勤怠管理をペーパーレス化するには?電子化のメリット・デメリットも解説
紙ベースでの管理の煩雑さや働き方改革による労務管理の強化などを理由に、「タイムカードや出勤簿を廃止し、別の管理方法にしたい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
今回は、勤怠管理をペーパーレス化するには何をすればよいのか、またペーパーレス化した際のメリットや注意点なども合わせて解説します。
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目次
1. 勤怠管理のペーパーレス化とは
勤怠管理をペーパーレス化するとは、具体的にどのようなことなのか確認しましょう。
1-1. 出勤簿などの紙媒体を廃止し、電子化する
ペーパーレス化は紙の利用を減らす、もしくはやめることであるため、出退勤の時間を管理しているタイムカードや出勤簿、残業や有給休暇の申請書類などで紙の利用を無くすことが目標となります。
1-2. 勤怠管理システムを導入する
紙媒体による勤怠管理を廃止し、電子化するには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。
勤怠管理システムは、ICカード・パソコン・スマートフォンなどで打刻ができ、打刻された時間をもとに、従業員の労働時間や残業時間などを自動集計してくれるシステムです。
この他にも残業申請や有給休暇申請など各種申請をパソコン・スマートフォンから提出し、管理者はパソコンでそれを確認・承認することができます。
近年主流となりつつあるクラウド型勤怠管理システムでは、インターネットにつなげればパソコン・スマートフォンを用いていつでもシステムを使えるため、従業員の勤怠状況をリアルタイムで確認することができます。
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2. 勤怠管理の電子化を検討すべきタイミング
勤怠管理の電子化はどのようなタイミングに検討すべきでしょうか?3つのタイミングをご紹介します。
2-1. 客観的な記録による労働時間の把握の義務化
2019年に労働安全衛生法が改定され、それまでガイドラインの提示に留まっていた労働時間の把握が義務化されました。
労働時間の把握には、労働時間の客観的な記録が必要で、条件としては「使用者が自ら現認することにより確認し、記録すること」「労働者の自己申告ではなく、客観的な記録を基礎として確認し、記録すること」があります。
この条件を満たしていれば客観的な記録と認められているため、必ずしも電子化しなければならない、というわけではありません。客観的な記録による労働時間が把握できれば問題なく、電子化は義務ではないと言えます。
客観的な記録の具体的な方法としてはタイムカード、ICカードリーダー、パソコンのログイン・ログアウトなどのログ情報が挙げられます。
出勤簿などに従業員自身が手書きで出退勤の記録をする方法では、改ざん出来る可能性があるため、客観的記録とはみなされません。
現在は把握義務自体に罰則はないため、紙や手書きで管理していること自体は違法にはなりません。
一方で、把握していなかったことにより時間外労働時間が上限を超えてしまうと労働基準法違反となり罰則が発生します。
把握しておくのに越したことはないため、もし現在紙による管理をされている場合は、電子化を検討しましょう。
2-2. 従業員数が増加した時
現状タイムカードで管理している場合、客観性はあるので問題はありません。
一方、タイムカードの情報をもとに給与計算をする際は、その月のタイムカードを各拠点からすべて集め、一人ずつ実働時間や、休日数などをエクセルに手入力し、集計・計算する手間がかかります。
従業員の数が少なければ手作業でも対応できるかもしれませんが、従業員数が多くなるほど、集計にかかる時間は膨大なものになっていきます。
また、打刻もれがあった場合、本人や周りの人に確認をおこなう手間や、パソコンに入力する際の人為的ミスが発生する懸念もあります。
さらに、従業員の勤怠に関わる情報は全て5年間保管する義務がありますが、タイムカードや紙の申請書でやり取りしていると、保管スペースに場所をとるほか、紛失のリスクがあります。
このような場合もペーパーレスで管理できる勤怠管理システムを導入し、電子化を検討すべきタイミングと言えるでしょう。
2-3. 働き方の多様化により勤怠ルールが複雑化した時
多様な働き方が選択できる企業は、採用活動や従業員に向けての魅力に繋がるため、取り入れたいと考えている企業も多いのではないでしょうか。
メリットがある一方で、だれがどのような勤務形態で何時間働いたのか、勤怠管理が複雑化し管理側の負担が増加するというデメリットもあります。また、管理が複雑化することで、ミスが生じてしまうリスクも高まります。
多様な働き方を実現するには、勤怠管理の電子化が欠かせません。
3. 勤怠管理を電子化してペーパーレスにするメリット・デメリット
勤怠管理システムを導入してペーパーレス化するとどのようなメリット・デメリットがあるのか確認していきましょう。
3-1. 業務効率化ができることがメリット
勤怠管理システムを導入する一番のメリットは、業務が効率化されることです。
勤怠管理システムでは、従業員が打刻した時間をもとに、労働時間や残業時間の集計を全てミスなく自動で行ってくれます。
そのため、タイムカードを集めて打刻漏れがないか確認してから、一枚一枚手作業やエクセルで集計していくという手間が一切かからなくなります。集計データはcsvファイルなどで出力できるため、給与計算ソフトへの連携もスムーズです。
勤怠管理システムの導入によって生まれた時間を使って、従業員がさらに働きやすくなるような施策を考えたり、経営や採用など本来注力したい業務に注力したりすることができます。
3-1-1. データ化することで経営判断資料にもなる
システムによるオンライン管理がされることで、リアルタイムに全従業員の勤務状況を把握できます。月の途中でも、リアルタイムでどれだけコストがかかっているか把握できます。年度での集計、昨年対比などが容易となり、経営判断の情報としても役立ちます。
また、リアルタイムに労働時間を把握することができるため、残業時間が多い従業員の業務量を調節するなど、長時間労働への対策を迅速にとれることも、大きなメリットです。
関連記事:勤怠管理システムを導入する目的とは?メリット・デメリットも確認
3-2. 導入するのに費用や時間、労力などコストがかかることがデメリット
システムの導入に際して一番のデメリットとなるのが、コスト面の問題でしょう。
まず、システムを導入するにはタイムカードよりも費用面でコストがかかります。近年主流になっているクラウド型の勤怠管理システムでは、初期費用0~数万円+従業員の人数×300~500円の月額費用が発生するため、ランニングコストがかかります。
加えて、ICカードで打刻するための打刻機やタブレットなどを各事業所に配置する場合は、その費用も追加で発生することになり、安くはない費用がかかります。
また、システムは導入した後に就業規則や集計項目の設定をしなくてはならない上、既存の業務の流れを一部変更することになる場合があるため、新しい業務フローの検討・決定から、全従業員にむけて勤怠管理システムの使い方の教育・情報共有が必要になります。
通常の業務を抱えながらシステム導入を担当するとなると、さらに一時的な業務負荷は大きくなると予想されます。
勤怠管理システムを導入する前に、費用や時間のコストがどれくらいかかるのか、導入してから運用にのるまでにどれくらいかかるのかを把握した上でシステムを決定しましょう。
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4. 勤怠管理をペーパーレス化する際の注意点
せっかくコストをかけて勤怠管理システムを導入するなら、きちんと使えて便利なものがいいですよね。
しかし、初めてシステムを導入するとなると、勝手がわからず失敗しがちなもの。
ここでは、勤怠管理のペーパーレス化を成功に導くために、勤怠管理システム導入にあたって確認しておきたい注意点を解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
4-1. 自社の雇用形態や勤務形態に合うものにする
会社によって、雇用形態や勤務形態は異なります。また、同じ会社内であっても事業場や職種によって働き方が異なることもあります。勤務形態が複雑な企業ほど、システムを選択する際は、自社の勤務形態がすべて対応できるかを確認しましょう。
自社にとっては当たり前の勤務形態であっても、他社から見ると特殊と扱われる場合もあります。就業規則などを確認して、すべての勤務形態に対応できるかチェックすることが重要です。特に、給与計算に必要な集計項目がシステムに足りているか確認しておくと安心でしょう。
4-2. 自社の職場環境にあった打刻方法を選択する
システムによって、パソコンやスマートフォン、ICカードなどさまざまな打刻方法が用意されています。最新の打刻方法に惹かれますが、運用する職場にマッチしていなければ不便です。自社の職場環境にどのシステムが一番マッチしているのかという点に、着眼しましょう。
たとえば、飲食店であれば店舗に1台しかないパソコンを使って打刻するよりも、ICカードでの打刻や、タブレットを1台設置して打刻してもらう方が職場環境にマッチしており、便利でしょう。
したがって、まずは自社の現行業務の流れを整理しておきましょう。どのようなシステムであれば現行の業務に一番マッチするか希望を洗い出してまとめておくと、システムを比較検討する際に役立ちます。
4-3. 従業員にペーパーレス化の意義を理解してもらう
管理者や経営層としてはシステムの方がメリットが多く、導入すべきだと考えていても、やはり現場の従業員からすると慣れた打刻方法や申請方法を変えるのは面倒だったり、なにかと手間がかかるものです。
勤怠管理は従業員がきちんと打刻をしてくれなくては成り立たないものであるため、勤怠管理システムの導入に際しては、従業員の協力が必要不可欠です。
従業員からの協力を得るには、勤怠管理システム導入の意義を従業員へ説明し、しっかりと必要性を理解してもらいましょう。また、「導入したら終わり」ではなく、使い方をわかりやすく説明する場を設ける、マニュアルを作成して配布するなど、導入した後のフォローも大切です。
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5. まとめ
今回は、タイムカードや出勤簿などによる勤怠管理をペーパーレス化する方法や電子化する際の注意点について解説いたしました。現在、紙媒体で管理している場合は、管理にかかる労力や、ミスや不正のリスクを考え、システム導入を前向きに検討することをおすすめします。
また、今後従業員数を増やしていく、店舗を増やすことを計画している企業の場合も、早めのシステム導入が理想的です。業務フローを定着させておくことで、導入負荷の軽減につながるはずです。
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