住民税とは?種類や計算方法・非課税になるケースを解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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住民税とは?種類や計算方法・非課税になるケースを解説

男性「住民税とはどんな税金?」

「住民税の種類や計算方法を知りたい」

企業の人事・労務・経理部門の方で、上記のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

従業員の所得に応じて各自治体に納める「住民税」は、給与から適切に控除すべき重要な項目です。企業は特別徴収義務者として、従業員の住民税を毎月正しく天引き・納付しなければなりません。

しかし、住民税の仕組みは所得税とは異なる点も多く、控除の取り扱いや非課税条件などでミスが生じやすい業務でもあります。

本記事では、企業担当者が押さえておきたい住民税の基本知識をはじめ、種類・計算方法・納付方法・非課税となる条件を解説します。

法令遵守と従業員対応の両立を図るためにも、住民税についての理解を深めましょう。

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1. 住民税とは

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住民税とは、都道府県や市区町村の自治体に納める地方税の一種です。企業が支払う法人住民税とは別に、従業員個人が納めるものを「個人住民税」と呼びます。

個人住民税は、地域社会のインフラ整備や教育、福祉など行政サービスを支えるための財源として活用されます。企業の所在地ではなく、1月1日時点で従業員が居住している自治体に納める仕組みです。

住民税は、「前年の所得」にもとづいて課税される点が大きな特徴です。そのため、従業員の所得が増減した場合は、翌年度の住民税額に反映されます。

なお、住民税と同様、個人に対して課税される税金に「所得税」があります。両者には以下のような違いがあるため、混同しないよう注意しましょう。

住民税 所得税
課税対象 所得
納付先 地方自治体
納税時期 当年 前年分の所得に対し翌年
税率 累進課税(5~45%) 一律税率(原則10%)

住民税の取り扱いに不安がある場合は、税理士や社労士など専門家に相談しながら、管理体制の整備を進めるとよいでしょう。

2. 住民税の種類

はてな

住民税は、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 均等割
  • 所得割

2-1. 均等割

均等割は、所得の金額にかかわらず、一定額が課される税金です。都道府県と市区町村の両方から課税され、それぞれの自治体に対して納める必要があります。

均等割で徴収される税の種類と金額は、以下のとおりです。

税金の種類 金額
道府県民税 1,000円
市町民税 3,000円
森林環境税(国税) 1,000円
合計 5,000円

令和6年度より、新たに「森林環境税」が課税されるようになりました。森林環境税は、個人住民税均等割とあわせて課税されます。

参考:森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律 | e-Gov 法令検索

2-2. 所得割

所得割は、前年(1月1日から12月31日まで)の個人の所得に応じて課される税金です。課税所得金額に対して、一定の税率をかけて算出されます。

標準税率の標準税率は、以下のとおりです。

所得割 政令指定都市以外 政令指定都市
道府県民税 4% 2%
市町民税 6% 8%

前年の所得が大きく変動した場合、住民税額も翌年度に大きく影響します。例えば、以下のようなケースでは、住民税が大幅に変わる可能性があります。

  • 前年の賞与が多い
  • 転職や復職により勤務形態が変化した
  • 副業や不動産収入など本業以外の所得がある

このように所得の変動が見込まれる従業員には、事前に住民税額の変動リスクについて説明や確認をしておくとよいでしょう。

適切な税務処理をおこなうことで、法令遵守はもちろん、従業員の不安軽減や満足度向上にもつながります。

3. 住民税の計算方法

電卓

住民税は、以下の手順に沿って計算します。

  • 総所得金額の算出
  • 所得控除額の適用
  • 課税所得の算出
  • 所得割の算出
  • 税額控除の差し引き
  • 均等割の加算

3-1. 総所得金額の算出

まず、従業員の総所得金額を算出します。総所得金額は、1年間(1月1日~12月31日)に得たすべての所得の合計です。

企業が関与するのは主に給与所得ですが、住民税の計算には副業や不動産所得など、給与以外の所得も含まれます。

そのため、企業側では把握できない所得も含まれる点には留意が必要です。

3-2. 所得控除額の適用

次に、所得控除を総所得金額から差し引き、課税対象となる所得を算出します。

所得控除には、以下のように従業員個人の事情を反映した項目があります。

  • 基礎控除
  • 扶養控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 医療費控除
  • 寄付金控除 など

住民税と所得税では、同じ控除項目でも適用される金額が異なるケースがあるので注意しましょう。

3-3. 課税所得の算出

次に、課税所得を算出します。計算方法は以下のとおりです。

課税所得金額=総所得金額-所得控除額

住民税は、課税所得金額に、所得割の税率(標準税率10%)を掛けて計算します。

所得割の税率は、道府県民税(4%)と市区町村民税(6%)を合計したもので、多くの自治体で採用されています。ただし、税率は自治体の条例により異なる場合もあるため、実際の税率は各自治体の情報を確認するようにしましょう。

3-4. 所得割の算出

課税所得金額と所得割の税率(10%)を掛け合わせて、税額控除前の所得割額を算出します。計算式は、以下のとおりです。

課税所得額×所得割の税率(10%)=税額控除前の所得割額

所得割額は、年額として確定したのちに、特別徴収や普通徴収を通じて分割納付されます。

どの納付方法が適用されるかは、企業や自治体の方針によって異なるので十分に注意しましょう。

3-5. 所得税から税額控除の差し引き

所得割の金額を計算した後は、税額控除を差し引きましょう。

税額控除には、以下のようなものがあります。

  • 配当控除
  • 住宅ローン控除
  • 寄付金控除

税額控除は、課税所得から差し引く所得控除とは異なり、算出された税額から直接控除される仕組みです。そのため、納税額そのものを減らせる効果があり、節税につながりやすいのが特徴です。

3-6. 均等割の加算

税額控除を差し引いたら、均等割を加算します。

均等割は、道府県民税・市区町村税・森林環境税を合計した金額です。均等割を加算した時点で、住民税の年額が確定します。

なお、均等割の金額は制度改正や自治体の条例により変更される可能性があるため、必要に応じて最新の税額は自治体の情報などで確認することが大切です。

4. 住民税の納付方法

はてな

住民税の納付方法には、以下の2つの方法があります。

  • 普通徴収
  • 特別徴収

なお、納付方法は従業員が自由に選べるものではありません。企業が対応すべき基本的な納付方法は、給与から住民税を天引きする特別徴収となります。

住民税の取り扱いにおいては、計算ミスや申告漏れが発生すると、自治体からの指導や追徴課税に発展するリスクがあります。特に、年度替わりのタイミングでは、異動・退職・新入社員の情報が錯綜しやすいため注意が必要です。

4-1. 普通徴収

普通徴収は、納税者本人が住民税を納める方法です。

対象となるのは、自営業者やフリーランス、年金受給者など給与を受け取っていない人が中心です。

市区町村から届く納税通知書にもとづき、年4回に分けて納付します。

4-2. 特別徴収

特別徴収は、企業が従業員の住民税を給与から天引きして納付する方法です。

従業員を雇用する企業は「特別徴収義務者」として、住民税の徴収・納付をおこなうことが義務づけられています。正社員だけでなく、パートやアルバイト、役員も特別徴収の対象です。

住民税は、前年の所得をもとに計算するため、原則として1年間の税額は変わりません。ただし、以下のようなケースでは再計算によって税額が変動する可能性があります。

  • 従業員が確定申告をおこなった場合
  • 扶養親族などの状況が変わり後から判明した場合
  • 年末調整の再提出や訂正があった場合
  • 自治体による審査で修正が行われた場合

税額に変更が生じた場合は、残りの月で再計算された新しい税額を反映した変更通知書を交付しましょう。

なお、会社都合や従業員の希望で、普通徴収には切り替えられません。原則として、従業員を雇用している企業は特別徴収を行う必要があります。

5. 住民税が非課税になるケース

ブロック

住民税は、前年の所得や本人の状況などに応じて非課税になるケースがあります。

条件は自治体によって異なりますが、以下のいずれかに該当する場合、非課税対象となることが一般的です。

ケース 条件
均等割・所得割の両方が非課税 前年の合計所得が、扶養人数に応じた非課税限度額以下
均等割・所得割の両方が非課税(特例) 障害者・未成年者・寡婦(寡夫)で、所得が135万円以下
均等割のみが非課税 前年の合計所得が一定基準以下(自治体によって異なる)
生活保護による非課税 生活保護法に基づく保護を受けている

住民税が非課税になると、国民健康保険料・介護保険料・保育料の軽減制度や、各種手当・補助制度の対象になる場合があります。

実際に非課税になるかは自治体が判断するため、該当の可能性がある場合は、市区町村の案内や税務担当窓口を確認することが大切です。

6. 住民税を正しく計算し申告漏れを防ごう

虫眼鏡

住民税は、企業にとって単なる給与天引きの事務処理ではなく、法令順守や従業員からの信頼に直結する重要な業務です。

計算ミスや申告漏れがあると、自治体からの指導や追徴課税に発展するリスクもあります。

本記事で解説したように、住民税は所得税と仕組みが異なる点も多いため、計算方法や非課税の条件も含めて正しく理解しておくことが大切です。適切な運用体制を整えることは、リスク管理とコンプライアンスの両面から不可欠といえるでしょう。

住民税の取り扱いに不安がある場合は、税理士や社労士など専門家への相談も視野に入れながら、申告漏れを防ぎましょう。

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