源泉徴収票とは?正しい見方や発行タイミング・利用場面をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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源泉徴収票とは?正しい見方や発行タイミング・利用場面をわかりやすく解説

源泉徴収票の金額確認

毎年の年末調整後に発行する「源泉徴収票」は、従業員の年間給与や所得税額を記載した重要書類です。単なる社内書類ではなく、所得税法に基づいて交付を義務付けられている公的なものです。

本記事では、源泉徴収票の基本から発行タイミング、正しい見方までを詳しく解説します。

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1. 源泉徴収票とは?

源泉徴収票

引用:源泉徴収票|国税庁

源泉徴収票とは、会社が従業員に支払った年間の給与総額と、それに対して源泉徴収(天引き)した所得税額を証明する書類です。会社は、所得税法第226条により毎年この源泉徴収票を作成し、従業員へ交付しなければなりません。まずは源泉徴収票の概要と交付義務について押さえておきましょう。

1-1. 源泉徴収票は発行義務がある?

所得税法226条の規定により、給与の支払者はその年に確定した給与と所得税について、各従業員ごとに源泉徴収票を作成し、翌年1月31日までに交付しなければなりません。従業員や退職者へは、本人からの請求がなくても会社が必ず源泉徴収票を発行する義務があります。

また、会社が源泉徴収票の交付を怠った場合は税法違反となり罰則の対象です。所得税法242条により、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。虚偽の内容を記載して交付した場合も、同様の罰則対象となります。

1-2. 源泉徴収票の対象者は?

源泉徴収票は給与所得者が対象です。具体的には、その年に会社から給与・賞与などの支払いを受けたすべての従業員や、一度でも給与を支払った退職者が交付対象となります。正社員はもちろん、パートタイマーやアルバイト、契約社員など給与を受け取った人であれば全員が対象です。

たとえ支給額が少額でも、会社から給与支払いがあれば、源泉徴収票を発行しなくてはなりません。

なお、給与ではなく報酬として支払っているケース(例:顧問契約の弁護士・税理士への支払いなど)では源泉徴収票の交付は不要です。これは給与所得に該当しないためで、この場合は別途「報酬、料金等の支払調書」を作成します。

1-3. 給与支払報告書との違い

源泉徴収票と混同されやすい書類に「給与支払報告書」があります。この2つは目的と提出先が異なる全く別の書類です。源泉徴収票は所得税に関するもので、従業員本人に交付します(一部の場合は管轄の税務署へ提出)。

一方、給与支払報告書は住民税の課税に使われるもので、提出先は従業員の住所地の市区町村となります。給与支払報告書は本人へ渡す必要はなく、会社が各自治体に提出する報告書です。

2. 源泉徴収票の種類

源泉徴収票を見る

源泉徴収票には「給与所得の源泉徴収票」と「退職所得の源泉徴収票」の2種類があります。名称は似ていますが、対象となる所得や交付期限、提出先がそれぞれ異なります。いずれも会社に発行義務があり、ルールどおりに発行・提出することが重要です。

発行時期や提出先を間違えると、従業員や税務署への対応が増えて大きな負担につながります。適切に管理し、確実に交付・提出できるようにしておくことが大切です。

2-1. 給与所得の源泉徴収票

給与所得の源泉徴収票 は、従業員に支払った給与や賞与、各種手当など「給与所得」にあたるすべての支払いについて発行する書類です。年末調整が終わったあとに作成し、従業員本人へ交付します。

  • 交付期限

原則は翌年1月31日までです。途中退職者については、退職日から1か月以内に交付しなければなりません。

  • 提出先

基本は従業員本人に交付しますが、条件によっては税務署への提出も必要です(例:主たる給与が2,000万円を超える場合など)。

  • 主な記載項目
    • 年間の給与・賞与などの支給総額
    • 1年間に源泉徴収された所得税額
    • 給与から控除された社会保険料の合計
    • 年末調整で適用された配偶者控除や扶養控除などの各種所得控除
      そのほか、扶養親族の人数や生命保険料控除の内訳も記載されます。
  • 主な用途

源泉徴収票は「その年の所得と税額を証明する書類」として広く使われます。転職時に新しい勤務先へ提出するほか、確定申告の添付資料、住宅ローンや奨学金の申請など、収入証明が必要なさまざまな場面で活用されます。

2-2. 退職所得の源泉徴収票

退職所得の源泉徴収票は、退職金や退職手当、一時金など、退職に伴って支給される「退職所得」に対して発行するものです。会社が退職金を支払った際に、受け取る本人へ交付します。

  • 交付期限
    支払日の翌日から1ヵ月以内が原則です。通常は退職金を支給するタイミングで一緒に渡すか、後日すぐに郵送などで交付します。
  • 提出先
    基本は退職した従業員本人ですが、税務署や市区町村への提出が必要になるのは役員など一部に限られます。なお、令和8年1月1日以後に支払う分からは、従業員も提出対象に含まれる予定です。
  • 主な記載項目
    • 支給された退職金の額
    • 勤続年数に応じて差し引かれる退職所得控除額
    • 控除後の課税対象額(この半分が課税所得になります)
    • 源泉徴収された所得税額
  • 主な用途

退職所得にかかる税額を証明する書類として、確定申告などで利用されます。

3. 源泉徴収票が必要になるタイミング

書類

従業員から源泉徴収票について問い合わせや依頼が来るタイミングを把握しておきましょう。

3-1. 従業員が転職・再就職するとき

年の途中で従業員が転職した場合、新しい勤務先での年末調整に前職の源泉徴収票が必要になります。そのため、入社時提出書類として源泉徴収票を提出させる場合もあるでしょう。

年末調整は1年間の所得に対しておこなうものであり、転職後の会社は前職分の給与・税額も合算して調整する必要があるからです。そのため従業員は前の会社から交付された源泉徴収票を転職先に提出します。

なお、年をまたいで転職(前年に退職し翌年に再就職)した場合は、前職分の給与は新しい会社の年末調整に含められません。このケースでは従業員自身が前年の確定申告をして税額の精算をおこないます。

3-2. 従業員が確定申告をするとき

従業員本人が確定申告をおこなう場合も源泉徴収票が必要です。

  • 年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合
  • 本業の給与所得以外に副業収入がある場合
  • 医療費控除や初年度の住宅ローン控除、ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない)など、年末調整で扱えない控除を申告する場合

確定申告を予定している従業員には、源泉徴収票を無くさず保管するよう周知しておきましょう。

3-3. 年末調整で他社分の給与を合算するとき

従業員が年の途中で転職し、新たな勤務先で年末調整をおこなう際、退職者から源泉徴収票の発行を依頼されることがあります。これは、新たな勤務先が源泉徴収票に記載された支給額や源泉徴収税額を含めて年末調整をおこなうためです。発行を依頼されたら、すみやかに交付しましょう。

3-4. 退職金を支給したとき

退職金を支給したタイミングでも「退職所得の源泉徴収票」を発行します。退職金の支給額や源泉徴収税額を記載した退職所得の源泉徴収票は、退職者が確定申告をおこなう場合に必要になります。また、従業員にとって重要な控除額(退職所得控除)などの情報源ともなります。

3-5. 各種手続きで収入証明が必要なとき

ローン申込や各種証明手続きで収入証明書類が必要になる場面もあります。例えば、住宅ローンやマイカーローンの申請、クレジットカードの新規発行、賃貸住宅の契約などです。このケースでは、申込者の年間収入を証明する書類として源泉徴収票が利用されることが多くあります。

4. 源泉徴収票の記載事項と見方

はてな

源泉徴収票には複数の金額欄があり、それぞれ意味が異なります。ここでは「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」という4つの主要項目について、その内容と見方を解説します。

4-1. 支払金額

「支払金額」欄は、その人の年間総支給額を表しています。1月1日から12月31日までの1年間に会社から支払われた給与や賞与の合計額です。残業代や各種手当など課税対象となるすべての給与収入を含んだ金額であり、いわゆる「額面年収」に当たります。

ただし、通勤交通費など所得税がかからない非課税手当は支払金額に含まれません。

4-2. 給与所得控除後の金額

「給与所得控除後の金額」欄は、前の項目の支払金額から給与所得控除額を差し引いた後の金額です。給与所得控除とは、給与収入から一定の金額を経費として差し引く制度で、給与所得者に認められたみなし経費のようなものです。年収が高くなるほど控除額も大きくなり、所得税計算の際に税負担を軽減する役割を果たします。

現在の控除額は表のとおりです。

給与所得控除額の表

引用:No.1410 給与所得控除|国税庁

給与所得控除後の金額とは、課税所得のもとになる金額のことです。支払金額から給与所得控除額を差し引いた額で、この金額からさらに各種の所得控除を引いて、最終的な税額計算をおこないます。

4-3. 所得控除の額の合計額

「所得控除の額の合計額」欄には、年末調整で適用された所得控除の合計が記載されます。所得控除とは、納税者の事情に応じて所得から差し引ける金額のことです。どの控除が使えるかや控除額は、人によって異なります。

  • 社会保険料控除
  • 小規模会社共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 障害者控除
  • 寡婦控除・ひとり親控除
  • 勤労学生控除
  • 基礎控除

4-4. 源泉徴収税額

「源泉徴収税額」欄には、その年に源泉徴収(天引き)された所得税の合計額が記載されています。言い換えると、会社が1年間で税務署に納付した所得税額の合計です。

源泉徴収税額はこの式で求められます。

源泉徴収税額 = 課税所得額 × 税率 - 控除額

所得と控除額の表

※平成25年~令和19年分までは、上記所得税に加えて復興特別所得税として所得税額の2.1%が加算されます。

引用:No.2260 所得税の税率|国税庁

年末調整では、1年間の課税所得に上表の税率と控除額を当てはめて計算し直し、源泉徴収税額の過不足を精算します。

5. 源泉徴収票の発行期限・発行方法

期限 カレンダー

源泉徴収票の発行時期や交付方法についても押さえておきましょう。法律で決められた交付期限があるため、会社はその期日までに従業員へ渡す必要があります。また、近年はペーパーレス化に伴い電子交付も認められており、自社に合った発行方法を選択できます。

5-1. 基本的な発行時期は翌年の1月31日まで

源泉徴収票は原則として年末調整をおこなった翌年の1月31日までに発行し、従業員に交付しなければなりません。これは所得税法で定められた期限です。年内に在籍していた従業員全員(年末時点で在籍するパート・アルバイトも含む)が交付対象となり、多くの会社では給与明細と合わせて配布しています。

源泉徴収票には1年間の収入額や納税額が記載されており、転職や住宅ローンの申し込み、確定申告時に必要となることが多いため、発行時期に正しく配布しましょう。

5-2. 退職所得の源泉徴収票は退職後1ヵ月以内

退職所得の源泉徴収票は、退職後1ヵ月以内に発行・交付する必要があります。退職時に支給された退職手当にかかる所得税が記載されたもので、これは給与所得の源泉徴収票とは違う種類の源泉徴収票です。

5-3. 発行方法は紙と電子の2種類

源泉徴収票の交付方法には、紙面交付と電子交付の2種類があります。従来は紙の源泉徴収票を発行し、従業員に手渡しまたは郵送するのが一般的でした。

一方、現在では電子メール添付や社内システム上でPDF配布するなどの電子的な交付も認められています。ただし、電子交付をおこなうには従業員の事前承諾が必要です。

参考:1. 基本的な事項(問2)|国税庁

6. 源泉徴収票のよくある質問

はてな

最後に、源泉徴収票の発行・管理に関して、会社の担当者が直面しがちな疑問やトラブルへの対応策をQ&A形式でまとめます。

6-1. 源泉徴収票を発行しないと会社はどうなる?

源泉徴収票の発行は所得税法226条で義務付けられており、正社員だけでなくパートやアルバイトにも交付する必要があります。従業員からの請求がなくても発行しなければならず、年末調整をしていない場合も同様です。発行しないと所得税法違反となり、懲役や罰金の対象になる可能性があります。

ただし、税理士や弁護士などへの顧問料のように「給与」ではなく「報酬」として支払う場合は、源泉徴収票ではなく支払調書の発行が必要です。

参考:所得税法|e-Gov法令検索

関連記事:給与所得とは?給与収入・手取りとの違いと計算方法をわかりやすく解説

6-2. 会社が倒産したら源泉徴収票は発行しなくてもいい?

会社が倒産・廃業した場合であっても、元従業員に対する源泉徴収票の交付義務は免除されません。所得税法の規定により、事業主は退職者へ退職後1ヵ月以内に源泉徴収票を交付する義務を負います。

倒産により経理担当者が不在になってしまっても、会社が破産手続に入った場合は裁判所選任の破産管財人(弁護士)が会社財産の管理処理をおこないます。そのため、管財人に源泉徴収票の発行を依頼することが可能です。

一方、正式な破産手続きもなく社長が行方不明となるなど、事実上倒産し連絡不能となった場合は、源泉徴収票の発行自体が困難でしょう。そのような場合には税務署に相談し、給与明細などで代用することが認められるケースもあります。

6-3. 源泉徴収票が年末調整に間に合わないと退職者に言われたら?

前職の源泉徴収票が、新しい職場の年末調整に間に合わない場合、確定申告をおこなう必要があります。

通常、確定申告には源泉徴収票が必要ですが、退職した会社にその発行を依頼することが最優先です。もしその発行が難しい場合は、本人が翌年2月16日~3月15日の確定申告期間に税務署で手続きをして税額を精算します。

6-4. 退職後に紛失や再発行の依頼をされたらどこまで対応する?

退職後に元従業員から「源泉徴収票を紛失したので再発行してほしい」と依頼されることがあります。この場合、会社には再発行に応じる義務があります。源泉徴収票は正しい納税に欠かせない重要な書類であり、交付を拒むことはできません。

もし対応を怠ると、元従業員が確定申告できずにトラブルとなったり、税務署から会社の対応が問われたりする可能性もあります。

会社の信頼性を守るためにも、依頼があったら速やかに再発行し、必要に応じて郵送などで確実に交付しましょう。

6-5. 業務委託の副業者にも源泉徴収票は発行する?

業務委託などの給与所得に当たらない支払いには源泉徴収票は発行しません。源泉徴収票はあくまで「給与等」の支払いに対する所得税の源泉徴収に関する証明書です。従業員ではなく、外部の業務委託者に支払う報酬は「給与所得」ではなく、多くの場合「事業所得」や「雑所得」等に分類されます。そのため源泉徴収票の対象外となります。

7. 源泉徴収票の発行ルールを理解してスムーズな手続きを

女性

源泉徴収票は、発行や提出の期限が法律で決められている重要な書類です。人事担当者はルールを理解し、年末調整後の手続きを漏れなくおこなうことが求められます。

従業員にとっても、確定申告や転職、ローン申請などで使う大切な書類です。会社は発行漏れや遅れに注意し、従業員には受け取った源泉徴収票をきちんと保管してもらうよう伝えましょう。

また、年末調整機能付きの給与計算システムを導入すれば、源泉徴収票の作成もスムーズになります。業務効率化のために活用を検討してみても良いでしょう。

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