同一労働同一賃金とは?法改正の背景・目的や不合理な待遇差の禁止についてわかりやすく解説
更新日: 2025.7.22 公開日: 2022.1.19 jinjer Blog 編集部

同一労働同一賃金は、2018年7月6日に公布された「働き方改革関連法」により導入されました。この原則により、企業は正社員と非正規社員(パートタイマーや有期雇用労働者)との不合理な待遇差の解消に取り組む必要があります。
現在は大企業・中小企業を問わず、待遇の見直しや人事制度の改善が求められています。制度を正しく運用するには、その背景や考え方の理解が不可欠です。本記事では、同一労働同一賃金とは何か、その仕組みや導入の背景と目的、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。
関連記事:同一労働同一賃金はいつから適用された?ガイドラインの考え方や対策について
目次
意図せず不合理な待遇差を放置してしまうと、思わぬ労使トラブルに発展する可能性があります。
企業の信頼性を守るためにも、客観的な視点での定期的な見直しが不可欠です。
◆押さえておくべき法的ポイント
- 「均衡待遇」と「均等待遇」の判断基準
- 企業に課される「待遇に関する説明義務」の範囲
- 万が一の紛争解決手続き「行政ADR」の概要
最新の法令に対応した盤石な体制を構築するために参考になりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 同一労働同一賃金とは?


そもそも「同一労働同一賃金」とは、正社員と非正規雇用労働者の不合理な待遇差をなくすための原則のことです。
この原則は、雇用形態にかかわらず、仕事内容や責任の程度が同じであれば、同じ待遇を受けるべきという考えに基づいています。厚生労働省は、同一労働同一賃金の原則を導入する理由を次のように説明しています。
1-1. 同一の仕事に対し同一の賃金を支払う原則のこと
同一企業内における正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けられるようにして、多様で柔軟な働き方を「選択できる」ようにします。ここでいう「非正規雇用労働者」とは、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者のことを指します。最近は非正規雇用の方でも、正社員と同等の仕事をこなすケースが増えてきました。
同一労働同一賃金の導入により、仕事の内容や責任範囲が同じ場合は、非正規雇用の方でも正社員と同等の待遇が受けられるようになります。そのほか、同一労働同一賃金の原則には、「労働者に対する待遇に関する説明義務の強化」「裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備」といった項目も盛り込まれています。詳しくは次の章で解説します。
関連記事:同一労働同一賃金で業務における責任の程度はどう変化する?
1-2. 賞与・手当・福利厚生・教育訓練も対象
同一労働同一賃金は、基本給だけでなく、以下のようなさまざまな待遇も対象に含まれます。
- 賞与・ボーナス
- 各種手当(役職手当や特殊手当、皆勤手当、割増手当など)
- 福利厚生
- 教育訓練
このように「賃金」だけでなく、福利厚生や教育訓練などの待遇全般が対象となっています。ただし、必ずしも正社員とパート・アルバイトなどの有期雇用労働者との待遇をすべて同じにしなければならない、というわけではありません。重要なのは、その待遇の違いに「不合理な差」がないかどうかです。
例えば「正社員には特別休暇を付与するが、有期雇用労働者には付与しない」といった取り扱いをする場合、その差を設ける合理的な理由があるかどうかが問われます。合理的な説明ができない場合には、その待遇差について見直しや是正が求められる可能性があります。
関連記事:同一労働同一賃金で賞与はどうなる?契約社員やパートを賞与なしにするリスク
2. 同一労働同一賃金で規定された派遣・非正規の待遇における3つのルール


まずは同一労働同一賃金の導入によって変わる3つのポイントを確認しましょう。
2-1. 不合理な待遇差の禁止
同一労働同一賃金により、同一企業内における正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されています。具体的には「均衡待遇」「均等待遇」の2つを実現しなければなりません。
| 均衡待遇 | 業務の内容や責任の程度の違いに応じ、合理的な待遇差を設ける |
| 均等待遇 | 業務の内容や責任の程度などが全く同じ場合は差別的取り扱いを禁止する |
同一労働同一賃金の導入により、パートタイム労働者・有期雇用労働者いずれも均等待遇規定が設けられ、職務内容が同一の場合は企業が同一の賃金を支給しなければなりません。とくに非正規雇用労働者のなかでも有期雇用労働者の場合、これまで「均等待遇」についての規定がありませんでした。
また、「均衡待遇」の規定も明確化され、職務内容の違いに応じ、合理的でバランスのとれた基本給、賞与、役職手当、食事手当、福利厚生、教育訓練などを支給する必要があります。均等待遇・均衡待遇の具体的事例については、そのつど厚生労働省のガイドラインで確認することが可能です。
参考:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)第8条、第9条|e-Gov法令検索
参考:同一労働同一賃金ガイドライン(厚生労働省告示第430号)|厚生労働省
関連記事:同一労働同一賃金で交通費はどうなる?判例や課税について解説
2-2. 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
これまで企業は非正規雇用労働者に対し、正社員との待遇差の内容や理由について説明する義務がありませんでした。
しかし、同一労働同一賃金の導入により、企業は非正規雇用労働者の雇入れの際や、労働者の求めがあった場合、労働者の待遇の内容や理由について説明をおこなう義務が生じます。
また、説明を求めた労働者について、不利益取り扱いをしてはいけないことについても法律で定められるようになっています。
参考:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)第14条|e-Gov法令検索
関連記事:同一労働同一賃金の説明義務はどう強化された?注意点や説明方法も解説
2-3. 裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
企業と非正規雇用労働者の間で紛争が生じた場合、新たに都道府県労働局が助言・指導・行政ADRをおこないます。行政ADRとは、事業者と労働者の間の紛争を、裁判によらずに解決する手続きを指します。
行政ADRはパートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者の全ての非正規雇用労働者が対象です。
参考:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)第23条、第24条|e-Gov法令検索
関連記事:パートタイム・有期雇用労働法の内容を分かりやすく解説
3. 同一労働同一賃金が適用された法改正の背景・目的と影響


そもそも、なぜ同一労働同一賃金の原則が適用されたのでしょうか。その背景には、非正規雇用労働者の増加と、正社員との間に生じる不合理な待遇差の是正が強く求められたことがあります。
厚生労働省の統計によると、1984年には非正規雇用労働者の割合は全体の15.4%にとどまっていましたが、2020年には37.2%にまで増加しました。このように非正規雇用が社会の大きな割合を占めるようになったことで、正社員との待遇差が深刻な課題となってきました。
さらに、非正規雇用労働者は正社員に比べて教育や研修の機会が少なく、スキルアップの支援制度も不十分であるなど、格差を解消する仕組みが整っていない実態も指摘されています。こうした課題に対応するために、政府は「同じ仕事には同じ待遇を」という原則を明確に打ち出し、不合理な待遇差の解消を目指す制度改革として、「同一労働同一賃金」の導入を進めることとなりました。
関連記事:同一労働同一賃金で各種手当はどうなる?最高裁判例や待遇差に関して
3-1. 大企業だけでなく中小企業にも適用されている
同一労働同一賃金の導入時期は、大企業・中小企業それぞれで異なります。同一労働同一賃金の考え方が明確化されたのは、「パートタイム・有期雇用労働法」においてです。
パートタイム・有期雇用労働法は、大企業では2020年4月1日、中小企業では2021年4月1日に施行されています。なお、中小企業に該当するのは以下の条件のいずれかを満たす場合です。
| 業種 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する労働者数 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 100人以下 | |
| 卸売業 | 1億円以下 | |
| その他(製造業、建設業、運輸業など) | 3億円以下 | 300人以下 |
参考:パートタイム・有期雇用労働法の施行にあたっての中小企業の範囲|厚生労働省
現在は企業の規模に関係なく、同一労働同一賃金の原則が適用されています。法令やガイドラインを確認しながら、同一労働同一賃金の考え方を適切に取り入れ、公正な待遇を実現することが求められています。
関連記事:同一労働同一賃金で中小企業が受ける影響や対応しない場合のリスクを解説
3-2. 同一労働同一賃金の実現に向けて企業はどう対応すべき?
同一労働同一賃金の実現に向けて、企業はどのように対応すべきでしょうか。厚生労働省が作成した「同一労働同一賃金ガイドライン」では、企業が対応すべきポイントを「基本給」「賞与」「各種手当」「福利厚生・教育訓練」の4つに分けています。
|
基本給 |
などの給与については、実感に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給をおこなう |
|
賞与やボーナス |
同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給をおこなう |
|
各種手当 |
同一の内容の役職には同一の、違いがあれば違いに応じた支給をおこなう |
|
福利厚生や教育訓練 |
などの福利厚生については、同一の利用・付与をおこなう また、教育訓練についても同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施をおこなう |
同一労働同一賃金への対応内容を決める際は、必ず厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」を参照しましょう。
また当サイトでは、本記事で解説した同一労働同一賃金に関して、図を用いながら解説した資料を無料で配布しております。基礎知識からメリット・デメリット、企業が対応すべきことまでをまとめておりますので、自社の対応に不安があるご担当者様は、こちらから「同一労働同一賃金 対応の手引き」をダウンロードしてご確認ください。
関連記事:同一労働同一賃金における福利厚生の待遇差や実現するメリットとは
4. 同一労働同一賃金の仕組みを導入・実現するまでの流れ


実際に同一労働同一賃金を実現するためには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。ここでは、同一労働同一賃金の仕組みを導入・実現するまでの流れについて紹介します。
4-1. 労働者の雇用形態を確認する
まずは自社で雇用しているすべての労働者について、その雇用形態を正確に把握することが重要です。パートタイマーや契約社員など、短時間労働者や有期雇用労働者がいる場合には、「同一労働同一賃金」の実現に向けた適切な制度や環境の整備が求められます。
4-2. 待遇の状況を整理する
次に、雇用形態ごとに基本給、賞与、各種手当(住宅手当や役職手当など)、福利厚生、教育訓練などの待遇内容を整理しましょう。紙媒体やデジタルツールを活用して、一覧表や比較表を作成することで、現状の違いや課題が視覚的に把握しやすくなります。
4-3. 待遇の違いがある理由を明確にする
整理した待遇の違いについて、それぞれにどのような理由があるのかを明らかにしましょう。例えば、正社員に支給している各種手当を洗い出し、短時間労働者や有期雇用労働者との支給有無や内容の違いを一つひとつ確認することで、抜けや漏れなく整理ができます。
待遇に差がある場合は、業務内容や責任の程度、職務の成果、転勤の有無、勤続年数、勤務日数・時間数といった要素に基づき、合理的な説明ができるかを検討する必要があります。なお、雇用形態の違いだけを理由に待遇差を設けており、実際の業務内容や責任に差がない場合には、合理性が認められない可能性があるため注意が必要です。
4-4. 不合理な待遇の違いがある場合は早期に改善をする
正社員と非正規社員との間に見られる待遇の違いについて検討した結果、合理性が認められない場合は、速やかに改善をおこなう必要があります。仮に「不合理ではない」と説明できる場合でも、より公正で望ましい雇用環境の実現に向けて、改善の余地がないか検討することも望ましいでしょう。
具体的な改善策としては、非正規社員の待遇を引き上げる、あるいは制度全体を見直し、雇用形態にかかわらず統一的なルールとすることなどが考えられます。改善を実施する際には、対象となる労働者に対し、内容や背景を丁寧に説明し、理解と納得を得ながら進めることが重要です。さらに、改善後も定期的に実態を把握し、必要に応じて継続的な見直しをおこなう仕組みを整えることが求められます。
参考:パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書|厚生労働省
関連記事:同一労働同一賃金の抜け道とは?非正規雇用労働者の対応についても紹介
5. 同一労働同一賃金によるメリット


同一労働同一賃金を導入すれば、非正規労働者のやりがいやモチベーションが高まります。
また、求職者や職場復帰の増加にともない、人材不足の解消にもつながります。ここでは、同一労働同一賃金のメリットを企業目線・労働者目線でそれぞれ解説します。
5-1. 企業側の3つのメリット
企業側から見た同一労働同一賃金のメリットは3つあります。
①非正規雇用労働者のやりがいやモチベーションが高まる
雇用形態を問わず、職務内容が同一の労働者に同一の基本給、賞与、役職手当、食事手当、福利厚生、教育訓練を提供することで、非正規雇用労働者のやりがいやモチベーションが高まります。
関連記事:同一労働同一賃金での慶弔見舞金の扱いとは?考え方も解説
②求職者や職場復帰が増加し、人材不足を解消できる
正社員と非正規雇用労働者の待遇格差を是正し、より魅力的な労働条件を提示することで、非正規雇用の求職者や職場復帰者が増加します。
より多くの労働力を確保できるため、人材不足を解消できます。
関連記事:同一労働同一賃金における60歳以上の定年後再雇用の扱いとは
③非正規雇用労働者のスキルアップにつながる
同一労働同一賃金のポイントは、賃金面の格差だけでなく、教育訓練の機会の格差を是正する点にあります。
非正規雇用労働者の教育機会を増やし、正社員と同等の教育訓練を受けさせることで、以前よりもスキルアップにつながりやすくなります。
5-2. 労働者側の3つのメリット
労働者側から見た同一労働同一賃金のメリットは次の3つです。
①待遇についての説明を受けられ、安心して働ける
同一労働同一賃金の導入により、企業は正社員と非正規雇用労働者の待遇差の内容や理由について説明をおこなう義務が生じます。自身の待遇に疑問があった場合、労働者がいつでも質問できるため、安心して働けるようになります。
企業は労働者に対し、いつでも説明に応じられるよう均衡待遇・均等待遇について要点を整理しておくことが大切です。
関連記事:無期雇用は同一労働同一賃金の対象外!リスクや高齢者の特例措置も解説
②ライフスタイルに合わせた多様な働き方を実現できる
出産・育児・介護などにより、やむをえず正社員ではなくパートタイムで働く方も少なくありません。非正規雇用労働者と正社員の不合理な待遇差を解消することで、パートタイムの労働者が正社員と同等の待遇で働けるようになります。
ライフスタイルに合わせた多様な働き方を実現し、パートタイムの労働者にとってより魅力的な職場づくりにつながります。
関連記事:労使協定方式や同一労働同一賃金における派遣会社の責任について
③非正規雇用からキャリアアップを目指せる
非正規雇用労働者の教育訓練を拡充することで、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者の活躍の場が広がり、キャリアアップを目指しやすくなります。
少子高齢化の進行により、多くの業界で労働力不足が懸念されています。正社員登用だけでなく、非正規雇用からもキャリアアップを目指せるようにすることで、将来的な人材不足への備えになります。
関連記事:定年後再雇用は同一労働同一賃金の対象になる?メリット・デメリットも解説
6. 同一労働同一賃金によるデメリット


同一労働同一賃金の導入には注意すべき点もあります。例えば、企業側にとっては、人件費の増加への対応や、最新の法令に則った人事制度の見直しが必要になることです。
また、労働者の立場から見ても、「正社員の待遇が見直され、かえって条件が悪化する可能性がある」「非正規雇用の採用枠が縮小される可能性がある」といった懸念もあります。このようなデメリットを理解したうえで、それらを解消できるような公正で持続可能な人事制度の構築を目指していきましょう。
6-1. 企業側の2つのデメリット
企業側から見た同一労働同一賃金のデメリットは2つあります。
①人件費が増加する可能性がある
同一労働同一賃金の実現のため、人件費が増加する可能性があります。
労働契約法第9条により、就業規則に記載のない場合、正社員の給与を労働者の同意なしに引き下げることはできません。そのため、非正規雇用労働者と正社員の待遇差の改善には、原則として非正規雇用労働者の給与引き上げが必要です。
また、基本給や各種手当の引き上げにとどまらず、福利厚生や教育訓練を充実するためのコストも考慮しなければなりません。非正規雇用労働者の割合が多い場合、同一労働同一賃金の導入後、人件費が一気に高騰することも懸念されます。
関連記事:同一労働同一賃金の退職金の扱いとは?注意点や確認すべきポイント
②新たに人事制度などを再構築する必要がある
同一労働同一賃金の実現にともない、就業規則や社内規則、賃金規程、人事制度などの大幅な見直しが必要になる場合があります。
例えば、基本給や各種手当に変更がある場合、就業規則の改定が必要です。また、社内ルールに大きな変更がある場合、社員への説明も求められます。就業規則の改定や、正社員・非正規雇用労働者それぞれに向けた説明用の書式作成など、同一労働同一賃金の実現には念入りな準備が必要です。
労務管理システムを導入する場合も、同一労働同一賃金に対応した書式が用意されているなど、法改正に対応したサービスを選びましょう。
関連記事:同一労働同一賃金で就業規則の見直しは必要?待遇差の要素や注意点
6-2. 労働者側の2つのデメリット
労働者側から見た同一労働同一賃金のデメリットは2つあります。
①既存の正社員の待遇が悪化する可能性がある
そもそも「パートタイム・有期雇用労働法」が制定された目的は、パートタイムや有期雇用労働者の待遇を改善し、正社員との格差を是正する点にあります。
しかし、現実には企業が人件費の高騰を避けるため、やむをえず既存の正社員の給与ダウンや賞与カットを実施し、正社員と非正規雇用労働者の均等待遇を実現するケースもあります。その場合、既存の正社員の待遇が悪化し、労働者の満足度が低下する恐れがあります。
同一労働同一賃金を実現するときは、既存の労働者に十分説明を尽くしたうえで、均衡待遇・均等待遇の2つの理念に基づいて待遇を考えることが大切です。
関連記事:パートタイム・有期雇用労働法による賞与規定を詳しく解説
②非正規雇用の受け入れが縮小される可能性がある
人件費の圧迫を恐れ、非正規雇用労働者の受け入れ縮小や派遣切りがおこなわれる可能性があります。
とくに人件費削減が急務である中小企業の場合、非正規雇用労働者の割合が比較的多いため、均衡待遇・均等待遇の実現により経営悪化を招くケースもあります。
そのため、非正規雇用労働者の待遇改善がおこなわれる一方で、非正規雇用の受け入れが縮小されるリスクがあります。
このように同一労働同一賃金の実現にはメリットだけでなくデメリットもあります。あらかじめ社員に説明をおこなったうえで、正社員・非正規雇用労働者の双方に理解の得られる形で人事制度を整備することが大切です。
関連記事:同一労働同一賃金の問題点と日本・海外との考え方の違いを解説!法改正の影響とは?
7. 同一労働同一賃金の理念を理解し、早急に「法違反」からの脱却を


2018年6月29日に「働き方改革関連法」が成立し、7月6日に公布されたことで、同一労働同一賃金の導入が制度として位置づけられました。制度の適用は、大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月から本格的に開始され、現在では企業規模を問わず、すべての事業者に適用されています。
制度の導入・運用にあたっては、厚生労働省が公表している「同一労働同一賃金ガイドライン」や「同一労働同一賃金取組手順書」を参考にし、正しい手順で人事制度の整備を進めましょう。同一労働同一賃金の考え方を正しく理解することが、企業における働き方改革の第一歩となります。



意図せず不合理な待遇差を放置してしまうと、思わぬ労使トラブルに発展する可能性があります。
企業の信頼性を守るためにも、客観的な視点での定期的な見直しが不可欠です。
◆押さえておくべき法的ポイント
- 「均衡待遇」と「均等待遇」の判断基準
- 企業に課される「待遇に関する説明義務」の範囲
- 万が一の紛争解決手続き「行政ADR」の概要
最新の法令に対応した盤石な体制を構築するために参考になりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
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