年末調整の間違いをやり直しする方法は?よくあるミスと訂正を防ぐコツも紹介
更新日: 2025.12.19 公開日: 2021.3.3 jinjer Blog 編集部

年末調整は毎年必ず発生する業務ですが、書類の記入漏れや控除の計算ミスなど「間違い」は決して珍しくありません。申告内容の間違いは、過不足税額の再計算を招くだけでなく、最悪の場合、延滞税や加算税といったペナルティにつながるリスクもあります。
重要なのは、その間違いに気づいた際にどのように対処するかです。この記事では、年末調整でよくある間違いの具体例とその訂正方法を詳しく解説します。併せて、ミスを未然に防ぐためのチェックポイントも紹介します。
目次
「特定親族特別控除」が新設されるなど、例年以上に複雑になる令和7年の年末調整。
従業員からの問い合わせが増える年末に、最新の制度をどう案内すればいいか、不安に感じていませんか?
◆よくある質問
Q. 大学生などのアルバイト収入が増えても、親の控除額は減らない?
Q. 年末調整の対象者は?
Q. 退職者や二か所で働く従業員の年末調整は必要?
このようなよくある疑問から、記載ミスや、申告内容・扶養の変更、税務署からやり直し通知を受けた際などの対応方法まで年末調整のあらゆる疑問をまとめた「年末調整と源泉徴収Q&A」を無料配布しています。
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1. 年末調整の間違いを正しくやり直しする方法


年末調整の内容に間違いがあった場合は、速やかにやり直しをおこなわなければなりません。正しい修正方法と、間違いが発覚したタイミングによる対応の違いを知っておきましょう。
1-1. 年末調整の間違いの訂正はいつまで?
年末調整の間違いを訂正する場合、原則として翌年1月31日までであれば会社側で対応できます。これは、税務署への法定調書および市区町村への給与支払報告書の提出期限が1月31日に設定されているためです。年末調整後に誤りが見つかった場合でも、翌年1月末までであれば再計算を実施し、過不足の税額を精算することが可能です。
ただし、すでに源泉徴収票を従業員へ交付しており、それが確定申告や各種証明に使用されている場合は、訂正対応が難しくなることがあります。したがって、再発行の前には必ず従業員から源泉徴収票の原本を回収し、すでに使用されていないかを確認することが重要です。
関連記事:年末調整はいつまで?提出書類と社内期限・社員へ周知するコツを解説
1-2. 訂正印は必要?申告書の修正方法
訂正をおこなう際には、修正液や修正テープの使用は認められていません。誤った箇所には二重線を引き、その近くに正しい内容を記入する必要があります。訂正した箇所がわかりやすく、読み手が内容を正確に把握できるようにすることが重要です。
また、2021年4月1日以降は税務関係書類への押印義務が廃止されています。これにより、「扶養控除等申告書」や「保険料控除申告書」などの年末調整に関する書類にも押印は不要となりました。そのため、訂正時に「訂正印」を押す必要もありません。
ただし、訂正箇所が多くなり、内容の確認が困難な場合は、無理に修正せず、新しい書類に記入し直すほうが望ましいです。また、書類の再提出を依頼する際には、控除証明書などの添付書類が不足していないかも併せて確認しましょう。不足している場合は、従業員に追加提出を依頼することで、年末調整の誤りや税務署からの照会を防げます。
1-3. 年末調整の間違いに気づかないと延滞税はかかる?
本来納めるべき税金が不足したままになっている場合、税務署からの指摘により、延滞税や加算税といったペナルティが課される可能性があります。延滞税は、納付期限までに税金を支払わなかった場合に、その未納額に応じて日割りで加算される「利息」のような性質を持つ税金です。
また、加算税は、申告内容の誤りや不正があった場合に課される罰則的な税金で、税額に応じた一定の割合で算出されます。そのため、税金を正しく納めることは、余計な負担を避けるためにも非常に重要です。
1-4. 年末調整の再計算と精算方法は?
年末調整の間違いを訂正する際には、再計算と差額の精算が必要になります。基本的な流れは次のとおりです。
【過不足額の計算・確認】
まず最初におこなった年末調整で算出・納付した所得税額と、訂正後の正しい所得税額との差額(過不足額)を計算します。すでに12月給与や賞与で年末調整による精算を済ませている場合は、その金額との差を求めます。給与計算システムを使っている場合は、過不足額のレポートを出力したりバックアップを取ったりしておくとよいでしょう。
【差額の精算】
再計算の結果、過不足が発生した場合は、従業員との間で差額を精算します。主な方法は次の2つです。
- 方法1:現金または振込で精算する方法
会社が過不足額分の明細書を作成し、不足があれば従業員から現金徴収(あるいは銀行振込で支払ってもらう)、超過があれば現金で従業員に返金する方法です。 - 方法2:翌年の給与または賞与で調整する方法
翌年1月以降の給与支払時に、年末調整の差額分を追加徴収または還付調整する方法です。多くの会社はこちらの方法を採用しており、従業員にとっても手続きが簡単です。
どちらの方法で精算するかは会社の就業規則や実務方針によります。また、一度発行した源泉徴収票を訂正した場合は再発行が必要となるので、正しい金額で作成し直して従業員に交付しましょう。
関連記事:年末調整をしないとどうなる?会社側のリスクや間に合わなかった時の対処法を解説
2. 年末調整の期限を過ぎて間違いに気づいた場合の対応方法


年末調整の提出期限である翌年1月31日を過ぎてから間違いに気づいた場合、会社側での修正対応は難しくなります。2月以降に誤りが判明したときは、従業員本人が確定申告によって修正をおこなうのが基本的な対応方法です。
ここでは、年末調整の期限後に誤りが見つかった場合の具体的な対応方法を解説します。
2-1. 会社側のミスは原則として年末調整のやり直しが必要
会社側の計算ミスや控除証明書の反映漏れなど、事務処理上の誤りが原因で年末調整に不備があった場合、法律で定められた年末調整の義務を適切に果たしていないことになります。したがって、たとえ年末調整の期限(原則として翌年1月末)を過ぎていても、基本的に会社を経由した年末調整のやり直しが必要です。
また、源泉所得税の納付期限(翌年1月10日※納期の特例を適用している場合は例外あり)を過ぎて追加納付が発生する場合、不納付加算税や延滞税が課される可能性があります。誤りを発見した際は、速やかな再計算・修正手続きが重要です。
参考:No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁
関連記事:年末調整の再調整は可能!方法やポイントをわかりやすく解説
2-2. 年末調整後の異動等は従業員に確定申告で対応してもらう
申告内容の誤りや添付書類の提出漏れなど、従業員側の過失によるミスの場合、その責任は従業員本人に帰すると考えられます。また、年末調整の処理が完了した後でも、従業員の家庭状況や収入・支出の状況が変化することがあります。例えば、12月末までに子が生まれたり、配偶者の収入が変動したりした場合です。
このような場合も、源泉所得税の納付期限および法定調書・給与支払報告書の提出期限に間に合う範囲であれば、会社側で再計算して調整することが可能です。しかし、期限を過ぎてしまうと会社側での修正は困難となります。
この場合、誤りを訂正する方法として、従業員本人による確定申告が必要です。確定申告の期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです。申告の際には会社が発行する源泉徴収票が必要となるため、翌年1月31日までに正確な内容で交付しておきましょう。
参考:No.2671 年末調整の後に扶養親族等の人数が異動したとき|国税庁
2-3. 追加徴収が発生する場合は期限を過ぎても年末調整のやり直しが必要
もし年末調整の間違いによって本来より税額が少なく計算されていた(=納めるべき税金が不足している)場合、たとえ年末調整の期限を過ぎていても、基本的に会社がやり直しをおこなって不足分を徴収・納付する必要があります。
会社は、従業員の給与額や扶養状況に応じて所得税を計算し、納付する「源泉徴収義務」を負っています。年末調整に誤りがあると、本来源泉徴収すべき所得税額との間に差異が生じ、結果として源泉所得税の納付不足が発生する可能性もあるでしょう。このような場合、源泉徴収義務を適切に果たしていないと判断され、従業員に代わって税金を納付する立場の会社に対して、延滞税や不納付加算税といったペナルティが課されるおそれがあります。
ただし、所得税法基本通達によれば、会社側に納税不足額が生じたことについて過失がなく、かつ、不足分を徴収・納付することが困難である正当な事由があると認められる場合には、強いて追及されないとされています。
したがって、まずは法令に基づき正確に年末調整を実施することが重要です。また、従業員には年末調整の申告内容に変更が生じた場合、速やかに会社へ報告してもらうよう周知しておくとよいでしょう。これにより、追加徴収が発生する場合でも、リスクを最小限に抑え、円滑に対応できます。
(省略)ただし、給与等の支払者に当該徴収不足税額を生じたことについて過失がないと認められ、かつ、当該徴収不足税額を徴収して納付することができないことについて正当な事由があると認められる場合には、強いて追求しないものとする。
3. 年末調整のよくある間違い


年末調整の間違いは、従業員や会社の担当者が給与明細や源泉徴収票の内容に違和感を覚えて発覚することもあれば、後日、税務署からの通知や問い合わせによって指摘されるケースもあります。
年末調整は、さまざまな控除や所得情報を扱うため、わずかな記入漏れや確認不足が思わぬ誤りにつながることも少なくありません。ここでは、実際に起こりやすい年末調整の代表的なミスを取り上げ、その原因と具体的な防止策を紹介します。
3-1. 収入や所得まわりの申告漏れや誤り
本人や配偶者・子の収入状況に関する誤りも、年末調整でよく見られるミスのひとつです。特に、複数の所得がある場合や、年末にかけて収入が大きく変動した場合には、当初の見込み額と実際の収入額に差が生じやすく、それが扶養控除や配偶者控除・配偶者特別控除の判定誤りにつながることがあります。
例えば、配偶者のパート収入を「年収120万円程度」と見込んでいたものの、年末にシフトが増えて実際には123万円や160万円を超えてしまったというケースです。これらの金額は、控除の適用可否や控除額が変わる重要なボーダーラインにあたるため、誤ったまま年末調整をおこなうと税額の過不足や修正申告の必要が生じるおそれがあります。
また、扶養親族に給与所得以外の雑所得(フリマアプリの売上や仮想通貨の利益など)がある場合にも注意が必要です。副収入が申告書に反映されていないと、実際の合計所得金額と食い違いが生じ、結果として控除の適用条件を満たさなくなる可能性があります。
こうした場合には、年末調整の再計算や従業員による確定申告で修正対応が必要です。このような間違いは、従業員本人の申告内容に依存する部分が大きく、制度理解の不足や最新の税制改正への認識不足が原因となるケースが少なくありません。所得区分や控除要件が細分化されているので、従来の感覚で記入すると誤ることが増えています。
年末調整のやり直しを防ぐためには、あらかじめ従業員に対して控除の適用条件を正しく理解してもらうことが大切です。特に間違いやすいケースを整理し、記入例やチェックリストを配布するなどの工夫が効果的です。さらに、翌年には年末調整で申告した内容と実際の収入や所得に差異がないかを従業員自身に確認してもらう体制を整えることも重要といえます。
関連記事:【2025年最新】年末調整の書き方を申告書別にわかりやすく解説【記入例あり】
3-2. 各種控除(扶養控除や配偶者控除など)で起こりやすいミス
年末調整では、従業員ごとにさまざまな控除を適用し、所得税額を計算します。特に、扶養控除や配偶者控除などの対象となる親族の条件は、その年の12月31日時点の状況で判断されます。
例えば、年内に結婚・離婚・出産・子の独立などがあった場合、前年は適用できていた控除が、今年は対象外になるケースもあるのです。そのため、従業員が前年と同じ内容で申告書を提出してしまうと、会社側では間違いに気づけず、計算ミスにつながるおそれがあります。
こうした間違いに気づいた場合は、できるだけ早く申告書の訂正を依頼することが大切です。従業員が確定申告で修正しても、会社に情報が共有されていなければ、翌年以降の源泉徴収に影響を及ぼす可能性もあります。
年末調整後に生じた異動はやむを得ませんが、年末調整前の異動については、事前の周知で防止が可能です。申告書を配布するだけでなく、社内説明会や注意喚起の場を設けてポイントを明確に伝えることが効果的です。
関連記事:離婚後の年末調整はタイミングに注意!ひとり親控除や扶養控除の適用も解説
3-3. 書類・証明関係の不備
年末調整では、必要書類や証明書の提出漏れ、記入ミスなどによって誤りが生じるケースが少なくありません。これらの不備は、従業員側・会社側のいずれにも起こり得る問題です。
例えば、年の途中で入社した従業員が前職の源泉徴収票を提出し忘れるケースがあります。また、住宅ローン控除の2年目以降では、従業員が借入金残高証明書を用意し忘れたまま控除を申告してしまうこともあるでしょう。
このようなミスは従業員側の不注意によるものですが、会社がその事実を見落とした場合、前職分の所得や住宅ローン控除が正しく年末調整に反映されず、結果的に課税漏れとなるおそれがあります。不備を発見した際は、速やかに書類の提出を求め、申告内容と証明書に不一致がある場合は、従業員へ確認・修正を依頼しましょう。
一方で、会社側にも誤りが発生することがあります。例えば、担当者が源泉徴収票の内容を転記する際に、支払金額や源泉徴収税額の桁を誤ると、所得税の計算結果に直接影響します。万が一、税務調査などで誤りが判明した場合は、速やかに税務署の指示に従い、適切に対応することが重要です。
年末調整の正確性を高めるためには、従業員と会社の双方による連携とチェック体制の強化が不可欠です。特に、短期間で多くの処理をおこなう時期であるので、スケジュールに余裕を持ち、提出・確認・修正の各工程を計画的に進めることで、誤りを未然に防止できます。
関連記事:年末調整の必要書類一覧|記載する内容や書類の入手方法を徹底解説
3-4. 会社側の計算間違い
会社担当者による計算ミスや入力誤りも、年末調整でよく発生するトラブルのひとつです。例えば、従業員が提出した紙の申告書をシステムに入力する際、転記ミスが起こりやすい点が挙げられます。
また、エクセルに設定した計算式の誤りが原因で、正しい税額が算出されず、年末調整の結果に誤りが生じるケースもあります。会社側のミスは、法令違反につながるおそれもあるので、発覚した際には速やかに従業員へ説明・謝罪をおこない、年末調整のやり直しを実施することが重要です。
これらのミスの多くは、手作業による処理が原因となっています。人的ミスを防ぐには、ダブルチェック体制の構築など基本的な確認プロセスの強化が効果的です。さらに、年末調整の電子化を進めることも有効な対策です。
電子化により、申告書の配布・回収から年税額の計算までをオンラインで完結できるため、入力や転記のミスを大幅に減らせます。加えて、人事労務システムの導入によって、控除額の自動計算機能や入力漏れチェック機能を活用すれば、担当者の負担を軽減し、より正確で効率的な年末調整を実現できます。
関連記事:年末調整の電子化とは?やり方、企業におけるメリット・デメリットを解説
3-5. 従業員の年末調整と確定申告に関する認識間違い
従業員が年末調整と確定申告の違いを正しく理解していないと、会社側の事務負担が増え、スケジュールの遅延や年末調整の期限に間に合わないといったトラブルが発生することがあります。
年末調整は、「給与所得」に関する税金の精算をする手続きであり、原則として給与以外の所得や一部の控除については取り扱いができません。しかし、「税金の精算は年末調整で全て完結する」と誤解している従業員も少なくありません。
例えば、本来は確定申告でしか控除を受けられない医療費控除・雑損控除・寄附金控除・住宅ローン控除(1年目)を、年末調整の対象だと勘違いし、医療費の明細書や寄附金の受領証などを会社に提出してしまうケースがあります。これらの書類は会社で処理できないため、担当者が返却や個別説明をおこなうために、業務が一時中断される原因となります。
このような場合、従業員自身が確定申告をおこなう必要があります。なお、払いすぎた税金を取り戻す「還付申告」は、翌年1月1日から5年間提出可能です。通常の確定申告期間を過ぎても手続きできる点を案内しておくと、従業員の安心につながります。
多くの誤解は、従業員が年末調整と確定申告の仕組みや目的を十分に理解していないことに起因します。会社としては、「年末調整でできること」と「確定申告が必要なケース」を明確に区別し、事前に周知しておくことが重要です。年末調整前に社内説明会や案内資料を通じて従業員へ丁寧に説明することで、不要な書類提出や問い合わせを減らし、業務をスムーズに進められるでしょう。
関連記事:所得控除とは?控除の種類や所得控除を受ける方法を解説
4. 年末調整の間違いを防ぐコツ


最後に、担当者が年末調整のミスを減らすために実践すべきポイントを紹介します。
4-1. 年末調整書類は早めに配布し記入期限を明確に
まず、従業員に配布する年末調整関係の書類はできるだけ早めに渡すようにしましょう。なぜなら、年末は従業員も業務が立て込みがちで、提出期限がタイトだと焦って書き間違えが発生したり証明書を集め損ねたりしやすくなるからです。
一般的には、保険料控除証明書が各保険会社から届き始める10月下旬から11月初旬にかけて書類を配布するとよいでしょう。配布の際に「○月○日までに提出してください」と締め切りを明確に伝えることも重要です。期限を周知し、リマインドもしながら、余裕を持って提出してもらえるよう促しましょう。
また、新入社員など年末調整が初めての従業員には、特に丁寧な説明が必要かもしれません。年末調整の存在自体を知らない可能性も考えられるため、書類配布の際に案内メールや説明資料を用意し、「何のために何をするのか」「どの書類に何を記入するのか」をわかりやすく説明しましょう。
関連記事:年末調整はいつが期限?具体的なスケジュールや提出書類を解説
4-2. 書類の内容はダブルチェックまたはシステムで確認する
従業員から回収した年末調整書類は、必ず複数人で内容をチェックする体制を取りましょう。一人で作業していると見落としがちなミスも、他の人の目を通せば気づきやすくなります。特に扶養親族の数や配偶者の所得見積り、保険料控除証明書の貼付漏れなどは、ダブルチェックでかなり防げるはずです。
法律や控除制度は毎年のように改正があり、年末調整の内容も変化します。様式の変更や控除制度の改訂には十分注意しましょう。国税庁の公式サイトや税制改正の資料を事前に確認し、最新のルールを把握しておくことが大切です。
近年では年末調整を従業員にWeb上で入力してもらい、自動でミスのチェックをおこなうクラウドシステムも普及しており、そうしたツールを活用するのもミス防止に有効です。システムが計算間違いや入力漏れを自動検知してアラートを出してくれるため、担当者の負担を大きく減らせるでしょう。
4-3. 保険料控除(生命・地震・社会保険料)の記入漏れを防ぐ
各種保険料控除の欄は、従業員が記入ミスを起こしやすいポイントです。生命保険・地震保険などは、従業員が加入したこと自体を忘れていたり、控除証明書が届いておらず後回しにしたまま提出しそびれてしまったりといったことが起こりがちです。担当者は、保険料控除申告書を配布する際に注意喚起をするとよいでしょう。
また、社会保険料控除では従業員自身が支払った国民年金保険料などが対象ですが、会社の給与天引き以外で払ったものは見逃されやすいです。例えば、前職からブランクがある中途入社者など、自社が把握していない書類の提出漏れがないかチェックしましょう。
4-4. 配偶者控除や扶養控除の条件と収入を必ず確認する
配偶者控除・扶養控除に関する記入ミスを防ぐには、控除の対象となる条件を従業員に正しく周知することが肝心です。なお、令和7年度税制改正により、2025年分からは基礎控除や給与所得控除の金額が引き上げられ、併せて扶養親族等の所得要件も緩和されている点に注意する必要があります。
配偶者控除の場合、対象となる配偶者の年収が123万円(改正前:103万円)以下であること(給与所得の場合)が基本条件です。また、配偶者特別控除は配偶者年収が201万6千円未満が条件のひとつで、収入に応じて段階的に控除額が減る仕組みです。こうした金額の条件は従業員には複雑に感じられるため、「迷ったら担当者に問い合わせください」といった案内をしておくとよいでしょう。
扶養親族についても同様です。控除対象となる扶養親族は16歳以上で合計所得58万円(改正前:48万円)以下など細かな条件があります。これらを丁寧に説明し、正しく申告してもらうことがミス防止につながります。
参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁
▼結婚した場合の書類の書き方はこちら
関連記事:年末調整は結婚したら何が変わる?結婚後の書き方や結婚予定がある場合の対応を解説
▼年末調整までに世帯主が変わるケースについて確認したい方はこちら
関連記事:年末調整における「世帯主」とは?その定義や変更方法を紹介
4-5. 添付書類(控除証明書・源泉徴収票など)を確実にチェックする
控除証明書等の各書類そのものの記載に間違いがあることも少なくありません。万が一間違いを見つけたら、控除証明書の発行元へ問い合わせをおこない、正確な内容に変更してもらいましょう。
再発行手続きは、即日できるものではないため注意が必要です。控除証明書の種類によっては、1〜2週間ほどの時間がかかることもあります。
前職の源泉徴収票については、未提出者のリストを作って確認するとよいでしょう。中途入社者はもちろん、新卒入社者であっても入社までの間にアルバイト収入がある従業員には提出を求める必要があります。
このように、年末調整をおこなう際には、添付書類まで確認が必要です。控除によって添付すべき書類が異なるため、それぞれ必要な書類が添付されているかを確認しましょう。当サイトでは、添付書類を含めた年末調整に必要な書類が一覧で確認できる資料を無料で配布しています。年末調整業務を抜け漏れなくおこないたい方は、、こちらから「年末調整ガイドブック」をダウンロードして、書類に抜け漏れがないかのご確認にご活用ください。
4-6. 前年からの変更点(扶養、住所、保険契約など)を把握する
年末調整で特にミスにつながりやすいのは、前年の状況からの変化を適切に反映しないことです。具体的には、扶養親族の増減、生命保険や医療保険などの契約の新規加入・解約、住所や氏名の変更などが挙げられます。これらの情報に変更がある場合は、従業員に最新の情報を基に書類を作成してもらうことが不可欠です。
さらに、単に書類を提出させるだけでなく、従業員名簿や人事情報システムと照合して確認することで、記入漏れや誤記のリスクを大幅に減らせます。また、家族構成や保険加入状況の変更は、控除額や源泉徴収税額に直接影響するので、正確に把握することが税務上も非常に重要です。
▼ミスでやり直しがある場合の対処法はこちら
関連記事:年末調整のやり直しを税務署から通知された!原因や影響、必要な手続きを解説
5. しっかり準備してミスなく年末調整をおこなおう


年末調整は会社全体に関わる重要な業務です。従業員の申告ミスであっても、確認を怠れば会社が税務上の責任を負い、加算税や延滞税といったペナルティに発展する可能性があります。
こうした事態を防ぐには、早めの書類配布と丁寧な内容確認、疑問点のヒアリングなど地道な準備が欠かせません。また、最近ではクラウドシステムやアウトソーシングを活用する方法もあります。自社に合った手段で効率的かつ正確に進めましょう。



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