2-4. 15分・30分単位の端数切り捨ては原則おこなわない
タイムカードで勤怠を計算する際に、15分単位や30分単位での端数切り捨て(切り上げ)をおこなうことは基本的に違法となるため注意が必要です。
これは労働基準法第24条「賃金全額払いの原則」が根拠の一つとなっています。15分・30分単位で労働時間を集計する場合、実際に働いた時間を切り捨てることになる可能性があり、労働の対価である賃金が全額支払われないことになります。
そのため、タイムカードで労働時間を集計する際は「1分単位」でおこなわければなりません。
ただし、1ヵ月における時間外労働・休日労働・深夜労働それぞれの時間数の合計に1時間未満の端数が生じる場合、30分未満を切り捨て、31分以上を切り上げとする処理は認められています(昭和63年3⽉14⽇ 基発第150号)。
2-5. タイムカードの原本は保管期間が決まっているので注意する
タイムカードで勤怠管理をおこなう場合、集計や計算だけでなく、原本の管理にも気をつける必要があります。管理が不十分だと、不正打刻や記録の改ざんといった問題が発生し、正確な勤怠管理ができなくなる恐れがあります。
また、タイムカードの保管期間は、原則として「最後に記録をした日」から5年間(当分の間は3年間)です。保管が適切でない場合、従業員からの確認依頼や労働基準監督署の調査が入った際に問題視され、労働基準法違反として罰金などの罰則を受ける可能性もあります。そのため、タイムカードは正確に記録・保管し、法令に基づいた管理体制を整えておくことが重要です。
関連記事:タイムカードの保管期間は5年?正しい保管期間と保管方法を徹底解説!
3. タイムカードを使って勤怠管理をするリスク


タイムカードは導入コストが低く、運用も比較的シンプルであることから、多くの企業で採用されている勤怠管理方法の一つです。
しかし、タイムカードによる勤怠管理には、さまざまな問題・課題があります。ここでは、タイムカードを使用して勤怠管理をするリスクについて詳しく紹介します。
3-1. 集計担当者の負担が大きい
タイムカードの記録を手計算でおこなう場合、打刻時間の確認や勤務時間の集計などに多くの時間と労力を要します。とくに出退勤の記録に誤りや記入漏れがある場合には、その都度従業員に確認をとる必要があり、作業効率が大幅に低下します。
さらに、従業員数が増えるほど作業量は比例して増加し、勤怠管理を担当する人の業務負担が重くなる傾向にあります。このような負担は、集計ミスの原因にもなりやすく、結果として給与計算の遅延やトラブルにつながるリスクも否定できません。
3-2. リアルタイムで計算するのが難しい
タイムカードの集計作業は、時間と手間がかかることから、月末や締日にまとめて実施されるのが一般的です。この場合、従業員の勤務実態をリアルタイムに把握することが難しいです。
例えば、36協定を締結・届出している場合、一定の範囲で時間外労働や休日労働が可能になりますが、それぞれに上限が設けられています。リアルタイムで労働時間を確認できない状態では、月末の集計時に初めて上限を超えてしまっていたことに気付くといった事態が発生する可能性もあります。
関連記事:36協定における残業時間の上限を基本からわかりやすく解説!
3-3. 紛失や改ざんの不正が起きやすい
紙のタイムカードの記録は、紛失や破損といった物理的リスクがあるほか、記録内容の改ざんといった不正が発生しやすいという問題もあります。
例えば、出勤時間を後から書き換えたり、代理で打刻してもらったりするといった不正行為は、管理者の目が届きにくい環境では見逃されがちです。このような不正が常態化すれば、勤怠管理の信頼性が損なわれるだけでなく、組織全体のモラル低下にもつながりかねません。
関連記事:タイムカードの改ざん・不正打刻は違法!懲戒処分できる?正しい対処や防止策とは
3-4. リモートワークや直行直帰に対応できない
紙のタイムカードは、オフィスに出社することを前提とした勤怠管理の方法です。そのため、リモートワークや直行直帰といった働き方を採用している場合、オフィスに出社しないため打刻できず、正確に勤怠管理できない可能性があります。
このようにタイムカードには集計の手間だけでなく、運用上の問題点も多く見受けられます。このような課題に対応するためにも、より柔軟な勤怠管理の方法を検討してみることが大切です。
4. より簡単に勤怠管理や給与計算をおこなう方法


タイムカードの計算・集計業務に負担を感じている担当者も少なくないでしょう。とくに従業員数が多い企業では、手作業による勤怠集計や給与計算が大きな業務負担となりがちです。
ここでは、タイムカードによる勤怠管理や給与計算を効率化する具体的な方法について詳しく紹介します。
4-1. アウトソーシングを活用する
タイムカードを用いて労働時間を集計し、給与計算をおこなう際には、「1分単位での集計」や「割増賃金の正確な計算」など、さまざまな点に注意が必要です。集計ミスや計算間違いがあれば、正しく賃金が支払われず、従業員とのトラブルにつながる恐れもあります。
もし社内での対応に限界を感じている場合は、業務の一部をアウトソーシングすることも選択肢の一つです。タイムカードの集計や給与計算を外部の専門業者に委託することで、担当者の業務負担を軽減し、作業の効率化や人的ミスの削減が期待できます。
ただし、アウトソーシングには一定のコストがかかるうえ、セキュリティやコンプライアンスの観点からも慎重な判断が求められます。信頼できる業者を選定するためにも、料金体系やサービス内容、過去の実績、サポート体制などを十分に確認し、自社のニーズに合った委託先を選びましょう。
関連記事:給与計算の代行・アウトソーシングのメリット・デメリットと料金相場を紹介!
4-2. 勤怠管理システムを導入する
先述のとおり、タイムカードを用いた勤怠管理にはさまざまなリスクがあります。そのため、タイムカード以外の方法で勤怠管理をおこなうことも一つの方法でしょう。
タイムカードの代わりとして最近増えているのが「勤怠管理システム」の導入です。勤怠管理システムは、打刻だけでなく、有給休暇の申請・管理、日々の労働時間の自動集計、さらには給与計算ソフトとの連携など、多機能な点が特長です。
また、PCやスマホ、ICカードなどの多様な打刻方法が搭載されている点も魅力といえます。GPS機能や顔認証機能を備えたシステムを活用すれば、直行直帰が多い営業職や派遣スタッフなどの勤怠も、より正確に管理することが可能になります。
ただし、勤怠管理システムを導入する際には注意点もあります。例えば、初期費用・月額利用料が発生するほか、社内ルールの見直しや運用マニュアルの整備、従業員への周知・教育といった導入に伴う業務負荷が避けられません。
さらに、業務用のPCやスマホを全従業員が所持していない場合、私用スマホへのアプリインストールを依頼することになり、「インストールができない」「操作方法がわからない」といった問い合わせやトラブルが多発する可能性もあります。導入にあたっては、企業規模や職種の特性、既存の業務環境に適しているかを慎重に見極めたうえで、システム選定と運用設計をおこなうことが重要です。
当サイトでは「【課題別】勤怠管理システムを使用したタイムカードの課題解決BOOK」という資料を無料配布しております。本資料ではタイムカードから勤怠管理システムに乗り換えた場合の勤怠管理の方法やメリットなどを実際のシステム画面もみながら理解することができます。タイムカードでの計算は手間がかかるので、将来的にはシステムも検討したいと思っている方にとっては大変参考になる資料となっております。ぜひこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
5. 社内の実態に合わせて、適切な勤怠管理の方法を選択しよう


本記事では、タイムカードを使用した勤怠管理における計算方法や注意点について解説してきました。近年では、Web上で提供されている無料の勤怠計算ツールを活用することで、手軽に勤怠管理をおこなうことも可能です。
このようなツールは、少人数の企業や小規模チームにとっては実用性が高く、導入のハードルも低いといえます。一方で、従業員数が増加すると管理が煩雑になり、対応が難しくなるケースもあるので注意が必要です。そのため、自社の規模や働き方、管理体制を踏まえて、最適な勤怠管理のシステムや仕組みを検討・導入することが重要です。



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