勤怠管理とは?意味や目的・必要性など基礎知識から人事総務向けの注意点
人事や労務、総務の担当者となれば触れる機会も多い勤怠管理。しかし、すべての企業に絶対的に合う勤怠管理はなく、企業ごとに適切な勤怠管理の手法が異なります。
勤怠管理の手法を変更、導入する際には、自社の規模や働き方の傾向を理解し、自社にあった勤怠管理をおこなうことが重要となります。
本記事では、冒頭で勤怠管理の重要性を明確にしたうえで、勤怠管理にはどのような種類があるのか、また自社にとってどの管理手法が適切なのかということを事例を交えてご紹介いたします。
働き方改革が始まり、法改正によって労働時間の客観的な管理や年次有給休暇の管理など、勤怠管理により正確さが求められることとなりました。
しかし、働き方改革とひとことで言っても「何から進めていけばいいのかわからない…」「そもそも、法改正にきちんと対応できているか心配…」とお悩みの人事担当者様も多いのではないでしょうか。
そのような方に向け、働き方改革の内容とその対応方法をまとめた資料を無料で配布しておりますので、法律にあった勤怠管理ができているか確認したい方は、こちらから「中小企業必見!働き方改革に対応した勤怠管理対策」のダウンロードページをご覧ください。
目次
1. 勤怠管理とは
勤怠管理とは、使用者や勤怠管理担当者が従業員の労働時間を適正に把握し管理することです。労働時間の適正な把握とは、単に1日何時間働いたかということだけではなく、労働日ごとに始業時刻や終業時刻を担当者が確認・記録し、これをもとに従業員が何時間働いたかを管理することです。
また、始業時刻や終業時刻のみならず、休憩時間や欠勤、遅刻、早退、有給休暇の取得状況などを把握する必要があります。これは過重労働の抑止だけでなく、適切な人材配置、従業員の労働生産性の向上を考える上では欠かせないものとなります。
関連記事:勤怠管理とは?目的や方法、管理すべき項目・対象者など網羅的に解説!
1-1. 勤怠管理の目的
勤怠管理にまつわる社会の問題として、「過剰な時間外労働などといった長時間労働の問題」「有給休暇の低取得率」「リモートワーク下における不正打刻やオーバーワーク」などが挙げられます。企業によって状況は異なりますが、これらの問題が今起きているのか現状把握や、起きてしまっている場合どのような解決方法をとるか検討するためにも勤怠管理は重要なものなのです。
関連記事:タイムカードのない会社は違法?正しい勤怠管理について解説
2. 勤怠管理で記録・把握すべき項目8つ
厚生労働省が発表している「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によると、使用者は各労働者の労働日ごとの始業と終業の時間を勤怠管理として確認・記録しなくてはならないとしています。
この他にも、賃金台帳には給与計算の基礎となる項目別に従業員の労働時間等を記入する必要があるため、勤怠管理で確認・記録すべき内容について一つずつ確認していきましょう。
関連記事:勤怠管理は何をチェックするべき?用意すべき法定三帳簿とは?
2-1. 出退勤の時間
勤怠管理の基本は、従業員ごとの出退勤の時間を労働日ごとに記録することです。出退勤の時間は、ただ「会社に来た時間」ではなく、実際に労働が始まった時間と終わった時間を確認・記録する必要があります。
また、遅刻・早退・中抜けの時間があったかもわかるようにしておきましょう。遅刻や早退による賃金控除を計算する際に必要になるためです。
関連記事:勤怠管理における遅刻早退の控除の取り扱いや処理の方法について
出社・退社と出勤・退勤の違い
従業員の勤怠状況を把握するうえで、疑問に上がる出社と出勤、退社と退勤の違いを確認しておきましょう。
出社や退社は会社など事業場に来て帰った時間である一方、出勤と退勤は、仕事を始めた時間と終えた時間といえます。
両者を区別して考える必要があるのは、「労働時間にあたるのかどうか」を判断しなくてはならないためです。労働時間に対しては賃金を支払う義務があるため、会社にいた時間ではなく、実際に労働をした時間であるかどうか、つまり出退勤の時間が重要になってきます。
2-2. 労働時間
労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下にある時間とされています。
「これは労働時間でない」と思っていても、制服への着替えや強制参加の研修などは「労働時間」に含まれるため、注意しましょう。
また、労働時間は1分単位で記録しなくてはならず、丸めによる切り捨てや切り上げは労働者にとって不利になる場合、違法となる可能性が高いです。
関連記事:勤怠管理の丸めとは?処理方法の基本と丸めの違法性について解説
2-3. 休憩時間
労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間の休憩時間を従業員にとらせなくてはならないとしています。
休憩時間は従業員が労働から完全に離れていなくてはならないため、お昼休憩中の電話番などは「手待ち時間」といい、休憩時間にはなりません。休憩をしっかりと取得させられているか、確認する必要があります。
関連記事:勤怠管理における休憩時間の取り扱いとは?労働基準法の基礎知識を解説
関連記事:勤怠管理において業務時間内の中抜けをどう扱うべき?
2-4. 時間外労働時間
時間外労働時間とはいわゆる「残業」のことで、「1日8時間、週40時間」を超えて労働させた場合の時間を指します。
時間外労働時間には25%以上の割増率で割増賃金の支払いが必要であるため、単に「10時間労働した」などではなく、「8時間労働と2時間の時間外労働時間があった」などと分けて記録しておく必要があります。
2-5. 深夜労働時間
深夜労働とは、22時~5時の深夜時間での労働を指します。
深夜労働も時間外労働と同じく25%以上で割増賃金の支払いをする必要があるため、分けて記録しておく必要があります。なお、時間外労働が深夜時間に及んだ場合の割増率は50%以上となるため、こちらも分けて管理しておきましょう。
また、深夜労働は労働者の健康に与える影響が大きいため、業務の割り振りや労働時間の調整が重要です。企業は、深夜勤務を必要最小限に抑え、従業員が十分な休息を取れるよう配慮することが求められます。これにより、過労のリスクを軽減し、従業員のストレスを緩和することが可能となります。
2-6. 休日労働時間
休日労働時間とは、法定休日に労働を行うことです。法定休日とは、労働基準法で定められている従業員にとらせなくてはならない休日で、1週間に1日、もしくは4週を通じて4日を与えるべきとされています。
法定休日に労働があった場合にも35%以上の割増率で割増賃金の支払いが必要であるため、分けて勤怠管理する必要があります。
2-7. 欠勤日数
従業員が休暇・休業ではなく体調不良などで仕事を休んだ日も、きちんと日数を記録しておきましょう。
欠勤控除を行う場合に、欠勤日数が何日あったかが必要になるためです。また、適正な勤怠管理を行うことで、従業員の健康状態を把握し、過度な欠勤が続く場合には必要なサポートを提供することが可能となります。
これにより、企業は従業員が快適に働ける環境を整え、働き方改革にも貢献することができます。
関連記事:勤怠控除とは?計算方法と注意するべきポイントを紹介
2-8. 年次有給休暇の取得状況・残数
従業員がどれくらい労働したかだけでなく、勤怠管理では年次有給休暇の管理もしなくてはなりません。労働基準法では、従業員ごとに何日間の有給休暇をいつ付与し、いつ取得したかについて管理帳簿に記載し5年間(当分の間は3年間)保管しなくてはならないとしています。
また同法では、同一の労働場所で6か月以上働いた労働者は、最低でも5日間の有給休暇の取得を定めており、人事労務担当者は条件を満たす従業員の有給休暇の取得状況を把握しなければなりません。
関連記事:勤怠申請の必要性と勤怠管理が簡単になるおすすめのシステムについて
関連記事:適切な勤怠管理でトラブルを防ぐ | 承認時に注意すべきポイント
3. 勤怠管理の必要性とは?重要な理由
従業員数に関わらず、企業は全従業員の労働時間を把握することが法律によって義務付けられています。加えて、労働時間には労働基準法で一日8時間、週40時間と定められていることから、企業は労働時間の把握と労働時間の調整をしなければならないのです。
また、昨今の働き方改革による影響も大きいといえます。ここでは、4つの点からなぜ勤怠管理が重要なのかをご紹介します。
3-1. 正しい給与計算と賃金支払いのため
勤怠管理の目的として一番に挙げられるのが、正しい給与計算のためでしょう。
賃金は従業員の労働実績に基づいて支払われるものですが、残業や深夜労働など割増賃金が必要な時間などをきちんと管理して記録しておかなければ、正しい金額の賃金を求めることができません。
正確な給与計算ができず残業代未払いなどが問題になると、訴訟に発展するリスクや社会的信用を損なってしまう可能性もあるため、正確な勤怠管理が求められます。
関連記事:勤怠の締め作業の重要性とは?重要性や効率的に管理する方法をご紹介!
3-2. 従業員の健康管理のため
勤怠管理が必要な理由として、もう一つおさえておきたいのが従業員の健康管理です。近年では、過度な残業による過労死や精神不調が社会問題となっていますが、長時間労働を防ぎ、従業員の心身の健康を守るためにも勤怠管理は重要です。
また、労働時間の過剰や休憩の不足は、従業員の劣悪な労働環境をもたらし、結果的に企業全体の生産性にも影響を与えるため、正確な勤怠管理を通じて安定した労働条件を整備することが不可欠です。さらに、企業が健全な労働環境を提供することは、従業員のモチベーション向上や離職率の低下につながり、継続的な成長を促す要因となります。このように、勤怠管理は企業の経営戦略の一環としても、十分な注意が必要です。
3-3. 労働基準法遵守のため
労働基準法では、労働時間を「1日8時間、週40時間」までとしています。この他にも、残業と休日労働について労使間で結ぶ36協定についても残業時間の上限が設けられており、これを超えることはできません。
特に、2019年4月には働き方改革の一環として残業時間に上限規制が罰則付きで設けられ、従業員の過重労働に対する取り締まりが一層厳しくなっているため、より厳密な労働時間管理が求められています。
関連記事:法律改正で変わる勤怠管理 | 2019年4月より改正された労働基準法を徹底解説
関連記事:勤怠管理で気をつけるべきルールとは?見落とせない法律も解説!
3-4. 働き方改革に対応するため
総務省統計局「労働力調査」では、働き方の多様化が見て取れます。非正規雇用の従業員数は年々増加傾向にある一方で、正規雇用の従業員は微減傾向にあるため非正規雇用の従業員の割合が拡大しています。
また、子育てのしやすい環境作り、通勤ラッシュを避けるなどの目的のために、勤務時間・勤務場所に一定の自由度が必要になりました。そこで、フレックスタイムやリモートワークなど働き方の多様化への対応が求められています。周りの企業が働き方に多様性を持たせる中で、柔軟に対応できない企業は淘汰されてしまいます。働き方の多様化によって、各従業員の働き方に合わせた勤怠管理が、より必要不可欠なものになっているのです。
さらに、働き方改革にともなう労働基準法の改正によって新たに管理が義務化された内容や罰則が設けられた内容もあり、勤怠管理はますます重要度が高まっています。
当サイトでは法改正の内容を改めて確認しておきたい方に向け、2019年にあった法改正の内容とその対応策・必要になった勤怠管理についてまとめた資料を無料で配布しておりますので、ご興味のある方はこちらよりダウンロードページをご覧ください。
関連記事:労働時間の労働基準法違反で企業が受ける罰則と違反しないための対策とは
4. 勤怠管理における対象者とその例外
勤怠管理は、すべての従業員に対して行われるべきですが、特定の条件や職務において例外が存在します。対象となる範囲と、ならない範囲を明確に理解することは、効果的な勤怠管理の実施に繋がりますので正しくポイントを押さえておきましょう。
4-1. 勤怠管理の対象となる人
2017年に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が策定され、2019年の労働安全衛生法の改正により客観的な記録を用いて従業員の労働時間を把握することが義務化されました。
このガイドラインには勤怠管理の対象となる人の条件が書かれており、裁量労働制の適用者や管理監督者を含む全ての労働者(高度プロフェッショナル制度対象労働者は除く)と記載されています。
生産性向上の観点だけでなく、義務的な面でも勤怠管理を行わなければならず、また、その対象となる人の条件があることを知っておきましょう。
関連情報:客観的な記録による労働時間の把握が法的義務になりました|出雲労働基準監督署
4-2. 例外的な勤怠管理の対象となる環境
労働時間の制約や労働条件は労働基準法によって規制されています。過労や健康への影響を防ぎ、労働者を保護するために労働時間の制約がありますが、いくつか例外的な業種や労働形態が存在します。例えば以下のような業種です。
- 医療や介護の現場では、24時間体制でのサービス提供が必要なため、労働時間の制約が緩和されることがあります。
- 運送業においては、労働時間の制限が特例的に適用されることがあります。これは、長時間の運転や乗務が必要な特性によるものです。
- 砂糖製造業は収穫や精糖などの作業に季節的な変動があります。そのため、労働基準法では季節労働者制度が適用され、従業員の労働時間や休憩時間の制約が緩和される場合があります。
- 農業や水産業は季節や天候の変動により、作業の特性や需要に応じて労働時間が変動することがあります。特に農業では、収穫期などによる作業の急増に伴い、長時間の労働が必要となる場合があります。
建設事業、自動車運転の業務、医師、鹿児島県および沖縄県の砂糖製造業については労働時間の上限規制に対する猶予期間が設けられていましたが、2024年3月31日で猶予期間が終了します。
猶予期間終了までの間に、業務の特殊性に応じた労働時間の調整を行う必要があります。
5. 勤怠管理の種類とそのメリット・デメリットとは
株式会社ネオキャリアが実施したアンケート調査によれば、勤怠管理をおこなっている企業では主にタイムカードやエクセル、社内システム、クラウドサービスが利用されていることがわかります。
勤怠管理には様々な方法がありますが、ここではそれぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
5-1. タイムカード打刻
紙のタイムカードをタイムレコーダーと呼ばれる始業時刻・終業時刻を印字する機器に差し込んで、打刻・管理する方法です。
<メリット>
紙を機器に差し込むだけで記録が可能な利便性があげられます。また、最近はICカード(suica・pasumoなど)への対応したタイプもあり、さらに利便性が高まっています。日々使うICカードへ対応したタイプであれば、紙タイプとは異なり、なりすまし打刻を未然に防止することが可能です。
<デメリット>
集計作業に時間がかかることや、なりすまし打刻ができてしまうこと、法律による保管義務によってタイムカードを5年間(当分の間は3年間)保存しなければならない点があげられます。保管義務ですので、違反した場合には30万円以下の罰金が課せられることになります。
また、タイムカードでの打刻では出退勤のみの記録だけで、各種申請に関しては自己申告での管理が必要になるため、管理者は別途に承認業務の工数がかかってしまいます。
5-2. エクセル手入力
勤怠情報をエクセルに入力して管理する方法です。
<メリット>
金銭的に低コストでの運用が可能な点です。エクセルで管理する場合、勤怠管理の計算に必要な関数が入力されたテンプレートが無料公開されています。
<デメリット>
誰でも虚偽の申告ができてしまう点や、エクセルの改ざんが可能であり、正確性や客観性に欠ける部分がデメリットになります。この点から、厚生労働省によるガイドラインで提示されているように、エクセルでの勤怠の記録は推奨されていません。また、エクセルへの入力の際、ミスが起きてしまってはならないので慎重に入力する必要があり、人事労務担当者にとって多大な負担になっている点もデメリットと言えます。
関連記事:エクセルで出勤簿を作成するときのポイントや注意点を解説
5-3. 社内システム利用
一般的に大企業と呼ばれるような規模感のある企業でおこなわれている勤怠管理になります。個々の企業の要望に合わせて作るオーダーメイド勤怠管理の方法です。
<メリット>
自由なカスタマイズが可能で、自社にあった独自のシステムを構築することが可能な点であり、複雑な就業規則を採用している企業や、システムエンジニアを有している企業には向いています。
<デメリット>
導入コストが金銭的に高く、導入までの期間が長いことも特徴です。多くの場合、運用管理を自社でおこなう必要があり、維持費用がかかってしまうことがあります。具体的にはサーバ交換費用やシステム変更費用、法改正への対応費など。
5-4. 勤怠管理システム利用(クラウドサービス)
web上のクラウドを利用し、出退勤をおこなう勤怠管理の方法で、一般的に月額制でサービスの提供がおこなわれています。
<メリット>
時間外労働や有休の管理、休日出勤等も一括で管理することが可能です。また、システムによってはさまざまなデバイスへの対応が可能で、外回りが多い営業職の従業員やリモートワークが多い従業員の勤怠管理も可能となります。このようにシステムによって把握することで勤怠情報を正確に管理できます。
また、法改正にもシステム提供会社が対応してくれるため、利用者には負担がかからないことも特徴です。さらに、クラウド型の勤怠管理システムは、データがクラウド上で一元管理されるため、リアルタイムに情報にアクセス可能で、企業が迅速な意思決定を行う上で有利です。管理者が各部門の勤怠情報を一目で把握できるダッシュボードを提供するシステムも多く、業務の効率化に直結します。
<デメリット>
自社の勤務形態に合う勤怠管理システムの導入ができないと、金銭的なコストの増加や、従業員が定着しないことによる人事・労務担当者の工数を増加させてしまう可能性があります。また、クラウドサービスへの依存度が高いため、サービス提供会社のトラブルやシステムのダウンが発生した場合、業務に大きな支障をきたす恐れもあります。
さらに、高度な機能が多いため、システムの利用に慣れるまでの教育やトレーニングにも時間とリソースが必要となります。
関連記事:勤怠管理システムとは?はじめての導入にはクラウド型がおすすめ
6. 勤怠管理の方法を選ぶ際のポイントとシステム導入事例
勤怠管理をおこなうにあたって一番重視すべき点は「正確性」・「運用コスト」です。正確性に関してはなりすましや、勤務情報の改ざんの困難さからも社内システム・勤怠管理システムが秀でているといえます。一方で、運用コストに関しては、金銭面、管理工数の面から勤怠管理システムが秀でているといえます。
そこで、勤怠管理システムに乗り換える具体的なイメージを持っていただくために、タイムカードや紙管理から勤怠管理システムへの乗り換え事例を2つご紹介いたします。
関連記事:勤怠管理をペーパーレス化するには?電子化のメリット・デメリットも解説
6-1. タイムカードから勤怠管理システムへ
世界に37拠点を持つ企業の事例(製造業)
<導入前の課題>
- 集計作業を手作業でおこなっており、時間と手間がかかっていた
- 勤怠管理に時間がかかり、兼業している経理や採用などに時間を割くことができなかった
- 年次有給休暇の管理を紙管理でおこなっており、非常に手間だった
<導入後の結果>
- 集計作業の自動化や年次有給休暇の管理方法見直しによって勤怠管理業務にかける時間が削減した
- 今まで勤怠管理業務に充てていた時間を採用活動などの本来おこないたい業務に時間を使うことができるようになった
- 残業時間などのデータを活用できるようになり、従業員の正確な残業時間の把握とその対処が迅速におこなえるようになった
6-2. 紙管理から勤怠管理システムへ
2つの拠点を持つ、従業員数60名の企業の事例(金属加工業)
<導入前の課題>
- 紙の出勤簿で管理していたため、エクセルへの入力など担当者の負担になっており、業務効率の改善が求められた
- 数週間分の出退勤時間をまとめて記載する従業員が多かったため、正確な勤怠情報をリアルタイムに把握することが難しかった
<導入後の結果>
- スマホやタブレットから簡単に打刻することができるようになったため、未打刻の従業員が減り、正確な勤怠情報を把握することができた
- 入力作業が大幅に軽減されたことにより、月末のリマインドコストが減った
7. 事例を踏まえた勤怠管理システム導入の注意点
社内システムでは運用に金銭的なコストがかかったり専門的な知識が必要となったりする一方で、勤怠管理システムでは比較的運用に関するコストを抑えることが可能です。現状の課題点が前述の事例に被るようであれば、勤怠管理システムの導入によって課題解決につながることがあります。
また、勤怠管理システムを導入することで管理担当者への負荷が下がり、別の業務へ注力する時間を生み出せます。DXを推進するという観点でも、勤怠管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
当サイトでは、2019年の働き方改革による法改正のそもそもとなる概要や起きがちな課題、その解決方法を解説した資料を無料で配布しております。働き方改革の各項目についてしっかり解説しているため、法改正の内容に不安な点がある方やシステムを活用した働き方改革の事例が気になる方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
7-1. 従業員の使いやすいシステムを選ぶ
システムは導入して終わりではなく、従業員が積極的に利用しなければ導入した意味がありません。従業員にとって使いやすいインターフェイスや直感的な操作性があるか確認しましょう。
従業員の意見を取り入れるために、まず1つの部署だけ導入を試したり、トライアルを実施しているサービスであれば何名かの従業員に操作してもらうなどの対応を行うのがいいでしょう。
7-2. 既存システムとの互換性に気を付ける
新たなシステムが既存のシステムとの互換性が無く、従業員のマスターデータを従業員ごとに作成しなくてはいけなくなり、二重管理が発生し、結果としてシステム導入前と作業効率が変わらなくなってしまった、ということが起こるかもしれません。
給与計算など何か別のシステムを導入している場合は、新たなシステムとの互換性を確認しましょう。
7-3. サポートが充実しているか確認する
営業担当者と相談する過程においてそのサービスのサポートの質を知ることができます。また無料体験を実施しているサービスもあるので、勤怠管理システム選びの際はお試しで使ってみることをおすすめします。
勤怠管理システムをリリースしている企業は昔と比べ増加しています。提供元ごとに特徴があるため、自社の課題解決につながる可能性があるサービスには積極的に相談してみましょう。
また、勤怠管理システムの変更は従業員への教育コストや適応期間が高くつくため、一度変更した後に再変更するのはなかなか難しいものになります。納得が行くまで念入りな確認を行うことをおすすめします。
8. 勤怠管理を行う上での知っておくべき注意点
人事総務担当者が勤怠管理を行う際には、いくつかの重要な注意点を押さえておく必要があります。特に、パート・アルバイト従業員や扶養控除内で働きたい従業員に対しては、細かな管理が求められます。勤務形態や雇用条件によって管理内容は異なるため、各従業員の勤務日と勤務時間を正確に把握することが基本です。詳しくみていきましょう。
8-1. パートやアルバイトを勤怠管理するケース
パートやアルバイトの雇用が多い場合、シフト制による勤怠管理が必要になるでしょう。勤務日や勤務時間が異なるため、休憩時間や勤務時間を正確に把握することが重要になります。
そのため、適正かつ客観的な勤怠データを効率的に収集できるシフト管理システムの導入が推奨されます。同時に、1日の人件費や本人の希望勤務日もシフト作成において考慮しなければなりません。そのため、パートやアルバイトの勤怠管理には、柔軟なシフト作成機能が搭載された勤怠管理システムが必要不可欠です。
8-2. 多様な働き方の従業員や契約社員を勤怠管理するケース
フレックスタイムや変形労働時間制、テレワークなど昨今では多様な働き方が存在しますが、このような働き方を採用する場合、柔軟な勤怠管理システムが不可欠です。テレワークの従業員に対しては、始業・終業時刻の記録する必要があり、時間外労働を正確に計算することが求められます。また、オフィス外での勤務が多い場合、タイムカードなどの従来の管理手法が難しくなるため、位置情報を利用した出退勤管理が有効です。
契約社員においても、契約通りの勤務を確認するために、正社員と同等の勤怠管理が必要です。特に多様な働き方をする従業員については、始業・終業時刻を正確に記録し、適切な給与計算に反映できる仕組みを整えることが重要です。
8-3. 扶養控除内希望の従業員を勤怠管理するケース
さらに扶養控除内での勤務を希望する従業員の場合、年間労働時間や給与額を厳密に管理する必要があります。
特に、103万円や130万円の所得税や社会保険の扶養基準を守ることが重要です。これにより、従業員が配偶者の扶養から外れるリスクを避けることができます。
そのため、勤怠管理システムに自動警告機能やアラートが搭載されていれば、従業員が規定を超えないようにすることが有効です。
具体的な管理方法としては、月ごとの勤怠データを詳細に確認し、不正確な入力やミスを減らす仕組みを取り入れるべきでしょう。これにより、従業員と企業の双方にとって円滑な勤怠管理が実現できます。
9. 法令順守を意識した正しい勤怠管理を行うことが大切
いかがでしたでしょうか。本記事では勤怠管理の重要性を明確にした上で、どのような管理手法が自社に適した勤怠管理なのかを具体的にするために事例を交えてご紹介いたしました。
ぜひこの機会に自社の勤怠管理を見直し、働き方改革による働き方の多様性へと対応していただければ幸いです。
関連記事:勤怠の改ざんが発覚!不正予防と対処法について徹底解説
働き方改革が始まり、法改正によって労働時間の客観的な管理や年次有給休暇の管理など、勤怠管理により正確さが求められることとなりました。
しかし、働き方改革とひとことで言っても「何から進めていけばいいのかわからない…」「そもそも、法改正にきちんと対応できているか心配…」とお悩みの人事担当者様も多いのではないでしょうか。
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